おっさんの異世界生活は無理がある。
第227話
誰かに見つかる事もなく無事に畑の真ん中辺りまでやって来た俺は、荒らされてる畑と地面に残った幾つかの足跡を観察してからエリオさん達の顔を見回した。
「確かに人の足跡らしき痕跡が微妙に残っていましたね……でもこれ、農家の人達の物なんじゃないんですか?」
「その可能性はかなり低いと思いますよ。畑が荒らされてから今日に至るまでここに近寄る人は誰も居なかったそうですからね。」
「それとここに残っている足跡をよく観察すると分かりますが、明らかに足跡の数が多いんです。恐らく5人分以上はあると思います。」
「それ以外にも色々と気になった事があるらしいんだが、それよりも今は足跡が何処から来たのか調べようぜ!早く帰らねぇとアムルが怖ぇからな!」
「僕もリタにバレない内に帰らないと、明日の朝が大変な事になりそうだよ。」
「はっはっは、私も同じ様な感じですね。」
「……もしかして皆さん、この事を言ってないんですか?」
「おう!当然だろ!」
「あはは……流石に畑を荒らしている犯人を捜してくるなんて言えませんよ。」
「家族に心配をかける訳にはいきませんからね。九条さんもそう思ったから、黙って抜け出したんですよね。」
「ま、まぁ……そうですね………」
「では同じ目的を持つ者同士、頑張って畑を荒らす犯人を見つけ出しましょうか。」
「……分かりました。」
「よぉし、そんじゃあファーレス!足跡が何処から来てるのか案内してくれ!」
「うん、それじゃあ僕の後について来てくれるかい。」
ファーレスさんが手に持ってた身の丈ほどある杖の先端から小さな光を出現させて足跡を照らして歩き始めたので、俺達もその後を追って行く事にした。
……それからしばらくして周囲に何も無い防壁の手前で俺達が立ち止まった瞬間、少し強めの風が吹いて向こう側に広がる森の木々を揺らし出した。
「どうやら、この足跡は防壁の向こう側に続いているみたいだね。」
「なるほど、犯人の居場所はこの森の奥って事か……よぉし、それじゃあ行くぜ!」
「ふむ、それでは私も行くとするか。」
「えっ、ちょ!」
魔法を使ってあっと言う間に壁を乗り越えてしまったエリオさんとディオスさんの背中に向けて伸ばした手をゆっくりと降ろした俺は、心の底からため息を吐き出してガックシと肩を落とすのだった。
「やれやれ……エリオもディオスも身近な人が絡むと暴走しがちになる所は、学生の頃から変わってないらしいね。」
「…………学生の頃?」
隣から昔を懐かしむかの様な声が聞こえてきて顔を上げてみると、防壁を見ながら肩をすくめているファーレスさんと目が合った
「うん、僕達は王立学園の同級生なんだ。エリオから聞いてないかな?」
「あ、はい……でもまぁ、皆さんが話をしている時の雰囲気からかなり古い付き合いなんじゃないかとは思ってましたけど。」
「あはは、そうなんだね。」
「おーい!エリオが足跡の続きを見つけたぞ!早く来いよ!」
「おっと、どうやら彼らを待たせてしまったみたいだね。」
「やべっ、俺達も急いで行きましょうか。」
「うん、そうだね。」
ふわっと浮き上がって防壁の向こうに飛んで行くファーレスの姿を横目に見ながら駆け出した俺は、風を足に纏わせながら地面を蹴って向こう側に着地をした……
「ったく、何をしてたんだよお前ら。」
「すまない。僕達が学生時代の頃の話をしていてね。」
「学生時代?なんでそんな事を話してんだよ。」
「どうやら、エリオが僕達の関係を詳しく説明していなかったらしくてね。」
「え、そうなのか?」
「ふむ、そういえば九条さんにはまだ言っていませんでしたね……申し訳ありませんでした。」
「あぁいえ!別に謝られる事じゃないですよ!聞かなくても困るって訳でもないですから!そ、それよりも足跡は?見つけたんですよね?」
「おっ、そうだったな!ほら、これを見てみろよ!」
ディオスさんが向けた人差し指の先には村の中で見た物よりハッキリとした足跡が幾つも存在していた………けどこれって、ちょっとおかしくねぇか?
