おっさんの異世界生活は無理がある。
第374話
翌朝、大通りで2人と別れた後に結構な値段のする菓子を買ってロイドの実家までやって来た俺達は門番の人達に事情を説明して敷地の中に入って行くのだった。
「それにしても……久しぶりにここに来てみて改めて思ったんだが、お前の実家ってやっぱり凄い所だよなぁ。。」
「ふむ、ついこの間マホにも似た様な事を言われたがそうなんだろうか?私としてはあんまりそういった自覚が無いから、どう反応すれば良いのか困ってしまうね。」
「まぁ、貴族のお嬢様として育ってきたお前からしたらそうなんだろうよ……って、あれ?もしかしてあの人は……」
手入れの行き届いた中庭や巨大な噴水を見ながら思わず苦笑いを浮かべていると、屋敷内から赤髪の男性が姿を現して俺達と目が合うとこっちに近寄って来てニコっと微笑みかけてきながら深々とお辞儀をしてくれた。
「お帰りなさいませ、ロイド様。そしてお久しぶりでございます九条様。」
「えぇ、お久しぶりですカームさん。」
「おや、名前を憶えていて下さったんですね。どうもありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」
カーム・ダイスさん……確かロイドの師匠とも言える存在だったはず……だよな?こうして会うのはどれぐらいぶりか分からないから少し不安だったけど、反応を見る限りでは俺の記憶に間違いはない……と、思う。
「2人共、挨拶はそれぐらいにして本題に入らせてもらっても良いかい。」
「……それもそうだな。カームさん、実は今日ここに来た理由なんですが……」
「警備隊の者に先ほど無線で伺いました。何でもご当主様にお尋ねしたい事がおありなんだそうですね」
「うん、その通りなんだが……カーム、父さんに会いに行っても大丈夫そうかい?」
「……すみませんロイド様。ご当主様は先ほど仕事に取り掛かったばかりですので、しばらくの間はお会いするのは難しいかと思います。もしお急ぎでないのであれば、談話室にて時間を潰すのが良いかと思いますがどうなさいますか?」
「ふむ、それもそうだな。九条さんもそれで構わないかい?」
「あぁ、エリオさんに迷惑を掛ける訳にもいかないからそれで大丈夫だ。」
「かしこまりました。それではご案内を致しますので、私について来て下さい。」
そう言って俺達に背を向けて歩き出したカームさんの後に続いて屋敷に入ってからしばらくして、俺達は豪勢な家具が置かれた広々とした部屋にやって来るのだった。
「はぁ……こりゃまた凄い所だな……我が家がちっぽけに思えてくるぜ……」
「ふふっ、そんな事は無いよ九条さん。カーム、すまないが使用人に紅茶を用意してくれるように頼んで来てくれるかい。」
「はい、かしこまりました。それとご当主様の手が空きましたらご報告をするように言ってきます。」
「うん、よろしくね。」
そんなやり取りがあってから数分後、俺達はメイドさんが淹れてきてくれた紅茶に口を付けていた……遠慮も無しに手土産を食ってまくっているレミと一緒にな……!
「おぉ!これも中々に美味じゃのう!これ九条、そっちの菓子もよこさんか!」
「アホか!これ以上はエリオさんとカレンさんに渡す分が無くなるわ!って言うか、お前は何処から現れやがったんだよ!?」
「はっはっは!メイドと一緒に来たに決まっておるじゃろう!そんな事よりも九条!さっさと菓子をわしに貢ぐんじゃ!安心せい、味はしっかりと伝えてやるから!」
「その言葉にどうやって安心しろと!?あっ、コラ!やめんかバカタレ!」
「おやおや、九条さんとレミさんは本当に仲がよろしんですね。」
「ふふっ、見ていると微笑ましくなってしまうよ。」
「ちょっ!優雅に見守ってないでレミをどうにかしてくれよ!?」
「おっと、これはすまなかったね。レミ、今日はそれぐらいで勘弁してくれないか。今度、君が望む物を何でも食べさせてあげるからさ。」
「おっ、それは本当かロイド?」
「勿論。」
「ふっふっふ、それならば仕方がないのう!九条、ロイドに感謝するんじゃぞ!」
「ぐっ!どうしてお前が偉そうにしてんだっての……」
ロイドのおかげでようやく腹ペコモンスター型の神様から解放された俺は、ずっと死守していた菓子の入った紙袋をガラステーブルの上に置くと深々とため息を零してお高そうなソファーに座り直すのだった……
「それにしてもお主達、今日はどうしてここに来たんじゃ?」
「ん?まぁそうだな……エリオさんにちょっと聞きたい事があってな。」
「聞きたい事……そう言えば詳しくお尋ねしませんでしたが、その内容とは?」
「そうだね。簡単に言ってしまえば、私の噂話の発信者に関する事をかな。」
ロイドがそう告げた瞬間、さっきまで朗らかな雰囲気を漂わせていたカームさんの表情が一変して険しいものに……?
