おっさんの異世界生活は無理がある。
第446話
馬車に乗ってから数時間後、何度かモンスターに襲撃されたが無事にトリアルまで戻って来る事が出来た俺達は夕日に染まった広場で別れる前に軽い雑談をしていた。
「ふーん、結構良い感じの街じゃない。それなりに賑わっているし店も充実しているみたいだし……うん、気に入ったわ。」
「ふふっ、ユキにそう言って貰えて嬉しいよ。」
「えぇ、ですがこの街の魅力はこれだけではありませんわ!叶うならば時間を掛けてジックリとその事についてお教えしたい所なのですが……残念ながら、本日は諦めるしかなさそうですわね。」
「はい、私達を乗せる為に停まっている馬車を待たせる訳にはいきませんからね。」
リリアさんとライルさんが2人揃って同じ場所に停車している豪勢な馬車に視線を送ると、同じ方向を見たユキは驚いた様な何とも言えない様な表情を浮かべていた。
「あの馬車ってやっぱりそういう事だったのね……送迎用の馬車がわざわざ出迎えてくれるだなんて本当に凄いわ……流石は貴族のお嬢様って感じよね……」
「……ユキ、この程度の事で驚いてたら体が持たねぇぞ。」
「……はぁ、今更だけどアタシって凄い人の所で世話になるのよね……ちょっとだけ不安になってきたわ……」
「はっはっは、そんなに心配せずとも大丈夫じゃよ!しばらく暮らしていれば慣れてくる!それに何処か行きたい所があれば馬車で送り迎えをしてくれるから、これまでよりも楽な生活が出来る事は間違いなしじゃ!」
「いや、それはアンタだから出来る芸当でしょうが!ってか、どんだけ遠慮知らずな生活をしてるのよ?!追い出されるかもって不安になったりしない訳!?」
「うむ、そんな事は一度たりとも考えた事はないのう。」
「……本当に、アンタって色々な意味で凄いわね……」
「はっはっは、褒めるでない褒めるでない。照れてしまうではないか。」
「別に褒めてないわよ!全くもう……」
レミの能天気さに呆れたのかユキがため息を零しながら右手で額に触れていると、その間にリリアさんとライルさんが視線を正して俺達の方に向き直って来た。
「それでは皆様、名残惜しいですが私達はここで失礼させて頂きます。本日まで色々お世話になりました。そして楽しい思い出が作れた事、大変嬉しく思っております。また機会がありましたらご一緒にご旅行を致しましょう。」
「あぁ、その時は是非。」
「……俺としては、しばらくのんびりとしたい所だけどな。」
「あはは、確かにそうかもしれませんね。」
「うーん、私としてはもっと色々な所に旅行したいですけどね!」
「同感、もっと沢山のモンスターと戦ってみたい。」
「ちょっと、それって目的が違う気が……まぁ良いわ、どうせアタシには関係の無い事だからね。」
「ふふっ、それはどうだろうね?」
「あぁ、そういう事を言ってると面倒な事態になる事が……あるんだよなぁ……」
「……ねぇ、実感の籠《こも》った声で不吉な事を言うの止めてくれない?ってそうだ、今度アンタの所に寄らせてもらうかもしれないからその時は盛大にアタシの事をもてなしなさいよね!分かった?」
「……はいはい、了解しましたよ。」
「えへへ、ユキさんが訪れる日を楽しみにしていますね!」
「うん、心からのおもてなしをさせてもらうよ。」
「待ってる。」
「はっはっは、その時はわしも同行させてもらうとしようかのう。」
「そ、それでしたら私も!えぇ、必ずや!」
「わ、私もご一緒します!絶対!」
そんな感じで鼻息を荒くしながら意気込んでいたリリアさんとライルさん、そしてレミと別れの挨拶を交わすと3人が乗った馬車が見えなくなるまで見送るのだった。
「……さてと、それじゃあ俺達も陽が暮れる前に帰るとしますか。」
「ふふっ、そうだね。」
「あっ!おじさん、晩御飯はどうしましょうか?家には料理に使える食材は残ってはいませんよ!」
「あーそう言えばそうだったな……しゃあない、今日は外で食って行くか。」
「うん、それが良いだろうね。九条さん、素材の件はどうする?今日の内に報告だけでもしておくかい?」
「いや、それは明日で構わないだろ……それに疲れたしな……今日はさっさと帰ってゆっくり家で休みたいんだよ……」
「おじさーん、何だか発言がおじさんみたいですよ。」
「やかましいわ。つーかほら、さっさと行こうぜ。」
こうしてトリアルに戻って来た事を実感しながら外で晩飯を済ませた俺達は、暗くなった夜道を魔法の明かりで照らしながら家路につくのだった。
