おっさんの異世界生活は無理がある。
第223話
「それでは皆さん、行きましょうか!」
「おぉー」
「……ったく、何でこんなに元気なんだかねぇ。」
「ふふっ、マホだからじゃないかい。」
村の中を見て回りたいというマホに無理やり連れだされる事になった俺は、右手で拳を握り天高く上げているマホとソフィを見てガックシと肩を落として……この場に居ない2人の姿をきょろきょろと探してみた。
「……そう言えば、リリアさんとライルさんはどうしたんだ?」
「あぁ、彼女達は母さん達と一緒に心と体を休める為のお茶会をするそうだよ。」
「え、そうなのか?いつの間にそんな話を……」
「ふふっ、私達が宿屋に入ったすぐ後らしいよ。」
「へぇ……俺もそっちに参加したかったなぁ……」
「おじさんが参加しても緊張して逆に疲れるだけだと思いますけどね。」
「ぐっ……否定する言葉が見当たらない……!」
「それなら早く行きますよ。急がないと陽が暮れちゃうかもしれませんからね。」
「……いや、それはどうだろうな。」
首を傾げながら前を歩くマホについて行き村の中をしばらく見て回ったんだが……うん、やっぱりなとしか言い様がない結果が待っているだけだった。
「うーん、お店とか市場はありましたけど……置いてある商品は私達もよく目にする物ばっかりでしたね。」
「そうだな………恐らくだけど、ここで一番目立つ物って言ったら俺達が泊まる事になった宿屋なんじゃないか?」
「私もそう思うかな。それでどうするマホ、もう宿屋に戻るかい?」
「いや……さっき宿屋から出て来たばっかりですし……」
「そりゃそうだけど、他に見てないとなるとあっちの方にある………ん?」
「おじさん?どうかしたんですか……って、あれ?」
「ふむ、何やら畑らしき場所の近くにかなりの人が集まっているね。」
「……何事?」
「さぁ……あ、ちょっと聞きに行ってみましょ」
「ちょっと待った!……それは止めておこう。」
「えぇ、どうしてですか?何か困ってるみたいですし、話を聞くだけなら別に良いと思いますけど……」
「あのな、それがフラグだと何故気付かないんだ。」
「……フラグ?」
「そうだ……旅行に行く途中で立ち寄った村、そこで不穏な空気を漂わせながら何か話をしている人達……これは明らかにサブイベント発生のフラグ!ただでさえ厄介な事を抱えてるって言うのに、これ以上そんな物を抱えるのは絶対に御免だね!ってな訳で今回は見なかったことにしよう!さ、とっとと宿に戻るぞ!」
「……残念ですけど、それは諦めた方が良いかもしれませんね。」
「は?何でだよ。」
「……ロイドさんとソフィさんが既にサブイベントを発生させているかです。」
「なにっ?!ってあぁ!?」
マホの言葉を聞いてバッと振り返ってみるとロイドとソフィが何かを話し合ってた人達と一緒に喋っている姿が見えて!?
