おっさんの異世界生活は無理がある。
第657話
まだ朝も早い時間帯に王都行きの馬車が集まっている広場に皆とやって来た俺は、文字がビッシリと書かれている1枚の紙をジーナから手渡されていた。
「はい九条さん!コレ、この街で集めてきて欲しい素材のリストね!期待してるから頼んだよ!」
「へいへい……そう言えばジーナ、親父さんは大丈夫なのかよ?メチャクチャ顔色が悪い気がするんだが……」
「ん-まぁ大丈夫じゃない?そもそもお父さんが飲みすぎちゃったのが原因なんだし心配するだけ時間の無駄だよ……って言うか九条さん!お酒を飲みに行くんだったら私にも声を掛けて欲しかったんだけど!」
「い、いや……それを俺に言われてもだなぁ……」
頬を膨らませながら詰め寄って来たジーナから距離を取ろうと半歩下がった直後、今度は俺の仲間達がこっちに近寄って来た。
「九条さんってば、私達にも黙って出掛けるなんて寂しい事をしてくれたよね。」
「本当ですよ!私達に内緒で行かなくても良いじゃないですかね!」
「うん、教えて欲しかった。」
「だ、だからそれについては謝っただろ?今度からは気を付けるって……」
「そう言って何度も約束を破ってきた結果が今なんじゃないのかしら?」
「うむ、お主が単独行動をする時はほとんど危険な事に首を突っ込む時じゃからな。皆から怒られるのも仕方あるまい。」
「……お2人さん?すみませんが少しだけお静かに願えますかねぇ……!」
自業自得ではあるんだが更なる火種を生み出そうとしている神様達に文句を言って何とか口を閉ざさせた俺は、何度目かになる謝罪を皆にしていくのだった。
そんなこんなをしているとあっと言う間に馬車の出発時間を迎えてしまったので、俺達は親父さん達と別れの挨拶を交わしていった。
「それでは皆さん、今日まで本当にお世話になりました。もし良かったらトリアルに戻ったらウチにお寄り下さい。お礼として料理を振舞わせて頂きますので。」
「おや、それは楽しみですね。ルーシーさんの作ってくれるお料理は凄く美味しいと思いますから。」
「うん!それはもう!私が保証してあげるよ!それに集めて貰った素材で、皆の為に加工品を作ってあげるからソレも楽しみにしてよね!」
「はい!よろしくお願いします!」
「……親父さん、ヤバくなったら遠くの景色を見つめる事をお勧めしておきます。」
「え、えぇ……分かりました……皆さん……本当にありがとうございました。私達は先にトリアルへ戻りますが、どうか怪我をしない様にお気を付けて……」
「うん、そっちも道中気を付けて。」
「護衛が付いてるから大丈夫だとは思うけど、用心だけはしておきなさいよね。」
「了解!それじゃあ皆、またね!」
「うむ、またな。」
この街に来た時と同じ豪勢な馬車に乗り込んでノルウィンドを去って行く皆の姿が視界から居なくなるまで見送った後、俺は静かになった広場で大きく伸びをした。
「うーん!……よしっ、それじゃあ俺達も本格的に行動を始めるとするか。」
「あぁ、ユキとこの街の人達の為に頑張るとしようか。」
「アンタ達、私が言うのも何だけどあんまり無茶をするんじゃないわよ。ゆっくりで良いんだからね。」
「分かってる。無理をしない範囲でやっていくつもり。」
「えへへ、頼まれた素材集めをこなしながら……ですよね!」
「はっはっは、旅行中じゃと言うのにやる事が沢山じゃのう。」
「……だな。」
自分達の勤勉さを心の中で褒め称えながら肩をすくめてため息を吐き出した俺は、朝日に照らされながら皆と一緒に宿屋へと帰って行くのだった。
「はい九条さん!コレ、この街で集めてきて欲しい素材のリストね!期待してるから頼んだよ!」
「へいへい……そう言えばジーナ、親父さんは大丈夫なのかよ?メチャクチャ顔色が悪い気がするんだが……」
「ん-まぁ大丈夫じゃない?そもそもお父さんが飲みすぎちゃったのが原因なんだし心配するだけ時間の無駄だよ……って言うか九条さん!お酒を飲みに行くんだったら私にも声を掛けて欲しかったんだけど!」
「い、いや……それを俺に言われてもだなぁ……」
頬を膨らませながら詰め寄って来たジーナから距離を取ろうと半歩下がった直後、今度は俺の仲間達がこっちに近寄って来た。
「九条さんってば、私達にも黙って出掛けるなんて寂しい事をしてくれたよね。」
「本当ですよ!私達に内緒で行かなくても良いじゃないですかね!」
「うん、教えて欲しかった。」
「だ、だからそれについては謝っただろ?今度からは気を付けるって……」
「そう言って何度も約束を破ってきた結果が今なんじゃないのかしら?」
「うむ、お主が単独行動をする時はほとんど危険な事に首を突っ込む時じゃからな。皆から怒られるのも仕方あるまい。」
「……お2人さん?すみませんが少しだけお静かに願えますかねぇ……!」
自業自得ではあるんだが更なる火種を生み出そうとしている神様達に文句を言って何とか口を閉ざさせた俺は、何度目かになる謝罪を皆にしていくのだった。
そんなこんなをしているとあっと言う間に馬車の出発時間を迎えてしまったので、俺達は親父さん達と別れの挨拶を交わしていった。
「それでは皆さん、今日まで本当にお世話になりました。もし良かったらトリアルに戻ったらウチにお寄り下さい。お礼として料理を振舞わせて頂きますので。」
「おや、それは楽しみですね。ルーシーさんの作ってくれるお料理は凄く美味しいと思いますから。」
「うん!それはもう!私が保証してあげるよ!それに集めて貰った素材で、皆の為に加工品を作ってあげるからソレも楽しみにしてよね!」
「はい!よろしくお願いします!」
「……親父さん、ヤバくなったら遠くの景色を見つめる事をお勧めしておきます。」
「え、えぇ……分かりました……皆さん……本当にありがとうございました。私達は先にトリアルへ戻りますが、どうか怪我をしない様にお気を付けて……」
「うん、そっちも道中気を付けて。」
「護衛が付いてるから大丈夫だとは思うけど、用心だけはしておきなさいよね。」
「了解!それじゃあ皆、またね!」
「うむ、またな。」
この街に来た時と同じ豪勢な馬車に乗り込んでノルウィンドを去って行く皆の姿が視界から居なくなるまで見送った後、俺は静かになった広場で大きく伸びをした。
「うーん!……よしっ、それじゃあ俺達も本格的に行動を始めるとするか。」
「あぁ、ユキとこの街の人達の為に頑張るとしようか。」
「アンタ達、私が言うのも何だけどあんまり無茶をするんじゃないわよ。ゆっくりで良いんだからね。」
「分かってる。無理をしない範囲でやっていくつもり。」
「えへへ、頼まれた素材集めをこなしながら……ですよね!」
「はっはっは、旅行中じゃと言うのにやる事が沢山じゃのう。」
「……だな。」
自分達の勤勉さを心の中で褒め称えながら肩をすくめてため息を吐き出した俺は、朝日に照らされながら皆と一緒に宿屋へと帰って行くのだった。
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