おっさんの異世界生活は無理がある。
第514話
「はぁ……どうしてあんなにも楽しかったお買い物の後に、私達は課題をしなければならないのか……あぁ、運命とはなんて残酷なんでしょうか!」
「オイ、デケェ声で騒いでないでさっさと課題に手を付けたらどうなんだ?そもそもそんな風に現実逃避をしてる暇なんて今のテメェにはねぇだろうが。」
「オレット、フィオの言う通りだよ。ルゥナ先生に決められた箇所まで課題を進めておかないと明日は別荘に留守番する事になるんだからね。」
「うぅ……!だからこそこうして現実逃避をしてるんじゃんか!ルゥナ先生!本当にこの量を今日中に終わらせないといけないんですか!?私的には流石に無理があると思うんですけども?!」
「ふぅ、それはオレットさんが課題をほとんどやっていなかったからですよね?他の皆さんの様に少しずつでも取り組んでいれば、今こうやって大変な思いをする必要は無かったと思いますよ。」
「ぐぬぬぅ……正論ばっかり言わないで下さいよ!良いんですか?泣きますよ?皆が見ている目の前で大泣きしますよ!」
「……1つ忠告しておくが、貴様が人目もはばからず泣いた所で課題は終わらないし明日の海には行けないという事実も覆ったりはしないぞ。」
「うふふ、僕としても泣いて時間を無駄にしてしまうよりも与えられた課題を何とか減らしていく事をお勧めしますよ。」
「まぁ、地獄を見ても良いならアタシは逃げ出しても構わないと思うけどね。」
「はっはっは、どっちにしたって辛いのは変わり無いという事じゃのう!」
「ほら、皆もこう言ってる事だしさ!それに私達も協力してあげるから頑張ろっ!」
「……はぃ……分かりましたぁ……騒いだりしてすみませんでした……」
水着を買ってきて別荘で晩飯を食べてからしばらくした後、王立学園に通っている生徒達はルゥナ先生が見守っている中で自分達がやるべき課題に取り掛かっていた。
……その最中に約1名が少しだけ暴走状態に陥ったりしたが、皆が説得してくれたおかげでどうにか冷静さを取り戻して再び課題に向き合い始めた。
そんな皆の姿を横目に見ながらソファーに腰を下ろしていた俺は、ルゥナさんから借りた教材の本を眺めながら経験値10倍の効果を使って知識を蓄えていた。
「いやはや、やっぱり先生が近くに居るとやっぱり緊張感が違ってくるのかな?」
「まぁ、そりゃそうだろうな。課題を提出しなくちゃいけない相手が自分の目の前に居る訳だからな……それが嬉しくもあり大変でもあるって感じなんだろ。」
「あー……確かにそうかもしれないね。勉強を教えて貰えるのは助かっちゃうけど、どうしたってサボる事は出来ないもんね。」
「……そもそもの話、さっきルゥナも言ってたけどちょっとずつでもやってなかったオレットの自己責任よね。」
「うむ、時には逃げずに立ち向かう勇気も必要じゃからな。」
「だな……目の前の事に集中して勉強が手に付かなくなるって気持ちも分からなくも理解が出来なくはないんだけどさぁ……」
「うぅ、それならもう少し私のペースを見守っていても良いと思うんですが……」
「はぁ……そのペースで続けていると、夏休みの最終日に泣く事になると思うよ。」
「それは……否定は出来ないんだけど……」
「だったら無駄口を叩いてないで静かに課題をやりやがれってんだ。わざわざ水着を買いに出掛けたってのに一度も着る事なく終わらせるつもりか?」
「い、いやいや!それだけは流石にゴメンだよ!今日買ったあの水着、結構な値段をしたんだから!……そう言えば、フィオちゃんって私達と別行動してたよね?紙袋を持ってたから水着は買ったと思うんだけど、一体どんなのを買ったの?」
「あぁ、それでしたら……」
「ル、ルゥナ先生!アイツが居る前で余計な事を言わないでくれよ!オイ、変な想像しやがったらぶっ飛ばすからな!」
「し、してねぇっての!いきなり変な言いがかりをつけてくんなよ!そ、それよりもお前は今日の分の課題を終わらせたのかよ!?」
「アッ?そんなの当たり前だろうが。オレを舐めてんじゃねぇぞ?」
「な、舐めてはねぇけど……そう言えば、オレットさん以外の皆はどんな感じだ?」
「ふんっ、我も先程終わったばかりだ。」
「僕も一通りは片付いて……イリス?急に立ち上がってどうしたんだ……って!?」
「うおっ!?な、何だよ?」
「九条さん、ここの所で少し分からない所があるので……僕に……解き方を教えてはくれませんか?」
「そ、それは別に構わねぇけどさ……ちょっと距離が近くねぇか?!」
風呂上がりでかなり際どい感じのパジャマを着ていたイリスは俺のすぐ隣に座ると肌が密着するぐらいの勢いでグイグイ接近してきて……!うおっ、ヤベェ……何だよこの甘くて胸がドキドキしてくる匂いは……!お、落ち着け……コイツは男だぞ!?
