おっさんの異世界生活は無理がある。
第300話
「九条透……ほ、本当にこの中から……浴衣を選べと言うのか………?」
「あぁ……その通りだ………」
「九条様、クリフ様、いかがなさいましたか?もしやご用意させて頂いた浴衣の中にお気に召す物がございませんでしたでしょうか?もしそうなのでしたら、すぐにでも屋敷に戻り別の浴衣を手配させて頂きますが……」
「「いえいえ!ご心配なく!」
「かしこまりました。それではどうぞ、お好みの浴衣をお選び下さい。」
「「は、はぁ……」」
ニコッと微笑みかけてきたお姉さんの言葉を聞いて思わず隣に居るクリフト返事が被ってしまったんだが………俺としてはリビングにズラッと並べられた30着以上はあるだろう浴衣の方が気になるんでんですけど!?ってか、マジで多すぎじゃね?!
「お、おい九条透……お、俺……じゃなくて、我はどうすれば………」
「いやまぁ、言われた通り探せば良いんじゃね?好みの浴衣を……」
「そ、そうか………うむ、しかし……これだけあるとなると………」
「クリフ様、少々よろしいでしょうか?」
「は、はひっ?!な、何だ!も、申してみよ!」
「もし浴衣の色や素材にご要望がある様でしたら、私達がご一緒にお探しさせて頂きますがいかがでしょうか?」
「あっ、そ、そうですか………それじゃあの………お願いします………」
「はい、かしこまりました。それではこちらへどうぞ。」
「う、うむ…………」
あーらら……何か今にも泣きそうな表情を浮かべたままメイドさん達に連れられてどっかに行っちまったんですけど……やっぱり思春期の中二病男子には色々と刺激が強すぎたのかしらね?ふっ、アイツもまだまだおこちゃまよのぅ!
「九条様、もしよろしければ私達も浴衣を探すのをお手伝い致しますよ。」
「あっ、はい……お願いします………」
ど、どうだクリフ!これが大人の対応じゃい!それが分かったら情けない奴を見る様な視線を送ってこないでさっさと浴衣を選びやがれこんにゃろうがっ!
「それでは九条様、どの様な浴衣をお求めなのですか?」
「あぁえっと……あんまり派手な色じゃなくて、落ち着いた感じの浴衣があればって思ってるんですが………どうですかね?」
「かしこまりました。それでしたら………」
そんな感じで祭りに着ていく浴衣を探し始めてから十数分後、俺はメイドさん達に勧められて紺色の大人の雰囲気が漂ってくるシンプルな浴衣を選んだんだが……
「うーん……この浴衣、俺が着るには少し大きいみたいですね。」
「はい、カレン様がエリオ様の為にご購入された物ですから……ですが後で九条様の体に合わせて仕立て直しますので、どうかご安心下さい。」
「えっ、仕立て直すって……良いんですか?ご迷惑なんじゃ………」
「いえいえ、ご迷惑だなんてとんでもございません。」
「そ、そうですか……じゃあ、お願いします。」
「かしこまりました。それでは浴衣をお預かりさせて頂きます。」
メイドさんにそう言われて羽織っていた浴衣を手渡した俺は、あっちの方はどんな感じになっているのか気になってチラッと目線を………
「おぉ……漆黒の中に描かれた神々しい龍の姿……!ほ、本当に我がこの浴衣を着て良いと言うのか?」
「はい、勿論でございます。」
「う、うむ!ならばこの浴衣……我が頂こうではないか!」
「かしこまりました。それではクリフ様、採寸を致しますのでどうぞこちらへ。」
「あぁ、了解した!ふっふっふ……これぞ運命の出会いというやつだな……!」
うわぁ、背中にド派手な龍の刺繍がしてある真っ黒な浴衣とか……マジでアイツの感性ってどんだけぶっ飛んでるんだ……って言うかカレンさん、あんな浴衣を本当にエリオさんに着せるつもりだったんですか?いやいや、まさかそんな………ねぇ?
