おっさんの異世界生活は無理がある。
第248話
名刺の裏に載っていた地図を頼りに海岸のすぐ近くにある少し大きめの建物の前にやって来た俺達は、店の外から窓を覗き込んで中の様子を探ってみた。
「へぇ……どうやらここは海で使うアイテムを扱っている所らしいな。」
「そうみたいですね!ほら見て下さい、店内に居るほとんどの人が水着姿ですよ!」
「ふむ、それに随分と賑わっている様だね。」
「あぁ、これ以上混まない内にさっさと入るとするか。」
扉の取っ手をグッと引いて店の中に足を踏み入れた俺は、店員さん達の挨拶を聞きながら周囲を軽く見回してみた。
……なるほど、サーフボードやシュノーケルといった物の他にこっちの世界独特のマジックアイテム的な物も販売しているのか……そりゃこんなのが海の近くにありゃこれだけ繁盛するのも納得だわ。
「うわぁ!こんなにこんなに色々な物があると、目移りしちゃいますね!」
「ふふっ、確かにそうだね。」
「……九条さん、この張り紙。」
「ん、張り紙?……当店とクエスト斡旋所がイベントの為に開発したアイテムを貸し出し中、ご興味がある方は受付にて申請を受け付けております……ってもしかして、これが賑わっている理由なのか?」
「そ、そうだと思います。受付に沢山の人が並んでいますから。」
「一体どんなアイテムなのか……気になりますわね。」
「よしっ、そんじゃあ受付に行って聞いてみるとするか。」
俺達はそこそこ並んでいる列の最後尾に立つと自分達の順番が来るのを待っていたんだが……こっから店員とお客のやり取りを聞く限りでは、例の開発されたって言うアイテムは在庫が残って無いみたいだな。
それを聞いて何人かのお客がガッカリしながら列を外れて行ったので、思っていたより早めに受付まで辿り着く事が出来た。
「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「えっと、実は俺達アリシアさんとシアンさんの知り合いなんですが……あっ、これさっき貰った名刺です。もしご迷惑でなければ彼女達を呼んでもらえませんか?」
「……すみませんが、確認の為に少々お待ちして頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。分かりました。」
「それでは、失礼させて頂きます。」
お姉さんは受付に置いた名刺を手にすると奥の方に見えていた螺旋階段を上がって2階に行ってしまった……それからしばらく待たされていると、マホが俺の海パンをクイクイッと引っ張ってきた。
「……おじさん、不審者として通報されたりしませんよね?」
「……マホ、そんなフラグになりそうな事を軽々しく言うんじゃない。ちょっとだけ不安になるだろうが」
「ふふっ、そんな心配をする必要は無いと思うよ……ほら。」
ロイドの声と共に階段ほ方に目を向けてみると、さっきのお姉さんとアリシアさんとシアンが一緒に降りて来てこっちに歩み寄って来た。
「皆さん!本当に来てくれたんですね!」
「まぁ、約束だったからな。」
「うふふ、ありがとうございます。ここでは何ですので、こちらへどうぞ。」
アリシアさんが受付に続く小さなスイングドアを開けて招いてくれたので、俺達は軽く頭を下げながらそれを通って行こうと………思ったんだが………
「アリシアさん、俺達ってこの格好でお邪魔しても大丈夫なのか?」
「この格好?……あぁ、水着の事ですわね。大丈夫です、問題ありませんわ。ほら、私達もこの下は水着ですから。」
「あ、そ、そうなのか………なるほど………」
羽織っていた服のジッパーを下ろし始めたアリシアさんから反射的に目を反らして横の方を向けると、何故かそこには呆れた様な視線をぶつけてくるマホが……
「いや待て、そんな目で見られる筋合いはないだろうが。むしろ、よくやりましたねって褒められるべき所なんじゃねぇの?」
「それもそうなんですけど、ここまで女性に免疫が無いと色々と心配で……」
「……余計なお世話だっての。」
「それでは皆様、2階へご案内致しますので私達について来て下さい。」
俺とマホのやり取りを特に気にした様子も無く見ていたアリシアさんはそう言うとシアンと一緒に螺旋階段に向かったので、俺達もその後に続いて行ったんだが………
「お父様、お母様、私達のお客様をお招き致しました。」
「……分かった。」
「そちらの方達が……ねぇ………」
2階の少しだけ広々とした応接間らしき所で俺達を出迎えてくれたのは、鋭すぎる視線で睨みつけてくる男性と同じ様な視線で俺達を見つめる女性だった……ってか、この人達がアリシアさんとシアンのご両親って………え?
