おっさんの異世界生活は無理がある。
第283話
中二病患者の行動力を舐め切ったまま眠りについた次の日、俺は玄関の扉が激しく叩かれる音と聞き覚えのあるデカい声のせいで目を覚ましてしまうのだった。
「九条透!貴様がこの家に居るのは分かっているぞ!さぁ、出て来るのだ!」
「ク、クリフ君!だから皆さんに迷惑を掛けちゃダメだって言ってるだろ!」
「あー……マジかぁ………」
朝っぱらからやって来た面倒事をどうするべきかと考えた後、俺は現実逃避をする為に布団の中に潜り込んで二度寝をしようしたんだが……
「おはようございます!ご主人様にお客さんが来ているので後の事はよろしくお願いしますね!」
「………はい。」
ノックもせずに部屋の中に入って来た満面の笑みを浮かべているマホに問答無用で叩き起こされてしまい、逆らう事すら出来ずに来客の対応をする事になった訳で……
「ようやく姿を現したな!人心を惑わす悪の魔術師め!」
「こら、いきなり失礼じゃないかクリフ君!えっと、おはようございます九条さん!すみません、こんな朝早くから押しかけてしまって………ご迷惑でしたよね?」
「いや、うーん………そ、それよりどうしてここに?馬車の時間は大丈夫なのか?」
「あ、それがその………」
「ふんっ、貴様に心配されずとも問題は無い!それよりも九条透!貴様に伝えておくべき事がある!」
中二病の少年はビシッとよく分からない決めポーズをしながら俺を指差して………ヤバい、寝起きの状態でコイツの相手をするのは色々な意味でしんどすぎるぞ……!
「おやおや、それはどんな内容なのか興味深いね。」
「九条さんに何を伝えるのか私達にも聞かせて。」
「うおっ!?い、いつの間に背後に立ってたんだよ……」
ロイドとソフィの声が聞こえて驚きのあまり振り返ったその直後、後ずさりをする様な音が前の方から聞こえてきた?
「なっ、なっ?!ど、どうして貴様の家から昨日の!?ま、まさか……!?」
……あれ?ちょっと待てよ、この状況はマズいんじゃないか?コイツは俺が最低な女たらし野郎で、エルアの心を惑わしていると思っていて……その誤解を何とかして解かなきゃいけないってのに複数の異性と同じ家に住んでるのがバレたりしたら!?
「い、いや違うぞ!これには色々と事情があってだな!」
「やはり貴様は人の心を惑わす邪悪な魔術師だったのだな!そこに居る2人も貴様の手で毒牙に掛かっているのだろう!」
「そんな訳ねぇだろ!?おい、ロイドとソフィからも何とか言ってやってくれ!」
「あぁ、了解したよ……クリフ少年、私達は九条さんに心を操られたから一緒に居る訳ではないんだよ。」
「で、では何故だと言うのだ!どうしてその男と共に!」
「ふふっ、それはね……私自身が強くそう望んだからだよ。」
「なっ、何だと?!」
「ロイド!?」
コ、コイツ!この場を荒らして楽しんでやがる!っていうか、ロイドこそが人々の心を惑わす邪悪なる魔術師だと思うんですけど違うんですかね?!
「くっ、つまり貴様はその男の仲間だという事か!」
「あぁ、その通りだよ。勿論、私達の隣に居る彼女もね。」
「……よく分からないけど、私はここに居たいから一緒に暮らしている。」
「ついでに言っておくと、後ろの可愛い少女も私達に仲間だからね。」
「おい!お願いだから色々と自重してくれ!これじゃ余計に話がこじれて!」
「ふっふっふ……なるほど……そう言う事だったのか………」
うわヤベェ、うつ向いたままいきなり笑い出したんですけど………これはどうにも取り返しがつかない地点まで到達しちまった気が……
「ど、どうしたんだいクリフ君?」
「……エルア、お前の心を惑わせていたのは九条透だけでは無かったという訳か。」
「は、えっ?」
戸惑いの表情を浮かべるエルアには目もくれず敵意を込めた眼差しで俺達を睨んできた中二病患者は、またまたビシッと俺の顔面を指差してきやがった!
「九条透!貴様に真剣勝負を申し込む!」
「………はい?」
「来週、俺達はもう一度この街に訪れる……その時!俺と勝負をするのだ!」
「え、嫌なんだが……」
「勝負の内容は貴様に決めさせてやる!まぁ、どんな勝負だろうと後れを取る我では無いがな!はーっはっはっはっは!それでは馬車の所に行くぞ、エルア!」
「ちょ、ちょっとクリフ君!す、すみません!それではまた!」
高らかに笑い声を上げながら立ち去って行くアホとその後を追って行ったエルアの後姿を呆然と見つめていた俺は………ガックリとその場に崩れ落ちるのだった。
「り、理不尽すぎる……!」
「ふふっ、これは来週どうなるか楽しみになって来たね。」
「九条さん、勝負の内容は私が決めても良い?」
「はぁ……ご主人様、服が汚れるので早く立ってくださいね。」
「………俺………旅にでも出ようかなぁ………」
人の話を聞かない奴らのせいで平穏だった俺の日常があっさり消え去ってしまい、新たなる面倒事が問答無用で降り掛かって来るのだった……!
