おっさんの異世界生活は無理がある。
第454話
思いも寄らない人物と再会を果たしてから数日後、今後に起こりえるかもしれない面倒事を発生させない為にクエストを引き受ける覚悟を固めた俺は早朝から皆と共に王都行きの馬車が集まっているトリアルの広場へとやって来ていた。
「ふふっ、どうにか体調を崩す事も無くこの日を迎えられたね。」
「おぅ……自分が健康である事を恨むなんて初めての経験だ……」
「もう、まだそんな事を言ってるんですか?もうすぐ出発なんですから、いい加減に諦めて下さいよね。」
「そ、そんな事は言われなくても分かっての!俺だってここまで来て帰りたいだとか考えてる訳じゃ……いや、頭の片隅でちょっとだけ思ってたりもするけど実際に行動する度胸はねぇよ……ただその……やっぱりどっかで嫌だって気持ちがなぁ……」
これから黒歴史を生み出したって記憶しかない学園で講師活動をするって、マジで俺にとっては苦行以外の何物でもない気がするんだよなぁ……
「おじさん、そんな表情をしていたら学園で会う皆さんが悲しんじゃいます!それに過去が嫌なものだったとしても、これからもそうとは限らないですよ!ロイドさんやソフィさんもそう思いますよね!」
「あぁ、マホの言う通りだね。九条さんがどんな過去を背負っているのか分からないけれど、そんな記憶なんて消し飛ばすぐらい楽しい思い出を作ろうじゃないか。」
「うん、私達が一緒。だから大丈夫。」
「……まぁ、それもそうかもな。」
確かにあの時とは違って今の俺には信頼する事が出来る奴が近くに居る……なら、そこまで深く考えすぎる必要も無いのかもしれないな……
「えへへ!それじゃあおじさんが元気を取り戻してたみたいですので、今後の予定について改めて確認しておきましょうか!まずは今日の予定についてですが……」
「何事も無ければ王都に到着後、宿屋に直行。そんで時間がある様だったら、適当に観光をして時間を潰す。」
「そして翌日になったら王宮に行き、クエストについて尋ねると……その際、書類は忘れない様にしておかないとね。九条さん、バッグの中にきちんと入れたかい?」
「あぁ、何十回も確認したから大丈夫だ。」
「……そうですね、何故か私も一緒に確認させられましたが。」
「し、仕方ねぇだろ……俺は俺を信用する事が出来ないからな!」
「いや、胸を張って言う事じゃないですからね!?」
「ふふっ、それなら書類については問題無しだね。」
「うん、後はレミとユキとシーナから受け取ったお土産の紙。」
「あーそう言えば渡されましたね。買いに行く時間があるのかは分からないので期待しすぎないで下さいとは伝えましたけど……」
「まぁ、無理だったら紙を無くした事にしちまえば問題ないだろ……っと、そろそろ出発するみたいだな。」
聞き慣れたベルの音が広場に響き渡ってきた直後、短く息を吐き出して両頬を軽く叩いた俺はこっちを見てきている皆と目を合わせた。
「九条さん、心の準備は良いかい?」
「勿論だ……って言いたい所だが、まだ難しそうだな。」
「えぇ~もう……こうなったら、私達がシッカリ支えてあげるしかありませんね。」
「うん、頑張る。」
「慣れ親しんだ私の母校だ、困った事があったら頼ってくれて構わないからね。」
「あぁ、期待してるよ。」
依然として心の何処かに後ろ向きな気持ちを抱えながら馬車に向かって歩き始めた俺は、これから何が起こるにせよ途中で逃げ出さないという事は決意するのだった。
「ふふっ、どうにか体調を崩す事も無くこの日を迎えられたね。」
「おぅ……自分が健康である事を恨むなんて初めての経験だ……」
「もう、まだそんな事を言ってるんですか?もうすぐ出発なんですから、いい加減に諦めて下さいよね。」
「そ、そんな事は言われなくても分かっての!俺だってここまで来て帰りたいだとか考えてる訳じゃ……いや、頭の片隅でちょっとだけ思ってたりもするけど実際に行動する度胸はねぇよ……ただその……やっぱりどっかで嫌だって気持ちがなぁ……」
これから黒歴史を生み出したって記憶しかない学園で講師活動をするって、マジで俺にとっては苦行以外の何物でもない気がするんだよなぁ……
「おじさん、そんな表情をしていたら学園で会う皆さんが悲しんじゃいます!それに過去が嫌なものだったとしても、これからもそうとは限らないですよ!ロイドさんやソフィさんもそう思いますよね!」
「あぁ、マホの言う通りだね。九条さんがどんな過去を背負っているのか分からないけれど、そんな記憶なんて消し飛ばすぐらい楽しい思い出を作ろうじゃないか。」
「うん、私達が一緒。だから大丈夫。」
「……まぁ、それもそうかもな。」
確かにあの時とは違って今の俺には信頼する事が出来る奴が近くに居る……なら、そこまで深く考えすぎる必要も無いのかもしれないな……
「えへへ!それじゃあおじさんが元気を取り戻してたみたいですので、今後の予定について改めて確認しておきましょうか!まずは今日の予定についてですが……」
「何事も無ければ王都に到着後、宿屋に直行。そんで時間がある様だったら、適当に観光をして時間を潰す。」
「そして翌日になったら王宮に行き、クエストについて尋ねると……その際、書類は忘れない様にしておかないとね。九条さん、バッグの中にきちんと入れたかい?」
「あぁ、何十回も確認したから大丈夫だ。」
「……そうですね、何故か私も一緒に確認させられましたが。」
「し、仕方ねぇだろ……俺は俺を信用する事が出来ないからな!」
「いや、胸を張って言う事じゃないですからね!?」
「ふふっ、それなら書類については問題無しだね。」
「うん、後はレミとユキとシーナから受け取ったお土産の紙。」
「あーそう言えば渡されましたね。買いに行く時間があるのかは分からないので期待しすぎないで下さいとは伝えましたけど……」
「まぁ、無理だったら紙を無くした事にしちまえば問題ないだろ……っと、そろそろ出発するみたいだな。」
聞き慣れたベルの音が広場に響き渡ってきた直後、短く息を吐き出して両頬を軽く叩いた俺はこっちを見てきている皆と目を合わせた。
「九条さん、心の準備は良いかい?」
「勿論だ……って言いたい所だが、まだ難しそうだな。」
「えぇ~もう……こうなったら、私達がシッカリ支えてあげるしかありませんね。」
「うん、頑張る。」
「慣れ親しんだ私の母校だ、困った事があったら頼ってくれて構わないからね。」
「あぁ、期待してるよ。」
依然として心の何処かに後ろ向きな気持ちを抱えながら馬車に向かって歩き始めた俺は、これから何が起こるにせよ途中で逃げ出さないという事は決意するのだった。
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