おっさんの異世界生活は無理がある。
第471話
低学年の子供達に少しだけ振り回されながらも何とか5時間目と6時間目の授業を終わらせて放課後を迎えた俺達は、それぞれの目的の為に行動している生徒を横目に見ながら休み時間に指定された1階のロビーでオレットさんと合流を果たしていた。
「ロイドさんソフィさん、どうも初めまして!私、報道部のオレット・グローリーと申します!先程は自己紹介もせずに申し訳ありませんでした!えっと、九条さんからもうお話はお伺っておいででしょうか?」
「あぁ、密着取材の件だろう?勿論、喜んで引き受けさせて貰うよ。」
「エルアの友達なら協力する。」
「あっ、ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!」
「ふふっ、どういたしまして。それでは自己紹介を……と、思ったけど私達の名前はエルアから聞いてあるんだったね。」
「はい!ロイド・ウィスリムさんとソフィ・オーリアさんですよね!」
「うん、名前を知られているのなら自己紹介は無しで構わないかな。さてオレット、密着取材とは言うが具体的にはどんな事を聞くつもりなんだい?」
「うーん、聞きたい事は色々とあるんですけども……まずは場所を移動しませんか?ここは人通りが多いので皆さんも気を遣ってしまうでしょうから!」
「移動って……何処に行くつもりなんだ?」
「ふふーん!それは着いてからのお楽しみです!さぁ、こちらへどうぞ!」
(……この台詞、何とも身構えてしまいますね……)
(……とりあえず、油断しないでついて行くとするか……)
何とも言えない警戒心を抱きつつしばらくオレットさんの後に続いて廊下を歩いていると、幾つもの扉の上に様々な部の名前が書かれたプレートがズラッと並んでいるのが見え始めた。
もしかしてと考えながらも更に奥の方へ進んで行くと、突き当りの所にあった扉の前で立ち止まったオレットさんがドヤ顔でこっちに振り返って来た。
「皆さん!ようこそお越し下さいました!我が報道部の部室へ!」
「……なるほど、やっぱりここはそういう場所だったか。ロイド、来た事は?」
「ふふっ、初めてだよ。学生時代は家庭の事情で部活動とは縁が無かったからね。」
「あぁ、まぁそりゃそうか……それにしてもオレットさん、こう言ったら失礼だとは思うが随分と奥まった所に部室があるんだな。」
「いやはや、お恥ずかしながらウチは人数が少ない弱小部なものですから与えられる部室もこんな感じなんですよねぇ……とは言え、報道部としては目立った所で良い事なんて1つも無いので私達としては助かってはいるんですけどね。」
「……何か目立つ様な事をしてるの?」
「まぁまぁまぁ、そこはまた後でという事で……さぁ、どうぞ中にお入り下さい!」
「……そこを濁されると色々と不安になるんだがなぁ……」
眼鏡をクイっと押し上げてレンズを光らせながら不敵に微笑みかけてきたオレットさんに少しだけ不安を抱きながら、皆で薄暗い部室に足を踏み入れたんだが……
「あれ?おっかしいな、誰も居ない……もしかして取材に行っちゃったのかな?」
「オレット、どうしたんだい?」
「あぁいえ、鍵が開いてたので誰かいると思ったんですけど……うん、どうやら他の皆はそれぞれの取材に行ったみたいですね。」
「……取材ってどんな事をするの?」
「うーん、それは部員によってそれぞれですね。私なんかは生徒の間で流行っている噂なんかを追いかけたりしていましが……あっ、もし良かったらそこに過去に書いた記事があるので見てみて下さい!」
「ん?あぁコレだね。どれどれ………へぇ、中々に面白いじゃないか。」
「あはっ、どうもありがとうございます!毎月かなり力を入れて書いていますので、褒めて貰えると嬉しいです!」
ニコッと笑ったオレットさんから目を離した俺は壁に張り付けられてあった新聞の様な紙をサラッと流し見していった。
(おぉ、こりゃ凄いな。細かい所までビッシリと書いてあるぞ。)
(本当ですね……学園で起こった事が事細かに……って、ご主人様!この記事って!)
