S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

11話



お互い模擬戦に集中し過ぎていたが試合を見ていたクラスメイト達に視線を回すとみんなポカーンとした表情をしておりそのまま演習場に視線を戻すと地面が抉れ放題で荒れに荒れていた。

「お前らな…他の奴らも模擬戦するんだ。演習場めちゃくちゃにしてどうするんだよ」

ガバーロは顔を引き攣らせながら俺たちに小言を言う。だって仕方ないじゃないかリリスがやる気だったし…まぁ俺も熱くなったのは反省だけれども──

試合を途中で止められリリスは不完全燃焼なのどだろうガバーロを睨みつけている。ガバーロもそれに気付いているがそれには触れずに手で戻れと振って追い払っていた。
俺もクラスメイト達がいる観客席に向かおうとしたがガバーロに呼び止められる。

「なぁグラスティスお前は入学試験を不正しなかったか?」
「やだなー先生、不正なんてする訳ないでしょ!」
「いや不正というかわざと入試順位を下げただろ?」

先生にはお見通しだった。俺より入試順位の良かったデールが手も足も出なかったのにそれより順位の低かった俺がリリスとここまでの試合をしたのだ。まぁ適当にはぐらかしておく。

「あーまぁ試験めんどくさかったし受かれば良かったんで適当には受けちゃいましたね」

それで納得いったのかいってないのかは分からなかったが戻っていいと言われ俺もリリスを追って戻る。

俺たちの模擬戦の後にもクラスメイト達の模擬戦は続いていく。

模擬戦を見学してるとエドが近づいてきてさっきの模擬戦について興味津々に聞いてくる。

「レイって強いんだな…昨日のデール見たあとにさっきのを見るとお前がどれだけすげぇかよく分かったわ。噂に聞いたリリスの多重魔法展開もやばかったがそれに遅れもなく対応して拮抗した試合してたお前って1年の中で実力トップクラスだろ」
「リリスとは昔からの模擬戦してたからな。あいつに付き合わされればそれなりに強くもなるもんよ」

「忘れてたけどお前もエルドラ家だもんな。そりゃ六魔公の血筋なら強いはずだ」
「別に血筋が全てじゃない。血筋での才能もあるだろうけどリリスの実力は今までの努力の結果だ。それをただの血筋で強いからで片付けてもらいたくない」

エドに悪気がないのは分かってるがエドの言葉にムッとしてしまう。今まで『エルドラ家だから』『才能だから』とリリスの実力を見て言う人はこれまでたくさんいた。だが俺は知っている。どれだけリリスが今まで努力を続けてきたのかを。
俺みたいに造られた・  ・  ・  ・  実力じゃなくて培われて ・  ・  ・  ・ きた実力なのだ。

「わ、わりぃ…別に妬んだり悪気があって言ったわけじゃねぇんだ」

俺の不機嫌さを感じとったのか謝ってきた。

「あ、いや俺こそ言い方がキツかったすまないな」

何となく居心地悪い雰囲気になった事に後悔したが今行われている模擬戦に話題を変える事でその雰囲気を無くす。


模擬戦も一通り終わりリリス、エド、エミリヤの4人で食堂に向う。

向かう途中に中庭で男女の2人組が目に入り女性の方に興味が湧く。あれは───エルフ族?
そう言えば今年の入学生にエルフ族の女性がいると聞いていたような
この世界にはエルフや獣人等の異人種もおりこの国では差別は無いが国によっては差別や奴隷扱いになっていたりする。

「何故だ!俺が告白してるんだぞ!」

怒鳴るような声がきこえ俺たちは足を止めその2人組みをみる。リリスとしては同じ女性としてほっとけなかったのだろう。正義感も強いリリスはそちらへ歩を進める。2人組に近づくにつれて会話もきこえてくる。

「この俺の女になれるんだぞ!?」
「別に貴方の女になりたいとも思わない」

素っ気なく淡々と返された事に腹を立てたのだろう男が手を挙げ叩く仕草に入る。その途端隣のリリスの姿が消えていた。2人組の間に入り振り上げた男の手を掴む。

「手を挙げる男って最低ね」

リリスの冷めきった言葉と共に身体強化してるであろう握力で掴んでいる手に力を入れる。

──ミシミシ

うん今音が聞こえたよね?ミシミシって
まさか折ったりしないだろうな

「いててッいてッは、離せ!」
「ハンッ情けないわね。さっさと失せなさい」

そういうとリリスは腕を振り回し男を吹っ飛ばす。男は腕を抑えながら覚えてろよ的な雑魚キャラ丸出しのセリフを言いながら足早と逃げていった。

女性に声をかけ一応無事を確認する。やはり思った通りエルフ族の女性でかなりの美人であった──

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