おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第254話

クアウォートの斡旋所でクエストを受ける様になってから3日が過ぎて頼まれてた素材の半分と抽選番号を何とか入手した俺達は、溜まり始めた疲れを取る為に翌日を休日にしようと決めたのだが………

「ったく、休みって予定を決めたんだから別荘でゴロゴロしても良いだろうが。」

「はいはい、ここまで来たら文句を言わずに当選番号を確認して下さいね!」

「はぁ……しょうがねぇなぁ………」

「……今日こそは。」

マホとソフィと一緒に大通りにある巨大な掲示板の前にやって来た俺は、ポーチの中からカードを取り出すとため息を零しながら張り出されている番号を見てみた。

「……残念だが俺の番号は外れてるっぽいな。そっちはどうだ?」

「あー……ダメですね、私も外れてます。ソフィさんはどうですか?」

「……同じく。」

「うーん……この調子だと、ロイド達の方も外れてる可能性が高そうだな。」

「そうですねぇ……やっぱり応募人数も日に日に増えてるみたいですから、当選するのも難しくなっているんですかね?」

「あぁ、街で見かける人の数が明らかに多くなってきてるからな。残念だが、今回は縁がなかったと諦めるしかないかもな。」

「……まだ1週間以上ある。諦めるのはまだ早い。」

「おぉ!ソフィさんがやる気に満ちていますよ、おじさん!」

「珍しいな……こんなに闘志が燃えてるソフィは初めて見た気がするぞ。」

「……クアウォート周辺に出現しているモンスターの強さを考えると、ダンジョンに出現するモンスターはそれより………ふふふ、手応えがありそう。」

「……どうやら、ソフィさんのやる気の理由はそういう事らしいですね。」

「いやいや、どんだけ戦うのが好きなんだよ!?」

あぁもう、ここにロイドが居てくれれば丸く収めてくれたんだろうが……アイツはリリアさんとライルさん、そしてアリシアさんとシアンと朝早くから出掛けちまったもんなぁ……

何でも久しぶりに再会した同級生と一緒に観光がてら俺達と食事をする場所を探すって事らしいんだが……お嬢様達だけで選んだ食事処って金銭面的に少し怖いな……ま、まぁ大丈夫だろ!うん、お前の得た庶民感覚を信じているぞロイド!!

「……それじゃあ、当選番号の確認も終わったからそろそろ行こう。」

「お、おう……って、そもそも何処に行く予定だったんだ?」

「あれ、今日の目的って言ってませんでしたっけ?」

「あぁ……有無を言わさずベッドから外に引きずりだされてここまで来たからな。」

「……そう言えばそうでしたね!じゃあ、改めて今日の目的を発表しますね!」

マホは口で急にどぅるるるるとドラムロールを鳴らして両手を胸の前でグルグルと回し始めると………

「るるる………じゃん!ソフィさん、発表をお願いします!」

「あ、マホが言うんじゃないのか……」

「……今日の目的は、ダンジョンに関する情報収集。」

「……情報収集?」

「はい!そうです!」

「えっと……何でそんな事をするんだ?別に当選したって訳でも無いのに。」

「当選してからではダメ。モンスターの強さが未知のダンジョンに挑むなら、事前に情報取集をするのは基本。」

「はっはっはっ……ソフィはもうダンジョンを攻略する気が満々なのね。」

「当然。」

「あーそうですかそうですか…………帰りてぇなぁ………」

「まぁまぁ、そう言わずに付き合ってくださいよ。おじさんも調べて置いて損は無いって思ってるんじゃないですか?これまでの経験から考えると。」

「………そう言われると、反論出来ないのが辛いんだよなぁ。」

当選するかどうかも分からないが、万が一にでもダンジョンに行く事が決まったら観光だけで終わるとも思えないし………それに例のちびっこ占い師に言われた言葉も気掛かりだから、念には念を入れておいた方が良いかもしれないよな。

「……分かったよ、ダンジョンに関する情報を集めるのを手伝えば良いんだろ。」

「うん、よろしく。」

「えへへ!そうと決まれば早速行きましょうか!まずは近場の本屋さんからです!」

「ふーん……まぁ、それっぽい情報が載ってる本ぐらいは置いてるかもな。」

それから俺達は掲示板の前を離れるとマホの案内に従って本屋を巡り、海底に沈むダンジョンに関する情報を探し求めて行くのだった。

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