「ふーん、結構良い感じの街じゃない。それなりに賑わっているし店も充実しているみたいだし……うん、気に入ったわ。」
「ふふっ、ユキにそう言って貰えて嬉しいよ。」
「えぇ、ですがこの街の魅力はこれだけではありませんわ!叶うならば時間を掛けてジックリとその事についてお教えしたい所なのですが……残念ながら、本日は諦めるしかなさそうですわね。」
「はい、私達を乗せる為に停まっている馬車を待たせる訳にはいきませんからね。」
リリアさんとライルさんが2人揃って同じ場所に停車している豪勢な馬車に視線を送ると、同じ方向を見たユキは驚いた様な何とも言えない様な表情を浮かべていた。
「あの馬車ってやっぱりそういう事だったのね……送迎用の馬車がわざわざ出迎えてくれるだなんて本当に凄いわ……流石は貴族のお嬢様って感じよね……」
「……ユキ、この程度の事で驚いてたら体が持たねぇぞ。」
「……はぁ、今更だけどアタシって凄い人の所で世話になるのよね……ちょっとだけ不安になってきたわ……」
「はっはっは、そんなに心配せずとも大丈夫じゃよ!しばらく暮らしていれば慣れてくる!それに何処か行きたい所があれば馬車で送り迎えをしてくれるから、これまでよりも楽な生活が出来る事は間違いなしじゃ!」
「いや、それはアンタだから出来る芸当でしょうが!ってか、どんだけ遠慮知らずな生活をしてるのよ?!追い出されるかもって不安になったりしない訳!?」
「うむ、そんな事は一度たりとも考えた事はないのう。」
「……本当に、アンタって色々な意味で凄いわね……」
「はっはっは、褒めるでない褒めるでない。照れてしまうではないか。」
「別に褒めてないわよ!全くもう……」
レミの能天気さに呆れたのかユキがため息を零しながら右手で額に触れていると、その間にリリアさんとライルさんが視線を正して俺達の方に向き直って来た。
「それでは皆様、名残惜しいですが私達はここで失礼させて頂きます。本日まで色々お世話になりました。そして楽しい思い出が作れた事、大変嬉しく思っております。また機会がありましたらご一緒にご旅行を致しましょう。」
「あぁ、その時は是非。」
「……俺としては、しばらくのんびりとしたい所だけどな。」
「あはは、確かにそうかもしれませんね。」
「うーん、私としてはもっと色々な所に旅行したいですけどね!」
「同感、もっと沢山のモンスターと戦ってみたい。」
「ちょっと、それって目的が違う気が……まぁ良いわ、どうせアタシには関係の無い事だからね。」
「ふふっ、それはどうだろうね?」
「あぁ、そういう事を言ってると面倒な事態になる事が……あるんだよなぁ……」
「……ねぇ、実感の籠《こも》った声で不吉な事を言うの止めてくれない?ってそうだ、今度アンタの所に寄らせてもらうかもしれないからその時は盛大にアタシの事をもてなしなさいよね!分かった?」
「……はいはい、了解しましたよ。」
「えへへ、ユキさんが訪れる日を楽しみにしていますね!」
「うん、心からのおもてなしをさせてもらうよ。」
「待ってる。」
「はっはっは、その時はわしも同行させてもらうとしようかのう。」
「そ、それでしたら私も!えぇ、必ずや!」
「わ、私もご一緒します!絶対!」
そんな感じで鼻息を荒くしながら意気込んでいたリリアさんとライルさん、そしてレミと別れの挨拶を交わすと3人が乗った馬車が見えなくなるまで見送るのだった。
「……さてと、それじゃあ俺達も陽が暮れる前に帰るとしますか。」
「ふふっ、そうだね。」
「あっ!おじさん、晩御飯はどうしましょうか?家には料理に使える食材は残ってはいませんよ!」
「あーそう言えばそうだったな……しゃあない、今日は外で食って行くか。」
「うん、それが良いだろうね。九条さん、素材の件はどうする?今日の内に報告だけでもしておくかい?」
「いや、それは明日で構わないだろ……それに疲れたしな……今日はさっさと帰ってゆっくり家で休みたいんだよ……」
「おじさーん、何だか発言がおじさんみたいですよ。」
「やかましいわ。つーかほら、さっさと行こうぜ。」
こうしてトリアルに戻って来た事を実感しながら外で晩飯を済ませた俺達は、暗くなった夜道を魔法の明かりで照らしながら家路につくのだった。
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