おっさんの異世界生活は無理がある。
第280話
「それではこちらが報酬の3万Gとなりますので、どうぞお受け取り下さい。」
「あぁ、どうもです。」
お姉さんに軽く頭を下げながら目の前に置かれた袋を手にして俺は、いつもの様にそれをポーチに仕舞い込んで席を立とうとしたのだが……
「申し訳ございません、そちらの報酬とは別に皆様にお渡しする物がございますので少々お待ち頂いてもよろしいでしょうか。」
「えっ?良いですけど……」
お姉さんは俺の返事を聞くとスッと席から立ち上がり小さくお辞儀をすると、奥の方に歩いて行ってしまった。
「……おじさん、もしかしてお姉さんが渡そうとしている物ってアレですかね?」
「まぁ、クアウォートの祭りを参考にしてるだろうから……あっ、戻って来た。」
「お待たせしました。こちらはクエストを達成した皆様にお渡しをしているカードになりますので、どうぞお受け取り下さい。」
そう言ってお姉さんが受付の上に置いて見せた物は、クアウォートにある斡旋所で貰ったのと似た様な黒いカードだった?
「ふむ、どうやら抽選番号が表示されるカードで間違いないみたいだね。」
「あっ、皆様はこちらのカードをご存じだったんですか?」
「数日前までクアウォートに行ってたから。」
「なるほど。そういう事でしたらカードの説明は省かせて頂いて、イベントに関するご説明をしたいと思います。」
「イベント……って事は、明日から当選番号が発表され続けるんですか?」
「あぁいえ、発表がされるのはお祭りの当日だけとなります。それと当選番号は1等から10等までありまして、どれかに当たれば豪華な景品が貰えるんですよ。」
「へぇ……その豪華な景品って何なんですか?」
「うふふ、それは当選するまでのお楽しみです。」
「おやおや、そう言う事なら頼んだよ九条さん。」
「いや、何でだよ。」
「今こそおじさんの強運を見せる時です!頑張って1等を当てて下さいね!」
「おい、無茶を言うなよ!?」
「そんな事はありません!おじさんなら出来ます!自分の運を信じるんです!」
「いや、信じてどうにかなる訳ねぇだろ?!それに俺の場合は当選しちまうと一緒に面倒事までやって来る可能性が高いんだよ!お前達もそれを分かってんだろ!?」
「その時はその時。」
「ソフィの言う通り、私達も手を貸すから安心して1等を狙ってくれ。」
「おじさんの強運なら大丈夫です!最悪10等でも良いですからね!」
「なんで当選するのが前提みたいになってんだよ……」
ってか抽選とかの類に応募する度に必ず当選してたらマジで呪われてると言っても良いレベルだと思うんだが……まぁ、レミの一件に関しては何とも言えないが。
「うふふ、九条さんは皆様から物凄く信頼されているみたいですね。」
「ははは……あんまり嬉しくないですけどねぇ……」
ため息交じりに苦笑いを浮かべてお姉さんと目を合わせた俺は、受付の上に置いてあったカードを手に取ると振り返って皆に渡していった。
「お姉さん、抽選の番号はクエストを7個やれば揃うんですよね?」
「うん、明日の朝にはイベント用のクエストが張り出される掲示板が設置されるから貴女はそっちの方を受けてみてね。ちょっとだけど報酬も出たりするから。」
「分かりました!うぅ……何だかワクワクしてきましたね!」
「あぁ、来月のお祭りが待ち遠しく感じるよ。」
「その時までに抽選番号を集めとこう。」
「はいはい……それじゃあ俺達はこれで、色々とありがとうございました。」
「いえ、またのお越しをお待ちしております。」
ニコッと微笑みかけてきたお姉さんと軽く頭を下げ合ってから立ち上がった俺は、斡旋所を後にする為に歩き出そうとした………その時、いきなり出入り口である扉がバンッと大きな音を立てて勢いよく開かれたっ!?