「うふふ、これぐらい普通ですよ。そ・れ・よ・り・も……お願いします。」
「わ、分かった!分かったから顔を寄せてくるんじゃありませんっ!え、えっと……この問題はまず最初にこうしてだな……」
「……へぇ……コレってかなり難しい問題っぽいけど、解き方が分かるんだ。」
「あぁ、さっきそこの本を見て覚えたからな。」
「えっ!?それってつい数分前の事だよね?!たったそれだけの時間で?」
「おう、それだけあれば充分だろ。そんな事よりも……イリス、ここまでの解き方は分かったか?」
「はい、バッチリと。」
「良かった、それなら後はもう解ける……よな?」
「えぇ、どうもありがとうございました。」
「九条さん、私の代わりに申し訳ありません。」
「いえいえ、これぐらいお安い御用ですよ。」
「そうですか?……ふふっ、やっぱり九条さんはお優しい方ですね。」
「あぁいや、そんな別に……」
「おやおやぁ?もしかして九条さんってば照れちゃってるのかなぁ?」
「や、やかましい!それよりもほれ、ジーナにも皆に勉強を教えるって約束したんだから少しはその本を読んで頭の中に知識を詰め込めっての!」
「え、えぇ!?九条さんが教えるだけで別に良いじゃん!それに私が教えなくても、オレットさん以外の皆は優秀さんだから勉強を見てあげなくても平気だし!」
「うぐぅ!とと、突然の攻撃に私の心へダメージがぁ……!」
「そんな言い訳で逃がす訳が無いだろ!さぁ、見てやるから勉強しやがれ!」
「い、いやだあああぁぁぁ~!!!」
「はぁ……こんな時間だってのに元気な奴らね。」
「はっはっは、明日まで体力が残っておると良いがのう。」
そんなこんながありながら何とか今日の分の課題を片付ける事に成功した俺達は、それぞれの自室に戻って行くと明日に備えて眠りにつく事にするのだった。
「オイ、デケェ声で騒いでないでさっさと課題に手を付けたらどうなんだ?そもそもそんな風に現実逃避をしてる暇なんて今のテメェにはねぇだろうが。」
「オレット、フィオの言う通りだよ。ルゥナ先生に決められた箇所まで課題を進めておかないと明日は別荘に留守番する事になるんだからね。」
「うぅ……!だからこそこうして現実逃避をしてるんじゃんか!ルゥナ先生!本当にこの量を今日中に終わらせないといけないんですか!?私的には流石に無理があると思うんですけども?!」
「ふぅ、それはオレットさんが課題をほとんどやっていなかったからですよね?他の皆さんの様に少しずつでも取り組んでいれば、今こうやって大変な思いをする必要は無かったと思いますよ。」
「ぐぬぬぅ……正論ばっかり言わないで下さいよ!良いんですか?泣きますよ?皆が見ている目の前で大泣きしますよ!」
「……1つ忠告しておくが、貴様が人目もはばからず泣いた所で課題は終わらないし明日の海には行けないという事実も覆ったりはしないぞ。」
「うふふ、僕としても泣いて時間を無駄にしてしまうよりも与えられた課題を何とか減らしていく事をお勧めしますよ。」
「まぁ、地獄を見ても良いならアタシは逃げ出しても構わないと思うけどね。」
「はっはっは、どっちにしたって辛いのは変わり無いという事じゃのう!」
「ほら、皆もこう言ってる事だしさ!それに私達も協力してあげるから頑張ろっ!」
「……はぃ……分かりましたぁ……騒いだりしてすみませんでした……」
水着を買ってきて別荘で晩飯を食べてからしばらくした後、王立学園に通っている生徒達はルゥナ先生が見守っている中で自分達がやるべき課題に取り掛かっていた。
……その最中に約1名が少しだけ暴走状態に陥ったりしたが、皆が説得してくれたおかげでどうにか冷静さを取り戻して再び課題に向き合い始めた。
そんな皆の姿を横目に見ながらソファーに腰を下ろしていた俺は、ルゥナさんから借りた教材の本を眺めながら経験値10倍の効果を使って知識を蓄えていた。
「いやはや、やっぱり先生が近くに居るとやっぱり緊張感が違ってくるのかな?」
「まぁ、そりゃそうだろうな。課題を提出しなくちゃいけない相手が自分の目の前に居る訳だからな……それが嬉しくもあり大変でもあるって感じなんだろ。」