「……なるほど、ロイド様との結婚を言いふらしているあの方の情報をですね。」
「おや、その口ぶりは……もしかしてその人について何か知っているのかい?」
「はい。ですが詳しい事はご当主様からお伺いになった方がよろしいかと思います。現在、取り掛かっている仕事はその人物に関する事ですので。」
「えっ、それってどういう……」
「失礼します。ロイド様、九条様、ご当主様がお呼びになっておられます。」
カームさんに話を聞こうとしたその直後、部屋の扉がノックされる音が響いてきてメイドさんがお辞儀をして入って来た
「おっ、どうやらエリオの手が空いたみたいじゃな。それでは行くとするかのう。」
「……はい?まさかとは思うが、お前もついてくる気なのか?」
「当然じゃ!そうすれば、そこの菓子もすぐに貰えるじゃろうからのう!」
「お、お前なぁ……」
「まぁまぁ、それよりも父さんの元に行こうじゃないか。」
「はぁ……分かった、分かりましたよ……ったく……」
「それでは皆様、私は仕事がありますのでここで失礼させていただきます。」
「あっ、はい。色々とありがとうございました。」
「いえ、それではまた。」
俺達に向かってお辞儀をしてから立ち去って行ったカームさんを見送った後、俺はロイドやレミと一緒に部屋を出てメイドさんに案内されてエリオさんが待っているであろう2階の執務室へと向かって行くのだった。
「それにしても……久しぶりにここに来てみて改めて思ったんだが、お前の実家ってやっぱり凄い所だよなぁ。。」
「ふむ、ついこの間マホにも似た様な事を言われたがそうなんだろうか?私としてはあんまりそういった自覚が無いから、どう反応すれば良いのか困ってしまうね。」
「まぁ、貴族のお嬢様として育ってきたお前からしたらそうなんだろうよ……って、あれ?もしかしてあの人は……」
手入れの行き届いた中庭や巨大な噴水を見ながら思わず苦笑いを浮かべていると、屋敷内から赤髪の男性が姿を現して俺達と目が合うとこっちに近寄って来てニコっと微笑みかけてきながら深々とお辞儀をしてくれた。
「お帰りなさいませ、ロイド様。そしてお久しぶりでございます九条様。」
「えぇ、お久しぶりですカームさん。」
「おや、名前を憶えていて下さったんですね。どうもありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」
カーム・ダイスさん……確かロイドの師匠とも言える存在だったはず……だよな?こうして会うのはどれぐらいぶりか分からないから少し不安だったけど、反応を見る限りでは俺の記憶に間違いはない……と、思う。
「2人共、挨拶はそれぐらいにして本題に入らせてもらっても良いかい。」
「……それもそうだな。カームさん、実は今日ここに来た理由なんですが……」
「警備隊の者に先ほど無線で伺いました。何でもご当主様にお尋ねしたい事がおありなんだそうですね」
「うん、その通りなんだが……カーム、父さんに会いに行っても大丈夫そうかい?」
「……すみませんロイド様。ご当主様は先ほど仕事に取り掛かったばかりですので、しばらくの間はお会いするのは難しいかと思います。もしお急ぎでないのであれば、談話室にて時間を潰すのが良いかと思いますがどうなさいますか?」
「ふむ、それもそうだな。九条さんもそれで構わないかい?」
「あぁ、エリオさんに迷惑を掛ける訳にもいかないからそれで大丈夫だ。」
「かしこまりました。それではご案内を致しますので、私について来て下さい。」
そう言って俺達に背を向けて歩き出したカームさんの後に続いて屋敷に入ってからしばらくして、俺達は豪勢な家具が置かれた広々とした部屋にやって来るのだった。
「はぁ……こりゃまた凄い所だな……我が家がちっぽけに思えてくるぜ……」
「ふふっ、そんな事は無いよ九条さん。カーム、すまないが使用人に紅茶を用意してくれるように頼んで来てくれるかい。」
「はい、かしこまりました。それとご当主様の手が空きましたらご報告をするように言ってきます。」
「うん、よろしくね。」
そんなやり取りがあってから数分後、俺達はメイドさんが淹れてきてくれた紅茶に口を付けていた……遠慮も無しに手土産を食ってまくっているレミと一緒にな……!
