おっさんの異世界生活は無理がある。
第448話
「うん、とってもよくお似合いですよご主人様!それじゃあ次はこっちの方の雨具を着てみて下さい!」
「……なぁマホ、色々と買ってきてくれたのは分かったけど家の中でわざわざコレを着る必要があるのか?」
晩飯を食べ終えてからしばらく時間が経った頃、マホに買ってきた雨具を着てみて欲しいと頼まれた俺は家の中でおかしなファッションショーを繰り広げていた……
「勿論ですよ!実際に着てもらってソレがご主人様に似合っているかを確認しないといけませんからね!」
「ふぅ、俺的には雨具が似合ってなくても別に問題は無いんだがなぁ……」
「ちょっとご主人様、失礼な事を言わないで下さいよ!私達がシッカリ時間を掛けて選んで来たんですから似合わない訳ありません!」
「……お前、言ってる事がメチャクチャだぞ。」
「そんなのはどうでも良いです!それよりも次!早く着てみて下さい!」
「はぁ……分かりましたよぉ……」
こっちの世界だと雨具は消耗品の扱いだから俺の為に色々と買って来てくれたのは確かに助かるんだが、ソレに着替えた姿を皆に見せる必要は本当にあるのか?いや、確かにマホの言い分も理解出来ない訳ではないんだけどさぁ……やれやれ……
「……あっ、そう言えばご主人様。今日は加工屋の掃除を手伝ってきたんですよね?どうです、お渡しした素材はシーナさん達の役に立っていましたか?」
「ん?まぁ、詳しく聞いた訳じゃないがそれなりにって感じだな……ほら、最近雨が降る日が多くなってきたろ?だから客足が減ってきたんだとさ。」
「ふふっ、この時期は冒険者にとって日頃から酷使をしている肉体を休めるいい機会だからね。加工屋や道具屋といった店が暇になってしまうのも仕方のない事かな。」
「……私は雨が降っていてもクエストをやりたい。」
「……言っておくが、俺は一緒に行かないからな。」
「……むぅ……」
「頬を膨らませながら睨んでもダメ!この時期に出現するモンスターは泥とか吐いてくる様な奴ばっかりで後処理が大変なのは知ってんだろ。だからお前も他の冒険者と同じ様にいい機会だと思って体をゆっくりと休めた方が良いぞ。俺を見習ってな。」
「ふふっ、そう言えば九条さんはここの所ずっと家の中で休んでいたね。」
「……って言うか今更ですがご主人様は休み過ぎじゃないですか?トリアルに帰って来てからほとんど外に出ていませんよね?今日だって読んでいるラノベの新刊が発売する予定じゃ無かったら家の中でダラダラしていましたよね?」
「そ、そんな事は……無いぞ?とりあえず一週間後にまた外に出るつもりだし……」
「それだって本屋さんにサッと行って帰って来るだけですよね?ご主人様、雨の日が多いからってそんな生活をしていて良いと思っているんですか。」
「ふむ、確かに休んでばかりいたら体には良くないかもしれないね。」
「うん、体が鈍《なま》る。」
「そうですよね!という訳でご主人様、折角こうして雨具も買ってきてあげたんですから明日は皆さんと一緒にクエストをしてきて下さいね!」
「え、えぇ!?冗談じゃねぇよ!明日はベッドの上でダラダラとしながら買ってきたラノベを読みまくるという大切な予定が!……オイ、クズを見る様な視線を俺の方に送って来るんじゃない!……分かった、行けば良いんだろ行けば!」
「はい、頑張って来て下さいねご主人様!あっ、出来ればあんまり汚れない様にしてくれると嬉しいです!」
「ふふっ、久々のクエストだね。」
「……ワクワク。」
「はぁ……明日、外に出れないぐらいの悪天候になってくれねぇかなぁ……」
本格的に梅雨が始まる前だからなのか元気な3人の姿を見ながらひっそりため息を零した俺は、身近に居る神の姿を思い出しながらそんな事を祈るのだった。
