おっさんの異世界生活は無理がある。
第371話
親父さんとシーナに感謝されながら店を後にしてから数時間後、夕食を食べ終えて風呂に入った俺は就寝前の時間にしていた雑談のついでに加工屋で聞いた噂の真偽をロイドに確かめてみる事にした。
「……って訳なんだが、まさかとは思うが結婚する予定とかが近々あるのか?」
「いや、そんな予定は1つも無いよ。それにもしそんな予定があるのならば、大切な仲間である皆に黙ってするはずがないだろう?」
「オイ、そうやって人の恥ずかしい過去を思い出させようとするんじゃない。」
「おや、それは済まなかったね。」
「ったく、本当に悪いと思ってんのかよ……」
爽やかな笑みを浮かべているロイドに呆れながら紅茶の入ったティーカップに口を付けていると、マホがソファーに座っている俺の隣に腰かけて顔を覗き込んで来た。
「ご主人様、その結婚するかもって噂は一体何処から広まってきたんでしょうね。」
「さぁな、シーナもお客さんから聞いたってだけみたいだし……」
「ロイド、原因に心当たりはない?」
「ふむ、そうだね……もしかしたら、今日の事と関係しているのかもしれないね。」
「今日のって……そういや実家に呼び出されてたな。一体何の用事だったんだ?」
「あっ、それが聞いて下さいよ!実はですね、ロイドさんにお見合いの話が来ていたみたいなんですよ!」
「……見合い?ロイドにか?」
「ふふっ、驚いたかい?」
「……別に、お前も貴族の娘って立場なんだからそんな話ぐらい出て来るだろうさ。でも、それがどうやって結婚なんて噂が広まった事と関係するんだ?」
「それがですね、お相手の方は王都に住む高名な貴族の方らしくて……」
「ソイツが色んな所でロイドと結婚したらどうなるかって話をしているらしい。」
「はぁ?なんじゃそりゃ……もしかして、ソイツって婚約者だったりするのか?」
「いや、パーティー等で挨拶ぐらいはした事はあるかもしれないけど面識があるとは言い難いだろうね。」
「えぇ……そんな奴がお前と結婚したらどうだとか言いふらしてんのか……どんだけ痛い奴なんだよ……まさか、それが噂になり始めたって言うのか?」
「恐らくはね。私の知らない所で運命の相手だとか、結婚すればこの世界はより良くなるだとか言いまわっているらしい。」
「うへぇ……ちょっと怖すぎなんですけど……ヤバくねぇかソイツ?エリオさん達の方でどうにか出来ないのか?」
「それが困った事に人格者として通っているらしくてね。その話も大々的にしている訳では無くて、ちょっとした冗談交じりみたいな言い方らしいんだよ。」
「なるほどね、あくまでも結婚を匂わせてる程度って事か……そんでその話が、噂になって街に出回り始めたと……厄介だな。」
「あぁ、しかもそんな相手が見合いの話を持ってきたから困ったものだよ。父さんは私の想いを知ってくれているから断ってくれる気みたいだけどね。」
「ふーん……えっ、それじゃあ何でわざわざ呼び出されたんだ?」
「念の為に私の意向を聞いておきたかったみたいだよ。本当にこの見合い話を断って良いのかって……まぁ、相手方には悪いが即答させてもらったよ。今の生活を捨てて誰かと家庭を築くつもりなんて私には無いからね。」
「……ロイドは私達の家族。」
「その通りです!誰にも渡しませんよ!」
「いやいや、お前達のものでもないでしょうに……まぁ、ロイドがそう決めたんなら俺が言う事は何も無いけど……大丈夫なのか?」
「勿論、何も心配する必要なんて無いよ。」
「えへへ、良かったですねご主人様!ロイドさんがずっと一緒に居てくれて!」
「はいはい、そうですねぇ……っと、もう良い時間だしそろそろ寝るとしますか。」
「あっ、はい!ご主人様、明日は皆でお買い物に行くんですから寝坊しない様に気を付けて下さいよね!」
「あっはっは!……もしもの時は、よろしくお願いします。」
「もう!しっかりして下さいよね!」
「まぁまぁ、いざとなったら私とソフィが協力して九条さんを叩き起こすよ。」
「任せて。」
「俺の生死に関わりそうだからそれだけはマジ止めてくれ!」