「なるほど、畑がモンスターに……どうしてその様な事に?」
「それが私達も分からないんですよ。つい最近までそんな事が起こった事はありませんし、防壁もそこまで高くないですけどモンスターが乗り越えられるとはとても思えませんから。」
「ふむ……その事について何か対策などは?」
「一応ですが、近い内に斡旋所の方にクエストとして依頼をお願いしようかと思っています。それと今日この村にいらっしゃっている貴族の方に、村長がお願いをすると聞いてます。」
「そうですか……あの、もしよろしかったら」
「はい!ちょっとごめんなさいね!」
「あ、2人もこっちに来たのかって九条さん?どうして私の腕を引っ張るんだい?」
「良いから!あ、ちょっとお待ち下さい!」
「は、はぁ……」
困惑した表情を浮かべる農家っぽい見た目のおじさんから少し距離を取った俺は、マホと一緒にソフィがついて来てる事を確認してからロイドに小声で話しかけた。
「おい、今何を言おうとしたんだ?」
「何を?」
「もしよろしかったらの後だよ。」
「あぁ、もしよろしかったら私達が手を貸しましょうかだが」
「やっぱりか……あのな、具体的にはどうするつもりなんだよ。」
「そうだね……簡単に言ってしまえば、畑を荒らしている犯人を捕まえるかな。」
「本当に簡単に言ったな……明日の朝には出発するってのに、畑を荒らしてる犯人をそう都合よく見つけられると思ってるのか?絶対に無理だと思うぞ。」
「ふむ……確かに難しいと思うが、目の前で困っている人達を見捨てると言う訳にはいかないだろう?」
「そりゃそうだけど……やれる事とやれない事はしっかり見定めなさい。畑を荒らす犯人を見つけるってのはどう考えても今日中には出来ないだろ。」
「……あぁ、現実的でない事は認めよう。だがそれで彼らを見捨てるという選択肢を取るという訳では無いだろう?」
「……ぶっちゃけ、話を聞く前は見捨てる気満々だったけどな。」
「ふふっ、という事は話を聞いた今ではそうじゃないんだろう?」
「……まぁな。」
「それなら聞かせてくれないか。九条さんはどの様にして彼らに手を貸すのか。」
「別にそこまで大した案でもねぇよ。あの人達の代わりにクアウォートで依頼を出すってだけの話だ。そうすりゃあの人達の手間も省けるだろ。」
「確かにそこまで大した案でも無かったね。」
「おいこら。」
「だけどそれぐらいなら出来そうだ。」
「はぁ……じゃあこの案で良いな?」
「分かった。それじゃあ伝えるのは九条さんにお任せしようかな。」
「何で俺が……あぁはいはい分かりました。」
ニコッと微笑みながらジッと見つめてきたロイドに屈した俺は、農家っぽい人達に向けてさっき思いついた提案をしてみた。
そうしたら非常に助かりますと言われて感謝の言葉まで伝えられてしまった………俺は申し訳なさでいっぱいになりながら頭を下げて皆と一緒にその場を立ち去ると、そのまま宿屋まで戻って行くのだった。
「おぉー」
「……ったく、何でこんなに元気なんだかねぇ。」
「ふふっ、マホだからじゃないかい。」
村の中を見て回りたいというマホに無理やり連れだされる事になった俺は、右手で拳を握り天高く上げているマホとソフィを見てガックシと肩を落として……この場に居ない2人の姿をきょろきょろと探してみた。
「……そう言えば、リリアさんとライルさんはどうしたんだ?」
「あぁ、彼女達は母さん達と一緒に心と体を休める為のお茶会をするそうだよ。」
「え、そうなのか?いつの間にそんな話を……」
「ふふっ、私達が宿屋に入ったすぐ後らしいよ。」
「へぇ……俺もそっちに参加したかったなぁ……」
「おじさんが参加しても緊張して逆に疲れるだけだと思いますけどね。」
「ぐっ……否定する言葉が見当たらない……!」
「それなら早く行きますよ。急がないと陽が暮れちゃうかもしれませんからね。」
「……いや、それはどうだろうな。」
首を傾げながら前を歩くマホについて行き村の中をしばらく見て回ったんだが……うん、やっぱりなとしか言い様がない結果が待っているだけだった。
「うーん、お店とか市場はありましたけど……置いてある商品は私達もよく目にする物ばっかりでしたね。」
「そうだな………恐らくだけど、ここで一番目立つ物って言ったら俺達が泊まる事になった宿屋なんじゃないか?」
「私もそう思うかな。それでどうするマホ、もう宿屋に戻るかい?」
「いや……さっき宿屋から出て来たばっかりですし……」
「そりゃそうだけど、他に見てないとなるとあっちの方にある………ん?」
「おじさん?どうかしたんですか……って、あれ?」
「ふむ、何やら畑らしき場所の近くにかなりの人が集まっているね。」
「……何事?」
「さぁ……あ、ちょっと聞きに行ってみましょ」
「ちょっと待った!……それは止めておこう。」
「えぇ、どうしてですか?何か困ってるみたいですし、話を聞くだけなら別に良いと思いますけど……」
「あのな、それがフラグだと何故気付かないんだ。」
「……フラグ?」
「そうだ……旅行に行く途中で立ち寄った村、そこで不穏な空気を漂わせながら何か話をしている人達……これは明らかにサブイベント発生のフラグ!ただでさえ厄介な事を抱えてるって言うのに、これ以上そんな物を抱えるのは絶対に御免だね!ってな訳で今回は見なかったことにしよう!さ、とっとと宿に戻るぞ!」
「……残念ですけど、それは諦めた方が良いかもしれませんね。」
「は?何でだよ。」
「……ロイドさんとソフィさんが既にサブイベントを発生させているかです。」
「なにっ?!ってあぁ!?」
マホの言葉を聞いてバッと振り返ってみるとロイドとソフィが何かを話し合ってた人達と一緒に喋っている姿が見えて!?