誰に同意を求めるでもなく首を傾げながら自問自答をしていると、メイドさん達とリビングを出て行ったアイツが顔を真っ赤にして戻って来た。
「クリフ様、仕立て直した浴衣はご利用されている宿屋の方にお届けすればよろしいでしょうか?」
「はい………そうして下さい………」
「かしこまりました。それでは九条様も浴衣を選び終えた様ですので、これから撤収作業を始めさせて頂きます。」
丁寧にお辞儀をしたお姉さんが顔を上げて手をパンパンと叩いた直後、統率された動きで浴衣が物の数分で全部運び出されていった!
「こ、これが貴族に仕える使用人の力か……‥やはり凄いものだな……」
「九条様、クリフ様、本日はお疲れ様でございました。」
「あぁはい、お疲れ様でした……それと……色々とありがとうございました。」
「いえいえ、それでは私達はこれにて失礼させて頂きます。明日のお祭り、是非ともお楽しみになって下さいませ。」
「うむ、貰った浴衣を着て存分に楽しむとしようではないか。」
……偉そうな態度を取りながら満足そうにしてるクリフに嫌な顔1つ見せず深々と頭を下げてくれたメイドさん達は、静かな足取りで立ち去って行くのだった。
「ふぅ………後は明日が来るのを待つだけか………」
「そうだな……そう言えば九条透、1つだけ尋ねたい事があるのだが。」
「ん?どうしたんだ?」
「……イリスは何故、女性陣の方に混ざって隣の家に行ったんだ?」
「…………イリスだからだろ。」
「…………なるほどな。」
そう答える以外にはどうとも言えなかった俺達の間に微妙な空気が流れてから……大体1時間ぐらいして、ようやく皆が戻って来たので今日は解散という事になった。
とりあえずどんな浴衣を選んだのか聞いてはみたんだが……それは明日のお楽しみって事らしくて、誰1人として俺の質問には答えてくれなかったとさ。
「あぁ……その通りだ………」
「九条様、クリフ様、いかがなさいましたか?もしやご用意させて頂いた浴衣の中にお気に召す物がございませんでしたでしょうか?もしそうなのでしたら、すぐにでも屋敷に戻り別の浴衣を手配させて頂きますが……」
「「いえいえ!ご心配なく!」
「かしこまりました。それではどうぞ、お好みの浴衣をお選び下さい。」
「「は、はぁ……」」
ニコッと微笑みかけてきたお姉さんの言葉を聞いて思わず隣に居るクリフト返事が被ってしまったんだが………俺としてはリビングにズラッと並べられた30着以上はあるだろう浴衣の方が気になるんでんですけど!?ってか、マジで多すぎじゃね?!
「お、おい九条透……お、俺……じゃなくて、我はどうすれば………」
「いやまぁ、言われた通り探せば良いんじゃね?好みの浴衣を……」
「そ、そうか………うむ、しかし……これだけあるとなると………」
「クリフ様、少々よろしいでしょうか?」
「は、はひっ?!な、何だ!も、申してみよ!」
「もし浴衣の色や素材にご要望がある様でしたら、私達がご一緒にお探しさせて頂きますがいかがでしょうか?」
「あっ、そ、そうですか………それじゃあの………お願いします………」
「はい、かしこまりました。それではこちらへどうぞ。」
「う、うむ…………」
あーらら……何か今にも泣きそうな表情を浮かべたままメイドさん達に連れられてどっかに行っちまったんですけど……やっぱり思春期の中二病男子には色々と刺激が強すぎたのかしらね?ふっ、アイツもまだまだおこちゃまよのぅ!
「九条様、もしよろしければ私達も浴衣を探すのをお手伝い致しますよ。」
「あっ、はい……お願いします………」
ど、どうだクリフ!これが大人の対応じゃい!それが分かったら情けない奴を見る様な視線を送ってこないでさっさと浴衣を選びやがれこんにゃろうがっ!
