おっさんの異世界生活は無理がある。
第460話
空を覆い尽くす黒い雲を見上げながら静かに息を吐き出した俺は、人の気配が全くしない校舎を見上げて奉仕義務を課されていたあの頃の事を思い出していた。
「皆様、学園長は7階におりますので中に入りましょうか。」
「は、はい!……あっ、そう言えば私ってどうしてたら良いんでしょう?クエストの関係者って訳でもありませんし……もしアレなら、外で待っていましょうか?」
「いや、別にそこまでしなくても大丈夫だろ。つーか、ダメだったら家の前で最初に会った時にミアお嬢様が何か言ってるだろうしな。」
「ふふっ、九条さんの仰っている通りですよ。学園町は心のお優しい方なので事情を話しさえすれば問題はありません。」
「そ、そうですか……分かりました、それじゃあ一緒に行かせてもらいます。」
「はい、それでは私の後について来て下さいね。」
優雅に微笑みかけてきたミアを先頭にして校舎の中に足を踏み入れて行った直後、マホからは感嘆の声が聞こえてきてロイドの方からは小さな笑い声が聞こえてきた。
「卒業してから数年程しか経ってないが、やはりここに来ると懐かしく感じるね。」
「ふーん、そう思えるってのは良い事なんじゃねぇの。」
俺からしたら学校なんて所は二度と近づきたくない場所って認定をしてあるから、懐かしさなんてものは微塵も感じられないからなっ!
「……誰も居ない。」
「えぇ、今日は休日ですからね。」
「ふむ、それなら私達の活動が始まるのは明日からという事になるんだろうね。」
「そりゃあそうだろ、誰も居ない学園で何をするって言うんだ?追いかけっこか?」
「っ……楽しそう……!」
「……悪いソフィ、冗談だからそんなに目をキラキラとさせないでくれ。」
そんな当たり障りも無い会話をしながら1科の生徒だけが使える左側の階段を使用して少しだけ息を切らせながら7階までどうにか辿り着いた俺達は、廊下の奥にある職員室の前を通り過ぎて学園長室の前までやって来るのだった。
「皆様、心の準備はよろしいでしょうか?」
「あぁ、何時でも良いよ。」
「問題無い。」
「わ、私も大丈夫です!……あの、おじさんは学園長さんに会った事は?」
「いや、無いな……そんな機会も無かったし……」
「そうですか……優しい人だと良いですねぇ……」
マホが俺にだけ聞こえてくるぐらいの小さな声でそんな事を呟いた直後……ミアは俺達に背を向けて両開きの大きな扉をノックしていくのだった。
「ライナス学園長、ミア・リエンダルです。ナインティアの方々をご案内させて頂きましたので、中に入ってもよろしいでしょうか。」
「えぇ、どうぞお入りになって下さい。」
「ありがとうございます。それでは失礼致します。」
扉の向こう側から聞こえてきた優しそうな声の男性から許可を貰ったミアは俺達に一瞬だけ視線を送って来ると、すぐに取っ手を握り締めてゆっくりと捻っていった。
ほんの少しだけ緊張しながら開かれた扉を通り抜けて皆と一緒に学園長室に入って行くと、質素だが気品を感じさせる家具が置かれた部屋の奥側で立派な髭を生やした男性と緑髪で眼鏡を掛けた……うん、まぁ……とある一点が体格に似合わないぐらい大きい小柄の女性がこっちを見つめて来ていた。
「ようこそ、ギルド・ナインティアの皆様。本日は遠い所からわざわざ来て頂いて、本当に感謝しております。私の名は『ライナス・アルフレッド』。そして、こちらにいらっしゃるのは……」
「ル、『ルゥナ・マティルス』です!よ、よろしくお願いしましゅ!」
……勢いよくお辞儀をしてくれたおかげで心臓がドクンッと跳ね上がったりしつつ何とか平静を装う事に成功した俺は、マホに尻を思いっきり抓られながら作り笑いを浮かべて自己紹介をしていくのだった……っ!