そんないつも通りのやり取りをしながらリビングを出た俺達は、それぞれの部屋に戻って行って1日を終えるのだった。
「……って訳なんだが、まさかとは思うが結婚する予定とかが近々あるのか?」
「いや、そんな予定は1つも無いよ。それにもしそんな予定があるのならば、大切な仲間である皆に黙ってするはずがないだろう?」
「オイ、そうやって人の恥ずかしい過去を思い出させようとするんじゃない。」
「おや、それは済まなかったね。」
「ったく、本当に悪いと思ってんのかよ……」
爽やかな笑みを浮かべているロイドに呆れながら紅茶の入ったティーカップに口を付けていると、マホがソファーに座っている俺の隣に腰かけて顔を覗き込んで来た。
「ご主人様、その結婚するかもって噂は一体何処から広まってきたんでしょうね。」
「さぁな、シーナもお客さんから聞いたってだけみたいだし……」
「ロイド、原因に心当たりはない?」
「ふむ、そうだね……もしかしたら、今日の事と関係しているのかもしれないね。」
「今日のって……そういや実家に呼び出されてたな。一体何の用事だったんだ?」
「あっ、それが聞いて下さいよ!実はですね、ロイドさんにお見合いの話が来ていたみたいなんですよ!」
「……見合い?ロイドにか?」
「ふふっ、驚いたかい?」
「……別に、お前も貴族の娘って立場なんだからそんな話ぐらい出て来るだろうさ。でも、それがどうやって結婚なんて噂が広まった事と関係するんだ?」
「それがですね、お相手の方は王都に住む高名な貴族の方らしくて……」
「ソイツが色んな所でロイドと結婚したらどうなるかって話をしているらしい。」
「はぁ?なんじゃそりゃ……もしかして、ソイツって婚約者だったりするのか?」
「いや、パーティー等で挨拶ぐらいはした事はあるかもしれないけど面識があるとは言い難いだろうね。」
「えぇ……そんな奴がお前と結婚したらどうだとか言いふらしてんのか……どんだけ痛い奴なんだよ……まさか、それが噂になり始めたって言うのか?」
「恐らくはね。私の知らない所で運命の相手だとか、結婚すればこの世界はより良くなるだとか言いまわっているらしい。」
「うへぇ……ちょっと怖すぎなんですけど……ヤバくねぇかソイツ?エリオさん達の方でどうにか出来ないのか?」
「それが困った事に人格者として通っているらしくてね。その話も大々的にしている訳では無くて、ちょっとした冗談交じりみたいな言い方らしいんだよ。」
「なるほどね、あくまでも結婚を匂わせてる程度って事か……そんでその話が、噂になって街に出回り始めたと……厄介だな。」
「あぁ、しかもそんな相手が見合いの話を持ってきたから困ったものだよ。父さんは私の想いを知ってくれているから断ってくれる気みたいだけどね。」
「ふーん……えっ、それじゃあ何でわざわざ呼び出されたんだ?」
「念の為に私の意向を聞いておきたかったみたいだよ。本当にこの見合い話を断って良いのかって……まぁ、相手方には悪いが即答させてもらったよ。今の生活を捨てて誰かと家庭を築くつもりなんて私には無いからね。」
「……ロイドは私達の家族。」
「その通りです!誰にも渡しませんよ!」
「いやいや、お前達のものでもないでしょうに……まぁ、ロイドがそう決めたんなら俺が言う事は何も無いけど……大丈夫なのか?」
「勿論、何も心配する必要なんて無いよ。」
「えへへ、良かったですねご主人様!ロイドさんがずっと一緒に居てくれて!」
「はいはい、そうですねぇ……っと、もう良い時間だしそろそろ寝るとしますか。」
「あっ、はい!ご主人様、明日は皆でお買い物に行くんですから寝坊しない様に気を付けて下さいよね!」
「あっはっは!……もしもの時は、よろしくお願いします。」
「もう!しっかりして下さいよね!」
「まぁまぁ、いざとなったら私とソフィが協力して九条さんを叩き起こすよ。」
「任せて。」
「俺の生死に関わりそうだからそれだけはマジ止めてくれ!」
そんないつも通りのやり取りをしながらリビングを出た俺達は、それぞれの部屋に戻って行って1日を終えるのだった。
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