「……うん、確かに森の奥に続いているみたいだね。しかも数が多くなってる。」
「うむ、どうやらここに仲間を待機させていたらしい。」
「がっはっは!それにしてもマヌケな連中だぜ!村の中の足跡はシッカリと消してる癖にここの足跡はバッチリ残ってやがるんだからなっ!」
「あっ、待つんだディオス!1人で先に行くんじゃない!」
ガントレットを装備した状態で拳を握りガンガン叩き合わせながら森に入って行くディオスさんをファーレスさんが慌てて追いかけて行った直後、俺は右手で顎を触りながら足跡をジッと見つめるエリオさんに近寄って行った。
「エリオさん、やっぱり気になりますか。」
「えぇ……この足跡、どう見ても少し前に出来た物の様に見えますからね。」
「それじゃあ、やっぱり……」
「まず間違いなく、私達を誘い込む為の罠でしょうね。」
「ですよね……って、こんな呑気に話してる場合じゃないですよ!俺達も急いであの2人を追いかけないと!」
「……そうですね。」
俺は魔法で出現させた光で周囲を照らしながらエリオさんと足跡を追って森の中に足を踏み入れると、周囲を警戒しながら2人に追いつこうと駆け出すのだった。
「確かに人の足跡らしき痕跡が微妙に残っていましたね……でもこれ、農家の人達の物なんじゃないんですか?」
「その可能性はかなり低いと思いますよ。畑が荒らされてから今日に至るまでここに近寄る人は誰も居なかったそうですからね。」
「それとここに残っている足跡をよく観察すると分かりますが、明らかに足跡の数が多いんです。恐らく5人分以上はあると思います。」
「それ以外にも色々と気になった事があるらしいんだが、それよりも今は足跡が何処から来たのか調べようぜ!早く帰らねぇとアムルが怖ぇからな!」
「僕もリタにバレない内に帰らないと、明日の朝が大変な事になりそうだよ。」
「はっはっは、私も同じ様な感じですね。」
「……もしかして皆さん、この事を言ってないんですか?」
「おう!当然だろ!」
「あはは……流石に畑を荒らしている犯人を捜してくるなんて言えませんよ。」
「家族に心配をかける訳にはいきませんからね。九条さんもそう思ったから、黙って抜け出したんですよね。」
「ま、まぁ……そうですね………」
「では同じ目的を持つ者同士、頑張って畑を荒らす犯人を見つけ出しましょうか。」
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「よぉし、そんじゃあファーレス!足跡が何処から来てるのか案内してくれ!」
「うん、それじゃあ僕の後について来てくれるかい。」
ファーレスさんが手に持ってた身の丈ほどある杖の先端から小さな光を出現させて足跡を照らして歩き始めたので、俺達もその後を追って行く事にした。
……それからしばらくして周囲に何も無い防壁の手前で俺達が立ち止まった瞬間、少し強めの風が吹いて向こう側に広がる森の木々を揺らし出した。
「どうやら、この足跡は防壁の向こう側に続いているみたいだね。」
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「ふむ、それでは私も行くとするか。」
「えっ、ちょ!」
魔法を使ってあっと言う間に壁を乗り越えてしまったエリオさんとディオスさんの背中に向けて伸ばした手をゆっくりと降ろした俺は、心の底からため息を吐き出してガックシと肩を落とすのだった。
「やれやれ……エリオもディオスも身近な人が絡むと暴走しがちになる所は、学生の頃から変わってないらしいね。」
「…………学生の頃?」
隣から昔を懐かしむかの様な声が聞こえてきて顔を上げてみると、防壁を見ながら肩をすくめているファーレスさんと目が合った
「うん、僕達は王立学園の同級生なんだ。エリオから聞いてないかな?」
「あ、はい……でもまぁ、皆さんが話をしている時の雰囲気からかなり古い付き合いなんじゃないかとは思ってましたけど。」
「あはは、そうなんだね。」
「おーい!エリオが足跡の続きを見つけたぞ!早く来いよ!」
「おっと、どうやら彼らを待たせてしまったみたいだね。」
「やべっ、俺達も急いで行きましょうか。」
「うん、そうだね。」
ふわっと浮き上がって防壁の向こうに飛んで行くファーレスの姿を横目に見ながら駆け出した俺は、風を足に纏わせながら地面を蹴って向こう側に着地をした……
「ったく、何をしてたんだよお前ら。」
「すまない。僕達が学生時代の頃の話をしていてね。」
「学生時代?なんでそんな事を話してんだよ。」
「どうやら、エリオが僕達の関係を詳しく説明していなかったらしくてね。」
「え、そうなのか?」
「ふむ、そういえば九条さんにはまだ言っていませんでしたね……申し訳ありませんでした。」
「あぁいえ!別に謝られる事じゃないですよ!聞かなくても困るって訳でもないですから!そ、それよりも足跡は?見つけたんですよね?」
「おっ、そうだったな!ほら、これを見てみろよ!」
ディオスさんが向けた人差し指の先には村の中で見た物よりハッキリとした足跡が幾つも存在していた………けどこれって、ちょっとおかしくねぇか?
「……うん、確かに森の奥に続いているみたいだね。しかも数が多くなってる。」
「うむ、どうやらここに仲間を待機させていたらしい。」
「がっはっは!それにしてもマヌケな連中だぜ!村の中の足跡はシッカリと消してる癖にここの足跡はバッチリ残ってやがるんだからなっ!」
「あっ、待つんだディオス!1人で先に行くんじゃない!」
ガントレットを装備した状態で拳を握りガンガン叩き合わせながら森に入って行くディオスさんをファーレスさんが慌てて追いかけて行った直後、俺は右手で顎を触りながら足跡をジッと見つめるエリオさんに近寄って行った。
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「えぇ……この足跡、どう見ても少し前に出来た物の様に見えますからね。」
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「まず間違いなく、私達を誘い込む為の罠でしょうね。」
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