「九条透!貴様がこの家に居るのは分かっているぞ!さぁ、出て来るのだ!」
「ク、クリフ君!だから皆さんに迷惑を掛けちゃダメだって言ってるだろ!」
「あー……マジかぁ………」
朝っぱらからやって来た面倒事をどうするべきかと考えた後、俺は現実逃避をする為に布団の中に潜り込んで二度寝をしようしたんだが……
「おはようございます!ご主人様にお客さんが来ているので後の事はよろしくお願いしますね!」
「………はい。」
ノックもせずに部屋の中に入って来た満面の笑みを浮かべているマホに問答無用で叩き起こされてしまい、逆らう事すら出来ずに来客の対応をする事になった訳で……
「ようやく姿を現したな!人心を惑わす悪の魔術師め!」
「こら、いきなり失礼じゃないかクリフ君!えっと、おはようございます九条さん!すみません、こんな朝早くから押しかけてしまって………ご迷惑でしたよね?」
「いや、うーん………そ、それよりどうしてここに?馬車の時間は大丈夫なのか?」
「あ、それがその………」
「ふんっ、貴様に心配されずとも問題は無い!それよりも九条透!貴様に伝えておくべき事がある!」
中二病の少年はビシッとよく分からない決めポーズをしながら俺を指差して………ヤバい、寝起きの状態でコイツの相手をするのは色々な意味でしんどすぎるぞ……!
「おやおや、それはどんな内容なのか興味深いね。」
「九条さんに何を伝えるのか私達にも聞かせて。」
「うおっ!?い、いつの間に背後に立ってたんだよ……」
ロイドとソフィの声が聞こえて驚きのあまり振り返ったその直後、後ずさりをする様な音が前の方から聞こえてきた?
「なっ、なっ?!ど、どうして貴様の家から昨日の!?ま、まさか……!?」
……あれ?ちょっと待てよ、この状況はマズいんじゃないか?コイツは俺が最低な女たらし野郎で、エルアの心を惑わしていると思っていて……その誤解を何とかして解かなきゃいけないってのに複数の異性と同じ家に住んでるのがバレたりしたら!?
「い、いや違うぞ!これには色々と事情があってだな!」
「やはり貴様は人の心を惑わす邪悪な魔術師だったのだな!そこに居る2人も貴様の手で毒牙に掛かっているのだろう!」
「そんな訳ねぇだろ!?おい、ロイドとソフィからも何とか言ってやってくれ!」
「あぁ、了解したよ……クリフ少年、私達は九条さんに心を操られたから一緒に居る訳ではないんだよ。」
「で、では何故だと言うのだ!どうしてその男と共に!」
「ふふっ、それはね……私自身が強くそう望んだからだよ。」
「なっ、何だと?!」
「ロイド!?」
コ、コイツ!この場を荒らして楽しんでやがる!っていうか、ロイドこそが人々の心を惑わす邪悪なる魔術師だと思うんですけど違うんですかね?!
「くっ、つまり貴様はその男の仲間だという事か!」
「あぁ、その通りだよ。勿論、私達の隣に居る彼女もね。」
「……よく分からないけど、私はここに居たいから一緒に暮らしている。」
「ついでに言っておくと、後ろの可愛い少女も私達に仲間だからね。」
「おい!お願いだから色々と自重してくれ!これじゃ余計に話がこじれて!」
「ふっふっふ……なるほど……そう言う事だったのか………」
うわヤベェ、うつ向いたままいきなり笑い出したんですけど………これはどうにも取り返しがつかない地点まで到達しちまった気が……
「ど、どうしたんだいクリフ君?」
「……エルア、お前の心を惑わせていたのは九条透だけでは無かったという訳か。」
「は、えっ?」
戸惑いの表情を浮かべるエルアには目もくれず敵意を込めた眼差しで俺達を睨んできた中二病患者は、またまたビシッと俺の顔面を指差してきやがった!
「九条透!貴様に真剣勝負を申し込む!」
「………はい?」
「来週、俺達はもう一度この街に訪れる……その時!俺と勝負をするのだ!」
「え、嫌なんだが……」
「勝負の内容は貴様に決めさせてやる!まぁ、どんな勝負だろうと後れを取る我では無いがな!はーっはっはっはっは!それでは馬車の所に行くぞ、エルア!」
「ちょ、ちょっとクリフ君!す、すみません!それではまた!」
高らかに笑い声を上げながら立ち去って行くアホとその後を追って行ったエルアの後姿を呆然と見つめていた俺は………ガックリとその場に崩れ落ちるのだった。
「り、理不尽すぎる……!」
「ふふっ、これは来週どうなるか楽しみになって来たね。」
「九条さん、勝負の内容は私が決めても良い?」
「はぁ……ご主人様、服が汚れるので早く立ってくださいね。」
「………俺………旅にでも出ようかなぁ………」
人の話を聞かない奴らのせいで平穏だった俺の日常があっさり消え去ってしまい、新たなる面倒事が問答無用で降り掛かって来るのだった……!
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