おっさんの異世界生活は無理がある。
第250話
「アリシアさん、そのへっぴり腰は何ですか!そんな事では、何時まで経ってもそのシュダールを使いこなせませんわよ!」
「い、言われなくても分かっていますわ!ただその、魔力を流すというのがどうにも難しくてですね……」
「あ、あの……すみません、お手を煩わせてしまって………」
「うえ、大丈夫ですよシアンさん。落ち着いて、もう一度やってみましょうか。」
「………俺、何かを教わるのならライルさんの方が良いな。」
「いえ、おじさんは優しくされるより厳しくされる方が合ってると思います。」
「………そっちはもう間に合ってるっての。」
経験値10倍のおかげで早々にシュダールを扱える様になった俺は、マホと一緒に浅瀬に立ちながら頑張って練習に励んでいるアリシアさんとシアンの様子を見守っていたんだが………
「それにしても、あの2人って本当に魔力の扱いが苦手なんだな。」
「はい、ちょっとずつ上手にはなっているんですけど……」
「アリシアさん!シュダールに流す魔力の量が一気に増えすぎですわ!そうではなく少しずつ増やして下さいな!」
「は、はい!……うぅ……リリアさんの教え方って案外スパルタでしたのね……」
「シアンさん、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。さぁ、シュダールに流す魔力を増やしていって……そうです、その調子です。」
「わ、分かりました!」
「……本当にちょっとずつだな。」
「……はい。」
シュダールに込める魔力量が多すぎてバランスを崩しがちなアリシアさんと、逆に少なすぎて浮く事が困難になっているシアン……はぁ、まさか魔力の扱いがここまで苦手だとは思いもしなかったな。
「まぁ、リリアさんとライルさんが居れば何とかなるとは思うんだが……それよりもあっちに居るロイドとソフィなんだが……あいつ等、マジでどうなってんの?才能の塊なの?それとも天才すぎなの?」
「多分ですけど……その両方なんじゃないですかね。」
静かに微笑むマホと一緒に見つめる先では、早々にシュダールを使いこなしているロイドとソフィが沖合の方でウォーシューター片手に壮絶な試合を繰り広げていた。
「凄いじゃないかソフィ!もうそんなに動ける様になっているなんてね!」
「……無駄口、叩いてる暇があるの?」
「おっと危ない!……そうだったね、今は勝負に集中しようか!」
海の上を歩く………なんてレベルでは無く滑る様に素早く移動している2人の姿を遠目に眺めていた俺は、改めてあの2人の凄さを知り苦笑いを浮かべるのだった。
「ちょっと見ない間にシュダールの扱いが上手くなったもんだなぁ……成長の速度が凄すぎる気もするけどな。」
「まぁ、ロイドさんとソフィさんですからね。」
「おいおい、それで納得する訳が………って言いきれないのが恐ろしいんだよな。」
あいつ等、俺が持ってる経験値10倍のバフをデフォルトで持ってんじゃねぇか?そうでもなきゃあんな簡単に動き回れると思えんのだが…………いや、俺もやろうと思えばあれぐらい………うん、やっぱ無理してやる必要は無いな!安全第一!
