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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第291話

『それでは九条選手、クリフ・エフィール選手の私闘を始めたいと思います。両者、準備が出来ましたら会場の中央にお集まりください。』

闘技場職員のアナウンスを耳にした俺は、日本刀によく似た重さのブレードを手にして控室を出てると入場門を通って静かな会場に足を踏み入れて行くのだった。

「ふぅ、久々にここに立ってみたけど……やっぱり人が居ないと寂しいもんだな。」

そんな独り言を呟きながら俺は中央部分で立ち止まって、向こう側からゆっくりと歩いて来るアイツの姿をボーっと眺めていた………えっ?

『九条選手、これよりレベルを下げさせて頂きますのでその反動にご注意下さい。』

「うっ、おぉ……」

全身から力が抜けて持っていたブレードがズシッと重くなったのを実感した俺は、若干のダルさを感じながらやって来た相手を対峙した訳なんだが………

「九条透、決着を付ける方法は分かっているだろうな?」

「……あっ、えっと……」

「知らない様なら教えといてやる。俺か貴様、どちらかが倒れるかまいったと告げた時こそが勝敗が決まった時だ。」

「な、なるほど……基本的には闘技場でやってる試合と変わりはないって事か。」

「その通りだ……さぁ、悪しき魔術師よ!戦う覚悟は出来ているだろうな!」

「……あぁ、やりたかねぇけどな。」

「ふっふっふ、臆病者め!我が暗黒邪神龍の技を受けて無様に散り果てるがいい!」

「……ぐふっ!?」

コ、コイツの恰好や言動にはいい加減に慣れてきちゃいたが……ブレードを両手に構えた状態で中二病全開な姿を見せられると共感性羞恥が半端ないんですけど!?

理解が全然出来ない訳じゃないって所が羞恥心を羞恥心を煽って来ると言うか……過去に似た事をやった覚えのある身としてはマジで色々と辛すぎるんですが?!

『それでは両者共に準備が整ったみたいですので………私闘、開始です!』

「受けてみるがいい!邪神龍奥義!双龍連斬!」

「うおっと!?」

会場中にバカデカいブザーの音が鳴り響いたと思ったその瞬間、変な技名を大きな声で叫びながらアイツが一直線に突っ込んで来て連続で斬撃を繰り出してきた!

反射的に武器を構えてその攻撃を防ぐ事は出来たんだが、中二病はそこから2本のブレードを器用に使って連続で攻撃を仕掛けて来やがった!

「はっはっは!どうした九条透!そんな事では我に勝つのは不可能だぞ!」

「ぐっ!」

確かにイリスの言っていた通りコイツの攻撃は中々の物だ……けれど、それよりも今は気になる事がありすぎるんだが!?

何なんだよ邪神龍奥義って!?双龍連撃ってどういう事!?いや、この世界観的に間違っているって訳じゃ無いんだけど!本当にもう勘弁してくれませんかね?!

「面白い!我の攻撃を防ぎ続けるとはやるではないか!」

「はいはい!そりゃどうもっ!」

「なっ!?ぐはっ!?」

中二病の右手に握られているブレードが振り下ろされた瞬間に体を反らして斬撃を躱した俺は、それと同時に風をまとわせた左足で腹部を蹴りを入れてやった!

その衝撃で後方に吹っ飛んでったアイツは地面を転がりながらも何とか体勢を立て直すと、苦しそうに咳込みながら武器を構え直してこっちを睨みつけてきた。

「……どうする?もう降参してくれても構わないぞ。」

「わ、我を舐めるな……!この程度の攻撃、痛くも痒くもないわ!」

「……そうかよ。」

「だがしかし……我も貴様に対する認識を改めねばならん様だなっ……!」

「……へっ?」

ボスが第二形態になる時みたいな事を言い出したアイツは、両手に持ってた2本のブレードを天高く掲げて交差させて………いや、いきなり何をしてんの?

