おっさんの異世界生活は無理がある。
第632話
「ご主人様、いい加減にシャキッとして下さいよね。何時までそうやっているつもりなんですか?そんなにイリスさんにされたキスが忘れられません?」
「……そんな訳ねぇだろうが……って訳でもないけどさぁ……頼むから少しだけ俺を休ませてくれ……心も体も色々あって限界なんだよぉ……」
雪の積もってる街道で何度かモンスターに襲われたりもしたが、無事にトリアルの我が家まで帰って来る事が出来た俺は担いでいた荷物を床の上に置くと目の前にあるソファーにドカッと倒れ込んでいくのだった。
「ちょっとご主人様、その服のままソファーに寝転がらないで下さいよね。汚れたりしたらどうするんですか。」
「……マホ……お前は心身ともに疲れ切っているご主人様に優しい言葉を掛ける事は出来ないのか?」
「えぇ、無理ですね。だってご主人様がそんな事になっている理由ってイリスさんのキスが原因ですよね?それで心配をしろって言われても困りますよ。」
「う、うぐっ……」
「ふふっ、九条さんだって本心から嫌がっている訳では無いんだろう?それならば、イリスにキスされた事はむしろ誇ってあげるべきなんじゃないのかな?まぁ、それが難しいと言うのなら私がキスをして元気付けてあげても構わないよ。」
「私も大丈夫。覚悟は出来てるから」
「何の覚悟がだっ!?おいロイド、ソフィに悪影響だから変な事を言うんじゃない!こんな話をしている事がガドルさんに知られちまったらどうすんだ!俺の身が危なくなってくるじゃねぇか!」
「おや、どうやら大きな声を出せるぐらいには元気を取り戻してくれたみたいだね。良かった良かった。さぁ九条さん、晩御飯の支度を始める前に荷物の整理を済ませてしまおうじゃないか。ね?」
「……あー……ロイド、何か怒ってるか?」
「怒ってる?私が?どうして?」
「いや……何となく?」
笑顔だから普段と変わらない様に見えるんだけどこう……微妙に圧みたいなもんを掛けられている様な気がするんだが……やっぱり俺の気のせいだったかしら?
「ふむ……」
「あっ、違うならそれで良いんだ。変な事を言って悪かったな。」
「……ふふっ、謝る事は無いよ。私自身も自覚はしていなかったんだけど……うん、そう言われたら怒っているのかもしれないね。」
「えっ?そうなのか?でも、何で?」
「はぁ……ご主人様、そんな事だから女の人にモテないんですよ?」
「おい、いきなり言葉の暴力を振るってくるんじゃない。って言うか、今はモテるかどうかは関係無いだろうが。」
「いやいや、関係大ありですよ。だってロイドさん……それに私も、恐らくですけど同じ理由で怒っていると思いますからね。」
「は?お前も怒ってるって……もしかしてソファーを汚したからか?」
「そうじゃありませんよ。全く、ご主人様は本当におバカさんですね。私達が怒っている理由は、簡単に言ってしまえば嫉妬です。」
「……し、しっと……?」
「えぇ、そうですよ?ずーっと平気な顔をしていましたけど、やっぱりイリスさんにキスをされてデレデレしているご主人様なんて見たくありませんから!ロイドさんもそういう事ですよね?」
「あぁ、その通りだね。私達と言う者が居ながら、イリスにされたキスを思い出してポーッとしている九条さんは見ていて何とも言えなかったよ。」
「……私も、九条さんを盗られた気がしてた。」
「ですよね!ご主人様、そういう訳です!分かりましたか?」
「お、おう……」
まさかの理由でロイド、マホ、そんでもってソフィまでもが怒っていた事を知って何と言うか……俺はとんでもない恥ずかしさに襲われ始めていた……!