「あー……確かにそうかもしれないね。勉強を教えて貰えるのは助かっちゃうけど、どうしたってサボる事は出来ないもんね。」
「……そもそもの話、さっきルゥナも言ってたけどちょっとずつでもやってなかったオレットの自己責任よね。」
「うむ、時には逃げずに立ち向かう勇気も必要じゃからな。」
「だな……目の前の事に集中して勉強が手に付かなくなるって気持ちも分からなくも理解が出来なくはないんだけどさぁ……」
「うぅ、それならもう少し私のペースを見守っていても良いと思うんですが……」
「はぁ……そのペースで続けていると、夏休みの最終日に泣く事になると思うよ。」
「それは……否定は出来ないんだけど……」
「だったら無駄口を叩いてないで静かに課題をやりやがれってんだ。わざわざ水着を買いに出掛けたってのに一度も着る事なく終わらせるつもりか?」
「い、いやいや!それだけは流石にゴメンだよ!今日買ったあの水着、結構な値段をしたんだから!……そう言えば、フィオちゃんって私達と別行動してたよね?紙袋を持ってたから水着は買ったと思うんだけど、一体どんなのを買ったの?」
「あぁ、それでしたら……」
「ル、ルゥナ先生!アイツが居る前で余計な事を言わないでくれよ!オイ、変な想像しやがったらぶっ飛ばすからな!」
「し、してねぇっての!いきなり変な言いがかりをつけてくんなよ!そ、それよりもお前は今日の分の課題を終わらせたのかよ!?」
「アッ?そんなの当たり前だろうが。オレを舐めてんじゃねぇぞ?」
「な、舐めてはねぇけど……そう言えば、オレットさん以外の皆はどんな感じだ?」
「ふんっ、我も先程終わったばかりだ。」
「僕も一通りは片付いて……イリス?急に立ち上がってどうしたんだ……って!?」
「うおっ!?な、何だよ?」
「九条さん、ここの所で少し分からない所があるので……僕に……解き方を教えてはくれませんか?」
「そ、それは別に構わねぇけどさ……ちょっと距離が近くねぇか?!」
風呂上がりでかなり際どい感じのパジャマを着ていたイリスは俺のすぐ隣に座ると肌が密着するぐらいの勢いでグイグイ接近してきて……!うおっ、ヤベェ……何だよこの甘くて胸がドキドキしてくる匂いは……!お、落ち着け……コイツは男だぞ!?
「うふふ、これぐらい普通ですよ。そ・れ・よ・り・も……お願いします。」
「わ、分かった!分かったから顔を寄せてくるんじゃありませんっ!え、えっと……この問題はまず最初にこうしてだな……」
「……へぇ……コレってかなり難しい問題っぽいけど、解き方が分かるんだ。」
「あぁ、さっきそこの本を見て覚えたからな。」
「えっ!?それってつい数分前の事だよね?!たったそれだけの時間で?」
「おう、それだけあれば充分だろ。そんな事よりも……イリス、ここまでの解き方は分かったか?」
「はい、バッチリと。」
「良かった、それなら後はもう解ける……よな?」
「えぇ、どうもありがとうございました。」
「九条さん、私の代わりに申し訳ありません。」
「いえいえ、これぐらいお安い御用ですよ。」
「そうですか?……ふふっ、やっぱり九条さんはお優しい方ですね。」
「あぁいや、そんな別に……」
「おやおやぁ?もしかして九条さんってば照れちゃってるのかなぁ?」
「や、やかましい!それよりもほれ、ジーナにも皆に勉強を教えるって約束したんだから少しはその本を読んで頭の中に知識を詰め込めっての!」
「え、えぇ!?九条さんが教えるだけで別に良いじゃん!それに私が教えなくても、オレットさん以外の皆は優秀さんだから勉強を見てあげなくても平気だし!」
「うぐぅ!とと、突然の攻撃に私の心へダメージがぁ……!」
「そんな言い訳で逃がす訳が無いだろ!さぁ、見てやるから勉強しやがれ!」
「い、いやだあああぁぁぁ~!!!」
「はぁ……こんな時間だってのに元気な奴らね。」
「はっはっは、明日まで体力が残っておると良いがのう。」
そんなこんながありながら何とか今日の分の課題を片付ける事に成功した俺達は、それぞれの自室に戻って行くと明日に備えて眠りにつく事にするのだった。
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