おっさんの異世界生活は無理がある。
第486話
窓に当たる雨の音……コツコツと不気味に響き渡る足音……それ以外の音が少しも聞こえてこない状況の中、ルゥナさんとペアを組む事になった俺は彼女と七不思議を調べる為に2科の教室が並ぶ真っ暗で薄気味悪い廊下を歩いていた。
「すみませんルゥナさん……一緒になったのが頼りにならない俺なんかで……」
「い、いえいえ!そんな事はありませんよ!むしろ私の方が謝るべきなのは私の方と言いますか………すみません、動きずらいですよね……」
「あっ、いや!ダ、ダイジョブですよ!お気持ちは理解出来ますし……その、俺の腕なんかでよければ思う存分使ってやって下さい!」
「あ、ありがとうございます……」
うぐっ……!う、腕にしがみ付いて来ているルゥナさんの密着度がどんどん……!って、違う違う!これはそんなんじゃないから!ただ純粋に!怯えている彼女の心を少しでも安心させる事が出来ればと言う親切心ってだから!決してやましい気持ちでああいう事を言った訳じゃないって俺は誰に言い訳をしてるんでしょうかね!?
マ、マズイ……頭が混乱してきたぞ……とりあえず何か話題を振ってこの気持ちをさっさと忘れちまわないと別の意味でヤバい事になっちまう気がする!
「そ、そう言えば!もうそろそろ俺達が任された調査場所ですよね!」
「は、はい……2科の4年4組ですね……そこに非業の死を遂げた生徒の幽霊が出るという噂らしいですが……」
「……あの、そもそも居るんですか?この学園で死んじゃった生徒は……?」
「ま、まさか!今も昔もそんな話は聞いた事がありません!それにもし、そんな事が学園内であったら現在も大きな問題として扱われていると思いますし……」
「で、ですよね……それじゃあやっぱり、信憑性の無いただの噂………ん?」
「く、九条さん?どうしたんですか、急に立ち止まったりして……」
「あぁいえ………ルゥナさん、何か聞こえてきませんか?」
「え……へっ!?や、止めて下さいよ九条さん!そう言う冗談は感心しませんよ!」
「じょ、冗談じゃありませんって!ほ、ほら……」
涙目になりながら小声で怒ってきたルゥナさんが俺の言葉を耳にして口を閉ざしたその直後……ガサゴソ……ガサゴソ……という物が動く様な音が、廊下の奥の方から小さくではあるが間違いなく聞こえてきていた……!
「ひ、ひぅ!ま、まさか七不思議の内容が本当に……!?」
「お、落ち着いて下さいルゥナさん!まだそうと決まった訳じゃありませんし……」
「そ、それじゃあこの音は一体なんなんですか!」
「そ、それを俺に聞かれても……どうします?一度保健室に戻りますか?」
「………い、いえ!そういう訳にはいきません!も、もしかしたら悪い人が学園内に侵入している可能性もありますし……教師として知らんぷりなんて出来ません!」
「……分かりました。それじゃあ俺が先陣を切りますのでルゥナさんは俺の後ろから援護する感じでお願いします。」
「そ、そんな!九条さんを危険な目に遭わせる訳にはいきませんよ!こ、ここは私が先に行って確認を」
「ルゥナさん!」
「は、ひゃい!」
「……お願いします、俺に貴女を護らせて下さい。」
「っ!………ぅ……ぁっ…………は、はぃ……」
よしっ!マジで小っ恥ずかしいし黒歴史が増えちまったけど狙い通りになったな!本音を言えば今すぐ逃げ帰りたい気持ちでいっぱいだが、ルゥナさんが折れてくれるとは思えないし……
だからって彼女を先頭にして後をついて行くなんて情けない真似を晒したら絶対にマホ達にこの事がバレてこっぴどく説教されるだろうからな……大丈夫、去年だって幽霊をぶっ倒したんだから今回だってどうにかなる!……はず!
「それじゃあ行きますよ……なるべく足音を立てない様にして下さい……」
「わ、わか、分かりました……」
緊張をしているのか声が震えているルゥナさんと一緒に音が聞こえてくる教室……その扉の前までやって来た俺は、振り返って彼女と目を合わせて小さく頷くと大きく息を吸い込んで呼吸を整えてからゆっくり部屋の中を確認していった……すると……
「チッ、ようやく見つけたぜ……これでやっと………そこに居やがるのは誰だ!」
「うおおっ!?」
「きゃあああ!!!」
「……アッ?」
突然聞こえてきた怒鳴り声にルゥナさんと大絶叫をしてしまった瞬間、持っていたランタンで部屋の中を照らし出した俺の視界に飛び込んで来たのは……!
「お、おまっ!お前は!?ど、どう、何でこんな所にいやがるんだ!?」
「……チッ、そりゃこっちの台詞なんだよ。どうしてテメェがこんな所に……それに隣に居やがるのは……」
銀髪赤メッシュのヤン子……フィオという名の美少女は俺のすぐ傍で腰を抜かして呆然としながらへたり込んでるルゥナさんに視線を向けると……今度はギラッとした鋭い目つきで俺の事を睨みつけてきて……ハッ!?
「ち、違う!誤解だ!俺がルゥナさんと一緒に居るのはそう言う理由じゃない!」
「ほほぅ……それじゃあどういう理由だって言うんだ?アッ?」
「お、落ち着けって!ちゃんと説明してやるから!ル、ルゥナさんもお願いですから何時までも呆けてないでシッカリして下さいっ!このままだと俺が新たな七不思議として加わってしまいますから!八不思議になっちゃいますからぁ!!!」
予想もしていなかった人物とまさかの場所で出会ってしまった俺は、驚きのあまり目を開けたまま気絶しているんじゃないかと思われるルゥナさんの両肩に手を置くと必死になって揺らし続けるのだった!
