S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

8話



試合を見ていた俺の隣にいるエドもエミリヤも例外なく驚いている。

「な、なぁ…レイ、他家の血統魔法をリリスが使ってるぞ。リリスもデュパリエ家の魔法が使えたのか?」

「いやリリスは使えなかったぞ。今使えるようになったんだろうな」

「は?」 「え?」

エドとエミリヤの素の声が同時にでる。

「魔法の基本属性は7属性、固有魔法は特別として血統魔法は基本属性の合成や派生からなるものだ。その一族の魔法素質や自分達で編み出した魔法式でなせる技。固有魔法と違ってその個人や一族以外の者が使えないという訳じゃない。才能や魔法式の理解再現が出来れば使える。まぁそれができる人間は滅多に居ないがな。だがそれを可能にしてるのはリリスの才能とエルドラ家の血統魔法が関係して───おっと試合が動きそうだ」

説明の途中だったが説明はいつでもできるから試合に集中するために2人に試合観戦の続きを促した。

「なんでなんでなんで!お前がそれを使えるんだ!おかしいおかしいぞ!我が一族の血統魔法を盗んだのか!?」

「別に盗んでないしあんたの一族の魔法何かに興味なんてないわよ。知りたい?なんで私がこの魔法が使えるのか?」

「─────ッ」

知りたいといいたいのだろうがデールのプライドが許さないのか言葉がでない。

「貴方のその魔法は火、風、岩の3属性の合成発展させた魔法でしょ」

「なぜ、それを!?」

「魔法式を見れば分かるわ。火、風、岩の魔法式を織り交ぜてるもの。そしてエルドラ家の血統魔法は融合ユニゾン、魔法・属性を掛け合わせ発展昇華させる魔法。私の使える属性であり自分の理解できたものならいくら血統魔法でも再現出来るし新しい魔法を作る事が可能よ」

「ふざけるな!そんなふざけた魔法があってたまるか!」

「これが現実よ。自分達の事を十侯だのとの賜り下を見下し自分達を六魔公と同じだと思い込んでいた愚か者。これが六魔公の力、格が違うのよ」

そういうとリリスの溶岩兵がデールの溶岩兵に迫りデールの溶岩兵を殴る。
同じ溶岩兵のはずが殴られたデールの溶岩兵の身体ボディーが燃えるように崩れていく───

同じ魔法なのに自分の血統魔法なのに、ただ真似をして作られた同じ魔法で手も足も出ず自分の溶岩兵が崩れるのをみてデールは尻もちをついて唖然と見ているしかなかった。

崩れた溶岩兵を踏みにじりリリスの溶岩兵がデールに迫る。

「ひぃ…たす、たす、たたた」

すぐ目の前の溶岩兵に恐怖しデールは声が出せずにおり溶岩兵が振り上げていた右腕を振り下ろした。

「あぁ……」

デールの顔面左横の地面に拳が突き刺さり地面がボコボコ言いながら燃え溶けていた。
顔が腕が横にある事で少し火傷しているがデールはそんな痛みなの気にする余裕も無ければ自分が恐怖のあまり股間付近を濡らし震えているのにも気づいていなかった。

「あれー?まだ戦闘不能でもなければ降参もしてないから試合は終わってないよねー?」

この圧倒的な光景に観客もシンと静まった空間に異常に響き渡っていた。

いやいやいやもう終わりでしょ!?
これ以上は何をする気なの?
この時会場にいた観客達は思っただろう

そしてエルドラ家には
手を出してはいけないと───

溶岩兵の腕が再度振り上げられる

「ま、まけだ負けだから辞めてくれッ!」

それはデールの悲痛な叫びだった。

「しょ、勝者リリス・エルドラ!」

数秒誰も反応無いが次第に試合が終わった事にみんな声をあげ始める。

『うぉーすげー』
『圧倒的だったね』
『エルドラ家怖い…』
『六魔公は格が違いすぎる』

まぁあれだけの試合を見せられたらね…

この決闘はこれから先語り継がれる1試合として歴史に刻まれる。そして敗者のデールは『おもらしデール』という不名誉なあだ名と共に────


「この騒ぎは何事なんですの?」

この騒がしくなった会場に透き通るように響き渡った聞き覚えのある声だった。





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