おっさんの異世界生活は無理がある。
第398話
「いらっしゃいませー……えっ、九条さん!?それに皆も!」
「よぉ、久しぶりだな。」
「こんにちはです!シーナさん!」
「うん!こんにちは!って言うか、九条さん元気になったんだね!」
「あぁ、まだ少しだけ傷は残ってるけどそれなりにな。」
「そうなんだ!でも、無事に退院できたみたいで本当に良かったよ!あっ、ちょっと待っててね!すぐに親方を呼んで来るから!」
本屋でノルウィンド関連の本を買い込んだ後に加工屋に立ち寄ってみるとシーナが満面の笑みで出迎えてくれて、勢いそのままに店の奥に引っ込んで行くと親父さんの腕を引っ張りながら駆け足で戻って来た。
「ったく、お前なぁ……」
「もう、お説教は後で聞くからさ!それよりもほら!九条さんが来てくれたよ!」
「あっ、こんにちは」
「……こんにちは。」
ヤレヤレといった感じでシーナから視線を逸らし俺達の方を見てきた親父さんは、静かにため息を零しながら柔らかく微笑みかけてきてくれた。
「グリフ、わざわざ来てもらってすまないね。仕事の邪魔をしてしまったかい?」
「いえ、そんな事はありません。それにしても……ロイドさんも九条さんもお元気になってくれたみたいで本当に良かったですよ。ウチの娘なんかは、お2人の事を心配しすぎて仕事もまともに出来ない状態でしたからね。」
「ちょ、ちょっと親方!恥ずかしいからその事は言わない約束だったじゃんか!」
「おっと、そうだったか?すまんすまん。」
「もう!」
「ふふっ、ありがとうねシーナ。とっても嬉しいよ。」
「う、うぅ……ど、どういたしまして………」
「はっはっは!いっちょ前に照れてんのか?」
「う、うるさいなぁ!別にそんな事ないもん!ってそれよりも今日はどうしたのさ!何か用事があったからウチに来たんだよね?」
「ん?あぁそうだった。実はその、俺の武器について何だが……」
「あー!アレっ!ってか九条さん!どんな戦い方をしたら、武器の刀身があんな事になるのさ!病院でも言ったけど本っ当にあり得ないからね!」
「いや、だからその……メチャクチャ硬いモンスターに最後の一撃をくれてやったら衝撃で……な?」
「いやいや、そんなの嘘に決まってるじゃん!あのカタナって武器の刀身は簡単には壊れないって作った本人が知ってるんだからね!しかもコアクリスタルを強化素材にした方もって……いい加減にどんな敵と戦ったのか教えてよ!」
「えっと、それは……」
まさかトリアルを滅ぼそうとした神様と戦いましたなんてバカ正直に言えるはずもねぇし……あーもう、どうやって誤魔化したもんか……
「シーナ、九条さんが困ってるだろうが。」
「うぅ!でもでも!あの武器ってすっごい自信作だったんだよ!?それなのに……」
「それは俺も分かってる。だが、九条さんにも色々と事情があるんだろう。そういうのは無理やり暴くもんじゃねぇよ。」
「……すいません。」
「むぅ……九条さん!今回は諦めるけど、何時か必ず本当の事を教えてよね!」
「……おう。」
「……よしっ!それじゃあ本題に入ろうか!それで?今日はどういったご用件で?」
親父さんに説得されて渋々といった感じでどうにか納得してくれたらしいシーナが表情をパッと切り替えてそう尋ねてきたので、俺はここに至るまでの経緯を事細かに説明してくのだった。
「……そんな訳で武器がどうなってるのか聞きにきたんだ。」
「なるほどねぇ……親方、九条さんの武器って今どんな感じだっけ?」
「完成度としては……一応、8割って所だな。」
「ふーん、それじゃあ来週までには間に合いそうだね!あっ、でもちょっとだけ切れ味とかは落ちちゃうかもだけど……そこは勘弁してほしいんだ。素材とかもそんなにある訳じゃ無いから、色々と難しくてね。」
「あぁ、無理を言って悪いな。」
「ううん、気にしないで!けど……そうだな……もし悪いなって思う部分が少しでもあるんなら、ちょっとしたお願いを聞いて欲しいんだけど……」
「はぁ……ノルウィンドで素材を集めて来いって言うんだろ?」
「おっ!やっぱり分かっちゃった?」
「そりゃあ、この流れからすりゃ大体の察しはつくっての。」
「えへへ~!なんか通じ合ってるって感じがして照れちゃうね!」
「そ、れは……いや……まぁ………ひぃ!?」
「……九条さん……勘違いだけはしないでくれよ………なっ?」
「は、はい!!分かってますとも!」
「……やれやれですね。」
「ふふっ、それだけシーナが愛されているという事だよ。」
「……私達も負けてない。」
「ん?なんかよく分からないけど……それじゃあ素材、お願いね!」
「あ、あぁ……了解………そっちも俺の武器、よろしく頼んだぞ。」
「うん!任せといて!それじゃあ、またね!」
グッと親指を立てながら頷いてくれたシーナと怖い目つきの親父さんに見送られて加工屋を後にした俺達は、自宅に戻って少し早めの昼食を済ませてしばらくのんびりすると予備の武器を持ってクエストを受ける為に斡旋所に向かって行くのだった。
