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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第270話

メイド長さんから2人が帰って来ていると教えられた俺達は、すぐにレミを連れてエリオさんとカレンさんが待つリビングに向かい何があったのか説明するのだった。

「なるほど……それならばレミさん、もしよろしければ私達の自宅でしばらく一緒に暮らしてみませんか?」

「なに、お主達の家でか?」

「はい。神様が住む宮殿には劣るとは思いますが、ご不便はおかけしませんので。」

「うふふ、いかがですか?」

「うーん、しかしじゃな………」

「……美味い飯、沢山食えるぞ。」

「よしっ!本当は九条達が住んでいる家に行く予定だったんじゃが、折角のお誘いを断る訳にはいかんからのう!しばらくの間、厄介になるぞ!」

「えぇ、分かりました。九条さんもそれでよろしいですか?」

「はい!ありがとうございます!ありがとうございます!」

大飯ぐらいの神様をエリオさんとカレンさんに預ける事に成功して歓喜をする事になった夜から時間が過ぎてクアウォートを去る前日の夕方、俺は部屋に設置されてた大きな鏡を見ながら出掛ける準備が完了しているか最終確認を行っていた。

「えっと、スマホは持ったし財布もちゃんとある………ふぅ、それにしてもこっちに来て初めてコレを着る事になるとは……人生、どう転がるか分かんねぇもんだな。」

自分の恰好をマジマジと見ながら何とも言えない気持ちになってると、部屋の扉がコンコンとノックされる音が聞こえてきた。

「おじさーん!私達はもう着かえ終わりましたよー!」

「あっ、はいはーい!すぐ行く!」

大きな声で呼びかけてきたマホに返事をした後に短く息を吐き出した俺は、改めて財布とスマホを持ってるか確かめてから部屋を出て行き廊下で待ってくれていた皆と合流をして………っ!?

「えへへ、おじさん!私達の浴衣姿はどうですか?」

「ふふーん!どうじゃ九条!わし達の魅力に虜になったかのう?」

「……感想、聞かせてほしい。」

「…………あ、その………まぁ……うん、似合ってるぞ………」

「はっはっは!その様に顔を赤くせんと感想を言えぬとは恥ずかしがり屋じゃな!」

「う、うっせい!それよりもマホ!お前、その髪型はまさか……!?」

「はい!おじさんが喜ぶかなって思ってポニーテールにしてみました!どうですか?似合ってますか?可愛いですか?」

「……あぁ、最高だマホ!よくやった!」

「えへ、えへへへへ!ありがとうございます!」

「それにレミとソフィの浴衣姿も最高だ!ぶっちゃけ感動した!」

「おっ、そんなに褒められると照れてしまうではないか!」

「……ありがとう。九条さんも浴衣、似合ってるよ。」

「そ、そうか?へ、へへへ………」

ど、どうしよう!ニヤニヤが止まらないんですけど!?ってか浴衣を着た美少女に囲まれてお祭りに行くとか俺ってばマジで勝ち組じゃないですかね!?ひゃっほう!

浴衣が大通りの店で売られているのを見た時はどうしてなのかと疑問に思ったりもしたが、そんな事はどうでも良いってもんだよな!今はこの瞬間を楽しまねぇとな!

「いやぁ、それにしてもクアウォートも凄い街ですよね。水神龍の宮殿に行けないと分かった次の日から花火大会とお祭りの準備を始めるだなんて。」

「あぁ、しかもたった数日で開催が出来るまでにするだなんてな……ってか、本当に街を離れる前に光の輪を消しちまって良かったのか?」

「うむ。わしの守護が弱まれば自然消滅してしまう物じゃが、誰かが使っている時に消えてしまう可能性もあるからのう。」

「問題が起きる前に対処したんだね。」

「そう言う事じゃ……さてと、立ち話はこれぐらいにしてそろそろ祭りに繰り出すとしようかのう!」

「えぇ、そうですね!」

「おう!……そう言えば、ロイドはもう先に行っちまったのか?」

「あ、はい!少し前にエリオさんとカレンさんと一緒に出掛けました!」

「そうか……よしっ、バカンス最終日である今日は家族だけで過ごせる様になるべく会わない様に気を付けるとするか。」

「分かりました!それじゃあ、お祭りに行きましょうか!」

「うむ!ついさっきわしが同じ事を言ったがな!」

テンションが上がりまくっているマホとレミの後を追いかけて階段を降りて階段にやって来た俺とソフィは、メイド長さん達に見送られながら別荘を後にして大通りの方に向かって皆と一緒に歩いて行くのだった。

