おっさんの異世界生活は無理がある。
第404話
「いらっしゃいませ、闘技場へようこそおいで下さいました。皆様、本日はどの様なご用件で此方に?」
「えっとですね、ガドル・オーリアさんとサラ・オーリアさんにご挨拶をとしようと思って立ち寄らせてもらったんですが……2人が何処に居るかご存知ですか?」
「はい。ガドル・オーリア様は現在、闘技場の奥にある会議室で今度開かれる大会についての打ち合わせをなさっています。サラ・オーリア様も付き添いとしてご一緒にいらっしゃるはずですよ。」
「本当ですか!それじゃあすみませんが、2人を呼び出してもらう事は……」
「九条さん、その必要はありませんよ。」
「えっ?」
闘技場の受付でお姉さんとやり取りをしていると右側から不意に声が聞こえてきたので反射的にそっちの方を向いてみると、そこには俺達が合おうと思っていた人達が仲良く並び立っていた。
「あっ、どうもお疲れ様です。ガドルさん、もう会議の方はよろしいんですか?」
「はい。後の事は関係者の方々が詰めてくれるそうです。それよりも、娘達の対応をしてくれてありがとうございました。」
「いえいえ、どういたしまして。それでは皆様、私はこれで失礼させて頂きますね。また何かありましたら何時でもお声掛け下さい。」
お姉さんはそう言ってペコリとお辞儀をしてくると、気を遣ってくれたのか受付を離れて2人が来たであろう通路の方へ歩いて行ってしまった。
そんな彼女の姿をしばし見送っていると、すぐ横に立っていたソフィがタタタっと小走りで駆け出してガバッとサラさんに抱き着いた。
「まま、ぱぱ、久しぶり。会えて嬉しい。」
「うふふ、私もソフィちゃんと同じ気持ちよ。はい、ぎゅー。」
「……えへへ。」
「く、九条さん!ソ、ソフィさんが……ソフィさんがとても可愛らしいですよ……!私、思わず胸がキュンってしちゃいました……!」
「うん……気持ちは分かるから腕を持ってガクガク揺さぶるのは止めてくれ……!」
ライルさんのせいで軽く酔いそうになっていると、ガドルさんが……どういう訳か鋭い目つきで睨みつける様に俺達の事を見てきた?
「九条さん……そちらの女性は?九条さんとはどういったご関係で?」
「へっ?あぁいや……」
「うふふ、もしかしてソフィちゃんのライバルかしら?」
「はい?ライバルって……何のですか?」
「まぁまぁ、そんなの決まっているじゃないですか。ライバルと言えば勿論」
「まま……」
「あら、ゴメンナサイ。余計なお世話だったみたいね。」
「……ん?ライルさん、何の事か分かるか?」
「ええっと、私の口からは何とも……それよりも、まずはお2人に自己紹介をさせて下さい。初めまして、私はライル・スティリアと申します。本日は色々と訳があって九条さんとソフィさんに付き添ってご挨拶に伺わせていただきました。」
「これはこれは、ご丁寧なご挨拶どうもありがとうございます。私はソフィちゃんのお母さん、サラ・オーリアと言います。そして……」
「初めまして。ソフィの父、ガドル・オーリアです。よろしくお願いします。」
「あっ、はい。よろしくお願いします。九条さん、お土産を……」
「おっと、そうだったな。あの、もしよろしかったらどうぞ。」
「まぁ、どうもありがとうございますね。それにしても、どうしてソフィちゃん達が王都に?もしかして、私達に何かご用事でも?」
「ううん、ままとぱぱには会いに来ただけ。」
「……それならどうして王都に居るんだ。」
「あぁ、それは俺からご説明します。実はですね……」
ガドルさんとサラさんにこれまでの流れをサラッと説明すると、2人は驚いた様な表情をしながら揃ってため息を零していた。
「そんな事があったなんて……本当に、九条さんとレミさんがご無事で何よりです。お2人にもしもの事があれば、ソフィちゃんが悲しんでしまいますから。」
「……もしもの事が無くても悲しかった。2人共、黙って行っちゃったから。」
「なるほど……どうやら私の忠告は聞いてもらえなかったみたいですね。」
「……忠告?」
「ガ、ガドルさん!それはその!」
「あの、ガドルさん。忠告っていうのは?」
「ライルさん!そこは別に聞かなくても良いんじゃないかな!?無事に解決した話をこうやって掘り返すのはさ!ねっ!」
「九条さんには以前、1人で無茶をせず仲間を頼る様にとお伝えしたんです。しかし今の話を聞く限りでは、それは聞き入れてはもらえなかったみたいですね。」
「い、いや……その………ひっ!ソ、ソフィさん?どうしてそんな怖い顔を……?」
「……そうなんだ……ぱぱにも言われてたのに……無視……したんだ……」
「だっ、から……それはだな………何と言うか……!」
「まぁまぁ、ソフィちゃんが怒る気持ちも分かるけれど落ち着いて。」
「サ、サラさん……!」
「ここでお説教をすると他の人に迷惑になってしまうわ。するならそうね……私達のお家に行きましょうか。そこでなら、誰の邪魔にもならないから。」
「サ、サラさん!?」
