おっさんの異世界生活は無理がある。
第312話
マホとレミ、そして何故だかロイドとソフィにまでおねだりされながら色々な店を回って必要なのかどうかも分からない物を買って行った俺は、両手いっぱいに紙袋を持ちながらファントリアスに向かう馬車が待つ王都の西側にやって来て……
「えっ、馬車が1台しか停まってないだが………気のせい……って事は無いよな?」
「は、はい……気のせいでも目の錯覚でもありませんね………」
「ふむ、どうやら昨日の予想が当たったみたいじゃな。」
「あぁ、ファントリアスに向かおうとしているのは私達だけみたいだね。」
「マ、マジかよ……」
まさか本当に需要が無いとは……マジでファントリアスってどういう所なんだ……もしかして街に辿り着いた瞬間、命を狙われるなんて事は……あり得ない……よな?
「と、とりあえず御者さんにご挨拶をしましょう!もうそろそろ出発の時間になってしまいますからね!」
「そ、それもそうだな……荷物も重いからさっさと積み込みたいし………」
数台の馬車が列になって走っているのが普通の感覚になってた俺は、少しの不安を抱きながら皆と一緒に馬車の近くに立っていた御者さんに歩み寄って行った。
「……おや、もしかして5名でご予約をされた九条さんでしょうか?」
「えぇ、そうです。」
御者さんの問いかけに返事をしながら荷物を地面に下ろした後、俺は予約の確認をしてもらう為に御者さんに乗車券を手渡した。
「……はい、乗車券の確認が終わりましたので馬車にお乗りになって下さい。」
「分かりました……あの、この馬車ってファントリアスに行くんですよね?」
「はい、そうですが……どうしてその様な質問を?」
「いやその、ちょっと馬車の数が少ないのかなぁって思いまして………護衛の方とかいらっしゃらないのかなーと……」
「あぁ、その事についてですか……すみません、ファントリアスに向かう際に護衛をお付けになる場合はお客様に追加の費用を払って頂くという形になりまして……もしご不安に感じていらっしゃるのなら、ご予定を明日にずらす事も可能ですが……」
「いえいえ、一応は冒険者として生活をしていますから大丈夫です!……でも、そうだとしたら道中でモンスターに襲われそうになったらどうするんですか?」
「その場合は、お客様の安全を考慮して王都に引き返させて頂いております。」
「なるほどのう……しかし、そうまでするなら護衛を雇えば良いと思うんじゃが。」
「確かにそうかもしれませんが、先ほども申し上げた様にファントリアスに行こうとするお客様はそんなに居ないんですよ。」
「……お客さん、どれくらいなの?」
「そうですね……1ヶ月で10人から20人程しかご利用になりませんね。」
「おぉ……それは確かに護衛を雇うのは無駄な気がしますね……」
「はい……そういう訳ですので、モンスターが出現してしまった際は討伐のお願いをしてもよろしいでしょうか?」
「勿論、目的地に運んでもらう為なら協力は惜しまないよ。」
「ありがとうございます。それでは皆様が最後のお客様となりますので、荷台の方にお乗りになって下さい。」
「分かりました……って最後、ですか?俺達の他にもお客さんが?」
「えぇ、本日ご乗車になるお客様は8名となっております。窮屈だと思いますけど、ファントリアスに到着するまでよろしくお願い致します。」
御者さんはそう言って丁寧に頭を下げると運転席の方に向かって行くのだった……その姿を見送った後、地面に置いていた荷物を再び手に取った俺は皆と馬車の後方に歩いていった。
「まさか俺達の他にもファントリアスに向かう人達が居るなんてな……」
「別にそんなに不思議がらなくても良いんじゃないですか?」
「そう……なのかねぇ………」
「おや、もしかして九条さんは同乗する方達に対して何か思う所があるのかい?」
「はっはっは!そんな小さな事をいちいち気にしておったら、近い将来お主の頭部は大変な事になってしまんじゃないのか?」
「おいコラ!そんな心配はする必要ないけど、ちょっと不安になるからそういう事を軽々しく言うんじゃない!」
「それならば堂々としておれ!あんまり情けない態度ばかり見せておると、おなごにモテんぞ。」
「ぐっ!……分かったよ、頭を切り替えりゃ良いんだろ……」
「うむ、その通りじゃ!」
ったく、好き放題言いやがって……でもまぁ、確かにこっちの世界で過ごしている内にかなり心配性になった気がしなくも無いからな……初心忘るべからず、もう少し気軽に旅行を楽しむとしますかね。
そうやって自分に言い聞かせながら馬車に乗り込んだ俺は……先に乗ってた乗客の姿を目の当たりにして不安な気持ちをぶり返すのだった……!
「………」
「………」
「………」
「ど、どうも………」
顔を引きつらせながら挨拶をした俺の視界の先には、馬車の奥の方で静かに座席に腰を下ろしていているフードを目深に被った親子らしき3人組が………って、これはどう考えてもヤバそうな雰囲気がビンビンなんですけども!?
