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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第273話

「はっはっは!この菓子とカレンが淹れてくれた紅茶の相性は最高じゃな!美味くてほっぺたが落ちるようじゃ!」

「うふふ、そう言って頂けると嬉しいです。さぁ、それではもう1杯どうぞ。」

「おっ、すまんのう!……ふう、これは病み付きになってしまいそうじゃわい!」

「ったく……もうそろそろ昼飯時になるんだから、ほどほどにしておけよ。」

「はっはっは、言われんでも分かっておるよ!それよりほれ、九条も一口どうじゃ?手を止めておるとわし達が食い尽くしてしまうぞ?」

「う~ん!甘くて美味しくてとろけちゃいそうです!ロイドさんとソフィさんもそう思いますよね!」

「あぁ、この菓子を持ってきてくれた2人には今度お礼をしないとだね。」

「はぁ……この調子じゃ明日まで持ちそうにねぇな………」

「えぇ、確かにその様ですね。」

肩をすくめて困った様に微笑んでいるエリオさんと目を合わせて苦笑いを浮かべた俺は、女性陣が菓子の入った箱を空にしていくのを横目で見続けるしかなかった……

「……あっ、そういえばエリオさん。今日は野盗に狙われていたあの村で1泊するんですよね?」

「はい。そのつもりですが、それがどうかしましたか?」

「いや、あれから他に問題が起きてないのかなってちょっと思いまして………エリオさん、お仕事をなさっていた時にそこら辺の事を聞いていませんか?」

「そうですね……実は私もあの村の事が気になっていたのでクアウォートの貴族達に情報を集めて貰ったのですが、これと言って何も起きていないみたいですよ。」

「なるほど……それなら良かったです。野盗の残党が復讐心を抱いて村を襲撃したりなんて事が起きてしまってたら最悪ですから。」

「えぇ、あの時に1人残らず捕まえる事が出来て本当に良かったです。」

……若干この会話がフラグになりそうな気もするがその時はその時って事で、今は村に異常が発生していない事を心の底から喜ぶとするかね。

「なんじゃ、お主達はクアウォートに来る前にそんな事をしておったのか?」

「ん?あぁ、バカンスが終わるかもしれなかったからちょちょっとな……」

「随分と物好きな奴らじゃのう。わざわざ危険な目に遭いに行こうとするとは。」

「もう、本当にそうですよねレミさん!」

「うおっ!?ど、どしたんじゃマホ、いきなり大きな声を出したりして。」

「いくらバカンスの為とは言え、野盗を捕まえに行こうとするなんてどうかしてると思いますよね!私達がどれだけ心配するかも分かっていたはずなのに!」

「い、いやちょっと待てよ!その話は随分前に終わっただろ?」

「おや、それはどうかな?今さっき、九条さんはもし野盗の残党が居るならば今夜も何とかしなければ……そう考えていたんじゃないのかい?」

「ま、まさかそんなバカな!」

「……九条さん、私達の目を見てもそう断言出来る?」

「も、勿論じゃないか!そうですよね、エリオさん!」

「む、ま、まぁそうですね……」

「うふふ、それならばエリオさん。私の瞳をジッと見つめながら何が起きても危険な事はしないと誓ってください。」

「わ、わざわざその様な事をする必要があるのか?」

「はい。きちんと約束して下されば安心出来ますから。」

「そ、そうか……九条さん、よろしいですか?」

「は、はぁ………えっと、何があったとしても単独行動はしません……」

「私も、カレンとロイドと皆さんを悲しませる様な事はしないと誓おう……」

真剣な表情を浮かべるマホ、ロイド、ソフィ、カレンさん……そしてそんな俺達の様子をニヤニヤとしながら傍観している神様の視線を受けながら2週間前にしたのと同じ様な誓いを立てた俺とエリオさんは真っすぐな視線を静かに受け止めて……

いや、マジで何なのこの状況は?どうしてたった数分でこんな事態に陥ったんだ?ちょっとおじさんには理解が追い付かないんですけど………

「……まぁ、とりあえずは信じといてあげましょう!」

「……あの、そんなに俺が信頼出来ません……かね?」

「父さんはともかく、九条さんは無茶をした前例が多すぎるからね。」

「む、そんなになのか?」

「うん。それでたまに死にかけたりする。」

「そ、そんな事は……片手で数えるぐらいしか……無いはず……」

「それだけあれば充分ですよ!」

「ひぃ!」

「……九条さん、無茶をしてはいけませんよ。」

「なっ!?」

「うふふ、あまりロイドちゃんを悲しませる様な事はしないで下さいね。」

ひ、酷い!お咎め無しと分かった瞬間にエリオさんがあっち側に寝返っちまった!さっきまで俺と同じ責められる側の立場だったのに、それは卑怯過ぎませんかね!?

まさかの裏切り行為に驚きながらこの場をどう収めるべきなのかと思考をグルグル回転させまくっていたその時、馬車の外から聞き覚えのある音が響いてきた!

「あぁ!こ、これは昼時を知らせる鐘の音じゃないか!」

「なんじゃと!もうそんな時間になったというのか!?」

「勿論そうだ!よしっ、それじゃあ俺はメチャクチャ腹が減ったから飯を食べる為の場所を設営してくれる人達を手伝ってくるとしよう!さ、さらばだ!」

「あっ、こら!まだ話は終わってませんよおじさん!」

席を立ちあがって詰め寄ってこようとしてきたマホから逃げ出す様にまだ動いてる馬車から飛び降りた俺は、少しして降りてきた屈強な男達に混じり食事場所の設営に取り掛かるのだった………!

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