S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

31話





「セレーネ、今回の襲撃に紛れての暗殺の首謀者ってやはり…」

紅茶で一息入れた俺はセレーネに聞きたかった事を聞く。

「おそらくというかほぼ確実に第二皇子ダラン御兄様が関与されてるはずです。ですが、御兄様に繋がる証拠がありません…」

「ダァーッ!裏でコソコソ気に食わないわね。正面からくれば完膚無きまでに潰せるのに」


なぁリリスさん?
普通権力争いって裏でコソコソ暗躍するものじゃないだろうか。

それに正面ってなによ
まさかクーデターとかそういう事だろうか…

「リリス、物騒な事言うなよ」

「以前までは現皇帝率いる皇帝派や文官が支持する、第一皇子ライル御兄様が次期皇帝に有利でした。ですが武官や貴族派からの支持が厚いダラン御兄様も着々と勢力を拡大しており今では帝位争いは分からなくなってきてます」

「六魔公がどう動くかだな…」

「今、皇帝派と宣言しているのはドレッセル家とイングラシア家だけです。宣言まではしておらずともダラン御兄様を支持しているのはアゴレディ家になります。ヴェッテル家とアドラシス家は正直何を考えているのか底が知れません。敵なのか味方なのか…」

エドラス家は帝位争いには加わらない。
それは公にされ貴族の間では周知の事実だ。まぁ裏ではそれを批判する貴族もいるが流石に面と向かってそれを言う者はいない。

問題なのはあの二家だ。
計画を主導してたヴェッテル家、そして精神干渉系魔法・・・・・・・を得意としてるアドラシス家。

デールの話やあの襲撃の事を考えるとこの二家が関わってる可能性すらある。いや他に何か目的があるのか。


──ならその目的はなんだ


「とりあえずあの二家には気をつけた方がよさそうだな」

「それには私も賛成です。建国祭に向けて帝都は厳戒態勢に入ります。そして少しでも多くの情報収集を行いダラン御兄様率いる貴族派を監視していかなければなりまけん。エルドラ家が権力争いに加担しないのは分かっていますが、もし民に被害が及ぶ事になるのであれば力をお貸しください」


セレーネの表情そして頭を下げる仕草は仲のいい友達にするものではなく民を思う一皇族としてのお願いであった。

「この前の襲撃の件を当主に報告した時に今後私の裁量で動いていいと許可をもらっているわ。今回の事には私にも思うことがあるから協力する」

お父様とかではなく当主・・
父娘の間にある溝は深いようだ。

ただ、あの人がリリスにエルドラ家としての自由を与えるなんて何を考えているんだ。


お互いに情報共有を図り話し合いも終わる。


「レイ君この後何をするんだい?」

「特に何もありませんが…」

帰ろうとした俺たちというか俺に向かってこれからの予定を聞いてくるノエルに答える。

「じゃこの後、僕とデートに行こうじゃないか」

は、え、デート?
なんで?俺とノエルさんが?

「ふぇ!?」 「はぁ!?」

デートというワードに俺よりも先にセレーネとリリスが反応し素っ頓狂な声をだす。

「はぁ…ノエルさんデートとか言ってますけど、どうせ実験とかに付き合わせるつもりでしょ?」

「ふふふ。甘いよレイ君!君が私に協力してくれないのは分かりきっているからね。だからちゃんとデートしてレイ君を誘惑して子種を頂こうかとおもってねぇ!!」

また変な事いいだしたよこの人…

「こ、子種ぇ!?」 「誘惑ですって!?」

「ノエルさん、また変な事言い出して今度は何を企んでるんです?」

「ほら君が身体を調べさせてくれないから、君の子を作れば少しはその秘密に近づけるかなと思ってね〜」

狙いは俺の固有魔法オリジンか。
だが、固有魔法は個人に発現するもので血筋とは関係ない。だから俺の子が使える事はないのだ。

「ちょっと!ノ、ノエルさん、何を考えているのですか!?」

「あれ?セレーネ様そんなに慌ててどうされました?」

「レ、レ、レレレイと子種子作り子供子作り子種子作り子供───」

おーいセレーネさーーーん?
言動おかしくなっているのだが…

「あーそっか!セレーネ様もレイ君の子種が欲しいんですねぇ?まぁ皇族としてもレイ君を取り込みたいですもんねぇ」

「皇族のためにレイをとりこみたいとかそんな事ない、あいや、そのレイとの子供は欲しいです!」

「おいメガネ、今すぐ思う存分研究できる場所に送ってあげわよ」

セレーネ落ち着け!
テンパリ過ぎて俺の子供欲しいとか言っちゃってるから。

リリスはその右腕をゆっくり降ろそうか
俺の目には見えてるが帝城の上に五重魔法式が構築されている。
使わないよね?発動しないよね?

ほんと2人とも落ち着け!!!
おい、主犯のノエルさん
いやノエル!何を笑っている
この状況を楽しんでやがるな…




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