おっさんの異世界生活は無理がある。
第573話
「……九条さん、本当にポーラはその場所に捕まっていると思うかい?」
「……断言は出来ない。だが、ポーラが俺達に残してくれた唯一の手掛かりだ。今はコレを信じて前に進んでみるしかない。」
「……そうだね……」
夜空を覆ってる雲のせいで月明かりがあまりない闇の中、警備隊の目を盗んで街の外に出て来ていた俺達はランタンの微かな光を頼りにしながらロイドの実家に行ったソフィが合流するのを待っていた。
「とりあえずマホの事はエリオさん達に任せるとして、問題は今日中にポーラを救い出せるのかどうかだ……」
「あぁ、今日を逃せば待っているのは最悪な結果だけ……それに私達も顔を知られてしまった以上は平穏な暮らしには戻れないだろう。」
真剣で重みのあるロイドの言葉を耳にした瞬間……心の中にずっと抑え込んでいた感情が少しずつ溢れ出し始めた……
「チッ……どうして俺は何時も何時もこうなんだ……!何か嫌な気配はずっと感じていたはずなのに……!もっとシッカリ周囲を警戒していれば、ポーラを護る事だって出来たんだ……それなのに……!」
「九条さん、後悔するのはまだ早いよ。私達はまだポーラを失った訳ではないんだ。何かを悔やむのならばその後でも良いんじゃないかな?それに九条さんだって自分で言っていただろう。今は手掛かりを信じて前に進むだけだってさ。そうだろう?」
ポンっ……と、優しく肩に手を置いてきたロイドに爽やかに微笑みかけれた俺は、しばらく頭の中を真っ白になってしまい……
「やれやれ……お前さんはどこぞの主人公様かよ……ありがとうな、ロイド。」
「ふふっ、どういたしまして。元気が出てくれた様で何よりだよ。」
「あぁ、おかげ様でな……ったく、これ以上は情けない姿を見せらんねぇな。」
「いや、むしろドンドン見せてくれて構わないよ?九条さんは、大事な場面になると情けない姿を見せてはくれないからね。」
「えっ、そうだっけ……?そんな事も無いと思うんだが……つーか、自分で言うのも何なんだけどあんまり見られたくない姿ばっかり晒してる様な気も……」
「おやおや、自覚が無いとは困りものだ。まぁ、コレが九条さんらしいなと言ったらそうなのかもしれないけどね。」
「……おかしいな、ちょっとバカにされてる気がするぞ……?」
肩をすくめながら両手を上げるという仕草をしやがったロイドに何か言ってやろうかと考えたその直後、タッタッタっと地面を走る様な音が聞こえてきて……
「ゴメン、待たせた。」
「ふふっ、そんな事は無いよ。さぁソフィ、君の装備だ。」
「ありがとう。2人共、準備は大丈夫?」
「勿論、心も体も問題ないよ。そうだよね、九条さん?」
「……あぁ、覚悟はもう決まってる。ロイド、ソフィ、ポーラを助けに行くぞ!」
「了解。ついでに泥棒さん達も捕まえてあげようね。」
「うん、手加減無しで行く……そうだ、カーム達が準備に取り掛かったってここまで来る途中にマホが頭の中に教えてくれた。」
「そうか……よしっ、そんじゃあ目的地に向かうとすっか。」
互いに顔を見合わせて小さく頷いた俺達は、周囲を警戒しながら防壁を左側にして急ぎ早に走り始めるのだった。
「……断言は出来ない。だが、ポーラが俺達に残してくれた唯一の手掛かりだ。今はコレを信じて前に進んでみるしかない。」
「……そうだね……」
夜空を覆ってる雲のせいで月明かりがあまりない闇の中、警備隊の目を盗んで街の外に出て来ていた俺達はランタンの微かな光を頼りにしながらロイドの実家に行ったソフィが合流するのを待っていた。
「とりあえずマホの事はエリオさん達に任せるとして、問題は今日中にポーラを救い出せるのかどうかだ……」
「あぁ、今日を逃せば待っているのは最悪な結果だけ……それに私達も顔を知られてしまった以上は平穏な暮らしには戻れないだろう。」
真剣で重みのあるロイドの言葉を耳にした瞬間……心の中にずっと抑え込んでいた感情が少しずつ溢れ出し始めた……
「チッ……どうして俺は何時も何時もこうなんだ……!何か嫌な気配はずっと感じていたはずなのに……!もっとシッカリ周囲を警戒していれば、ポーラを護る事だって出来たんだ……それなのに……!」
「九条さん、後悔するのはまだ早いよ。私達はまだポーラを失った訳ではないんだ。何かを悔やむのならばその後でも良いんじゃないかな?それに九条さんだって自分で言っていただろう。今は手掛かりを信じて前に進むだけだってさ。そうだろう?」
ポンっ……と、優しく肩に手を置いてきたロイドに爽やかに微笑みかけれた俺は、しばらく頭の中を真っ白になってしまい……
「やれやれ……お前さんはどこぞの主人公様かよ……ありがとうな、ロイド。」
「ふふっ、どういたしまして。元気が出てくれた様で何よりだよ。」
「あぁ、おかげ様でな……ったく、これ以上は情けない姿を見せらんねぇな。」
「いや、むしろドンドン見せてくれて構わないよ?九条さんは、大事な場面になると情けない姿を見せてはくれないからね。」
「えっ、そうだっけ……?そんな事も無いと思うんだが……つーか、自分で言うのも何なんだけどあんまり見られたくない姿ばっかり晒してる様な気も……」
「おやおや、自覚が無いとは困りものだ。まぁ、コレが九条さんらしいなと言ったらそうなのかもしれないけどね。」
「……おかしいな、ちょっとバカにされてる気がするぞ……?」
肩をすくめながら両手を上げるという仕草をしやがったロイドに何か言ってやろうかと考えたその直後、タッタッタっと地面を走る様な音が聞こえてきて……
「ゴメン、待たせた。」
「ふふっ、そんな事は無いよ。さぁソフィ、君の装備だ。」
「ありがとう。2人共、準備は大丈夫?」
「勿論、心も体も問題ないよ。そうだよね、九条さん?」
「……あぁ、覚悟はもう決まってる。ロイド、ソフィ、ポーラを助けに行くぞ!」
「了解。ついでに泥棒さん達も捕まえてあげようね。」
「うん、手加減無しで行く……そうだ、カーム達が準備に取り掛かったってここまで来る途中にマホが頭の中に教えてくれた。」
「そうか……よしっ、そんじゃあ目的地に向かうとすっか。」
互いに顔を見合わせて小さく頷いた俺達は、周囲を警戒しながら防壁を左側にして急ぎ早に走り始めるのだった。
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