おっさんの異世界生活は無理がある。
第523話
翌朝、海での疲れが残っていたのか微妙に気だるさを感じながら目を覚ました俺は小さい浴室のシャワーを利用してボーっとしている意識を無理やりハッキリさせると簡単に身支度を整えてからリビングに向かって行った。
「あっ、やっと起きてきた!もう、遅いよ九条さん!何時まで経っても降りて来ないから部屋まで迎えに行こうかと思っちゃったよ!」
「いや、遅いって言われても……俺達、約束かなんかしてたっけか?」
「ううん、別に約束なんてしてないよ!でもでも、九条さんにはこれから私と一緒にクエストに行ってもらう予定だからね!時間を無駄には出来ないって事!」
「は、はぁ?クエストって……ジーナ、お前いきなり何を言ってんだ?」
「だからさ、折角クアウォートに来てるんだから九条さんには私の欲しいって素材を頑張って集めて欲しいんだよね!」
「え、えぇ……急にそんな事を言われても困るんだが……心の準備も出来てないし、そもそもそいう事なら昨日の内に言ってくれれば良かっただろ?」
「あはは~ごめんごめん!昨日は眠くてしょうがなくてさぁ……それに九条さんも、お風呂を上がったらすぐに自分の部屋に戻っちゃったし……まぁ、そういう訳だから今日はよろしくね!」
「よろしくったってお前……俺、疲れが微妙に抜け切れてないって言うか……」
ジーナから目を逸らしながら今日をのんびり過ごす為にどうしたら良いのか考えを巡らせていると、リビングと廊下を繋ぐ扉が開かれる音がして……
「オイオイ、クエストに行くのが面倒だからって年寄りくせぇ事を言って逃げようとしてんじゃねぇよ。」
「九条透、貴様に依頼を断るという選択肢は残されていないぞ。我々と共に邪悪なる魂を鎮めに行くのだ!」
「……えっ、どういう組み合わせ……?」
軽装の防具を身に付けて悪役みたいな笑みを浮かべているフィオと右手を額に当て左手で胸の辺りを触っているクリフが2人揃って現れたのを目撃した俺は、ポカンと口を開けながら固まってしまっていた……
「あっ、実は素材集めにクリフ君とフィオちゃんが協力してくれる事になったんだ!他の皆は用事で出掛けちゃってたから本当に助かっちゃったよ!」
「きょ、協力って……この2人がか!?マ、マジで……?」
「うん、マジだよ。声を掛けたら手伝ってくれるって言ってくれたんだ。」
「そ、そう……なのか?」
「あぁ、何か文句でもあるってのか?」
「い、いや……そういう訳じゃねぇんだけど……どうしてなのかと思って……」
「ハッ、別に大した理由はねぇよ。昨日は暴れたりなかったから今日はモンスターをボコボコにしてやろうと思っただけだ。そのついでに素材を集めりゃソイツが作った加工品を報酬として貰えるって話になったんだよ。」
「な、なるほど……クリフもそんな感じなのか?」
「うむ、素材集めを手伝えば我に相応しい加工品を寄こすと言うのでな。それならば協力しても構わないという結果になったのだ。理解したか?」
「あ、あぁ……一応は……けど、それならお前達だけでクエストに行けば良いんじゃ無いのか?」
「ちょっと九条さん!2人はまだ学生さんなんだよ?それに私だって、戦闘が出来る訳じゃないんだから保護者として一緒に来てもらわないと困るんだからね!」
「そ、それはまぁ……確かにそうなんだけど……」
手合わせした覚えのある俺から言わせてもらったら、どう考えてもクリフとフィオだけ居れば事足りる気がするんだよなぁ……
「……あぁ、なるほどなぁ……やっぱり年老いたおっさんはオレ達とは違って昨日の疲れが残ってるから戦闘もまともに出来ねぇってのか。」
「……は?」
ヤレヤレといった感じで肩をすくめてるフィオからメチャクチャ見下す様な視線を送られた事に若干イラっとした次の瞬間、今度はクリフの奴が腕を組みながら憐みを感じさせる視線でこっちを見つめて来て……
「ふぅ、仕方あるまい。老人の手を煩わせてしまう訳にもいかないからな。今回は我々だけでクエストに向かうとしよう。」
「……は、ははは……おいおい、いきなり何を言っているんだ君達は?」
「ん?何を言ってるって……真実を言ってやってんだろ?テメェみたいなよぼよぼのクソじじぃは別荘で大人しくしてろってなぁ。」
「うむ、歳を取ると怪我の治りも遅いらしいからな。戦えないと言うのならば、老人らしく別荘で我々の帰りを待っているが良い。」
……分かりやすい……非常に分かりやすい挑発だな……でも……ここまで言われてカチンとこない程、俺は大人じゃあないんだぞ……!