「……なぁマホ、色々と買ってきてくれたのは分かったけど家の中でわざわざコレを着る必要があるのか?」
晩飯を食べ終えてからしばらく時間が経った頃、マホに買ってきた雨具を着てみて欲しいと頼まれた俺は家の中でおかしなファッションショーを繰り広げていた……
「勿論ですよ!実際に着てもらってソレがご主人様に似合っているかを確認しないといけませんからね!」
「ふぅ、俺的には雨具が似合ってなくても別に問題は無いんだがなぁ……」
「ちょっとご主人様、失礼な事を言わないで下さいよ!私達がシッカリ時間を掛けて選んで来たんですから似合わない訳ありません!」
「……お前、言ってる事がメチャクチャだぞ。」
「そんなのはどうでも良いです!それよりも次!早く着てみて下さい!」
「はぁ……分かりましたよぉ……」
こっちの世界だと雨具は消耗品の扱いだから俺の為に色々と買って来てくれたのは確かに助かるんだが、ソレに着替えた姿を皆に見せる必要は本当にあるのか?いや、確かにマホの言い分も理解出来ない訳ではないんだけどさぁ……やれやれ……
「……あっ、そう言えばご主人様。今日は加工屋の掃除を手伝ってきたんですよね?どうです、お渡しした素材はシーナさん達の役に立っていましたか?」
「ん?まぁ、詳しく聞いた訳じゃないがそれなりにって感じだな……ほら、最近雨が降る日が多くなってきたろ?だから客足が減ってきたんだとさ。」
「ふふっ、この時期は冒険者にとって日頃から酷使をしている肉体を休めるいい機会だからね。加工屋や道具屋といった店が暇になってしまうのも仕方のない事かな。」
「……私は雨が降っていてもクエストをやりたい。」
「……言っておくが、俺は一緒に行かないからな。」
「……むぅ……」
「頬を膨らませながら睨んでもダメ!この時期に出現するモンスターは泥とか吐いてくる様な奴ばっかりで後処理が大変なのは知ってんだろ。だからお前も他の冒険者と同じ様にいい機会だと思って体をゆっくりと休めた方が良いぞ。俺を見習ってな。」
「ふふっ、そう言えば九条さんはここの所ずっと家の中で休んでいたね。」
「……って言うか今更ですがご主人様は休み過ぎじゃないですか?トリアルに帰って来てからほとんど外に出ていませんよね?今日だって読んでいるラノベの新刊が発売する予定じゃ無かったら家の中でダラダラしていましたよね?」
「そ、そんな事は……無いぞ?とりあえず一週間後にまた外に出るつもりだし……」
「それだって本屋さんにサッと行って帰って来るだけですよね?ご主人様、雨の日が多いからってそんな生活をしていて良いと思っているんですか。」
「ふむ、確かに休んでばかりいたら体には良くないかもしれないね。」
「うん、体が鈍《なま》る。」
「そうですよね!という訳でご主人様、折角こうして雨具も買ってきてあげたんですから明日は皆さんと一緒にクエストをしてきて下さいね!」
「え、えぇ!?冗談じゃねぇよ!明日はベッドの上でダラダラとしながら買ってきたラノベを読みまくるという大切な予定が!……オイ、クズを見る様な視線を俺の方に送って来るんじゃない!……分かった、行けば良いんだろ行けば!」
「はい、頑張って来て下さいねご主人様!あっ、出来ればあんまり汚れない様にしてくれると嬉しいです!」
「ふふっ、久々のクエストだね。」
「……ワクワク。」
「はぁ……明日、外に出れないぐらいの悪天候になってくれねぇかなぁ……」
本格的に梅雨が始まる前だからなのか元気な3人の姿を見ながらひっそりため息を零した俺は、身近に居る神の姿を思い出しながらそんな事を祈るのだった。
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