「おぉ!これも中々に美味じゃのう!これ九条、そっちの菓子もよこさんか!」
「アホか!これ以上はエリオさんとカレンさんに渡す分が無くなるわ!って言うか、お前は何処から現れやがったんだよ!?」
「はっはっは!メイドと一緒に来たに決まっておるじゃろう!そんな事よりも九条!さっさと菓子をわしに貢ぐんじゃ!安心せい、味はしっかりと伝えてやるから!」
「その言葉にどうやって安心しろと!?あっ、コラ!やめんかバカタレ!」
「おやおや、九条さんとレミさんは本当に仲がよろしんですね。」
「ふふっ、見ていると微笑ましくなってしまうよ。」
「ちょっ!優雅に見守ってないでレミをどうにかしてくれよ!?」
「おっと、これはすまなかったね。レミ、今日はそれぐらいで勘弁してくれないか。今度、君が望む物を何でも食べさせてあげるからさ。」
「おっ、それは本当かロイド?」
「勿論。」
「ふっふっふ、それならば仕方がないのう!九条、ロイドに感謝するんじゃぞ!」
「ぐっ!どうしてお前が偉そうにしてんだっての……」
ロイドのおかげでようやく腹ペコモンスター型の神様から解放された俺は、ずっと死守していた菓子の入った紙袋をガラステーブルの上に置くと深々とため息を零してお高そうなソファーに座り直すのだった……
「それにしてもお主達、今日はどうしてここに来たんじゃ?」
「ん?まぁそうだな……エリオさんにちょっと聞きたい事があってな。」
「聞きたい事……そう言えば詳しくお尋ねしませんでしたが、その内容とは?」
「そうだね。簡単に言ってしまえば、私の噂話の発信者に関する事をかな。」
ロイドがそう告げた瞬間、さっきまで朗らかな雰囲気を漂わせていたカームさんの表情が一変して険しいものに……?
「……なるほど、ロイド様との結婚を言いふらしているあの方の情報をですね。」
「おや、その口ぶりは……もしかしてその人について何か知っているのかい?」
「はい。ですが詳しい事はご当主様からお伺いになった方がよろしいかと思います。現在、取り掛かっている仕事はその人物に関する事ですので。」
「えっ、それってどういう……」
「失礼します。ロイド様、九条様、ご当主様がお呼びになっておられます。」
カームさんに話を聞こうとしたその直後、部屋の扉がノックされる音が響いてきてメイドさんがお辞儀をして入って来た
「おっ、どうやらエリオの手が空いたみたいじゃな。それでは行くとするかのう。」
「……はい?まさかとは思うが、お前もついてくる気なのか?」
「当然じゃ!そうすれば、そこの菓子もすぐに貰えるじゃろうからのう!」
「お、お前なぁ……」
「まぁまぁ、それよりも父さんの元に行こうじゃないか。」
「はぁ……分かった、分かりましたよ……ったく……」
「それでは皆様、私は仕事がありますのでここで失礼させていただきます。」
「あっ、はい。色々とありがとうございました。」
「いえ、それではまた。」
俺達に向かってお辞儀をしてから立ち去って行ったカームさんを見送った後、俺はロイドやレミと一緒に部屋を出てメイドさんに案内されてエリオさんが待っているであろう2階の執務室へと向かって行くのだった。
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