「皆様、学園長は7階におりますので中に入りましょうか。」
「は、はい!……あっ、そう言えば私ってどうしてたら良いんでしょう?クエストの関係者って訳でもありませんし……もしアレなら、外で待っていましょうか?」
「いや、別にそこまでしなくても大丈夫だろ。つーか、ダメだったら家の前で最初に会った時にミアお嬢様が何か言ってるだろうしな。」
「ふふっ、九条さんの仰っている通りですよ。学園町は心のお優しい方なので事情を話しさえすれば問題はありません。」
「そ、そうですか……分かりました、それじゃあ一緒に行かせてもらいます。」
「はい、それでは私の後について来て下さいね。」
優雅に微笑みかけてきたミアを先頭にして校舎の中に足を踏み入れて行った直後、マホからは感嘆の声が聞こえてきてロイドの方からは小さな笑い声が聞こえてきた。
「卒業してから数年程しか経ってないが、やはりここに来ると懐かしく感じるね。」
「ふーん、そう思えるってのは良い事なんじゃねぇの。」
俺からしたら学校なんて所は二度と近づきたくない場所って認定をしてあるから、懐かしさなんてものは微塵も感じられないからなっ!
「……誰も居ない。」
「えぇ、今日は休日ですからね。」
「ふむ、それなら私達の活動が始まるのは明日からという事になるんだろうね。」
「そりゃあそうだろ、誰も居ない学園で何をするって言うんだ?追いかけっこか?」
「っ……楽しそう……!」
「……悪いソフィ、冗談だからそんなに目をキラキラとさせないでくれ。」
そんな当たり障りも無い会話をしながら1科の生徒だけが使える左側の階段を使用して少しだけ息を切らせながら7階までどうにか辿り着いた俺達は、廊下の奥にある職員室の前を通り過ぎて学園長室の前までやって来るのだった。
「皆様、心の準備はよろしいでしょうか?」
「あぁ、何時でも良いよ。」
「問題無い。」
「わ、私も大丈夫です!……あの、おじさんは学園長さんに会った事は?」
「いや、無いな……そんな機会も無かったし……」
「そうですか……優しい人だと良いですねぇ……」
マホが俺にだけ聞こえてくるぐらいの小さな声でそんな事を呟いた直後……ミアは俺達に背を向けて両開きの大きな扉をノックしていくのだった。
「ライナス学園長、ミア・リエンダルです。ナインティアの方々をご案内させて頂きましたので、中に入ってもよろしいでしょうか。」
「えぇ、どうぞお入りになって下さい。」
「ありがとうございます。それでは失礼致します。」
扉の向こう側から聞こえてきた優しそうな声の男性から許可を貰ったミアは俺達に一瞬だけ視線を送って来ると、すぐに取っ手を握り締めてゆっくりと捻っていった。
ほんの少しだけ緊張しながら開かれた扉を通り抜けて皆と一緒に学園長室に入って行くと、質素だが気品を感じさせる家具が置かれた部屋の奥側で立派な髭を生やした男性と緑髪で眼鏡を掛けた……うん、まぁ……とある一点が体格に似合わないぐらい大きい小柄の女性がこっちを見つめて来ていた。
「ようこそ、ギルド・ナインティアの皆様。本日は遠い所からわざわざ来て頂いて、本当に感謝しております。私の名は『ライナス・アルフレッド』。そして、こちらにいらっしゃるのは……」
「ル、『ルゥナ・マティルス』です!よ、よろしくお願いしましゅ!」
……勢いよくお辞儀をしてくれたおかげで心臓がドクンッと跳ね上がったりしつつ何とか平静を装う事に成功した俺は、マホに尻を思いっきり抓られながら作り笑いを浮かべて自己紹介をしていくのだった……っ!
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