おっさんの異世界生活は無理がある。
第309話
不測の事態が起きるかもしれないという可能性とファントリアスまで掛かる日数を考えてイベントが開催される5日前に馬車を予約した俺達は、外が明るくなってから間もない内に準備しておいた荷物を持って家を出発した訳なんだが……
「ど、どうして……どうしてお前がここに居るんだっ……!?」
「はっはっは!わしを出し抜いて旅行に行こうとするなんぞ、100年早いわ!」
玄関の扉を開いた先で俺達を待ち構えていたのは、大きく膨れ上がったリュックを担いで仁王立ちしながら満面の笑みを浮かべているレミだった?!
「どういう事なんだ……レミには旅行について言ってない………だとしたら誰が……って、犯人はお前しかいないよなロイド!」
「おや、どうしてそう思うんだい?その根拠は?」
「しらばっくれるんじゃありません!2,3日前にしばらく家を空ける事になるからその報告をしてくるよって実家に帰ったのはアンタでしょうが!どうせその時レミに今回の事がバレたんでしょ!正直に言いなさい!」
「ふふっ、どうやらバレバレみたいだね。」
「……それよりも、どうしてそんなお母さんみたいな口調で怒ってるんですか?」
「ふむ、わしが旅行について行くと何か不都合でもあるのか?」
「そりゃそうでしょうよ!宿や馬車は4人分しか予約してないんだぞ!?こんな急に来られても……いや、マジでどうすんだよ?!」
「あっ、それなら心配はご無用ですよおじさん!今回の旅行で利用する施設は、全部5人分の予約をしていますから!」
「な、何っ!?いつの間にそんな……ってまさか、マホ!お前も知ってたのか?!」
「はい!ロイドさんからこっそり教えてもらいました!勿論ですけど、ソフィさんもレミさんが来る事は知っていましたよ!」
「ぶい。」
「ちょ、ちょっと待てよ!それじゃあ知らなかったのは……俺だけ?」
「うむ、お主を驚かせる為にこっそり計画を進めておったのじゃよ!」
「えへへ、ビックリしましたか?」
「……あぁ……嫌って言うぐらいにはなぁ……!」
「はっはっは、それならば良かったわい!」
「な、何が良かったのかは全然分からないが……レミ、お前は俺達が何処に行こうとしているのか知ってるんだよな?」
「勿論じゃよ。ここから北西の位置にある街、ファントリアスまで行くのじゃろう?王都で1泊、その道中の村で1泊、クアウォートに行くのと似た様な日程じゃな。」
「よくご存じで………って言うかレミ、念の為に聞いておくけど大丈夫なのか?」
「ん?何がじゃ?」
「何がって……クアウォートからかなり距離のある街に行くんだぞ?そうなったら、お前の力とか存在とか維持出来るのかって話だよ。」
「あぁ、それについては心配無用じゃよ。確かに神様としての力は今よりも弱くなるじゃろうが、存在の維持が出来ぬ程ではないわ!」
「い、いやでも……もしかしたらって可能性も……な?」
「ふっふっふ……お主が何とかしてわしが同行するのを止めさせたいのは分かるが、こんな楽しそうな機会をみすみす見逃すはずがなかろう!」
「ぐっ!」
「えぇ!?その反応、レミさんの言った通りなんですか?!どうしてそんな酷い事を考えているんですか!」
「だ、だって!何か嫌な予感がするじゃんかよ!」
「な、何ですか嫌な予感って!そんな理由でレミさんを置いて行こうとするなんて、私は絶対に許しませんからね!」
「まぁまぁ、そんなに怒らなくても大丈夫じゃよマホ。九条の言いたい事も、わしはよ~く分かっているつもりじゃからな。」
「お、おぉ!分かってくれるか!」
そう、そうなんだよ!俺達が旅行をするって事はつまり、面倒事が起きる可能性が微粒子レベルだが存在しているって意味なんだよ!流石は神様!俺の考えがきちんと伝わっているみたいで安心したぜ!……あれ、どうしてそんなニヤリとした表情を?
「じゃがまぁ……今回の旅行、わしを連れて行った方がお主達にとって幸運な結果に繋がるじゃろうとだけは言っておくがのう。」
「………お、おい……それは……冗談……だよな?」
「ふっふっふっふ………」
「なぁ、どうして俺の質問に答えてくれないんだ……?レミ?レミさーん?」
神様のお告げ………それを聞いた瞬間に俺の中にある本能が危険信号をガンガンに鳴り始めた訳なんだが………これは……どうするのが正解なんだ?!
「さぁ、もうそろそろ出発の時間が迫っておるぞ……どうするんじゃ、九条。わしを置いて旅行に行くのか、それとも連れて行くのか、はたまた旅行自体を諦めるのか。お主は一体、どの様な選択をするんじゃろうなぁ……」
「おじさん!旅行を取り止めるなんて言うのは無しですからね!」
「そうなると、残された選択肢は2つになる訳だが……」
「九条さん、どうするの?」
マホ、ロイド、ソフィ、そしてレミからジッと見つめられた俺は……俺は………!右手で荷物の持ち手を強く握りしめると、空に向かって勢いよく拳を掲げた!
「さぁお前ら!行くぞ、ファントリアスに!」
「おぉー!」
「おぉーじゃ!」
「ふふっ、楽しい旅行の始まりだね。」
「わくわく。」
大声を出して不安な気持ちを無理やりかき消した俺は、皆と一緒に馬車が待ってる広場に向かって足早に歩いて行くのだった!……うん、きっと大丈夫!……だよな?