「食らうがいい!暗黒魔術!ダーク・フレイム!」

「ちょっ!うぇっ!?」

またもやこっちが恥ずかしくなっちまうレベルの技名みたいなのをアイツが大声で叫んだその瞬間、2本のブレードの剣先から燃え盛ってる龍みたいなのが出て来たと思ったらこっちに向かって炎を吐き出してきやがった?!

「人心を惑わす悪しき魔術師よ!地獄の業火に包まれて消え去るがいい!」

「おまっ、ふっざけんなよ!?」

闘技場のシステムのおかげで怪我も死んだりもしないからってあんなの食らったらショック死する可能性があるじゃねぇかよ!それに邪神龍奥義なのか暗黒魔術なのかどっちかハッキリしろよ!?って言うかコイツ、マジでバカなんじゃねぇのか?!

心の中で文句を言いながら身を低くして瞬時に全身を風で覆った俺はグッと両足に力を込めると必死に横に飛んで行くのだった!!

そして肌が焼けそうになるぐらいの熱風を浴びながら地面を転がった俺は、改めて中二病の方に目を向けたんだがっ!?

「はあああ!!邪神龍奥義!天空斬!」

「うわっちょ!?」

上空から剣先をぶっ刺そうとしてきやがったアイツを見つけた直後にまたまた風をまとった俺は、今度は前の方に転がって攻撃をかわすのだった!

「チッ、この程度では仕留めきれないか!ならば邪神龍奥義!双龍頭突き!」

「おっと!?」

俺すぐに起き上がってブレードを構えた後、中二病が突き刺そうとしてきた剣先を防いで反撃に移ろうとしたのだが……!クソっ、アイツ瞬時に逃げやがった!

「……それにしても妙だな。」

さっきの攻撃、最初に受けいた連撃と比べて攻撃の速度が落ちてた様な……ってかアイツ、どう見ても体力が底を突きかけている感じに見えるんでけど?

「はぁ……はぁ……つ、次こそは……仕留めてやるぞ……!」

「……なぁオイ、大丈夫か?」

「き、貴様に心配される覚えはない!そんな事よりも我が暗黒魔術を受けてみよ!!はあああああ!!食らえ!ダブル・ナイトメア・ドラゴッ!?」

中二病がまたまたブレードの剣先を空に向けて巨大な魔方陣を出現させたその時、即座に急接近して行った俺は武器の刃を首元の直前で止めてため息を零した。

「あのなぁ、1対1の勝負の最中だってのに隙を見せすぎじゃねぇか?斬って下さいって言ってる様なもんだぞ?」

「うっ、うるさい!我から離れるのだ!!」

「おっとっと……危ねぇなぁ……」

振り下ろされた2本のブレードを避けつつ後ろに飛んで中二病の方を見てみると、メチャクチャ怒っています的な表情を浮かべながらこっちを睨みまくっていた。

「く、九条透!さっきの行動、もしや我を舐めているのか?!」

「いやいや、そうじゃなくて……勿体ないなと思ってな。」

「も、勿体無いだと?」

「あぁ、まだ勝負が始まって10分も経ってないのに決着が付いちまったら利用料が勿体無いだろ?だから攻撃の手を止めたんだよ。」

「な、なるほど…………って、ふざけるな!これは真剣勝負!例え利用料が5万Gもしたとは言え情けを掛けられる覚えはない!」

「……そう思うなら未練を感じさせる様な口調で話すんじゃねぇよ。」

「や、やかましい!さぁ食らえ!ダブル・ナイトメア・ドラゴン!」

中二病はメチャクチャ雑な感じに剣先を空に向けて巨大な魔方陣を出現させると、そこから炎の龍っぽいのを2匹だして俺に向かわせて来た。

しかし図体がデカいだけで器用に動き回る訳でもない炎の龍なんて脅威でも何でもなく、それらをさっきと同じ要領でかわしてアイツの方を見てみると……

「えっ……はっ……?」

そこには地面にぶっ倒れて動かなくなっている中二病が………その姿を見て思わず呆然としていると、無情にも私闘終了のブザーが会場に鳴り響いてしまうのだった。

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