「それでは九条様、どの様な浴衣をお求めなのですか?」
「あぁえっと……あんまり派手な色じゃなくて、落ち着いた感じの浴衣があればって思ってるんですが………どうですかね?」
「かしこまりました。それでしたら………」
そんな感じで祭りに着ていく浴衣を探し始めてから十数分後、俺はメイドさん達に勧められて紺色の大人の雰囲気が漂ってくるシンプルな浴衣を選んだんだが……
「うーん……この浴衣、俺が着るには少し大きいみたいですね。」
「はい、カレン様がエリオ様の為にご購入された物ですから……ですが後で九条様の体に合わせて仕立て直しますので、どうかご安心下さい。」
「えっ、仕立て直すって……良いんですか?ご迷惑なんじゃ………」
「いえいえ、ご迷惑だなんてとんでもございません。」
「そ、そうですか……じゃあ、お願いします。」
「かしこまりました。それでは浴衣をお預かりさせて頂きます。」
メイドさんにそう言われて羽織っていた浴衣を手渡した俺は、あっちの方はどんな感じになっているのか気になってチラッと目線を………
「おぉ……漆黒の中に描かれた神々しい龍の姿……!ほ、本当に我がこの浴衣を着て良いと言うのか?」
「はい、勿論でございます。」
「う、うむ!ならばこの浴衣……我が頂こうではないか!」
「かしこまりました。それではクリフ様、採寸を致しますのでどうぞこちらへ。」
「あぁ、了解した!ふっふっふ……これぞ運命の出会いというやつだな……!」
うわぁ、背中にド派手な龍の刺繍がしてある真っ黒な浴衣とか……マジでアイツの感性ってどんだけぶっ飛んでるんだ……って言うかカレンさん、あんな浴衣を本当にエリオさんに着せるつもりだったんですか?いやいや、まさかそんな………ねぇ?
誰に同意を求めるでもなく首を傾げながら自問自答をしていると、メイドさん達とリビングを出て行ったアイツが顔を真っ赤にして戻って来た。
「クリフ様、仕立て直した浴衣はご利用されている宿屋の方にお届けすればよろしいでしょうか?」
「はい………そうして下さい………」
「かしこまりました。それでは九条様も浴衣を選び終えた様ですので、これから撤収作業を始めさせて頂きます。」
丁寧にお辞儀をしたお姉さんが顔を上げて手をパンパンと叩いた直後、統率された動きで浴衣が物の数分で全部運び出されていった!
「こ、これが貴族に仕える使用人の力か……‥やはり凄いものだな……」
「九条様、クリフ様、本日はお疲れ様でございました。」
「あぁはい、お疲れ様でした……それと……色々とありがとうございました。」
「いえいえ、それでは私達はこれにて失礼させて頂きます。明日のお祭り、是非ともお楽しみになって下さいませ。」
「うむ、貰った浴衣を着て存分に楽しむとしようではないか。」
……偉そうな態度を取りながら満足そうにしてるクリフに嫌な顔1つ見せず深々と頭を下げてくれたメイドさん達は、静かな足取りで立ち去って行くのだった。
「ふぅ………後は明日が来るのを待つだけか………」
「そうだな……そう言えば九条透、1つだけ尋ねたい事があるのだが。」
「ん?どうしたんだ?」
「……イリスは何故、女性陣の方に混ざって隣の家に行ったんだ?」
「…………イリスだからだろ。」
「…………なるほどな。」
そう答える以外にはどうとも言えなかった俺達の間に微妙な空気が流れてから……大体1時間ぐらいして、ようやく皆が戻って来たので今日は解散という事になった。
とりあえずどんな浴衣を選んだのか聞いてはみたんだが……それは明日のお楽しみって事らしくて、誰1人として俺の質問には答えてくれなかったとさ。
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