「……アリシアさん、練習はここまでとして少し休憩と致しましょう。」
「い、いえ!まだ出来ますわ!」
「嘘、ですわね。先ほどからバランスを崩す時間が短くなってきていますわよ。」
「そ、それは………」
「こういうのは無理をすれば良いと言う物ではありません。適度な休憩を挟みつつ、しっかりと身につける事が大事なんです。」
「………分かりましたわ。忠告を聞いて休憩をしますわ。」
「よろしいです………それでは私は失礼致しますわね!」
「えっ?」
「ロイド様ー!私もその勝負に混ぜて下さいませんかー!勿論、先ほどの勝った方が何でも言う事を聞くという条件をお付けしてー!」
「あぁ!?そ、そんなのズルいですよリリアさん!わ、私だってロイドさんと一緒に遊びたいのに!」
「え、えっと……それじゃあ私もお姉様と一緒に休憩とさせて頂いても……」
「は、はい!それじゃあシアンさんも休憩という事で!それでは失礼しますね!ま、待って下さいリリアさーん!」
大きく手を振りながらロイド達に急接近していくリリアさんの後を追ってくライルさんの後ろ姿を呆然と見ていた俺は、ガクッと肩を落として脱力してしまっていた。
「な、なんて欲望に忠実な奴らなんだ……しかもいつの間にか、シュダールの扱いがメチャクチャ上手くなってやがるし……」
「ロイドさんに対する愛のなせる業……って事なんですかね?」
「だろうな………」
うわぁすごーい……早速試合が始まってる……しかも今回は沖合で人が少ないって事も影響しているのか、魔法で空中に水の足場まで作ったりしてるよ……
なんて思いながら皆の試合を呆れながら見つめていると、縦ロールが海水に濡れたせいで無くなってしまったアリシアさんがシアンと一緒にこっちに歩いて来た。
「あっ!お2人共、練習お疲れ様です!どうですか、シュダールの扱いは?」
「あ、あはは……まだまだって感じです。」
「悔しいですが、未だに感覚を掴み切れませんわね。」
「そうか。やっぱ魔力の扱いが苦手なのか?」
「はい……昔からどうにも慣れなくて……九条さんから見て、どうでしたか?」
「うーん、俺が見てた感じでは少しずつだが上手くなってきてるとは思うけどな。」
「私もそう思います!後は感覚さえ掴めばすぐに歩ける様になりますよ!……まぁ、あっちで動き回っている皆さんの様になるのはちょっと難しいとは思いますが……」
「うふふ、そこは自分達でも理解していますのでお気遣いをして頂かなくても大丈夫ですよ。」
「と、とりあえずは海の上を歩く!そこを目標に頑張ります!」
「おう、それじゃあ目標達成に向けて今は休憩をしときな。その後は……あの2人、試合に夢中になって戻ってこないなんて事はないよな?」
「まぁまぁ、そうなったらおじさんがアリシアさんとシアンちゃんに教えてあげれば良いだけの話じゃないですか!」
「いやいや、教えるって言ったって手を繋いだりする必要があるんだぞ?流石にそれをする訳には……」
「あ、あの!もしよろしければ、私達にシュダールの扱い方を教えて下さい!」
「……へ?」
「そ、そうですわね!違う人に教われば、更なる成長出来るかもしれませんものね!それにリリアさんもロイドさんと海を楽しみたいでしょうから!そうしましょう!」
「は、ちょ、ちょっと待ってくれ!急にそんな事を言われても……うっ!?」
水着姿の美少女と至近距離で手を繋ぐという傍から見たら通報されかねない案件が転がり込んできて、言い訳を重ね断ろうとしていると………アリシアさんとシアンが物凄く不安そうな表情……ってか、うっすら涙目になりながら俺の事を見て来た?!
「や、やっぱり………ご迷惑………でしたか……?」
「と、突然の事ですものね………すみません……でした……」
「あ、い、いや、そういう訳じゃ……ハッ?!」
いきなりの事態にどうしたら良いのか困っていると、背後から突き刺さる様な視線とヒソヒソと話す人の声が聞こえてきて……!
「ちょっと……アレ……」
「……泣かせてるのか?」
「おい……人を呼んだ方が良いのか……?」
「……‥おじさん。」
「よぉし、分かった!俺がシュダールの扱い方をバッチリ教えてやるぞ!うん!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「……あれ?」
「えぇえぇ、私達の誘いを断る殿方なんていらっしゃいませんものね!」
「……ま、まさか………嘘泣き……だと?!」
瞬時に涙が引っ込みケロッとした表情を浮かべる美人姉妹を見て驚愕していると、マホが俺の背中をトントンと叩いて……って、お前も睨みをきかせてたじゃねぇか!
