おっさんの異世界生活は無理がある。
第595話
王都の高級住宅街っぽいエリアに存在する大きな一軒家のリビングまで案内された俺達は、沢山の棚に収められた数え切れない程の本に囲われながら用意された紅茶を飲みつつ依頼者達と向かい合う様にしてソファーに座っていた。
「改めてになりますが、皆さん初めまして。私の名前は『アシェン・セトグリア』。イリスさんの母で作家という職業をしている者で、今回の依頼者でもあります。」
「皆さん、初めまして。私はイリスの父の『ルバート・セトグリア』と言う者です。どうぞよろしくお願い致します。」
イリスと同じ髪色の女性と眼鏡を掛けた髪が灰色の男性から自己紹介をされた後、俺達も自分達の名前を名乗って挨拶を交わしたんだが……
「……あの、アシェンさん。いきなりこんな事を聞くのもどうかと思うんですけど、どうしてまた俺達の事を依頼なんてものを使ってまで呼び出したりしたんですか?」
「あぁ、それは僕も教えて欲しいかな。これまでにも何度か九条さん達の話をした事ってあったよね?それに今回の件について聞かされたのが昨日の晩御飯を食べている時だったのはどうしてなのかな?」
「うふふ、ごめんなさい。イリスさんが運命の人と会えるって知ったらどんな表情を見せてくれるのかどうしても気になってしまって。」
「……アシェンさん、そういう事は控えて下さいと何度も言っていますよね?そんな事ではイリスに嫌われてしまいますよ。」
「あら、それは大変ですね。」
「ふぅ、僕なら大丈夫だよ父さん。母さんの事は今に始まった事ではないからね。」
「そうかい?でも、どうしても嫌だったら私に言うんだよ?」
「うん、ありがとう。その時は頼りにさせてもらうからね。」
「……2人共、私を抜きにして何を楽しそうにしているんですか?」
「い、いや。楽しそうだなんてそんな……それよりもアシェンさん、皆さんにここへ来て頂いた理由を説明して下さい。」
「あっ、そうでしたね。失礼致しました。」
「あぁ、いえいえ……」
イリスは母親からの血を濃く受け継いでいるんだなぁ……ってな事を考えながら、首を小さく横に振った俺は再び紅茶に口を付けて静かにため息を吐き出した。
「依頼を通して皆さんをお呼び出しさせて貰った理由……それはお手紙にも書かせて頂いた通り、これまでにどんな冒険をしてきたのかお話を伺ってみたいと思ったのがまず1つです。」
「ふむ、まず1つという事は他にも理由が?」
「はい。そのもう1つの理由と言うのが、イリスさんの運命の人がどんな方なのかを実際にこの目で確かめてみたいと思ったからです。」
「………はい?」
こっちを真っすぐ見ながらニコっと微笑みかけてきたアシェンさんの言葉を聞いて頭の中が真っ白になっていると、スッと立ち上がった彼女はすぐ近くに置かれているテーブルの上から1冊の雑誌らしき物を手にして戻って来たの……だがあああっ!?
「実はこの間、イリスさんが運命の人が素敵な格好をして雑誌の表紙を飾っていると教えてくれたんです。」
「ああっ!それって私達が載ってる雑誌じゃないですか!王都でも発売されてるとは聞いてましたけど……イリスさん、買ってたんですか!?」
「うふふ、勿論じゃないですか。こんなにも魅力的な九条さんが雑誌の表紙になっているんですよ?気が付いたら5冊も購入していました。」
「ごっ!?いやいや、それは流石に買い過ぎだろ?!」
って言うかこの場でそういう事を堂々と言うのは止めてくれませんかね!?ほら、ルバートさんが何とも言えない複雑そうな表情を浮かべていらっしゃるから!!
「いえ、そんな事はありませんよ?だって、母さんは僕があげたこの雑誌を見たから九条さん達を呼ぼうって考えたんだもんね?」
「えぇ、それにこの表紙を飾っている九条さん……良いですよねぇ……恥ずかしくもありながら頑張って微笑もうとしている姿……私の中にある創作意欲がドンドン沸き上がってきます……うふふふふふ……」
「っ?!そ、そうだっ!ア、アシェンさんって確か作家さんでしたよね!これまでにどんな本を書いてきたのか教えて貰いたいなー……なんて……」
本能的になんかヤバい物を感じて急いで話題を逸らそうとすると、アシェンさんは恍惚とした瞳のまま俺達の方に視線を向けて来た……!