「いやぁ、それにしても街の中心部から離れておるのに随分と人の数が多いのう。」

「そんだけ楽しみにしている人が居るって事だろうな……ってそうだ、マホとレミに渡そうと思ってた物があるんだった。」

「え、私達に……ですか?」

「ふむ、なんじゃそれは?」

「ちょっと待ってくれよ……おっ、あったあったっと………ほれ、ちょっとこっちに来て手を出してみろ。」

互いに顔を見合わせてから小首を傾げて近寄って来て両手を受け皿の様にしているマホとレミに、俺はポーチから取り出した可愛らしい小銭入れを優しく落とした。

「その中に小遣いが入ってるから、今日はそれを使って祭りを楽しめ。」

「え、どうして急に……」

「レミはともかくとして、マホはこういう時に遠慮しがちになりそうだからな。最初からこれだけの額を使って良いって渡しておけば好きなだけ楽しめるだろ?」

「これ!わしはともかくとはどういう事じゃ!神に対して失礼ではないか!」

「はっ!食事会で好き放題食いまくった癖によく言うな!」

「ぐっ!それは神へのお布施として考えたらどうなんじゃ!」

「アホか!毎回あんだけお布施してたらあっと言う間に破産するっての!分かったら今日はその中にある金だけで祭りを楽しめ!」

「えぇい!何とけち臭い男じゃ!そんなんではバチが当たるぞ!いや、当てるぞ!」

「やかましい!文句ばっかり言ってると小遣いを没収するぞ!」

「なっ、それは卑怯じゃぞ!マホ!お主からも何とか言ってやるが良い!」

「おじさん!このお小遣い、大切に使わせて貰いますね!」

「うむ!よく言ったってそうではなかろう!?」

「はっはっは!これで2対1だな!それを理解したら諦めるが良いわ!」

「くぅ~!こ、こうなったら財布の中が無くなるまで遊び尽くしてやるわい!」

「おう!そうしろそうし……ん?」

財布を強く握りしめて悔しそうにしてる神様を見下ろしながら勝ち誇っていると、不意に浴衣の裾がクイクイッと引っ張られる様な感覚がして振り返ってみると……

「………私にも頂戴。」

「………え、何を?」

「お小遣い。」

「………え、何で?」

「マホとレミだけズルい。私も欲しい。」

「………いやいや、ソフィは自分の財布を持ってるだろ?」

「……私もお小遣いが欲しい。」

「………えっ?」

「お小遣い。頂戴。私にも。」

……有無を言わさぬ迫力が込められたソフィに詰め寄られてどうしようかと悩んでマホとレミに視線を向けて……あっ、君達はお小遣いをどう使うのか相談中ですか。

「……はぁ、分かったよ。ソフィにも小遣いをやれば良いんだろ。」

「………!」

「ったく……使える額が限られるってのにどうしてそんな嬉しそうなのかねぇ……」

ため息を零しながらポーチの中を漁ってさっきマホとレミに渡した物とは別の小銭入れを取り出した俺は、ソフィの両手の上にそれをポトンと落としてやった。

「……ありがとう、九条さん。」

「……どういたしましてっておいコラ!先に街に行こうとするんじゃない!人込みに巻き込まれて迷子にでもなったらどうするつもりなんだ!ちょ、待ちなさい!」

何故か宝物を手に入れたかの様に微笑むソフィにドキッとしてそれを誤魔化すかの様にマホとレミに目を向けたら、勝手に街の方に歩き出してる2人の姿が視界に入り俺は急いでその後を追いかけて行くのだった!

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