おっさんの異世界生活は無理がある。
第579話
「ふぅ、これで何人ぐらい倒せたんだろうね。」
「……多分、10人ぐらい。」
「そうか……やれやれ、コレは中々に大変だ。」
「お2人共、大丈夫ですか!?」
「あぁ、心配してくれてありがとうポーラ。安心して、怪我1つしてないからさ……でも、そろそろマズいかもしれないね。」
乱れつつある呼吸を整えながら困った様に微笑んだロイドは背後に居るポーラから目線を逸らして真正面を見据えると、苛立ちながら遠巻きに自分達の事を睨みつけている男に視線を向けた。
「チィッ!相手はたった2人、しかも戦えない奴を護りながら戦っていると言うのになんて様だ!?」
「ふふっ、そう思うなら私達の事はもう放っておいてくれるかな?」
「これ以上は時間の無駄。怪我人を増やしたくなければそろそろ諦めた方が良い。」
「そ、そうですよ!ロイドさんとソフィさんの実力は分かったはずです!」
「黙れっ!!ここまで虚仮にされて引き下がれるか!貴様達は必ず殺す!」
「やれやれ、この短時間でそこまで嫌われてしまうとはね……それなら仕方がない。気が済むまで相手をしてあげようか。」
「うん。全員倒す。」
絶対に負けないという覚悟に満ちた表情を浮かべたロイドとソフィが揃って武器を構えた瞬間、殺気立った目付きで3人を見つめていた男が歯をギリっと鳴らした。
「ふっ…‥‥はははは!やはりお前達はまだまだガキだな!やれッ!!」
「っ!?しまっ!」
「くっ!」
「ロイドさん!ソフィさん!」
不意に笑い始めた男が大声を張り上げた瞬間、ロイドとソフィは突如として現れた鎖に手を絡め取られてしまいポーラの傍から引き離されてしまった。
「バカめ!我々の目的はその女の奪還だという事を忘れたか!!」
「ポーラ!!」
「逃げてっ!」
体勢を崩されながらも咄嗟に魔法を使って鎖を操っていた男達を倒した2人がそう叫んだ直後、木陰から凄い勢いで飛び出して来た男の手がポーラに伸びていたが……
「ハアッ!」
「なっ!?ぐはあああっ!!」
少し前まで怯えていた表情をしていたはずのポーラはスッと表情を一変させると、眼前まで迫って来ていた男の懐に一瞬で潜り込むと気合の入った掛け声と共に腹部へ掌底を叩き込んだ。
「…………ふぅ…………」
ポーラは左手を開きながら顔の前に持ってきて右腰の辺りで拳を握ると、木の幹に背中を打ち付けて動かなくなった男を見ながら静かに息を吐き出した。
「ど、どういう事だ……お前、戦えないはずではなかったのか!?」
「あはっ、言ってませんでしたっけ?記者って色々と危ない目にも遭ったりするので身を護る術ぐらいは習得しているんですよ。」
「そ、それならばどうして今までは護られているだけだったんだ!?」
「あぁ、その理由は簡単です。貴方達の動きに対応が出来なかったからです。」
「対応……だと?」
「はい。私はロイドさんやソフィさんみたいに戦闘に慣れている訳ではありません。ですので最初の内は前に出てもお邪魔になってしまいます。しかしお2人が私を護る為に頑張ってくれたおかげで、何とか貴方達の動きを把握する事が出来ました。」
ニコッと微笑みながらポーラがそう告げると、鎖から解放されて自由の身になったロイドとソフィが同じ様な表情を浮かべながら近寄って来た。
「やれやれ、まさかこんな隠し技を持っていたとは驚きだよ。」
「あはっ、黙っていてすみませんでした。」
「……ポーラ、行ける?」
「えぇ、これから先は私も頑張らせてもらいます!」
「ふふっ、頼りにさせてもらうよ。」
「はい、お任せ下さい!」
2人と目を合わせながらガッツポーズを決めたポーラはショルダーバッグの中から黒いグローブを取り出して手に付けると、ロイドとソフィと並び立って自分達を囲む男達の方へ視線を向けた。
「くっ!あまり我々を舐めるなよ!数の上では我々が有利だという事をその身に思い知らせてくれる!」
その言葉を合図にして再び敵意をむき出しにしながら武器を構え直した男達の姿をゆっくりと見回した3人は、視線を交わして小さく頷き合うと臨戦態勢となって戦う覚悟を決めるのだった。