「……九条さん、ここは諦めた方が傷は浅く済むと思いますよ。」
「いやいや!怪我を完治させる為の旅行中に新しい傷を作るっておかしいだろ!?」
「……大丈夫です。恐らく傷つくのは心だけですから。」
「ちょっ!それは大丈夫とは言いませんよ……っ!?」
「九条さん……」
「な、何かなぁ……ソフィ……さん?」
「……皆にも、この事は伝えるから……覚悟、しておいてね。」
「………………………はい。」
無表情ながらにメチャクチャ怒っているのが感じ取れる事に恐怖しながらガクッと力が抜けてうなだれた俺は……宿に帰りたくないと思いながら歩き出したサラさんの後に続いて歩き始めるのだった………
「えっとですね、ガドル・オーリアさんとサラ・オーリアさんにご挨拶をとしようと思って立ち寄らせてもらったんですが……2人が何処に居るかご存知ですか?」
「はい。ガドル・オーリア様は現在、闘技場の奥にある会議室で今度開かれる大会についての打ち合わせをなさっています。サラ・オーリア様も付き添いとしてご一緒にいらっしゃるはずですよ。」
「本当ですか!それじゃあすみませんが、2人を呼び出してもらう事は……」
「九条さん、その必要はありませんよ。」
「えっ?」
闘技場の受付でお姉さんとやり取りをしていると右側から不意に声が聞こえてきたので反射的にそっちの方を向いてみると、そこには俺達が合おうと思っていた人達が仲良く並び立っていた。
「あっ、どうもお疲れ様です。ガドルさん、もう会議の方はよろしいんですか?」
「はい。後の事は関係者の方々が詰めてくれるそうです。それよりも、娘達の対応をしてくれてありがとうございました。」
「いえいえ、どういたしまして。それでは皆様、私はこれで失礼させて頂きますね。また何かありましたら何時でもお声掛け下さい。」
お姉さんはそう言ってペコリとお辞儀をしてくると、気を遣ってくれたのか受付を離れて2人が来たであろう通路の方へ歩いて行ってしまった。
そんな彼女の姿をしばし見送っていると、すぐ横に立っていたソフィがタタタっと小走りで駆け出してガバッとサラさんに抱き着いた。
「まま、ぱぱ、久しぶり。会えて嬉しい。」
「うふふ、私もソフィちゃんと同じ気持ちよ。はい、ぎゅー。」
「……えへへ。」
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「九条さん……そちらの女性は?九条さんとはどういったご関係で?」
「へっ?あぁいや……」
「うふふ、もしかしてソフィちゃんのライバルかしら?」
「はい?ライバルって……何のですか?」
「まぁまぁ、そんなの決まっているじゃないですか。ライバルと言えば勿論」
「まま……」
「あら、ゴメンナサイ。余計なお世話だったみたいね。」
「……ん?ライルさん、何の事か分かるか?」
「ええっと、私の口からは何とも……それよりも、まずはお2人に自己紹介をさせて下さい。初めまして、私はライル・スティリアと申します。本日は色々と訳があって九条さんとソフィさんに付き添ってご挨拶に伺わせていただきました。」
「これはこれは、ご丁寧なご挨拶どうもありがとうございます。私はソフィちゃんのお母さん、サラ・オーリアと言います。そして……」
「初めまして。ソフィの父、ガドル・オーリアです。よろしくお願いします。」
「あっ、はい。よろしくお願いします。九条さん、お土産を……」
「おっと、そうだったな。あの、もしよろしかったらどうぞ。」
「まぁ、どうもありがとうございますね。それにしても、どうしてソフィちゃん達が王都に?もしかして、私達に何かご用事でも?」
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「……それならどうして王都に居るんだ。」
「あぁ、それは俺からご説明します。実はですね……」
ガドルさんとサラさんにこれまでの流れをサラッと説明すると、2人は驚いた様な表情をしながら揃ってため息を零していた。
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「なるほど……どうやら私の忠告は聞いてもらえなかったみたいですね。」
「……忠告?」
「ガ、ガドルさん!それはその!」
「あの、ガドルさん。忠告っていうのは?」
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「九条さんには以前、1人で無茶をせず仲間を頼る様にとお伝えしたんです。しかし今の話を聞く限りでは、それは聞き入れてはもらえなかったみたいですね。」
「い、いや……その………ひっ!ソ、ソフィさん?どうしてそんな怖い顔を……?」
「……そうなんだ……ぱぱにも言われてたのに……無視……したんだ……」
「だっ、から……それはだな………何と言うか……!」
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