おっさんの異世界生活は無理がある。
第215話
受付でお姉さんに助言して貰った通りに用意しておいた弁当を食べて腹を満たした俺達は、まだ外が明るい内に何とか必要数分の植物を集め終えると結構な重量がある採取用に預かってた籠を手に持って街まで戻って行った。
その後すぐに斡旋所に向かい集めた植物を全て引き渡しクエストを達成させると、報酬を受け取り後の事をお願いして再び加工屋へと足を運んだ。
「あっ、いらっしゃーい!ここにまたやって来たという事はもしかして!?」
「ふふっ、シーナに言われた通り集めて来たよ。」
「おぉ!流石、皆さん仕事が速い!それじゃあ確認するから、カードを貸してね!」
「はいよ、それじゃあよろしくな。」
満面の笑みで出迎えてくれたシーナに素材の情報が更新されたカードを手渡すと、素早く受付にある機械を操作して確認作業に取り掛かった。
「……そう言えば親父さんは?さっきから姿が見えないが。」
「あぁ、親方なら仕事に使ってる消耗品が少なくなったからって出掛けて行ったよ。多分、もうすぐ戻ると思うけどね……っと、確認終わり!これだけあれば頼まれてたポーチが作れるよ!お疲れ様!」
「いえいえ!それじゃあ改めてになりますが、お仕事の依頼を……」
「おや、皆さんもうお戻りになってたんですか。」
マホが受付で加工を依頼する為の手続きをしようとした直後、背後の扉が開く音がして親父さんが体形に似合わないぐらい小さな紙袋を持って姿を現した。
「あっ、お帰り親方!」
「おう、ただいま……どうやら、これから加工の依頼を受ける様だな。」
「うん!皆さんがしっかり加工に必要な数以上の植物を集めてきてくれたからね!」
「なるほどな……皆さん、本当にお疲れ様でした。」
「あぁいえ、自分達の為にやった事ですから……それじゃあシーナ、改めて聞くけど今回の加工はどれぐらいするんだ?」
「うーんっとね……今回は3万5000Gだね!」
「了解………よしっ、じゃあこれで頼んだぞ。」
「はい!確かに受け取りました!それじゃあカードに引き換えのデータを入れておくから、4日後に忘れずに持ってきてよ!」
「分かってるよ。それじゃあシーナ、親父さん、よろしくお願いします。」
「分かりました。しっかりと仕上げておきますので安心して下さい。」
「最高の物を仕上げておくから待っててね!はい、カード!」
「あぁ、それじゃあな。」
「また今度、お邪魔させて貰うよ。」
「ばいばい。」
「それでは失礼します!」
シーナと親父さんに軽く頭を下げて店を出る為に扉に触れたその瞬間、後ろの方でバンッ!と、大きな音が聞こえてきたので驚いて反射的に振り返ってみると……
「おい!急に何をしてんだ!」
「ゴ、ゴメン親方!実は九条さんにお願いしたい事を思いついちゃってさ!」
「お願いしたい事だぁ?」
「うん!って訳で悪いんだけど、ちょーっとこっちに来てもらっても良い?」
「……えっ?」
目をキラキラさせながら手招きをしてるシーナを見て少しだけ不安を感じた俺は、隣に立ってたマホと目を合わせて見たのだが………
「とりあえず、聞くだけ聞いてみたらどうですか?」
「………嫌な予感しかしないんだが。」
「そんな事を言ったって……ほら、ずっと手招きしてますよ。」
「………はぁ、仕方ない。」
あんまり気は乗らないまま扉から手を離して受付まで戻って行った俺は、ため息を零しながらシーナと目を合わせた。
「それで、俺にお願いって何なんだ?」
「えっと、その前に聞きたいんだけど……九条さんってクアウォートの街周辺に手に入る素材がかなり珍しいって知ってた?」
「知らないけど…………おい、まさかお願いって……」
「そう!九条にはその素材を持って帰って来て欲しいの!出来れば沢山ね!」
「は、はぁ?!何で俺がそんな事を!?」
「おいシーナ!お客さんにそんな依頼をする奴があるか!何を考えてんだバカ!」
「あぁもう親方は関係ないでしょ!これはお店としてじゃなくて、私が個人的に九条さんにお願いしてる事なんだから!」
「個人的だぁ!?何をふざけた事を!」
「別にふざけてないもーん!だって九条さんは、私とお昼を一緒に食べた時に何でもしてくれるって約束したんだから!ねー!」
「………何だと?………九条さん、それは本当なのか?」
「あ、あはは………そう言えば………そんな事も………」
「………はぁ…………随分と迂闊な事を…………」
親父さんは腰に手を当て額に手をやりながら目を閉じて小さく首を横に振った……うん、俺もそう思います……って言うか、背後からもそんな視線を感じるね……
「……おじさん、折角のバカンスなのに残念ですね。」
「まぁ、こればっかりは仕方が無いね。」
「九条さん、頑張って。」
「……………はい。」
「よぉーし!!それじゃあ持ってきて欲しい素材を次に来るまでに考えておくから、バカンスの合間に頑張って手に入れてね!あっ、それとお土産も買ってよろしくね!私、九条さんが帰って来るのを楽しみに待ってるからさ!」
状況が違えば心が躍る台詞なんだけどなぁ………なんて思いながらグッタリ頷いた俺は、満面の笑みを浮かべながら手を振ってるシーナと何かを諦めた感じの親父さんに見送られながら皆と一緒に店を後にするのだった………!