「……そちらのお2人は初めましてですね。私は『ラウザ・ペティル』です。」
「私は『シャーリー・ペティル』です。以後お見知りおきを。」
「ど、どうも初めまして……九条透です……」
「マ、マホです……」
「ご無沙汰しております、ラウザさん、シャーリーさん。」
「お元気そうで何よりですわ。」
「お、お久しぶりです。」
皆が挨拶をするのを聞きながらマホと目を合わせて笑顔を引きつらせていた俺は、これからどうなるのかと怯えながら冷や汗を流すのだった……
「へぇ……どうやらここは海で使うアイテムを扱っている所らしいな。」
「そうみたいですね!ほら見て下さい、店内に居るほとんどの人が水着姿ですよ!」
「ふむ、それに随分と賑わっている様だね。」
「あぁ、これ以上混まない内にさっさと入るとするか。」
扉の取っ手をグッと引いて店の中に足を踏み入れた俺は、店員さん達の挨拶を聞きながら周囲を軽く見回してみた。
……なるほど、サーフボードやシュノーケルといった物の他にこっちの世界独特のマジックアイテム的な物も販売しているのか……そりゃこんなのが海の近くにありゃこれだけ繁盛するのも納得だわ。
「うわぁ!こんなにこんなに色々な物があると、目移りしちゃいますね!」
「ふふっ、確かにそうだね。」
「……九条さん、この張り紙。」
「ん、張り紙?……当店とクエスト斡旋所がイベントの為に開発したアイテムを貸し出し中、ご興味がある方は受付にて申請を受け付けております……ってもしかして、これが賑わっている理由なのか?」
「そ、そうだと思います。受付に沢山の人が並んでいますから。」
「一体どんなアイテムなのか……気になりますわね。」
「よしっ、そんじゃあ受付に行って聞いてみるとするか。」
俺達はそこそこ並んでいる列の最後尾に立つと自分達の順番が来るのを待っていたんだが……こっから店員とお客のやり取りを聞く限りでは、例の開発されたって言うアイテムは在庫が残って無いみたいだな。
それを聞いて何人かのお客がガッカリしながら列を外れて行ったので、思っていたより早めに受付まで辿り着く事が出来た。
「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「えっと、実は俺達アリシアさんとシアンさんの知り合いなんですが……あっ、これさっき貰った名刺です。もしご迷惑でなければ彼女達を呼んでもらえませんか?」
「……すみませんが、確認の為に少々お待ちして頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。分かりました。」
「それでは、失礼させて頂きます。」
お姉さんは受付に置いた名刺を手にすると奥の方に見えていた螺旋階段を上がって2階に行ってしまった……それからしばらく待たされていると、マホが俺の海パンをクイクイッと引っ張ってきた。
「……おじさん、不審者として通報されたりしませんよね?」
「……マホ、そんなフラグになりそうな事を軽々しく言うんじゃない。ちょっとだけ不安になるだろうが」
「ふふっ、そんな心配をする必要は無いと思うよ……ほら。」
ロイドの声と共に階段ほ方に目を向けてみると、さっきのお姉さんとアリシアさんとシアンが一緒に降りて来てこっちに歩み寄って来た。
「皆さん!本当に来てくれたんですね!」
「まぁ、約束だったからな。」
「うふふ、ありがとうございます。ここでは何ですので、こちらへどうぞ。」
アリシアさんが受付に続く小さなスイングドアを開けて招いてくれたので、俺達は軽く頭を下げながらそれを通って行こうと………思ったんだが………
「アリシアさん、俺達ってこの格好でお邪魔しても大丈夫なのか?」
「この格好?……あぁ、水着の事ですわね。大丈夫です、問題ありませんわ。ほら、私達もこの下は水着ですから。」
「あ、そ、そうなのか………なるほど………」
羽織っていた服のジッパーを下ろし始めたアリシアさんから反射的に目を反らして横の方を向けると、何故かそこには呆れた様な視線をぶつけてくるマホが……
「いや待て、そんな目で見られる筋合いはないだろうが。むしろ、よくやりましたねって褒められるべき所なんじゃねぇの?」
「それもそうなんですけど、ここまで女性に免疫が無いと色々と心配で……」
「……余計なお世話だっての。」
「それでは皆様、2階へご案内致しますので私達について来て下さい。」
俺とマホのやり取りを特に気にした様子も無く見ていたアリシアさんはそう言うとシアンと一緒に螺旋階段に向かったので、俺達もその後に続いて行ったんだが………
「お父様、お母様、私達のお客様をお招き致しました。」
「……分かった。」
「そちらの方達が……ねぇ………」
2階の少しだけ広々とした応接間らしき所で俺達を出迎えてくれたのは、鋭すぎる視線で睨みつけてくる男性と同じ様な視線で俺達を見つめる女性だった……ってか、この人達がアリシアさんとシアンのご両親って………え?
「……そちらのお2人は初めましてですね。私は『ラウザ・ペティル』です。」
「私は『シャーリー・ペティル』です。以後お見知りおきを。」
「ど、どうも初めまして……九条透です……」
「マ、マホです……」
「ご無沙汰しております、ラウザさん、シャーリーさん。」
「お元気そうで何よりですわ。」
「お、お久しぶりです。」
皆が挨拶をするのを聞きながらマホと目を合わせて笑顔を引きつらせていた俺は、これからどうなるのかと怯えながら冷や汗を流すのだった……
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