おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第417話

「よっこいしょっと……ったく、幸せそうな顔して眠りやがって………」

「すぅ………すぅ………」

 帰って来て早々にバタンキューしたマホをベッドまで運んで来た俺は、何時までもこいつ等の寝室に居座る訳にはいかないと考えてすぐにリビングに戻って行った。

「おかえり九条さん、マホの様子はどうだった?」

「ん?まぁ、さっき見た通りだよ。明日まで起きやしないだろうな。」

「はっはっは、行く先々の温泉ではしゃいでおったから体力が無くなってしまったんじゃろうな。あやつもまだまだお子様じゃのう。」

「……レミもはしゃいでなかった?」

「いやいや、わしは大人として節度のある行動をしておったぞ。まぁ、ほんの少しは泳いだしたかもしれんがのう。」

「ったく、それじゃあマホの事をとやかく言えんだろうが……」

「ふっ、そんな呆れた様な表情をしても無駄じゃからな。お主は今、わし等が入浴をしている姿を頭の中に思い浮かべているじゃろ!」

「アホ、そんな事をする訳ないだろうが!お前は俺を何だと思ってんだ?」

「ふふっ、想像するだけなら誰にも迷惑にもならないよ。」

「……ロイド、年頃の女の子がそういう事を言うのは止めなさい。って言うか、俺にそんな事をする度胸があると思ってるのか?」

「いや、まず間違いなく無理じゃろうな!」

「うん、九条さんは優しい人だからそんな事はしない。」

「……前者と後者で大きな差を感じるが、理解しているみたいで助かるよ。ってか、そんな事よりもさっさと明日の予定について確認しておこうぜ……俺はもう、色々な意味で限界が近い……正直、ベッドに潜り込んだら一瞬で寝れちまうぞ……」

「おっと、それならば急がなくてはいけないね。えっと、確か明日は雪像の展覧会を見に行くんだったよね」

「うむ、そのついでに温泉を巡りながら土産物を探すんじゃったな。」

「あぁ、ロイドとライルさんが2人で出掛ける日を作る為に旅行の前半で色々と準備しておかないといけないらな……」

「……そう言えば、ロイドは何時頃ライルさんと出掛けるの?」

「うーん、そうだね。恐らくだけど4日後ぐらいかな。」

「そうか……ってなったら残された問題は……」

「リリアがお主達を羨ましく思うあまり暴走しないかだけじゃな。」

「ふふっ、そんなに心配しなくてリリアは大丈夫だと思うよ。」

「……そうだと良いんだけどな。」

 今日に至るまでに数々の暴走っぷりを目の当たりにしてるから、2人のデート姿を見たらどうなっちまうのか………不安だ………

「さてと、それでは明日も早い事だしそろそろ就寝するとしようか。」

「うむ、今からならば心地よい眠りにつけそうじゃ。」

「だな……そんじゃま、おやすみ。」

「あぁ、おやすみ。」

「おやすみ。」

「おやすみじゃ。」

 あくびを噛み殺しながら皆と別れて寝室に向かって行った俺は、ベッドの中に潜り込んでいくとすぐさま夢の世界へと旅立って行くのだった。

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