「よぉ、久しぶりだな。」
「こんにちはです!シーナさん!」
「うん!こんにちは!って言うか、九条さん元気になったんだね!」
「あぁ、まだ少しだけ傷は残ってるけどそれなりにな。」
「そうなんだ!でも、無事に退院できたみたいで本当に良かったよ!あっ、ちょっと待っててね!すぐに親方を呼んで来るから!」
本屋でノルウィンド関連の本を買い込んだ後に加工屋に立ち寄ってみるとシーナが満面の笑みで出迎えてくれて、勢いそのままに店の奥に引っ込んで行くと親父さんの腕を引っ張りながら駆け足で戻って来た。
「ったく、お前なぁ……」
「もう、お説教は後で聞くからさ!それよりもほら!九条さんが来てくれたよ!」
「あっ、こんにちは」
「……こんにちは。」
ヤレヤレといった感じでシーナから視線を逸らし俺達の方を見てきた親父さんは、静かにため息を零しながら柔らかく微笑みかけてきてくれた。
「グリフ、わざわざ来てもらってすまないね。仕事の邪魔をしてしまったかい?」
「いえ、そんな事はありません。それにしても……ロイドさんも九条さんもお元気になってくれたみたいで本当に良かったですよ。ウチの娘なんかは、お2人の事を心配しすぎて仕事もまともに出来ない状態でしたからね。」
「ちょ、ちょっと親方!恥ずかしいからその事は言わない約束だったじゃんか!」
「おっと、そうだったか?すまんすまん。」
「もう!」
「ふふっ、ありがとうねシーナ。とっても嬉しいよ。」
「う、うぅ……ど、どういたしまして………」
「はっはっは!いっちょ前に照れてんのか?」
「う、うるさいなぁ!別にそんな事ないもん!ってそれよりも今日はどうしたのさ!何か用事があったからウチに来たんだよね?」
「ん?あぁそうだった。実はその、俺の武器について何だが……」
「あー!アレっ!ってか九条さん!どんな戦い方をしたら、武器の刀身があんな事になるのさ!病院でも言ったけど本っ当にあり得ないからね!」
「いや、だからその……メチャクチャ硬いモンスターに最後の一撃をくれてやったら衝撃で……な?」
「いやいや、そんなの嘘に決まってるじゃん!あのカタナって武器の刀身は簡単には壊れないって作った本人が知ってるんだからね!しかもコアクリスタルを強化素材にした方もって……いい加減にどんな敵と戦ったのか教えてよ!」
「えっと、それは……」
まさかトリアルを滅ぼそうとした神様と戦いましたなんてバカ正直に言えるはずもねぇし……あーもう、どうやって誤魔化したもんか……
「シーナ、九条さんが困ってるだろうが。」
「うぅ!でもでも!あの武器ってすっごい自信作だったんだよ!?それなのに……」
「それは俺も分かってる。だが、九条さんにも色々と事情があるんだろう。そういうのは無理やり暴くもんじゃねぇよ。」
「……すいません。」
「むぅ……九条さん!今回は諦めるけど、何時か必ず本当の事を教えてよね!」
「……おう。」
「……よしっ!それじゃあ本題に入ろうか!それで?今日はどういったご用件で?」
親父さんに説得されて渋々といった感じでどうにか納得してくれたらしいシーナが表情をパッと切り替えてそう尋ねてきたので、俺はここに至るまでの経緯を事細かに説明してくのだった。
「……そんな訳で武器がどうなってるのか聞きにきたんだ。」
「なるほどねぇ……親方、九条さんの武器って今どんな感じだっけ?」
「完成度としては……一応、8割って所だな。」
「ふーん、それじゃあ来週までには間に合いそうだね!あっ、でもちょっとだけ切れ味とかは落ちちゃうかもだけど……そこは勘弁してほしいんだ。素材とかもそんなにある訳じゃ無いから、色々と難しくてね。」
「あぁ、無理を言って悪いな。」
「ううん、気にしないで!けど……そうだな……もし悪いなって思う部分が少しでもあるんなら、ちょっとしたお願いを聞いて欲しいんだけど……」
「はぁ……ノルウィンドで素材を集めて来いって言うんだろ?」
「おっ!やっぱり分かっちゃった?」
「そりゃあ、この流れからすりゃ大体の察しはつくっての。」
「えへへ~!なんか通じ合ってるって感じがして照れちゃうね!」
「そ、れは……いや……まぁ………ひぃ!?」
「……九条さん……勘違いだけはしないでくれよ………なっ?」
「は、はい!!分かってますとも!」
「……やれやれですね。」
「ふふっ、それだけシーナが愛されているという事だよ。」
「……私達も負けてない。」
「ん?なんかよく分からないけど……それじゃあ素材、お願いね!」
「あ、あぁ……了解………そっちも俺の武器、よろしく頼んだぞ。」
「うん!任せといて!それじゃあ、またね!」
グッと親指を立てながら頷いてくれたシーナと怖い目つきの親父さんに見送られて加工屋を後にした俺達は、自宅に戻って少し早めの昼食を済ませてしばらくのんびりすると予備の武器を持ってクエストを受ける為に斡旋所に向かって行くのだった。
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