「すみませんルゥナさん……一緒になったのが頼りにならない俺なんかで……」
「い、いえいえ!そんな事はありませんよ!むしろ私の方が謝るべきなのは私の方と言いますか………すみません、動きずらいですよね……」
「あっ、いや!ダ、ダイジョブですよ!お気持ちは理解出来ますし……その、俺の腕なんかでよければ思う存分使ってやって下さい!」
「あ、ありがとうございます……」
うぐっ……!う、腕にしがみ付いて来ているルゥナさんの密着度がどんどん……!って、違う違う!これはそんなんじゃないから!ただ純粋に!怯えている彼女の心を少しでも安心させる事が出来ればと言う親切心ってだから!決してやましい気持ちでああいう事を言った訳じゃないって俺は誰に言い訳をしてるんでしょうかね!?
マ、マズイ……頭が混乱してきたぞ……とりあえず何か話題を振ってこの気持ちをさっさと忘れちまわないと別の意味でヤバい事になっちまう気がする!
「そ、そう言えば!もうそろそろ俺達が任された調査場所ですよね!」
「は、はい……2科の4年4組ですね……そこに非業の死を遂げた生徒の幽霊が出るという噂らしいですが……」
「……あの、そもそも居るんですか?この学園で死んじゃった生徒は……?」
「ま、まさか!今も昔もそんな話は聞いた事がありません!それにもし、そんな事が学園内であったら現在も大きな問題として扱われていると思いますし……」
「で、ですよね……それじゃあやっぱり、信憑性の無いただの噂………ん?」
「く、九条さん?どうしたんですか、急に立ち止まったりして……」
「あぁいえ………ルゥナさん、何か聞こえてきませんか?」
「え……へっ!?や、止めて下さいよ九条さん!そう言う冗談は感心しませんよ!」
「じょ、冗談じゃありませんって!ほ、ほら……」
涙目になりながら小声で怒ってきたルゥナさんが俺の言葉を耳にして口を閉ざしたその直後……ガサゴソ……ガサゴソ……という物が動く様な音が、廊下の奥の方から小さくではあるが間違いなく聞こえてきていた……!
「ひ、ひぅ!ま、まさか七不思議の内容が本当に……!?」
「お、落ち着いて下さいルゥナさん!まだそうと決まった訳じゃありませんし……」
「そ、それじゃあこの音は一体なんなんですか!」
「そ、それを俺に聞かれても……どうします?一度保健室に戻りますか?」
「………い、いえ!そういう訳にはいきません!も、もしかしたら悪い人が学園内に侵入している可能性もありますし……教師として知らんぷりなんて出来ません!」
「……分かりました。それじゃあ俺が先陣を切りますのでルゥナさんは俺の後ろから援護する感じでお願いします。」
「そ、そんな!九条さんを危険な目に遭わせる訳にはいきませんよ!こ、ここは私が先に行って確認を」
「ルゥナさん!」
「は、ひゃい!」
「……お願いします、俺に貴女を護らせて下さい。」
「っ!………ぅ……ぁっ…………は、はぃ……」
よしっ!マジで小っ恥ずかしいし黒歴史が増えちまったけど狙い通りになったな!本音を言えば今すぐ逃げ帰りたい気持ちでいっぱいだが、ルゥナさんが折れてくれるとは思えないし……
だからって彼女を先頭にして後をついて行くなんて情けない真似を晒したら絶対にマホ達にこの事がバレてこっぴどく説教されるだろうからな……大丈夫、去年だって幽霊をぶっ倒したんだから今回だってどうにかなる!……はず!
「それじゃあ行きますよ……なるべく足音を立てない様にして下さい……」
「わ、わか、分かりました……」
緊張をしているのか声が震えているルゥナさんと一緒に音が聞こえてくる教室……その扉の前までやって来た俺は、振り返って彼女と目を合わせて小さく頷くと大きく息を吸い込んで呼吸を整えてからゆっくり部屋の中を確認していった……すると……
「チッ、ようやく見つけたぜ……これでやっと………そこに居やがるのは誰だ!」
「うおおっ!?」
「きゃあああ!!!」
「……アッ?」
突然聞こえてきた怒鳴り声にルゥナさんと大絶叫をしてしまった瞬間、持っていたランタンで部屋の中を照らし出した俺の視界に飛び込んで来たのは……!
「お、おまっ!お前は!?ど、どう、何でこんな所にいやがるんだ!?」
「……チッ、そりゃこっちの台詞なんだよ。どうしてテメェがこんな所に……それに隣に居やがるのは……」
銀髪赤メッシュのヤン子……フィオという名の美少女は俺のすぐ傍で腰を抜かして呆然としながらへたり込んでるルゥナさんに視線を向けると……今度はギラッとした鋭い目つきで俺の事を睨みつけてきて……ハッ!?
「ち、違う!誤解だ!俺がルゥナさんと一緒に居るのはそう言う理由じゃない!」
「ほほぅ……それじゃあどういう理由だって言うんだ?アッ?」
「お、落ち着けって!ちゃんと説明してやるから!ル、ルゥナさんもお願いですから何時までも呆けてないでシッカリして下さいっ!このままだと俺が新たな七不思議として加わってしまいますから!八不思議になっちゃいますからぁ!!!」
予想もしていなかった人物とまさかの場所で出会ってしまった俺は、驚きのあまり目を開けたまま気絶しているんじゃないかと思われるルゥナさんの両肩に手を置くと必死になって揺らし続けるのだった!
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