「上等だよ……そこまで言われて引き下がったら男じゃねぇもんなぁ?」
「ハッ、ようやくやる気になってきたか?」
「あぁ……見せてやるよ……現役冒険者の実力ってヤツをなぁ!」
「よぉし!そうと決まれば準備開始だね!メイド長さん!」
「はい、既に朝食の用意は済んでおります。」
「ありがとうね!それじゃあ九条さん、朝ごはんを食べたらクエストに出発だよ!」
「おう!任せとけ!」
頭の中でちょっとだけ自分の事をバカな野郎だなと思いながら朝飯を食べた俺は、冒険服に着替えて装備品を身に付けるとメイド長さん達に見送られながら別荘を後にしてクエスト斡旋所に向かって行くのだった。
「あっ、やっと起きてきた!もう、遅いよ九条さん!何時まで経っても降りて来ないから部屋まで迎えに行こうかと思っちゃったよ!」
「いや、遅いって言われても……俺達、約束かなんかしてたっけか?」
「ううん、別に約束なんてしてないよ!でもでも、九条さんにはこれから私と一緒にクエストに行ってもらう予定だからね!時間を無駄には出来ないって事!」
「は、はぁ?クエストって……ジーナ、お前いきなり何を言ってんだ?」
「だからさ、折角クアウォートに来てるんだから九条さんには私の欲しいって素材を頑張って集めて欲しいんだよね!」
「え、えぇ……急にそんな事を言われても困るんだが……心の準備も出来てないし、そもそもそいう事なら昨日の内に言ってくれれば良かっただろ?」
「あはは~ごめんごめん!昨日は眠くてしょうがなくてさぁ……それに九条さんも、お風呂を上がったらすぐに自分の部屋に戻っちゃったし……まぁ、そういう訳だから今日はよろしくね!」
「よろしくったってお前……俺、疲れが微妙に抜け切れてないって言うか……」
ジーナから目を逸らしながら今日をのんびり過ごす為にどうしたら良いのか考えを巡らせていると、リビングと廊下を繋ぐ扉が開かれる音がして……
「オイオイ、クエストに行くのが面倒だからって年寄りくせぇ事を言って逃げようとしてんじゃねぇよ。」
「九条透、貴様に依頼を断るという選択肢は残されていないぞ。我々と共に邪悪なる魂を鎮めに行くのだ!」
「……えっ、どういう組み合わせ……?」
軽装の防具を身に付けて悪役みたいな笑みを浮かべているフィオと右手を額に当て左手で胸の辺りを触っているクリフが2人揃って現れたのを目撃した俺は、ポカンと口を開けながら固まってしまっていた……
「あっ、実は素材集めにクリフ君とフィオちゃんが協力してくれる事になったんだ!他の皆は用事で出掛けちゃってたから本当に助かっちゃったよ!」
「きょ、協力って……この2人がか!?マ、マジで……?」
「うん、マジだよ。声を掛けたら手伝ってくれるって言ってくれたんだ。」
「そ、そう……なのか?」
「あぁ、何か文句でもあるってのか?」
「い、いや……そういう訳じゃねぇんだけど……どうしてなのかと思って……」
「ハッ、別に大した理由はねぇよ。昨日は暴れたりなかったから今日はモンスターをボコボコにしてやろうと思っただけだ。そのついでに素材を集めりゃソイツが作った加工品を報酬として貰えるって話になったんだよ。」
「な、なるほど……クリフもそんな感じなのか?」
「うむ、素材集めを手伝えば我に相応しい加工品を寄こすと言うのでな。それならば協力しても構わないという結果になったのだ。理解したか?」
「あ、あぁ……一応は……けど、それならお前達だけでクエストに行けば良いんじゃ無いのか?」
「ちょっと九条さん!2人はまだ学生さんなんだよ?それに私だって、戦闘が出来る訳じゃないんだから保護者として一緒に来てもらわないと困るんだからね!」
「そ、それはまぁ……確かにそうなんだけど……」
手合わせした覚えのある俺から言わせてもらったら、どう考えてもクリフとフィオだけ居れば事足りる気がするんだよなぁ……
「……あぁ、なるほどなぁ……やっぱり年老いたおっさんはオレ達とは違って昨日の疲れが残ってるから戦闘もまともに出来ねぇってのか。」
「……は?」
ヤレヤレといった感じで肩をすくめてるフィオからメチャクチャ見下す様な視線を送られた事に若干イラっとした次の瞬間、今度はクリフの奴が腕を組みながら憐みを感じさせる視線でこっちを見つめて来て……
「ふぅ、仕方あるまい。老人の手を煩わせてしまう訳にもいかないからな。今回は我々だけでクエストに向かうとしよう。」
「……は、ははは……おいおい、いきなり何を言っているんだ君達は?」
「ん?何を言ってるって……真実を言ってやってんだろ?テメェみたいなよぼよぼのクソじじぃは別荘で大人しくしてろってなぁ。」
「うむ、歳を取ると怪我の治りも遅いらしいからな。戦えないと言うのならば、老人らしく別荘で我々の帰りを待っているが良い。」
……分かりやすい……非常に分かりやすい挑発だな……でも……ここまで言われてカチンとこない程、俺は大人じゃあないんだぞ……!
「上等だよ……そこまで言われて引き下がったら男じゃねぇもんなぁ?」
「ハッ、ようやくやる気になってきたか?」
「あぁ……見せてやるよ……現役冒険者の実力ってヤツをなぁ!」
「よぉし!そうと決まれば準備開始だね!メイド長さん!」
「はい、既に朝食の用意は済んでおります。」
「ありがとうね!それじゃあ九条さん、朝ごはんを食べたらクエストに出発だよ!」
「おう!任せとけ!」
頭の中でちょっとだけ自分の事をバカな野郎だなと思いながら朝飯を食べた俺は、冒険服に着替えて装備品を身に付けるとメイド長さん達に見送られながら別荘を後にしてクエスト斡旋所に向かって行くのだった。
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