おっさんの異世界生活は無理がある。
第581話
「………ソフィ、ポーラ……まだ動けそうかい?」
「……ちょっと厳しい……かも……」
「はぁ……はぁ……す、すみません……私は、もう……」
「そうか……これは、本格的にマズイ状況になってきたかもしれないね……」
苦々しそうにそう呟いたロイドは自分自身の限界が近い事を自覚しながら、最後の気力を振り絞って手にしていた武器を改めて構え直した。
それに合わせてソフィも両手に持ったショートブレードを握り直したのだが、その隣に居たポーラは荒くなった呼吸を繰り返す事しか出来ない状態になっていた。
「ハッハッハ!ソイツはまともに立つ事すら出来なくなってきたみたいだなぁ。」
「……それが何?私達が動ければ問題ない。」
「ふんっ、そんな強がりはするだけ無駄だ。その証拠に、俺達の攻撃を防ぎきれなくなってきているだろうが。いい加減に諦めたらどうだ?そうすれば、すぐにでも楽にしてやるぞ?」
両手を広げた黒装束の男が勝ち誇るかの様にそう告げると、ロイドは小さく笑って一歩前に踏み出して行くと剣先を真正面に向けた。
「ふふっ、悪いけどその提案はお断りさせて貰うよ。私達を逃がす為に戦ってくれている諦めの悪い彼に……情けない姿は見せられないからね!」
「……そうか……残念だが仕方あるまい……ならば、この場で死ぬがいい!」
「っ!」
周囲を取り囲んでいた黒装束の男達が一斉に襲い掛かって来る光景を目にしながら戦いに臨む覚悟を決めたロイドとソフィが動き出そうとした次の瞬間、何の前触れもなく突如として突風が吹き荒れ始めて3人は反射的に目を閉じてしまった。
「ぐわあああああああっ!!!!」
「がはああああああああ!!!!!」
「うぎゃあああああああ!!!!」
身動きが取れずその場で固まっていると今度は叫び声の様な聞こえてきて、3人は状況が呑み込めないまま事態を確認する為にゆっくりと視界を開いていった。
「……ロイド様、ソフィ様、ポーラ様、お待たせしてしまって申し訳ございません。遅ればせながら、救援に駆け付けさせて頂きました。」
「……ははっ……本当に……来るのが遅すぎるよ……カーム。」
何とも言えない表情で笑みを浮かべたロイドが顔を上げて見つめた先には、細長いブレードを手にして優しく微笑みかけてきているカームの姿があった。
「申し訳ございません。皆様の救援へ向かおうとしていた時に思わぬ客人が……と、この話はまた後で致しましょう。それよりも前に、すべき事がありますからね。」
カームは穏やかな笑みを一変させて振り返ると、武器を構えて感情の籠っていない冷徹な瞳で目の前に立つ敵を静かに見据えた。
「き、貴様……一体何だっ!!?」
「……お前達に答える必要は無い。皆様を傷つけたその罪、その身に刻んでやるから覚悟しろ……!」
「カーム……命の奪うのは無しだからね。」
「……ロイド様がそう仰るのなら。」
「な、舐めるなよ……!行くぞ、お前達!その男も一緒に消してしまえ!」
怒鳴り声をあげた男の言葉を合図にして再び黒装束の男達が襲い掛かってきたが、カームが歩き始めた瞬間に全員が同時に地面へ倒れ込んでいった。
「なっ!?こ、これは……?!」
「……………」
「ひっ!ま、待て!頼む!降参するから武器をっ………」
土埃を舞い上げながら地面にめり込んだ男を見下ろしていたカームは、持っていた武器を鞘に納めると静かに3人の方へ振り返った。
「ふぅ、これで終わりですかね。」
「…………ロ、ロイドさん………カームさん……今、何を……?」
「ふふっ……さぁね、早すぎて分からなかったよ。」
「……!」
「さてと、この場は後から来る任せて私達は……ソフィさん?どうなさいました?」
「今度……今度は私とも試合をして……!」
「は、はい?えぇっと……いきなりそう申されましても……」
「九条さんとロイドとは試合したんでしょ?それなら私もやらないと不公平……!」
「お、落ち着いて下さいソフィさん!今はそういう時では……ロ、ロイド様……」
「すまないね、ソフィはこうなったら聞かないんだ。悪いんだけど、時間がある時で構わないから試合をしてあげてくれるかい?」
「は、はぁ……了解しました、機会が出来そうならご連絡させて頂きます。」
「約束……破ったら許さないからそのつもりで。」
「えぇ、かしこまりました。それはそうと九条様はどちらへ?」
「っ、そうだ!カーム、屋敷の方には誰か向かっているかい?」
「はい、先程お話した方達が向かいましたが……どうかなさったんですか?」
「事情は後で説明する。カーム、私達と一緒に九条さんの所に行ってくれるかい?」
「……かしこまりました。お供させて頂きます。」
「ありがとう。ポーラ、ちょっとだけ失礼させてもらうよ。」
「へっ?きゃっ!ちょ、ちょっとロイドさん!?またこの格好ですか?!」
「すまない、今は我慢してくれ。それでは行こう!」
「うん……!」
ポーラを肩に担ぎあげたロイドは真剣な眼差しで2人を見つめながらそう言うと、駆け足で屋敷の方に向かって行くのだった。
