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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第387話

「……どうやら見張りをしている奴は居ないみたいじゃな。それに侵入者を撃退する為の罠なども存在していないみたいじゃのう。」

「あぁ……この場所が見つかるはず無いと思って、油断してたんだろ……それに……構造もそんなに複雑じゃないみたいだ……ダンジョンとは違って……道が分かれてる訳じゃ無いみたいだからな………」

「うむ、そこまで似せてしまうと利用するのに不便だと思ったんじゃろう。さてと、お喋りはこのぐらいにして奥へ進むぞ……九条、何が起こるか分らんから警戒だけはしておくんじゃぞ。」

「ははっ、そんな事は……言われなくても分かってるよ……っ!」

 こっちに背を向けたレミに気付かれない様に胸の辺りをグッと握り締めた俺は……心臓が潰される様な痛みに耐えつつ……少ない松明の火に照らされた薄暗い廊下を、足音を立てない様に注意しながら歩いていると……途中に木製の扉があって………?

「何だ……この変な臭い……一体何処から……」

「……そこの部屋からみたいじゃな……中を確かめてみるか?」

「……あんまり良い予感はしないけどな。」

 そう呟きながら異臭のする部屋の前までやって来た俺達は、扉をゆっくりと押して真っ暗な室内を魔法の光で照らし出してみたのだが………

「……やはり……そういう事じゃったのか……」

「こりゃ……干からびた……人間か?でも、どうしてこんなに沢山……」

「……恐らくじゃが、こやつらは悪しき神を復活させる為に自身の魂を捧げた者達であろうな。」

「……それが本当だとしたら、随分と狂ってる連中だな。」

「同感じゃな……ふぅ、こんな所に長居は無用じゃ。そろそろ出るぞ。」

「あぁ……そうだな………」

 悪しき神が復活をすれば君達も命を取り戻し、世界を手に入れる事が出来るのだ!なーんて甘い言葉に騙されたって所なんだろうが……ったく、救いようがないぜ……

 お決まりの通りの展開……って言えばそこまでなんだろうが、実際に目の当たりにしちまうとやっぱりキツイもんだな……

 そんな事を考えながら一本道の長い廊下を更に奥へと進んで行くと……視界の先に松明の頼りない明かりに照らされた巨大な扉が見えてきた………が……!

「よ、ようやく……一番……奥……に……!はぁ…はぁ………うぐっ!」

「く、九条!」

「お、俺の事は……気にするな……っ!それよりも……!」

 壁に手をつきながら歯を食いしばり……震える足を強引に動かして……一歩………また一歩と進んで行き……最後には……倒れ込む様にして……扉を……開くと……!

「……誰だ、お前達は。どうやってこの場所へ入って来た。」

「ふっ、その質問に答えてやる義理は無い。そんな事よりお主の後ろで渦巻いている黒い影はもしや……」

 膝から崩れ落ちている俺を……庇う様にして……前に出て来たレミの背後から……部屋の中を改めて見渡してみると……そこには……黒いローブを被った顔の見えない男と……竜巻の様に渦を巻いている黒い影みたいな物があって……っ!?

「ぐぅっ!」

「っ?!九条!オイ、しっかりせんか!」

「……なるほど、そういう事か。チッ、あの愚息め……最後の役割をくれてやったというのにそれすらまともに果たせなかったのか。」

「愚息じゃと?それでは、やはりお主はリーパー・アレクシスの!」

「あぁそうだ、非常に遺憾ながら奴は我が息子……だったモノだな。アイツには私の顔に泥を塗った責任を取って神を復活させる為の生贄となってもらった。まぁ、本人としてはそんなつもり無かっただろうがなぁ……あっはっはっはっはっは!」

「こ、この……クソ野郎が……っ!」

「ふっ、無様な姿で何を言うかと思えば……私は利用価値の無くなったモノを再利用してやったんだぞ?奴に感謝されこそすれ、恨まれる筋合いなんぞ微塵も無いわ。」

「……それを本気で言っておるのだとしら、救いようのない奴じゃな。」

「救いだと?そんな物、私には必要無い。何故ならば……!私はこの世界を支配する神となるのだからなぁ!!」

「はぁ…はぁ………っ!?」

「九条っ!」

「お前達のせいで計画が狂ってしまったが致し方あるまい!生贄は充分に捧げたッ!さぁ、我が一族が遠き昔に封印した悪しき神よ!我が前に現れ出るのだっ!!」

 さっきまでとは比べ物にならない激痛に襲われて呼吸を荒げながら必死に奴の方に目を向けてみると、荒れ狂う風を生み出している黒い渦の中に何かが姿を……!