「あぁ、そう言えばまだお教えしていませんでしたね……私、幻惑図書という名前で活動をしているんです。」
「幻惑図書?……ふむ……」
「ロイドさん、もしかしてご存じなんですか?私は失礼ながら名前ぐらいしか……」
「あぁ、実はリリアとライルが幻惑図書の大ファンでね。純愛物や推理物、その他に人間と機械の恋を描いたりと数多くの物語を生み出してきた作家らしいね。だから噂では作者は1人では無くて複数人居るとも言われているんだが……本当に貴女が?」
「はい、私がその幻惑図書です。もしよろしかったらそこの棚に私の書いた本もありますので、読んでみますか?」
「母さん、その前に仕事を始めなくても良いの?わざわざ九条さん達に来てもらったのに、時間を無駄にする訳にはいかないんじゃない?」
「あっ、それもそうですね。皆さん、いかがでしょうか?」
「え、えぇ……別に構いませんよ。俺達がこれまで経験してきた冒険ついて、詳しく話していけば良いんですよね?」
「はい、お願いします。少し準備をしますので、少々お待ち下さい。」
アシェンさんがそう告げてからしばらくした後、俺達は出会った時の事を思い出しながら過去の事を話し始めるのだた。
「改めてになりますが、皆さん初めまして。私の名前は『アシェン・セトグリア』。イリスさんの母で作家という職業をしている者で、今回の依頼者でもあります。」
「皆さん、初めまして。私はイリスの父の『ルバート・セトグリア』と言う者です。どうぞよろしくお願い致します。」
イリスと同じ髪色の女性と眼鏡を掛けた髪が灰色の男性から自己紹介をされた後、俺達も自分達の名前を名乗って挨拶を交わしたんだが……
「……あの、アシェンさん。いきなりこんな事を聞くのもどうかと思うんですけど、どうしてまた俺達の事を依頼なんてものを使ってまで呼び出したりしたんですか?」
「あぁ、それは僕も教えて欲しいかな。これまでにも何度か九条さん達の話をした事ってあったよね?それに今回の件について聞かされたのが昨日の晩御飯を食べている時だったのはどうしてなのかな?」
「うふふ、ごめんなさい。イリスさんが運命の人と会えるって知ったらどんな表情を見せてくれるのかどうしても気になってしまって。」
「……アシェンさん、そういう事は控えて下さいと何度も言っていますよね?そんな事ではイリスに嫌われてしまいますよ。」
「あら、それは大変ですね。」
「ふぅ、僕なら大丈夫だよ父さん。母さんの事は今に始まった事ではないからね。」
「そうかい?でも、どうしても嫌だったら私に言うんだよ?」
「うん、ありがとう。その時は頼りにさせてもらうからね。」
「……2人共、私を抜きにして何を楽しそうにしているんですか?」
「い、いや。楽しそうだなんてそんな……それよりもアシェンさん、皆さんにここへ来て頂いた理由を説明して下さい。」
「あっ、そうでしたね。失礼致しました。」
「あぁ、いえいえ……」
イリスは母親からの血を濃く受け継いでいるんだなぁ……ってな事を考えながら、首を小さく横に振った俺は再び紅茶に口を付けて静かにため息を吐き出した。
「依頼を通して皆さんをお呼び出しさせて貰った理由……それはお手紙にも書かせて頂いた通り、これまでにどんな冒険をしてきたのかお話を伺ってみたいと思ったのがまず1つです。」
「ふむ、まず1つという事は他にも理由が?」
「はい。そのもう1つの理由と言うのが、イリスさんの運命の人がどんな方なのかを実際にこの目で確かめてみたいと思ったからです。」
「………はい?」
こっちを真っすぐ見ながらニコっと微笑みかけてきたアシェンさんの言葉を聞いて頭の中が真っ白になっていると、スッと立ち上がった彼女はすぐ近くに置かれているテーブルの上から1冊の雑誌らしき物を手にして戻って来たの……だがあああっ!?
「実はこの間、イリスさんが運命の人が素敵な格好をして雑誌の表紙を飾っていると教えてくれたんです。」
「ああっ!それって私達が載ってる雑誌じゃないですか!王都でも発売されてるとは聞いてましたけど……イリスさん、買ってたんですか!?」
「うふふ、勿論じゃないですか。こんなにも魅力的な九条さんが雑誌の表紙になっているんですよ?気が付いたら5冊も購入していました。」
「ごっ!?いやいや、それは流石に買い過ぎだろ?!」
って言うかこの場でそういう事を堂々と言うのは止めてくれませんかね!?ほら、ルバートさんが何とも言えない複雑そうな表情を浮かべていらっしゃるから!!
「いえ、そんな事はありませんよ?だって、母さんは僕があげたこの雑誌を見たから九条さん達を呼ぼうって考えたんだもんね?」
「えぇ、それにこの表紙を飾っている九条さん……良いですよねぇ……恥ずかしくもありながら頑張って微笑もうとしている姿……私の中にある創作意欲がドンドン沸き上がってきます……うふふふふふ……」
「っ?!そ、そうだっ!ア、アシェンさんって確か作家さんでしたよね!これまでにどんな本を書いてきたのか教えて貰いたいなー……なんて……」
本能的になんかヤバい物を感じて急いで話題を逸らそうとすると、アシェンさんは恍惚とした瞳のまま俺達の方に視線を向けて来た……!
「あぁ、そう言えばまだお教えしていませんでしたね……私、幻惑図書という名前で活動をしているんです。」
「幻惑図書?……ふむ……」
「ロイドさん、もしかしてご存じなんですか?私は失礼ながら名前ぐらいしか……」
「あぁ、実はリリアとライルが幻惑図書の大ファンでね。純愛物や推理物、その他に人間と機械の恋を描いたりと数多くの物語を生み出してきた作家らしいね。だから噂では作者は1人では無くて複数人居るとも言われているんだが……本当に貴女が?」
「はい、私がその幻惑図書です。もしよろしかったらそこの棚に私の書いた本もありますので、読んでみますか?」
「母さん、その前に仕事を始めなくても良いの?わざわざ九条さん達に来てもらったのに、時間を無駄にする訳にはいかないんじゃない?」
「あっ、それもそうですね。皆さん、いかがでしょうか?」
「え、えぇ……別に構いませんよ。俺達がこれまで経験してきた冒険ついて、詳しく話していけば良いんですよね?」
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