(……あぁ、クリフが俺の所に来る原因を作ったやつだな……)
「九条さん?一体何を……おや、これは……」
「クリフの持ってたやつ?」
「えっ!?あっ、ちょ、ちょっと失礼しますよ!」
「………オレットさん?」
「あ、あはは!さ、さぁ皆さんこちらの席へどうぞ!すぐにお茶を用意しますので、すこーしだけ待っていてくださいね!」
俺達のしていた会話で何かを気付いたらしいオレットさんは目にも止まらぬ速さで張り付けられていた新聞を引き剥がすと、そのまま部室を飛び出してってしまった。
「……九条さん。」
「はぁ……分かってるよ、別に責めたりしないから心配すんな。」
「ふふっ、了解。」
それからしばらくして、ヘコヘコしながら戻って来たオレットさんによる密着取材という名の部活動が始まる事になるのだった。
「ロイドさんソフィさん、どうも初めまして!私、報道部のオレット・グローリーと申します!先程は自己紹介もせずに申し訳ありませんでした!えっと、九条さんからもうお話はお伺っておいででしょうか?」
「あぁ、密着取材の件だろう?勿論、喜んで引き受けさせて貰うよ。」
「エルアの友達なら協力する。」
「あっ、ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!」
「ふふっ、どういたしまして。それでは自己紹介を……と、思ったけど私達の名前はエルアから聞いてあるんだったね。」
「はい!ロイド・ウィスリムさんとソフィ・オーリアさんですよね!」
「うん、名前を知られているのなら自己紹介は無しで構わないかな。さてオレット、密着取材とは言うが具体的にはどんな事を聞くつもりなんだい?」
「うーん、聞きたい事は色々とあるんですけども……まずは場所を移動しませんか?ここは人通りが多いので皆さんも気を遣ってしまうでしょうから!」
「移動って……何処に行くつもりなんだ?」
「ふふーん!それは着いてからのお楽しみです!さぁ、こちらへどうぞ!」
(……この台詞、何とも身構えてしまいますね……)
(……とりあえず、油断しないでついて行くとするか……)
何とも言えない警戒心を抱きつつしばらくオレットさんの後に続いて廊下を歩いていると、幾つもの扉の上に様々な部の名前が書かれたプレートがズラッと並んでいるのが見え始めた。
もしかしてと考えながらも更に奥の方へ進んで行くと、突き当りの所にあった扉の前で立ち止まったオレットさんがドヤ顔でこっちに振り返って来た。
「皆さん!ようこそお越し下さいました!我が報道部の部室へ!」
「……なるほど、やっぱりここはそういう場所だったか。ロイド、来た事は?」
「ふふっ、初めてだよ。学生時代は家庭の事情で部活動とは縁が無かったからね。」
「あぁ、まぁそりゃそうか……それにしてもオレットさん、こう言ったら失礼だとは思うが随分と奥まった所に部室があるんだな。」
「いやはや、お恥ずかしながらウチは人数が少ない弱小部なものですから与えられる部室もこんな感じなんですよねぇ……とは言え、報道部としては目立った所で良い事なんて1つも無いので私達としては助かってはいるんですけどね。」
「……何か目立つ様な事をしてるの?」
「まぁまぁまぁ、そこはまた後でという事で……さぁ、どうぞ中にお入り下さい!」
「……そこを濁されると色々と不安になるんだがなぁ……」
眼鏡をクイっと押し上げてレンズを光らせながら不敵に微笑みかけてきたオレットさんに少しだけ不安を抱きながら、皆で薄暗い部室に足を踏み入れたんだが……
「あれ?おっかしいな、誰も居ない……もしかして取材に行っちゃったのかな?」
「オレット、どうしたんだい?」
「あぁいえ、鍵が開いてたので誰かいると思ったんですけど……うん、どうやら他の皆はそれぞれの取材に行ったみたいですね。」
「……取材ってどんな事をするの?」
「うーん、それは部員によってそれぞれですね。私なんかは生徒の間で流行っている噂なんかを追いかけたりしていましが……あっ、もし良かったらそこに過去に書いた記事があるので見てみて下さい!」
「ん?あぁコレだね。どれどれ………へぇ、中々に面白いじゃないか。」
「あはっ、どうもありがとうございます!毎月かなり力を入れて書いていますので、褒めて貰えると嬉しいです!」
ニコッと笑ったオレットさんから目を離した俺は壁に張り付けられてあった新聞の様な紙をサラッと流し見していった。
(おぉ、こりゃ凄いな。細かい所までビッシリと書いてあるぞ。)
(本当ですね……学園で起こった事が事細かに……って、ご主人様!この記事って!)
(……あぁ、クリフが俺の所に来る原因を作ったやつだな……)
「九条さん?一体何を……おや、これは……」
「クリフの持ってたやつ?」
「えっ!?あっ、ちょ、ちょっと失礼しますよ!」
「………オレットさん?」
「あ、あはは!さ、さぁ皆さんこちらの席へどうぞ!すぐにお茶を用意しますので、すこーしだけ待っていてくださいね!」
俺達のしていた会話で何かを気付いたらしいオレットさんは目にも止まらぬ速さで張り付けられていた新聞を引き剥がすと、そのまま部室を飛び出してってしまった。
「……九条さん。」
「はぁ……分かってるよ、別に責めたりしないから心配すんな。」
「ふふっ、了解。」
それからしばらくして、ヘコヘコしながら戻って来たオレットさんによる密着取材という名の部活動が始まる事になるのだった。
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