おっさんの異世界生活は無理がある。
第527話
翌日、レミとユキが噂話を聞かされたという路地裏の小さな店までやって来た俺は大陸の外から流れてきたと言う珍しい品物を見せてもらいながら主人であるお婆さんから話の真偽について教えて貰っていた。
「なるほど、つまり噂話の元になったのは亡くなった貴女の旦那さんだと……」
「えぇ、昔に冒険者だったあの人が私の為にダンジョンに挑んでくれましてねぇ……その時に持ち帰って来た宝石類のおかげで、こうして店を持つ事が出来たんです。」
「そうでしたか……ありがとうございました。おかげで色々とスッキリしました。」
「お役に立てたのなら何よりです。今度また、あのお嬢さん方とご一緒に遊びに来て下さいね。」
「分かりました。また、機会がありましたら連れてきます。それでは俺はこれで。」
「はい、ありがとうございました。またのご来店をお待ちしておりますよ。」
朗らかに微笑んでいるお婆さんに見送られながら店を後にした俺は、何の気なしに買った綺麗なアクセサリーの入った袋を持ち直しながら大通りまで戻って来ていた。
「ふぅ……とりあえず、これで心配事は無くなったって感じかな……お婆さんの話を聞く限りじゃあ、願いを叶えてくれるって言うのもボスを倒した時に手に入る報酬の事みたいだし……後はフィオの説得がルゥナさんに通用するかを待つだけかな……」
さてと、そうと決まればこれからどうすっねぇ……暑いからさっさと別荘に帰って休みたいけど、折角ならそこら辺をぶらぶら歩き回ってみるのも悪くないのか……?
「あれ、そこに居るのはもしかして……」
「ん?……あっ……」
ボーっとしながらどうしたもんかと悩んでいると背後から聞き覚えのある声がしたので反射的に振り返ってみたら、買い物途中らしいエルアとイリスとオレットさんがこっちに駆け寄って来る姿が視界に飛び込んできた。
「やっぱり!九条さんじゃないですか、こんな所で何をしてるんですか?」
「いや、ちょっと調べたい事があってな……そっちこそ何してるんだ?」
「ふふーん!私達はご覧の通りお買い物の真っ最中です!実はですね、数日後にこのクアウォートで花火大会が開催されるらしいんですよ!」
「へぇー……俺も前回のヤツには参加したけど……そうか、そんな近い内にやる予定だったのか。」
「はい!ですので、その日の為にこの街でしか手に入れる事が出来ない浴衣なる服を手に入れようかと思いまして!」
「あぁ、浴衣ねぇ……まぁ、確かに花火大会に行くって言うんなら浴衣を着てた方が気分も盛り上がるか。」
「うふふ、経験者である九条さんもそう仰ってくれるんなら間違いありませんね。」
「あっ、でしたら九条さん!私達と一緒に浴衣を買いに行きませんか?」
「えっ、一緒にって……良いのか?」
「はい、九条さんにご予定が無ければいかがですか?」
「別に予定はねぇけど……」
「あはっ!そうと決まれば早速行きましょうか!急がないと私達にピッタリの可愛い浴衣が売り切れてしまうかもしれませんからね!」
「そうですね、花火大会が近いのでかなり売れているみたいですから。」
「ははっ、僕としてもあんまり可愛いすぎるのも困りますからね。」
「えぇ~!まだそんな事を言ってるのエルアちゃん?どうせ買うんなら、とびっきり可愛いのを買わないと勿体ないよ!」
「だ、だから僕にはそういうのはいいんだって言ってるだろ!どうせ似合う訳無いんだし……」
「はぁ~ヤレヤレだよぉ……よしっ!こうなったら、私達の浴衣は九条さんに選んでもらう事にするからね!」
「は、えっ!?」
「ちょ、ちょっといきなり何を言い出してるのさオレット!?」
「だって、そうすればお互いに良い事尽くしでしょう?エルアちゃんは可愛い浴衣を着られる、九条さんは自分好みの浴衣を着た美少女を見る事が出来る!ほら!」
「いや、ほらって言われても非常に困るんですけど……?」
「うふふ、九条さんが僕の為に浴衣を選んでくれる……そして九条さんの好みに合う子になれる……うふふ……うふふふふ………」
「あれ?おかしいな……1つでも選択肢を間違えると悲惨な未来が訪れる予感がしてきたぞ……?」
「あっ、そうだ!どうせだったら他の皆の浴衣も選んじゃうっていうのはどうかな?フィオちゃんもルゥナ先生も浴衣を持ってないだろうし!」
「オ、オレット!流石に本人の許可も得ずに浴衣を買うって言うのは……それに皆の分の買うとなるとお金も掛かるだろ?」
「……まぁ、それについては後で考えるって事で!そうと決まればしゅっぱーつ!」
「ちょ、ちょっとオレット!……すみません九条さん、オレットがまた暴走を……」
「あー……とりあえず、お前達の分の浴衣だけで見て回るとするか……」
「は、はい……」
「うふふ、何だかワクワクしてきましたね。」
一難去ってまた一難……けどまぁ、そこまで心配する必要が無いだけましかな……そんな事を頭に思い浮かべながら、俺は先陣を切って歩いて行くオレットさんの後をエルアやイリスと一緒に追いかけて行くのだった。
「なるほど、つまり噂話の元になったのは亡くなった貴女の旦那さんだと……」
「えぇ、昔に冒険者だったあの人が私の為にダンジョンに挑んでくれましてねぇ……その時に持ち帰って来た宝石類のおかげで、こうして店を持つ事が出来たんです。」
「そうでしたか……ありがとうございました。おかげで色々とスッキリしました。」
「お役に立てたのなら何よりです。今度また、あのお嬢さん方とご一緒に遊びに来て下さいね。」
「分かりました。また、機会がありましたら連れてきます。それでは俺はこれで。」
「はい、ありがとうございました。またのご来店をお待ちしておりますよ。」
朗らかに微笑んでいるお婆さんに見送られながら店を後にした俺は、何の気なしに買った綺麗なアクセサリーの入った袋を持ち直しながら大通りまで戻って来ていた。
「ふぅ……とりあえず、これで心配事は無くなったって感じかな……お婆さんの話を聞く限りじゃあ、願いを叶えてくれるって言うのもボスを倒した時に手に入る報酬の事みたいだし……後はフィオの説得がルゥナさんに通用するかを待つだけかな……」
さてと、そうと決まればこれからどうすっねぇ……暑いからさっさと別荘に帰って休みたいけど、折角ならそこら辺をぶらぶら歩き回ってみるのも悪くないのか……?
