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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第353話

 昼飯を食べ終わってからすぐに斡旋所にやって来た俺達は、クエスト達成の報酬を受け取りにやってきた訳なんだが……

 戦闘に参加していなかった俺は報酬の受け取りを辞退して、ソフィとガドルさんの2人で分け合ってくれと伝えた。

 最初はこの話に納得してくれなかった2人……いや、サラさんも入れて3人だったけど断固として断り続ける俺の態度に折れて納得してくれたみたいだった。

 そんなこんながありながら報酬を受け取って斡旋所を出て行った直後、サラさんがソフィと一緒に服を見て回りたいとリクエストしてくれたので俺はマホに相談をして以前にも行った覚えがある幾つかの服屋が入っている店にやって来るのだった。

「ねぇマホちゃん、この服なんてどうかしら?ソフィちゃんにとっても似合っているとは思わない?」

「はい!ですが……私はこっちの服もソフィさんに似合うと思います!」

「まぁまぁ!確かにそれもとっても素敵ね!それじゃあソフィちゃん、コレとコレを試着してきてくれるかしら!」

「……うん……分かった………」

「ソフィのファッションショーが始まってから2時間弱……流石に疲労の色が見えてきましたね……」

「ははっ、サラさんはああなってしまうと時間を忘れてしまいますからね。それに、マホさんと一緒にソフィの服を見て回るのが楽しくてしょうがないんでしょう。まぁ待たされている身としては、中々に辛いものがありますけどね……」

「えぇ、そうですねぇ……」

 俺としては非常に気まずいって言うのが本音なんですけどの……こっちに来てから随分とマシにはなったけど、やっぱり知り合って間もない人とは何を話して良いのかマジで悩むんだよなぁ……しかもそれが知人の親御さんともなると……はぁ……

「この調子だと、まだまだ掛かりそうですね……九条さん、お時間の方はまだ大丈夫なんですか?この後にご予定が合ったりとかは……」

「いえ、別に何も……ロイドも実家に帰って行ったので家に戻るのは遅くなるみたいですから、幾らでも付き合いますよ。」

「あぁ、そう言ってくれると助かります。サラさんも久しぶりにソフィと買い物する事が出来て喜んでいるみたいなので、その邪魔はしたくありませんから。」

「……確かにそうですね……まぁ、ソフィの方はもうそろそろ限界が近づいてきてるっぽい気もしますが……」

「ははっ、それでも文句1つ言わないという事はソフィもこの時間を楽しんでくれているって思っても良いんですかね。」

「はい、良いと思いますよ………」

 ふぅ、こうやって会話が途切れちまうと本当にどうして良いのか悩むんだよな……頼むから早めにこっちに戻って来てくれませんかねぇ……マジで気まずいんだよ……

「……そうだ、九条さんにソフィの事で1つお尋ねしたい事があるんですがよろしいですか?」

「えっ?まぁ、俺に答えられる事なら……えっと、何ですか?」

 さっきまでの穏やかさが急に消えて真剣な眼差しを送ってきたガドルさんに戸惑いながらそう聞いてみると……

「ソフィは……その………今現在、お付き合いしている方は居るんでしょうか?」

「………はい?」

「で、ですからその……ソフィには今、お付き合いしている男性は居るのかと聞いているのです。」

「ちょちょっ、顔が近いですって!」

「あっ、す、すみません……つい……それで、どうなんでしょうか?」

「ど、どうなんでしょうかって聞かれても……」

「ソフィはご覧の通りとても可愛らしい子です。親バカかと思われるかもしれませんけれど、美少女だと言っても過言ではないと思っています。」

「そ、それはまぁ……否定はしませんけど……」

「そんなあの子と付き合っている男性がもし居るのなら……私がしっかりと見定めてやらないといけないなと思っているんですが……」

「はぁ……そうですか……」

 あーヤバいなこりゃ……こんな目に遭うぐらいだったら沈黙の辛さを味わっていた方がまだマシだった気がするぞ……

「それでどうなんですか九条さん、ソフィに付き合っている男性は……」

「……俺もソフィについて全てを知っている訳じゃないですから確かではないかもしれませんが、そんな奴は居ないと思いますよ。」

「……その言葉、信じても良いんですね?」

「えぇ、もし付き合っている奴が居るんならソフィの方から教えてくれると思いますからね。ガドルさんもそうは思いませんか?」

「……確かにあの子の性格なら、教えてくれるかもしれませんね。」

「でしょう?って言うか、そんな心配はするだけ無駄だと思いますよ。そもそもの話として、ソフィが色恋沙汰に興味があるとは思えませんから。」

 呆れてため息を零しながらそう告げると、ガドルさんは着せ替え人形状態になっているソフィの事をジッと見つめて……ホッと胸を撫で下ろしてさっきまでと同じ様に穏やかに微笑んでいた。

「それもそうですね……九条さん、お答えいただいてありがとうございました。」

「いえいえ……って、どうして俺の肩を力強く握り締めているんですか……?」

「……九条さん、念の為に聞いておきますけど……もしや貴方が……」

「いったたたたた!?ちょっ、指が肩に食い込んでますから!?って言うかいきなり何を言い出しているんですかっていたたたた?!」

「貴方はソフィと1つ屋根の下で一緒に暮らしています………それならば、あの子に対してそういう想いを抱いてもおかしくは……!」

「……ぱぱ、九条さんに何をしているの?」

「っ!?ソ、ソフィ!?それにサラさんにマホさんも………どうしてここに?」

「うふふ、お買い物をしていたら九条さんの叫び声が聞こえてきて……ガドルさん、ソフィちゃんの大切なお仲間である九条さんに一体何を?」

「あっ、いやそれは……」

「もしかして……ソフィちゃんを想うあまり暴走して、九条さんに危害を加えようとしたなんて事は……ないわよね?」

「も、勿論だよサラさん。で、ですよね九条さん?」

「へっ!?あ、まぁそうですね!ちょっとした勘違いが起きて、その誤解を解いてただけですよ!それでその……まぁ、大丈夫なんで気にしないで下さい!」

「うーん、何だか怪しいですね……」

「いやいや、怪しくないって!あっ、そうだ!俺達もソフィの服選びに参加をしても良いか?ずっと待っているだけだと退屈でさ……」

「あっ、それは良い案ですね!どうだいソフィ、私達も参加しても良いかな。」

「……うん、良いよ。」

「ありがとう、それじゃあ早速だけど選びに行こうか。」

「うふふ、男性の意見も入るとなると何だかワクワクしてきたわね。」

「……おじさん、お願いですからセンスの悪い服の組み合わせとかはしないで下さいよね。」

「わ、分かってるよ!俺だってあれからちょっとは……まぁ……うん………」

「はぁ……これはおじさんのセンスを鍛える時間になりそうですね……」

「あら、それなら九条さんの服も一緒に選んじゃいましょうか。」

「えっ!?いやいや、それは流石に恥ずかしいと言うか……ちょっ、マホ!?」

「はいはい、文句は後で聞きますから行きますよ。」

 そう言ったマホに強引に手を引かれる事になってから数時間……俺はさっきまでのソフィと同様に着せ替え人形状態になっちまうのだった……し、しんどすぎる……!

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