その後すぐに斡旋所に向かい集めた植物を全て引き渡しクエストを達成させると、報酬を受け取り後の事をお願いして再び加工屋へと足を運んだ。
「あっ、いらっしゃーい!ここにまたやって来たという事はもしかして!?」
「ふふっ、シーナに言われた通り集めて来たよ。」
「おぉ!流石、皆さん仕事が速い!それじゃあ確認するから、カードを貸してね!」
「はいよ、それじゃあよろしくな。」
満面の笑みで出迎えてくれたシーナに素材の情報が更新されたカードを手渡すと、素早く受付にある機械を操作して確認作業に取り掛かった。
「……そう言えば親父さんは?さっきから姿が見えないが。」
「あぁ、親方なら仕事に使ってる消耗品が少なくなったからって出掛けて行ったよ。多分、もうすぐ戻ると思うけどね……っと、確認終わり!これだけあれば頼まれてたポーチが作れるよ!お疲れ様!」
「いえいえ!それじゃあ改めてになりますが、お仕事の依頼を……」
「おや、皆さんもうお戻りになってたんですか。」
マホが受付で加工を依頼する為の手続きをしようとした直後、背後の扉が開く音がして親父さんが体形に似合わないぐらい小さな紙袋を持って姿を現した。
「あっ、お帰り親方!」
「おう、ただいま……どうやら、これから加工の依頼を受ける様だな。」
「うん!皆さんがしっかり加工に必要な数以上の植物を集めてきてくれたからね!」
「なるほどな……皆さん、本当にお疲れ様でした。」
「あぁいえ、自分達の為にやった事ですから……それじゃあシーナ、改めて聞くけど今回の加工はどれぐらいするんだ?」
「うーんっとね……今回は3万5000Gだね!」
「了解………よしっ、じゃあこれで頼んだぞ。」
「はい!確かに受け取りました!それじゃあカードに引き換えのデータを入れておくから、4日後に忘れずに持ってきてよ!」
「分かってるよ。それじゃあシーナ、親父さん、よろしくお願いします。」
「分かりました。しっかりと仕上げておきますので安心して下さい。」
「最高の物を仕上げておくから待っててね!はい、カード!」
「あぁ、それじゃあな。」
「また今度、お邪魔させて貰うよ。」
「ばいばい。」
「それでは失礼します!」
シーナと親父さんに軽く頭を下げて店を出る為に扉に触れたその瞬間、後ろの方でバンッ!と、大きな音が聞こえてきたので驚いて反射的に振り返ってみると……
「おい!急に何をしてんだ!」
「ゴ、ゴメン親方!実は九条さんにお願いしたい事を思いついちゃってさ!」
「お願いしたい事だぁ?」
「うん!って訳で悪いんだけど、ちょーっとこっちに来てもらっても良い?」
「……えっ?」
目をキラキラさせながら手招きをしてるシーナを見て少しだけ不安を感じた俺は、隣に立ってたマホと目を合わせて見たのだが………
「とりあえず、聞くだけ聞いてみたらどうですか?」
「………嫌な予感しかしないんだが。」
「そんな事を言ったって……ほら、ずっと手招きしてますよ。」
「………はぁ、仕方ない。」
あんまり気は乗らないまま扉から手を離して受付まで戻って行った俺は、ため息を零しながらシーナと目を合わせた。
「それで、俺にお願いって何なんだ?」
「えっと、その前に聞きたいんだけど……九条さんってクアウォートの街周辺に手に入る素材がかなり珍しいって知ってた?」
「知らないけど…………おい、まさかお願いって……」
「そう!九条にはその素材を持って帰って来て欲しいの!出来れば沢山ね!」
「は、はぁ?!何で俺がそんな事を!?」
「おいシーナ!お客さんにそんな依頼をする奴があるか!何を考えてんだバカ!」
「あぁもう親方は関係ないでしょ!これはお店としてじゃなくて、私が個人的に九条さんにお願いしてる事なんだから!」
「個人的だぁ!?何をふざけた事を!」
「別にふざけてないもーん!だって九条さんは、私とお昼を一緒に食べた時に何でもしてくれるって約束したんだから!ねー!」
「………何だと?………九条さん、それは本当なのか?」
「あ、あはは………そう言えば………そんな事も………」
「………はぁ…………随分と迂闊な事を…………」
親父さんは腰に手を当て額に手をやりながら目を閉じて小さく首を横に振った……うん、俺もそう思います……って言うか、背後からもそんな視線を感じるね……
「……おじさん、折角のバカンスなのに残念ですね。」
「まぁ、こればっかりは仕方が無いね。」
「九条さん、頑張って。」
「……………はい。」
「よぉーし!!それじゃあ持ってきて欲しい素材を次に来るまでに考えておくから、バカンスの合間に頑張って手に入れてね!あっ、それとお土産も買ってよろしくね!私、九条さんが帰って来るのを楽しみに待ってるからさ!」
状況が違えば心が躍る台詞なんだけどなぁ………なんて思いながらグッタリ頷いた俺は、満面の笑みを浮かべながら手を振ってるシーナと何かを諦めた感じの親父さんに見送られながら皆と一緒に店を後にするのだった………!
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