「あれ、そこに居るのはもしかして……」
「ん?……あっ……」
ボーっとしながらどうしたもんかと悩んでいると背後から聞き覚えのある声がしたので反射的に振り返ってみたら、買い物途中らしいエルアとイリスとオレットさんがこっちに駆け寄って来る姿が視界に飛び込んできた。
「やっぱり!九条さんじゃないですか、こんな所で何をしてるんですか?」
「いや、ちょっと調べたい事があってな……そっちこそ何してるんだ?」
「ふふーん!私達はご覧の通りお買い物の真っ最中です!実はですね、数日後にこのクアウォートで花火大会が開催されるらしいんですよ!」
「へぇー……俺も前回のヤツには参加したけど……そうか、そんな近い内にやる予定だったのか。」
「はい!ですので、その日の為にこの街でしか手に入れる事が出来ない浴衣なる服を手に入れようかと思いまして!」
「あぁ、浴衣ねぇ……まぁ、確かに花火大会に行くって言うんなら浴衣を着てた方が気分も盛り上がるか。」
「うふふ、経験者である九条さんもそう仰ってくれるんなら間違いありませんね。」
「あっ、でしたら九条さん!私達と一緒に浴衣を買いに行きませんか?」
「えっ、一緒にって……良いのか?」
「はい、九条さんにご予定が無ければいかがですか?」
「別に予定はねぇけど……」
「あはっ!そうと決まれば早速行きましょうか!急がないと私達にピッタリの可愛い浴衣が売り切れてしまうかもしれませんからね!」
「そうですね、花火大会が近いのでかなり売れているみたいですから。」
「ははっ、僕としてもあんまり可愛いすぎるのも困りますからね。」
「えぇ~!まだそんな事を言ってるのエルアちゃん?どうせ買うんなら、とびっきり可愛いのを買わないと勿体ないよ!」
「だ、だから僕にはそういうのはいいんだって言ってるだろ!どうせ似合う訳無いんだし……」
「はぁ~ヤレヤレだよぉ……よしっ!こうなったら、私達の浴衣は九条さんに選んでもらう事にするからね!」
「は、えっ!?」
「ちょ、ちょっといきなり何を言い出してるのさオレット!?」
「だって、そうすればお互いに良い事尽くしでしょう?エルアちゃんは可愛い浴衣を着られる、九条さんは自分好みの浴衣を着た美少女を見る事が出来る!ほら!」
「いや、ほらって言われても非常に困るんですけど……?」
「うふふ、九条さんが僕の為に浴衣を選んでくれる……そして九条さんの好みに合う子になれる……うふふ……うふふふふ………」
「あれ?おかしいな……1つでも選択肢を間違えると悲惨な未来が訪れる予感がしてきたぞ……?」
「あっ、そうだ!どうせだったら他の皆の浴衣も選んじゃうっていうのはどうかな?フィオちゃんもルゥナ先生も浴衣を持ってないだろうし!」
「オ、オレット!流石に本人の許可も得ずに浴衣を買うって言うのは……それに皆の分の買うとなるとお金も掛かるだろ?」
「……まぁ、それについては後で考えるって事で!そうと決まればしゅっぱーつ!」
「ちょ、ちょっとオレット!……すみません九条さん、オレットがまた暴走を……」
「あー……とりあえず、お前達の分の浴衣だけで見て回るとするか……」
「は、はい……」
「うふふ、何だかワクワクしてきましたね。」
一難去ってまた一難……けどまぁ、そこまで心配する必要が無いだけましかな……そんな事を頭に思い浮かべながら、俺は先陣を切って歩いて行くオレットさんの後をエルアやイリスと一緒に追いかけて行くのだった。
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