おっさんの異世界生活は無理がある。
第599話
翌日、依頼をこなす為に再びセトグリア家を訪れていた俺達はロイドの実家が襲撃されたという思い出話をする前にアシェンさんから頼まれた2つめの依頼についての返事を伝えていた。
「九条さん、突然のお願いにも関わらずお引き受け下さってありがとうございます。イリスさんも良かったですね。」
「うん、凄く嬉しいよ……九条さん、母さんの依頼でもありますが絶対に忘れる事が出来ない思い出をいーっぱい作りましょうね。」
「お、おう……そうだな……」
背筋がゾクッとする様な微笑みを浮かべながら返事に困る事を言ってきたイリスと視線を交わしていた俺は、顔を引きつらせながらわざと咳払いをして用意されていた飲み物に口を付けて気持ちを落ち着かせていると……
「あの、イリスさん。おじさんとイベントに参加するのは良いんですけど、そもそも素敵な思い出作りってどんな事をするんですか?」
「うふふ、気になりますか?」
「勿論。参加する為には斡旋所での申請が必要だと掲示板に貼り出されている用紙に書いてあったが、詳細については記されていなかったからね。だからイリス、詳しい話を聞かせて貰えるかな?」
「……すみません、ご質問にお答えしたいんですが僕も知らないんです。興味自体はあったんですけど、参加する予定はありませんでしたから。」
「……そう言えば、イリスは俺達が来る事を知らされてなかったんだっけか。」
「はい。だから僕の認識としては、面白そうなイベントが参加されているなぐらいの感覚でした。」
「ふむ、そうなると依頼主であるアシェンさんに説明をお願いするしかないかな?」
「……うふふ。」
笑って誤魔化すという言葉を体現しまくっているアシェンさんをすぐ隣で見つめていたルバートさんは、困った様な感じで眉を小さくハの字に曲げ始めた。
「……アシェンさん、まさかとは思いますが貴女も詳しい事は知らないんですか?」
「すみません。その通りです。」
「……という事は、イベントの件も思い付きで九条さんに頼んだんですね。」
「えぇ、頭の中にある記憶がふっと蘇ってきたのでつい。」
「……はぁ……」
「あ、あの……ルバートさん?そこまで気にしなくても俺達なら大丈夫ですから!」
「そ、そうですね!詳しい事は斡旋所で聞けば良いだけの事ですもんね!」
「そ、そうそう!どうせ行く事には変わり無いんだし、問題無し!だよな!」
「……ありがとうございます。今後、この様な事が無い様にアシェンさんには言っておきますので……」
「うふふ、すみません。」
「ふふっ、これぐらい何でも無いから気にしなくても良いよ。だからルバートさん、あまりアシェンさんを怒らないであげれくれるかな。」
「うん、夫婦仲良く。」
「……分かりました。皆さんがそう仰ってくださるなら……ですけどアシェンさん、皆さんのご厚意に甘えてばかりではいけませんからね。」
「はい。ご迷惑をお掛けした分は報酬に上乗せさせてもらいます。」
「おぉ、それはありがとうございます。では、その上乗せされた報酬を受け取る為に依頼を始めるとしましょうか。」
「えぇ、お願いします。」
マイペースなアシェンさんと彼女に振り回されるルバートさんの姿を目にしながら夫婦には色々な形があるんだなぁと思った俺は、話そうと考えていた思い出話を皆とゆっくり語り始めるのだった。
「九条さん、突然のお願いにも関わらずお引き受け下さってありがとうございます。イリスさんも良かったですね。」
「うん、凄く嬉しいよ……九条さん、母さんの依頼でもありますが絶対に忘れる事が出来ない思い出をいーっぱい作りましょうね。」
「お、おう……そうだな……」
背筋がゾクッとする様な微笑みを浮かべながら返事に困る事を言ってきたイリスと視線を交わしていた俺は、顔を引きつらせながらわざと咳払いをして用意されていた飲み物に口を付けて気持ちを落ち着かせていると……
「あの、イリスさん。おじさんとイベントに参加するのは良いんですけど、そもそも素敵な思い出作りってどんな事をするんですか?」
「うふふ、気になりますか?」
「勿論。参加する為には斡旋所での申請が必要だと掲示板に貼り出されている用紙に書いてあったが、詳細については記されていなかったからね。だからイリス、詳しい話を聞かせて貰えるかな?」
「……すみません、ご質問にお答えしたいんですが僕も知らないんです。興味自体はあったんですけど、参加する予定はありませんでしたから。」
「……そう言えば、イリスは俺達が来る事を知らされてなかったんだっけか。」
「はい。だから僕の認識としては、面白そうなイベントが参加されているなぐらいの感覚でした。」
「ふむ、そうなると依頼主であるアシェンさんに説明をお願いするしかないかな?」
「……うふふ。」
笑って誤魔化すという言葉を体現しまくっているアシェンさんをすぐ隣で見つめていたルバートさんは、困った様な感じで眉を小さくハの字に曲げ始めた。
「……アシェンさん、まさかとは思いますが貴女も詳しい事は知らないんですか?」
「すみません。その通りです。」
「……という事は、イベントの件も思い付きで九条さんに頼んだんですね。」
「えぇ、頭の中にある記憶がふっと蘇ってきたのでつい。」
「……はぁ……」
「あ、あの……ルバートさん?そこまで気にしなくても俺達なら大丈夫ですから!」
「そ、そうですね!詳しい事は斡旋所で聞けば良いだけの事ですもんね!」
「そ、そうそう!どうせ行く事には変わり無いんだし、問題無し!だよな!」
「……ありがとうございます。今後、この様な事が無い様にアシェンさんには言っておきますので……」
「うふふ、すみません。」
「ふふっ、これぐらい何でも無いから気にしなくても良いよ。だからルバートさん、あまりアシェンさんを怒らないであげれくれるかな。」
「うん、夫婦仲良く。」
「……分かりました。皆さんがそう仰ってくださるなら……ですけどアシェンさん、皆さんのご厚意に甘えてばかりではいけませんからね。」
「はい。ご迷惑をお掛けした分は報酬に上乗せさせてもらいます。」
「おぉ、それはありがとうございます。では、その上乗せされた報酬を受け取る為に依頼を始めるとしましょうか。」
「えぇ、お願いします。」
マイペースなアシェンさんと彼女に振り回されるルバートさんの姿を目にしながら夫婦には色々な形があるんだなぁと思った俺は、話そうと考えていた思い出話を皆とゆっくり語り始めるのだった。
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