心の中でそう怒鳴りながら20分の休憩時間を過ごすしていた俺は、リリアさんとライルさんが戻ってくる様に必死に祈っていたが……結局その願いが叶う事は無く、俺は鼓動が早くなるのを実感しながら美少女2人を相手にシュダールの扱いを教える事になるのだった。
「い、言われなくても分かっていますわ!ただその、魔力を流すというのがどうにも難しくてですね……」
「あ、あの……すみません、お手を煩わせてしまって………」
「うえ、大丈夫ですよシアンさん。落ち着いて、もう一度やってみましょうか。」
「………俺、何かを教わるのならライルさんの方が良いな。」
「いえ、おじさんは優しくされるより厳しくされる方が合ってると思います。」
「………そっちはもう間に合ってるっての。」
経験値10倍のおかげで早々にシュダールを扱える様になった俺は、マホと一緒に浅瀬に立ちながら頑張って練習に励んでいるアリシアさんとシアンの様子を見守っていたんだが………
「それにしても、あの2人って本当に魔力の扱いが苦手なんだな。」
「はい、ちょっとずつ上手にはなっているんですけど……」
「アリシアさん!シュダールに流す魔力の量が一気に増えすぎですわ!そうではなく少しずつ増やして下さいな!」
「は、はい!……うぅ……リリアさんの教え方って案外スパルタでしたのね……」
「シアンさん、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。さぁ、シュダールに流す魔力を増やしていって……そうです、その調子です。」
「わ、分かりました!」
「……本当にちょっとずつだな。」
「……はい。」
シュダールに込める魔力量が多すぎてバランスを崩しがちなアリシアさんと、逆に少なすぎて浮く事が困難になっているシアン……はぁ、まさか魔力の扱いがここまで苦手だとは思いもしなかったな。
「まぁ、リリアさんとライルさんが居れば何とかなるとは思うんだが……それよりもあっちに居るロイドとソフィなんだが……あいつ等、マジでどうなってんの?才能の塊なの?それとも天才すぎなの?」
「多分ですけど……その両方なんじゃないですかね。」
静かに微笑むマホと一緒に見つめる先では、早々にシュダールを使いこなしているロイドとソフィが沖合の方でウォーシューター片手に壮絶な試合を繰り広げていた。
「凄いじゃないかソフィ!もうそんなに動ける様になっているなんてね!」
「……無駄口、叩いてる暇があるの?」
「おっと危ない!……そうだったね、今は勝負に集中しようか!」
海の上を歩く………なんてレベルでは無く滑る様に素早く移動している2人の姿を遠目に眺めていた俺は、改めてあの2人の凄さを知り苦笑いを浮かべるのだった。
「ちょっと見ない間にシュダールの扱いが上手くなったもんだなぁ……成長の速度が凄すぎる気もするけどな。」
「まぁ、ロイドさんとソフィさんですからね。」
「おいおい、それで納得する訳が………って言いきれないのが恐ろしいんだよな。」
あいつ等、俺が持ってる経験値10倍のバフをデフォルトで持ってんじゃねぇか?そうでもなきゃあんな簡単に動き回れると思えんのだが…………いや、俺もやろうと思えばあれぐらい………うん、やっぱ無理してやる必要は無いな!安全第一!