「ふぅ、何だかスッキリしたよ。ありがとう、マホ。」
「いえいえ、どういたしまして。ロイドさん、ソフィさん、私達もイリスさんに負けない様に頑張りましょうね!」
「うん、九条さんは渡さない。」
「ふふっ、その意気だね。九条さん、勝手に私達から離れたりしたら許さないから、そのつもりで覚悟しといてくれよ。」
「は、はい……」
イケメン度数MAXになったロイドにニコっと微笑まれながらそんな宣言をされた俺は、胸の奥がキュンっとなりながら小さく頷くしかなかった訳で……
「あっ、そうだ!イベントの時に撮って貰った写真、折角ですからそこの棚に飾っておきましょうか!」
「あぁ、それは良いね。」
「……俺としてはあんまり人に見られたくない写真だから飾りたくないですが……」
「はい、ご主人様の意見は却下しますね。えへへ!」
純白のタキシード姿の苦笑いを浮かべている俺が、綺麗なドレスを着ているマホ、ロイド、ソフィ、イリスに囲われている写真……
そんな色々な意味で誤解をされそうな物が入った木枠の写真立てが棚の上にそっと置かれたのを見ていた俺は、ガクッと肩を落としながら深々とため息をのだった……
「……そんな訳ねぇだろうが……って訳でもないけどさぁ……頼むから少しだけ俺を休ませてくれ……心も体も色々あって限界なんだよぉ……」
雪の積もってる街道で何度かモンスターに襲われたりもしたが、無事にトリアルの我が家まで帰って来る事が出来た俺は担いでいた荷物を床の上に置くと目の前にあるソファーにドカッと倒れ込んでいくのだった。
「ちょっとご主人様、その服のままソファーに寝転がらないで下さいよね。汚れたりしたらどうするんですか。」
「……マホ……お前は心身ともに疲れ切っているご主人様に優しい言葉を掛ける事は出来ないのか?」
「えぇ、無理ですね。だってご主人様がそんな事になっている理由ってイリスさんのキスが原因ですよね?それで心配をしろって言われても困りますよ。」
「う、うぐっ……」
「ふふっ、九条さんだって本心から嫌がっている訳では無いんだろう?それならば、イリスにキスされた事はむしろ誇ってあげるべきなんじゃないのかな?まぁ、それが難しいと言うのなら私がキスをして元気付けてあげても構わないよ。」
「私も大丈夫。覚悟は出来てるから」
「何の覚悟がだっ!?おいロイド、ソフィに悪影響だから変な事を言うんじゃない!こんな話をしている事がガドルさんに知られちまったらどうすんだ!俺の身が危なくなってくるじゃねぇか!」
「おや、どうやら大きな声を出せるぐらいには元気を取り戻してくれたみたいだね。良かった良かった。さぁ九条さん、晩御飯の支度を始める前に荷物の整理を済ませてしまおうじゃないか。ね?」
「……あー……ロイド、何か怒ってるか?」
「怒ってる?私が?どうして?」
「いや……何となく?」
笑顔だから普段と変わらない様に見えるんだけどこう……微妙に圧みたいなもんを掛けられている様な気がするんだが……やっぱり俺の気のせいだったかしら?
「ふむ……」
「あっ、違うならそれで良いんだ。変な事を言って悪かったな。」
「……ふふっ、謝る事は無いよ。私自身も自覚はしていなかったんだけど……うん、そう言われたら怒っているのかもしれないね。」
「えっ?そうなのか?でも、何で?」
「はぁ……ご主人様、そんな事だから女の人にモテないんですよ?」
「おい、いきなり言葉の暴力を振るってくるんじゃない。って言うか、今はモテるかどうかは関係無いだろうが。」
「いやいや、関係大ありですよ。だってロイドさん……それに私も、恐らくですけど同じ理由で怒っていると思いますからね。」
「は?お前も怒ってるって……もしかしてソファーを汚したからか?」
「そうじゃありませんよ。全く、ご主人様は本当におバカさんですね。私達が怒っている理由は、簡単に言ってしまえば嫉妬です。」
「……し、しっと……?」
「えぇ、そうですよ?ずーっと平気な顔をしていましたけど、やっぱりイリスさんにキスをされてデレデレしているご主人様なんて見たくありませんから!ロイドさんもそういう事ですよね?」
「あぁ、その通りだね。私達と言う者が居ながら、イリスにされたキスを思い出してポーッとしている九条さんは見ていて何とも言えなかったよ。」
「……私も、九条さんを盗られた気がしてた。」
「ですよね!ご主人様、そういう訳です!分かりましたか?」
「お、おう……」
まさかの理由でロイド、マホ、そんでもってソフィまでもが怒っていた事を知って何と言うか……俺はとんでもない恥ずかしさに襲われ始めていた……!
「ふぅ、何だかスッキリしたよ。ありがとう、マホ。」
「いえいえ、どういたしまして。ロイドさん、ソフィさん、私達もイリスさんに負けない様に頑張りましょうね!」
「うん、九条さんは渡さない。」
「ふふっ、その意気だね。九条さん、勝手に私達から離れたりしたら許さないから、そのつもりで覚悟しといてくれよ。」
「は、はい……」
イケメン度数MAXになったロイドにニコっと微笑まれながらそんな宣言をされた俺は、胸の奥がキュンっとなりながら小さく頷くしかなかった訳で……
「あっ、そうだ!イベントの時に撮って貰った写真、折角ですからそこの棚に飾っておきましょうか!」
「あぁ、それは良いね。」
「……俺としてはあんまり人に見られたくない写真だから飾りたくないですが……」
「はい、ご主人様の意見は却下しますね。えへへ!」
純白のタキシード姿の苦笑いを浮かべている俺が、綺麗なドレスを着ているマホ、ロイド、ソフィ、イリスに囲われている写真……
そんな色々な意味で誤解をされそうな物が入った木枠の写真立てが棚の上にそっと置かれたのを見ていた俺は、ガクッと肩を落としながら深々とため息をのだった……
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