「ど、どうして……どうしてお前がここに居るんだっ……!?」
「はっはっは!わしを出し抜いて旅行に行こうとするなんぞ、100年早いわ!」
玄関の扉を開いた先で俺達を待ち構えていたのは、大きく膨れ上がったリュックを担いで仁王立ちしながら満面の笑みを浮かべているレミだった?!
「どういう事なんだ……レミには旅行について言ってない………だとしたら誰が……って、犯人はお前しかいないよなロイド!」
「おや、どうしてそう思うんだい?その根拠は?」
「しらばっくれるんじゃありません!2,3日前にしばらく家を空ける事になるからその報告をしてくるよって実家に帰ったのはアンタでしょうが!どうせその時レミに今回の事がバレたんでしょ!正直に言いなさい!」
「ふふっ、どうやらバレバレみたいだね。」
「……それよりも、どうしてそんなお母さんみたいな口調で怒ってるんですか?」
「ふむ、わしが旅行について行くと何か不都合でもあるのか?」
「そりゃそうでしょうよ!宿や馬車は4人分しか予約してないんだぞ!?こんな急に来られても……いや、マジでどうすんだよ?!」
「あっ、それなら心配はご無用ですよおじさん!今回の旅行で利用する施設は、全部5人分の予約をしていますから!」
「な、何っ!?いつの間にそんな……ってまさか、マホ!お前も知ってたのか?!」
「はい!ロイドさんからこっそり教えてもらいました!勿論ですけど、ソフィさんもレミさんが来る事は知っていましたよ!」
「ぶい。」
「ちょ、ちょっと待てよ!それじゃあ知らなかったのは……俺だけ?」
「うむ、お主を驚かせる為にこっそり計画を進めておったのじゃよ!」
「えへへ、ビックリしましたか?」
「……あぁ……嫌って言うぐらいにはなぁ……!」
「はっはっは、それならば良かったわい!」
「な、何が良かったのかは全然分からないが……レミ、お前は俺達が何処に行こうとしているのか知ってるんだよな?」
「勿論じゃよ。ここから北西の位置にある街、ファントリアスまで行くのじゃろう?王都で1泊、その道中の村で1泊、クアウォートに行くのと似た様な日程じゃな。」
「よくご存じで………って言うかレミ、念の為に聞いておくけど大丈夫なのか?」
「ん?何がじゃ?」
「何がって……クアウォートからかなり距離のある街に行くんだぞ?そうなったら、お前の力とか存在とか維持出来るのかって話だよ。」
「あぁ、それについては心配無用じゃよ。確かに神様としての力は今よりも弱くなるじゃろうが、存在の維持が出来ぬ程ではないわ!」
「い、いやでも……もしかしたらって可能性も……な?」
「ふっふっふ……お主が何とかしてわしが同行するのを止めさせたいのは分かるが、こんな楽しそうな機会をみすみす見逃すはずがなかろう!」
「ぐっ!」
「えぇ!?その反応、レミさんの言った通りなんですか?!どうしてそんな酷い事を考えているんですか!」
「だ、だって!何か嫌な予感がするじゃんかよ!」
「な、何ですか嫌な予感って!そんな理由でレミさんを置いて行こうとするなんて、私は絶対に許しませんからね!」
「まぁまぁ、そんなに怒らなくても大丈夫じゃよマホ。九条の言いたい事も、わしはよ~く分かっているつもりじゃからな。」
「お、おぉ!分かってくれるか!」
そう、そうなんだよ!俺達が旅行をするって事はつまり、面倒事が起きる可能性が微粒子レベルだが存在しているって意味なんだよ!流石は神様!俺の考えがきちんと伝わっているみたいで安心したぜ!……あれ、どうしてそんなニヤリとした表情を?
「じゃがまぁ……今回の旅行、わしを連れて行った方がお主達にとって幸運な結果に繋がるじゃろうとだけは言っておくがのう。」
「………お、おい……それは……冗談……だよな?」
「ふっふっふっふ………」
「なぁ、どうして俺の質問に答えてくれないんだ……?レミ?レミさーん?」
神様のお告げ………それを聞いた瞬間に俺の中にある本能が危険信号をガンガンに鳴り始めた訳なんだが………これは……どうするのが正解なんだ?!
「さぁ、もうそろそろ出発の時間が迫っておるぞ……どうするんじゃ、九条。わしを置いて旅行に行くのか、それとも連れて行くのか、はたまた旅行自体を諦めるのか。お主は一体、どの様な選択をするんじゃろうなぁ……」
「おじさん!旅行を取り止めるなんて言うのは無しですからね!」
「そうなると、残された選択肢は2つになる訳だが……」
「九条さん、どうするの?」
マホ、ロイド、ソフィ、そしてレミからジッと見つめられた俺は……俺は………!右手で荷物の持ち手を強く握りしめると、空に向かって勢いよく拳を掲げた!
「さぁお前ら!行くぞ、ファントリアスに!」
「おぉー!」
「おぉーじゃ!」
「ふふっ、楽しい旅行の始まりだね。」
「わくわく。」
大声を出して不安な気持ちを無理やりかき消した俺は、皆と一緒に馬車が待ってる広場に向かって足早に歩いて行くのだった!……うん、きっと大丈夫!……だよな?
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