「……ちょっと厳しい……かも……」
「はぁ……はぁ……す、すみません……私は、もう……」
「そうか……これは、本格的にマズイ状況になってきたかもしれないね……」
苦々しそうにそう呟いたロイドは自分自身の限界が近い事を自覚しながら、最後の気力を振り絞って手にしていた武器を改めて構え直した。
それに合わせてソフィも両手に持ったショートブレードを握り直したのだが、その隣に居たポーラは荒くなった呼吸を繰り返す事しか出来ない状態になっていた。
「ハッハッハ!ソイツはまともに立つ事すら出来なくなってきたみたいだなぁ。」
「……それが何?私達が動ければ問題ない。」
「ふんっ、そんな強がりはするだけ無駄だ。その証拠に、俺達の攻撃を防ぎきれなくなってきているだろうが。いい加減に諦めたらどうだ?そうすれば、すぐにでも楽にしてやるぞ?」
両手を広げた黒装束の男が勝ち誇るかの様にそう告げると、ロイドは小さく笑って一歩前に踏み出して行くと剣先を真正面に向けた。
「ふふっ、悪いけどその提案はお断りさせて貰うよ。私達を逃がす為に戦ってくれている諦めの悪い彼に……情けない姿は見せられないからね!」
「……そうか……残念だが仕方あるまい……ならば、この場で死ぬがいい!」
「っ!」
周囲を取り囲んでいた黒装束の男達が一斉に襲い掛かって来る光景を目にしながら戦いに臨む覚悟を決めたロイドとソフィが動き出そうとした次の瞬間、何の前触れもなく突如として突風が吹き荒れ始めて3人は反射的に目を閉じてしまった。
「ぐわあああああああっ!!!!」
「がはああああああああ!!!!!」
「うぎゃあああああああ!!!!」
身動きが取れずその場で固まっていると今度は叫び声の様な聞こえてきて、3人は状況が呑み込めないまま事態を確認する為にゆっくりと視界を開いていった。
「……ロイド様、ソフィ様、ポーラ様、お待たせしてしまって申し訳ございません。遅ればせながら、救援に駆け付けさせて頂きました。」
「……ははっ……本当に……来るのが遅すぎるよ……カーム。」
何とも言えない表情で笑みを浮かべたロイドが顔を上げて見つめた先には、細長いブレードを手にして優しく微笑みかけてきているカームの姿があった。
「申し訳ございません。皆様の救援へ向かおうとしていた時に思わぬ客人が……と、この話はまた後で致しましょう。それよりも前に、すべき事がありますからね。」
カームは穏やかな笑みを一変させて振り返ると、武器を構えて感情の籠っていない冷徹な瞳で目の前に立つ敵を静かに見据えた。
「き、貴様……一体何だっ!!?」
「……お前達に答える必要は無い。皆様を傷つけたその罪、その身に刻んでやるから覚悟しろ……!」
「カーム……命の奪うのは無しだからね。」
「……ロイド様がそう仰るのなら。」
「な、舐めるなよ……!行くぞ、お前達!その男も一緒に消してしまえ!」
怒鳴り声をあげた男の言葉を合図にして再び黒装束の男達が襲い掛かってきたが、カームが歩き始めた瞬間に全員が同時に地面へ倒れ込んでいった。
「なっ!?こ、これは……?!」
「……………」
「ひっ!ま、待て!頼む!降参するから武器をっ………」
土埃を舞い上げながら地面にめり込んだ男を見下ろしていたカームは、持っていた武器を鞘に納めると静かに3人の方へ振り返った。
「ふぅ、これで終わりですかね。」
「…………ロ、ロイドさん………カームさん……今、何を……?」
「ふふっ……さぁね、早すぎて分からなかったよ。」
「……!」
「さてと、この場は後から来る任せて私達は……ソフィさん?どうなさいました?」
「今度……今度は私とも試合をして……!」
「は、はい?えぇっと……いきなりそう申されましても……」
「九条さんとロイドとは試合したんでしょ?それなら私もやらないと不公平……!」
「お、落ち着いて下さいソフィさん!今はそういう時では……ロ、ロイド様……」
「すまないね、ソフィはこうなったら聞かないんだ。悪いんだけど、時間がある時で構わないから試合をしてあげてくれるかい?」
「は、はぁ……了解しました、機会が出来そうならご連絡させて頂きます。」
「約束……破ったら許さないからそのつもりで。」
「えぇ、かしこまりました。それはそうと九条様はどちらへ?」
「っ、そうだ!カーム、屋敷の方には誰か向かっているかい?」
「はい、先程お話した方達が向かいましたが……どうかなさったんですか?」
「事情は後で説明する。カーム、私達と一緒に九条さんの所に行ってくれるかい?」
「……かしこまりました。お供させて頂きます。」
「ありがとう。ポーラ、ちょっとだけ失礼させてもらうよ。」
「へっ?きゃっ!ちょ、ちょっとロイドさん!?またこの格好ですか?!」
「すまない、今は我慢してくれ。それでは行こう!」
「うん……!」
ポーラを肩に担ぎあげたロイドは真剣な眼差しで2人を見つめながらそう言うと、駆け足で屋敷の方に向かって行くのだった。
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