「よぉし、良いぞぉ!!これで……これで私はぐうぇ!?は、はな……セ……ア……アア………アアアア……‥アアア………!!?!!?!」

「なっ?!マズイ、このままでは……!九条、すまぬが武器を借りるぞ!」

「ま……てっ……!」

 何かに首を掴まれたリーパー・アレクシスの父親が断末魔を上げる姿を見たレミが俺の腰に差さっていた刀を抜き取って駆け出した次の瞬間、目も開けられないぐらい激しい風が部屋の中に吹き荒れて……っ!?

「レ……レミ……‥!」

 痛みに耐えつつ体を起こし……顔を上げた先に見えたのは……空中に舞い上がった黒いローブと……刀を握り締めたまま……壁の方へ吹き飛んで行ったレミの……?!

「っ!?ぐっ……!こん……のっ!」

 いきなり黒い渦の中から飛び出して来た何かに首を掴まれて凄まじい速度で遺跡の外に連れ出されそうになってい事を認識した俺は、左手でソレを握り締めると右手で腰に差さっているもう1つの武器を手にすると思いっきり刃を突き立てっ?!

「ぐっ!?がっはっ!!」

 ヤ、ヤベェ……!運ばれてた勢い、そのままに…‥投げ出されて……受け身も……取れないまま……何かに…ぶつかったせいで……い、息が……出来ねぇ……!それにここは……外……なのか……?

「な……んで………っ?!!?!!!!」

 状況を把握しようと思い……四つん這いになりながら周囲を見渡そうとしたら……つ、月明かりに照らされた遺跡の前に……禍々しいオーラを放っている……黒い……大きな……甲冑が……同じぐらい大きい……ブレードを手に……存在していて……!

「………………」

「そう言う……事かよ……!」

 ロイドに…呪いを掛けて……皆を苦しめていた元凶は……お前か……!だったら…痛みであえいでいる暇なんて……これっぽっちも………無いんだよっ!!

「うっ、おおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 腹の底から大声を出しながら激痛が走る全身に力を込めて武器を握り締めた俺は、目の前に存在している死神を斬り倒す為に魔法を使って移動速度を限界まで上げると全速力で駆け出して行った!そして振り上げたショートブレードを一気にっ!

「オラァッ!!んなっ!?がああああああああああ!!!!」

 想像していた以上の速度で地面に突き刺さっていたブレードを引き抜いた甲冑は、俺の攻撃を即座に受け止めた……だけではなく、そのまま力任せに武器を思いっきり振り抜きやがった!?

 そのせいで勢いそのままに後方吹き飛ばされてしまった次の瞬間、甲冑が魔方陣を出現させて黒い電撃を撃ってきているのが視界に飛び込んできたが俺はどうする事も空中でソレをくらっちまって……叫び声をあげながら地面を転がる事になった……!

「……………マ……ズイ……な………この……‥感覚……は………」

 ガドルさんと……戦った時ぶりぐらいか………?ちきしょう……経験値が……早く溜まるってのは……案外……厄介なもんだなぁ………頭で理解したくなくても………全細胞が……教えやがる………どうあがいても……勝てないって………

「…………………」

「はは……はっ………とどめ……刺しに来る‥…つもりか…………」

 まぁ……それも良いのかもな……ここなら……誰かを巻き添えにする事も無い……いや……レミはどうだろうな……………ふっ、アイツは神様だから……大丈夫か……

「あぁ…………もう………痛いのか……‥どうかも…………分かんねぇや………」

 ……そんな事を呟きながら……最後の時を迎える覚悟をして……奴が……死神が…こっちに向かって来る姿を………目に……して………………いや……まだだっ……!

「バカか……俺は……!まだ……一発も食らわせてねぇのに……諦めて……眠ってる場合じゃ……ねぇだろうが……!」

 皆を……ロイドを……苦しめて……悲しませて……そんな奴を目の前にして………何も出来ないまま………終わってたまるかよっ!

「ぐっ、うっ………ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 全身に襲い掛かる痛みを全て無視して死に物狂いで立ち上がった俺は……雄叫びをあげながらショートブレードを握り締めて甲冑の方へ駆け出して行った……そして!

「ハァッ!!」

「…………!」

 最後の力を振り絞って振り下ろした瞬間………俺の視界は……真っ赤に染まり……ショートブレードを握る何かが飛んで行くのと……甲冑がブレードを振り上げている姿が見えて………そこ……で………………………………

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