「なるほど、畑がモンスターに……どうしてその様な事に?」
「それが私達も分からないんですよ。つい最近までそんな事が起こった事はありませんし、防壁もそこまで高くないですけどモンスターが乗り越えられるとはとても思えませんから。」
「ふむ……その事について何か対策などは?」
「一応ですが、近い内に斡旋所の方にクエストとして依頼をお願いしようかと思っています。それと今日この村にいらっしゃっている貴族の方に、村長がお願いをすると聞いてます。」
「そうですか……あの、もしよろしかったら」
「はい!ちょっとごめんなさいね!」
「あ、2人もこっちに来たのかって九条さん?どうして私の腕を引っ張るんだい?」
「良いから!あ、ちょっとお待ち下さい!」
「は、はぁ……」
困惑した表情を浮かべる農家っぽい見た目のおじさんから少し距離を取った俺は、マホと一緒にソフィがついて来てる事を確認してからロイドに小声で話しかけた。
「おい、今何を言おうとしたんだ?」
「何を?」
「もしよろしかったらの後だよ。」
「あぁ、もしよろしかったら私達が手を貸しましょうかだが」
「やっぱりか……あのな、具体的にはどうするつもりなんだよ。」
「そうだね……簡単に言ってしまえば、畑を荒らしている犯人を捕まえるかな。」
「本当に簡単に言ったな……明日の朝には出発するってのに、畑を荒らしてる犯人をそう都合よく見つけられると思ってるのか?絶対に無理だと思うぞ。」
「ふむ……確かに難しいと思うが、目の前で困っている人達を見捨てると言う訳にはいかないだろう?」
「そりゃそうだけど……やれる事とやれない事はしっかり見定めなさい。畑を荒らす犯人を見つけるってのはどう考えても今日中には出来ないだろ。」
「……あぁ、現実的でない事は認めよう。だがそれで彼らを見捨てるという選択肢を取るという訳では無いだろう?」
「……ぶっちゃけ、話を聞く前は見捨てる気満々だったけどな。」
「ふふっ、という事は話を聞いた今ではそうじゃないんだろう?」
「……まぁな。」
「それなら聞かせてくれないか。九条さんはどの様にして彼らに手を貸すのか。」
「別にそこまで大した案でもねぇよ。あの人達の代わりにクアウォートで依頼を出すってだけの話だ。そうすりゃあの人達の手間も省けるだろ。」
「確かにそこまで大した案でも無かったね。」
「おいこら。」
「だけどそれぐらいなら出来そうだ。」
「はぁ……じゃあこの案で良いな?」
「分かった。それじゃあ伝えるのは九条さんにお任せしようかな。」
「何で俺が……あぁはいはい分かりました。」
ニコッと微笑みながらジッと見つめてきたロイドに屈した俺は、農家っぽい人達に向けてさっき思いついた提案をしてみた。
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