「……多分、10人ぐらい。」
「そうか……やれやれ、コレは中々に大変だ。」
「お2人共、大丈夫ですか!?」
「あぁ、心配してくれてありがとうポーラ。安心して、怪我1つしてないからさ……でも、そろそろマズいかもしれないね。」
乱れつつある呼吸を整えながら困った様に微笑んだロイドは背後に居るポーラから目線を逸らして真正面を見据えると、苛立ちながら遠巻きに自分達の事を睨みつけている男に視線を向けた。
「チィッ!相手はたった2人、しかも戦えない奴を護りながら戦っていると言うのになんて様だ!?」
「ふふっ、そう思うなら私達の事はもう放っておいてくれるかな?」
「これ以上は時間の無駄。怪我人を増やしたくなければそろそろ諦めた方が良い。」
「そ、そうですよ!ロイドさんとソフィさんの実力は分かったはずです!」
「黙れっ!!ここまで虚仮にされて引き下がれるか!貴様達は必ず殺す!」
「やれやれ、この短時間でそこまで嫌われてしまうとはね……それなら仕方がない。気が済むまで相手をしてあげようか。」
「うん。全員倒す。」
絶対に負けないという覚悟に満ちた表情を浮かべたロイドとソフィが揃って武器を構えた瞬間、殺気立った目付きで3人を見つめていた男が歯をギリっと鳴らした。
「ふっ…‥‥はははは!やはりお前達はまだまだガキだな!やれッ!!」
「っ!?しまっ!」
「くっ!」
「ロイドさん!ソフィさん!」
不意に笑い始めた男が大声を張り上げた瞬間、ロイドとソフィは突如として現れた鎖に手を絡め取られてしまいポーラの傍から引き離されてしまった。
「バカめ!我々の目的はその女の奪還だという事を忘れたか!!」
「ポーラ!!」
「逃げてっ!」
体勢を崩されながらも咄嗟に魔法を使って鎖を操っていた男達を倒した2人がそう叫んだ直後、木陰から凄い勢いで飛び出して来た男の手がポーラに伸びていたが……
「ハアッ!」
「なっ!?ぐはあああっ!!」
少し前まで怯えていた表情をしていたはずのポーラはスッと表情を一変させると、眼前まで迫って来ていた男の懐に一瞬で潜り込むと気合の入った掛け声と共に腹部へ掌底を叩き込んだ。
「…………ふぅ…………」
ポーラは左手を開きながら顔の前に持ってきて右腰の辺りで拳を握ると、木の幹に背中を打ち付けて動かなくなった男を見ながら静かに息を吐き出した。
「ど、どういう事だ……お前、戦えないはずではなかったのか!?」
「あはっ、言ってませんでしたっけ?記者って色々と危ない目にも遭ったりするので身を護る術ぐらいは習得しているんですよ。」
「そ、それならばどうして今までは護られているだけだったんだ!?」
「あぁ、その理由は簡単です。貴方達の動きに対応が出来なかったからです。」
「対応……だと?」
「はい。私はロイドさんやソフィさんみたいに戦闘に慣れている訳ではありません。ですので最初の内は前に出てもお邪魔になってしまいます。しかしお2人が私を護る為に頑張ってくれたおかげで、何とか貴方達の動きを把握する事が出来ました。」
ニコッと微笑みながらポーラがそう告げると、鎖から解放されて自由の身になったロイドとソフィが同じ様な表情を浮かべながら近寄って来た。
「やれやれ、まさかこんな隠し技を持っていたとは驚きだよ。」
「あはっ、黙っていてすみませんでした。」
「……ポーラ、行ける?」
「えぇ、これから先は私も頑張らせてもらいます!」
「ふふっ、頼りにさせてもらうよ。」
「はい、お任せ下さい!」
2人と目を合わせながらガッツポーズを決めたポーラはショルダーバッグの中から黒いグローブを取り出して手に付けると、ロイドとソフィと並び立って自分達を囲む男達の方へ視線を向けた。
「くっ!あまり我々を舐めるなよ!数の上では我々が有利だという事をその身に思い知らせてくれる!」
その言葉を合図にして再び敵意をむき出しにしながら武器を構え直した男達の姿をゆっくりと見回した3人は、視線を交わして小さく頷き合うと臨戦態勢となって戦う覚悟を決めるのだった。
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