「……アリシアさん、練習はここまでとして少し休憩と致しましょう。」
「い、いえ!まだ出来ますわ!」
「嘘、ですわね。先ほどからバランスを崩す時間が短くなってきていますわよ。」
「そ、それは………」
「こういうのは無理をすれば良いと言う物ではありません。適度な休憩を挟みつつ、しっかりと身につける事が大事なんです。」
「………分かりましたわ。忠告を聞いて休憩をしますわ。」
「よろしいです………それでは私は失礼致しますわね!」
「えっ?」
「ロイド様ー!私もその勝負に混ぜて下さいませんかー!勿論、先ほどの勝った方が何でも言う事を聞くという条件をお付けしてー!」
「あぁ!?そ、そんなのズルいですよリリアさん!わ、私だってロイドさんと一緒に遊びたいのに!」
「え、えっと……それじゃあ私もお姉様と一緒に休憩とさせて頂いても……」
「は、はい!それじゃあシアンさんも休憩という事で!それでは失礼しますね!ま、待って下さいリリアさーん!」
大きく手を振りながらロイド達に急接近していくリリアさんの後を追ってくライルさんの後ろ姿を呆然と見ていた俺は、ガクッと肩を落として脱力してしまっていた。
「な、なんて欲望に忠実な奴らなんだ……しかもいつの間にか、シュダールの扱いがメチャクチャ上手くなってやがるし……」
「ロイドさんに対する愛のなせる業……って事なんですかね?」
「だろうな………」
うわぁすごーい……早速試合が始まってる……しかも今回は沖合で人が少ないって事も影響しているのか、魔法で空中に水の足場まで作ったりしてるよ……
なんて思いながら皆の試合を呆れながら見つめていると、縦ロールが海水に濡れたせいで無くなってしまったアリシアさんがシアンと一緒にこっちに歩いて来た。
「あっ!お2人共、練習お疲れ様です!どうですか、シュダールの扱いは?」
「あ、あはは……まだまだって感じです。」
「悔しいですが、未だに感覚を掴み切れませんわね。」
「そうか。やっぱ魔力の扱いが苦手なのか?」
「はい……昔からどうにも慣れなくて……九条さんから見て、どうでしたか?」
「うーん、俺が見てた感じでは少しずつだが上手くなってきてるとは思うけどな。」
「私もそう思います!後は感覚さえ掴めばすぐに歩ける様になりますよ!……まぁ、あっちで動き回っている皆さんの様になるのはちょっと難しいとは思いますが……」
「うふふ、そこは自分達でも理解していますのでお気遣いをして頂かなくても大丈夫ですよ。」
「と、とりあえずは海の上を歩く!そこを目標に頑張ります!」
「おう、それじゃあ目標達成に向けて今は休憩をしときな。その後は……あの2人、試合に夢中になって戻ってこないなんて事はないよな?」
「まぁまぁ、そうなったらおじさんがアリシアさんとシアンちゃんに教えてあげれば良いだけの話じゃないですか!」
「いやいや、教えるって言ったって手を繋いだりする必要があるんだぞ?流石にそれをする訳には……」
「あ、あの!もしよろしければ、私達にシュダールの扱い方を教えて下さい!」
「……へ?」
「そ、そうですわね!違う人に教われば、更なる成長出来るかもしれませんものね!それにリリアさんもロイドさんと海を楽しみたいでしょうから!そうしましょう!」
「は、ちょ、ちょっと待ってくれ!急にそんな事を言われても……うっ!?」
水着姿の美少女と至近距離で手を繋ぐという傍から見たら通報されかねない案件が転がり込んできて、言い訳を重ね断ろうとしていると………アリシアさんとシアンが物凄く不安そうな表情……ってか、うっすら涙目になりながら俺の事を見て来た?!
「や、やっぱり………ご迷惑………でしたか……?」
「と、突然の事ですものね………すみません……でした……」
「あ、い、いや、そういう訳じゃ……ハッ?!」
いきなりの事態にどうしたら良いのか困っていると、背後から突き刺さる様な視線とヒソヒソと話す人の声が聞こえてきて……!
「ちょっと……アレ……」
「……泣かせてるのか?」
「おい……人を呼んだ方が良いのか……?」
「……‥おじさん。」
「よぉし、分かった!俺がシュダールの扱い方をバッチリ教えてやるぞ!うん!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「……あれ?」
「えぇえぇ、私達の誘いを断る殿方なんていらっしゃいませんものね!」
「……ま、まさか………嘘泣き……だと?!」
瞬時に涙が引っ込みケロッとした表情を浮かべる美人姉妹を見て驚愕していると、マホが俺の背中をトントンと叩いて……って、お前も睨みをきかせてたじゃねぇか!
心の中でそう怒鳴りながら20分の休憩時間を過ごすしていた俺は、リリアさんとライルさんが戻ってくる様に必死に祈っていたが……結局その願いが叶う事は無く、俺は鼓動が早くなるのを実感しながら美少女2人を相手にシュダールの扱いを教える事になるのだった。
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