それから後にやってきたマホも俺と似た様なリアクションをして、他の3人は特に驚きもせずそれぞれ空いている座席に座り込んで……その直後、運転席側から俺達に声を掛けてきた御者さんの言葉を合図に馬車はゆっくりと走り出して行くのだった。
「えっ、馬車が1台しか停まってないだが………気のせい……って事は無いよな?」
「は、はい……気のせいでも目の錯覚でもありませんね………」
「ふむ、どうやら昨日の予想が当たったみたいじゃな。」
「あぁ、ファントリアスに向かおうとしているのは私達だけみたいだね。」
「マ、マジかよ……」
まさか本当に需要が無いとは……マジでファントリアスってどういう所なんだ……もしかして街に辿り着いた瞬間、命を狙われるなんて事は……あり得ない……よな?
「と、とりあえず御者さんにご挨拶をしましょう!もうそろそろ出発の時間になってしまいますからね!」
「そ、それもそうだな……荷物も重いからさっさと積み込みたいし………」
数台の馬車が列になって走っているのが普通の感覚になってた俺は、少しの不安を抱きながら皆と一緒に馬車の近くに立っていた御者さんに歩み寄って行った。
「……おや、もしかして5名でご予約をされた九条さんでしょうか?」
「えぇ、そうです。」
御者さんの問いかけに返事をしながら荷物を地面に下ろした後、俺は予約の確認をしてもらう為に御者さんに乗車券を手渡した。
「……はい、乗車券の確認が終わりましたので馬車にお乗りになって下さい。」
「分かりました……あの、この馬車ってファントリアスに行くんですよね?」
「はい、そうですが……どうしてその様な質問を?」
「いやその、ちょっと馬車の数が少ないのかなぁって思いまして………護衛の方とかいらっしゃらないのかなーと……」
「あぁ、その事についてですか……すみません、ファントリアスに向かう際に護衛をお付けになる場合はお客様に追加の費用を払って頂くという形になりまして……もしご不安に感じていらっしゃるのなら、ご予定を明日にずらす事も可能ですが……」
「いえいえ、一応は冒険者として生活をしていますから大丈夫です!……でも、そうだとしたら道中でモンスターに襲われそうになったらどうするんですか?」
「その場合は、お客様の安全を考慮して王都に引き返させて頂いております。」
「なるほどのう……しかし、そうまでするなら護衛を雇えば良いと思うんじゃが。」
「確かにそうかもしれませんが、先ほども申し上げた様にファントリアスに行こうとするお客様はそんなに居ないんですよ。」
「……お客さん、どれくらいなの?」
「そうですね……1ヶ月で10人から20人程しかご利用になりませんね。」
「おぉ……それは確かに護衛を雇うのは無駄な気がしますね……」
「はい……そういう訳ですので、モンスターが出現してしまった際は討伐のお願いをしてもよろしいでしょうか?」
「勿論、目的地に運んでもらう為なら協力は惜しまないよ。」
「ありがとうございます。それでは皆様が最後のお客様となりますので、荷台の方にお乗りになって下さい。」
「分かりました……って最後、ですか?俺達の他にもお客さんが?」
「えぇ、本日ご乗車になるお客様は8名となっております。窮屈だと思いますけど、ファントリアスに到着するまでよろしくお願い致します。」
御者さんはそう言って丁寧に頭を下げると運転席の方に向かって行くのだった……その姿を見送った後、地面に置いていた荷物を再び手に取った俺は皆と馬車の後方に歩いていった。
「まさか俺達の他にもファントリアスに向かう人達が居るなんてな……」
「別にそんなに不思議がらなくても良いんじゃないですか?」
「そう……なのかねぇ………」
「おや、もしかして九条さんは同乗する方達に対して何か思う所があるのかい?」
「はっはっは!そんな小さな事をいちいち気にしておったら、近い将来お主の頭部は大変な事になってしまんじゃないのか?」
「おいコラ!そんな心配はする必要ないけど、ちょっと不安になるからそういう事を軽々しく言うんじゃない!」
「それならば堂々としておれ!あんまり情けない態度ばかり見せておると、おなごにモテんぞ。」
「ぐっ!……分かったよ、頭を切り替えりゃ良いんだろ……」
「うむ、その通りじゃ!」
ったく、好き放題言いやがって……でもまぁ、確かにこっちの世界で過ごしている内にかなり心配性になった気がしなくも無いからな……初心忘るべからず、もう少し気軽に旅行を楽しむとしますかね。
そうやって自分に言い聞かせながら馬車に乗り込んだ俺は……先に乗ってた乗客の姿を目の当たりにして不安な気持ちをぶり返すのだった……!
「………」
「………」
「………」
「ど、どうも………」
顔を引きつらせながら挨拶をした俺の視界の先には、馬車の奥の方で静かに座席に腰を下ろしていているフードを目深に被った親子らしき3人組が………って、これはどう考えてもヤバそうな雰囲気がビンビンなんですけども!?
それから後にやってきたマホも俺と似た様なリアクションをして、他の3人は特に驚きもせずそれぞれ空いている座席に座り込んで……その直後、運転席側から俺達に声を掛けてきた御者さんの言葉を合図に馬車はゆっくりと走り出して行くのだった。
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