突然の事に驚いていると周囲のざわめきがピタッと止まって……建物の中には扉が軋む様な音だけが鳴り響き………
「九条透!この場に貴様が居るのは分かっている!我が前に姿を現すのだぁ!!」
「………………は?」
大絶叫とも言えるぐらいの声で名前をいきなり呼ばれてしまった俺は……ポカンと口を開けたまま思考が完全にフリーズしてしまうのだった………
「あぁ、どうもです。」
お姉さんに軽く頭を下げながら目の前に置かれた袋を手にして俺は、いつもの様にそれをポーチに仕舞い込んで席を立とうとしたのだが……
「申し訳ございません、そちらの報酬とは別に皆様にお渡しする物がございますので少々お待ち頂いてもよろしいでしょうか。」
「えっ?良いですけど……」
お姉さんは俺の返事を聞くとスッと席から立ち上がり小さくお辞儀をすると、奥の方に歩いて行ってしまった。
「……おじさん、もしかしてお姉さんが渡そうとしている物ってアレですかね?」
「まぁ、クアウォートの祭りを参考にしてるだろうから……あっ、戻って来た。」
「お待たせしました。こちらはクエストを達成した皆様にお渡しをしているカードになりますので、どうぞお受け取り下さい。」
そう言ってお姉さんが受付の上に置いて見せた物は、クアウォートにある斡旋所で貰ったのと似た様な黒いカードだった?
「ふむ、どうやら抽選番号が表示されるカードで間違いないみたいだね。」
「あっ、皆様はこちらのカードをご存じだったんですか?」
「数日前までクアウォートに行ってたから。」
「なるほど。そういう事でしたらカードの説明は省かせて頂いて、イベントに関するご説明をしたいと思います。」
「イベント……って事は、明日から当選番号が発表され続けるんですか?」
「あぁいえ、発表がされるのはお祭りの当日だけとなります。それと当選番号は1等から10等までありまして、どれかに当たれば豪華な景品が貰えるんですよ。」
「へぇ……その豪華な景品って何なんですか?」
「うふふ、それは当選するまでのお楽しみです。」
「おやおや、そう言う事なら頼んだよ九条さん。」
「いや、何でだよ。」
「今こそおじさんの強運を見せる時です!頑張って1等を当てて下さいね!」
「おい、無茶を言うなよ!?」
「そんな事はありません!おじさんなら出来ます!自分の運を信じるんです!」
「いや、信じてどうにかなる訳ねぇだろ?!それに俺の場合は当選しちまうと一緒に面倒事までやって来る可能性が高いんだよ!お前達もそれを分かってんだろ!?」
「その時はその時。」
「ソフィの言う通り、私達も手を貸すから安心して1等を狙ってくれ。」
「おじさんの強運なら大丈夫です!最悪10等でも良いですからね!」
「なんで当選するのが前提みたいになってんだよ……」
ってか抽選とかの類に応募する度に必ず当選してたらマジで呪われてると言っても良いレベルだと思うんだが……まぁ、レミの一件に関しては何とも言えないが。
「うふふ、九条さんは皆様から物凄く信頼されているみたいですね。」
「ははは……あんまり嬉しくないですけどねぇ……」
ため息交じりに苦笑いを浮かべてお姉さんと目を合わせた俺は、受付の上に置いてあったカードを手に取ると振り返って皆に渡していった。
「お姉さん、抽選の番号はクエストを7個やれば揃うんですよね?」
「うん、明日の朝にはイベント用のクエストが張り出される掲示板が設置されるから貴女はそっちの方を受けてみてね。ちょっとだけど報酬も出たりするから。」
「分かりました!うぅ……何だかワクワクしてきましたね!」
「あぁ、来月のお祭りが待ち遠しく感じるよ。」
「その時までに抽選番号を集めとこう。」
「はいはい……それじゃあ俺達はこれで、色々とありがとうございました。」
「いえ、またのお越しをお待ちしております。」
ニコッと微笑みかけてきたお姉さんと軽く頭を下げ合ってから立ち上がった俺は、斡旋所を後にする為に歩き出そうとした………その時、いきなり出入り口である扉がバンッと大きな音を立てて勢いよく開かれたっ!?
突然の事に驚いていると周囲のざわめきがピタッと止まって……建物の中には扉が軋む様な音だけが鳴り響き………
「九条透!この場に貴様が居るのは分かっている!我が前に姿を現すのだぁ!!」
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