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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第194話

イリスが作ってくれて昼飯のカルボナーラをフォークでグルグル巻いていた俺は、さっき起きた出来事を振り返りながらぼんやりとしていた。

「うーん……鳴き声は何とか聞く事が出来たけど、モンスターの正体については判断する為の材料が少なすぎるなぁ。」

「確かにそうだね。でもあの鳴き声からある程度のモンスターは除外する事が出来るんじゃないかな。」

「え、そうなんですか?」

「まぁ、経験則から考える可能性の話だけどね。まず獣系のモンスターは除外しても大丈夫だと思うよ。あんなに甲高い唸り声はこれまで聞いた事が無いからね。」

「うふふ、それなら人型のモンスターも除外しても大丈夫そうですね。」

「後はさっき戦った植物系とかも除外出来る。鳴き声がそもそも無いから。」

「そうですね!」

「……だとしたら考えられる可能性は、鳥系のモンスターと昆虫系のモンスターか?でも鳥系のモンスターが地下に向かって飛んで行くとは思えないよなぁ。」

「それならば、残された可能性は1つだけだね。」

……何故か不敵に微笑んでいるロイドと目を合わせた俺は、フォークに巻いていたスパゲッティを口に入れてガックシと肩を落としていた。

「はぁ、昆虫系のモンスターか………出来れば戦いたくねぇなぁ……」

「……どうして?」

「どうしてって……そんなの気持ち悪いからに決まってるだろうが!普通の虫ですら無理なのに、昆虫系のモンスターとか冗談じゃねぇよ!」

「……おじさん、そんな情けない事を大声で言わないで下さいよ。」

「やかましい!俺はマジで虫が嫌いなんだよ!だから昆虫系のモンスターを討伐するクエストはこれまで受けてこなかっただろうが!」

「……あぁ、そう言えばそうだったね。」

「何度か誘ったのに断られた。」

「うふふ、それじゃあやっぱり今回の依頼はお断りするんですか?」

「その通り!…………って即答出来るような性格してたら、こんなに苦労はしないと思うんだよなぁ。」

「あれ、昆虫系のモンスターが苦手なのに受けるつもりなんですか?」

「だってさぁ、わざわざ俺達を信頼して依頼してくれたんだぞ?それを断るってのはやっぱり申し訳が無いと言うか………」

「うわぁ、おじさんって利用されやすい性格してますねぇ。」

「うっさい……自分でも自覚があるんだから追い打ちをかけるんじゃないよ……」

これまでの人生で何度都合の良い人をやってると思ってるんだ……数えるのもバカらしくなるぐらいのレベルだぞ……もしかしてこんな性格だから彼女が出来なかったのかしら?優柔不断な男とか情けなーいってか?ははは………はぁ………

「うふふ、僕は九条さんのそういう所は素敵だと思いますよ。」

「………え?」

「どんなに嫌だと思っていても簡単に投げ出さず真剣に考えて答えを出す。そういう所が九条さんの魅力だと思いますよ。」

「……そ、そうか?」

「はい、やっぱり九条さんは僕の思った通りの人でした。」

お、おいおい……そんなに褒められたら照れちまうじゃ……って、何だその目は?人の事をちょろいおっさんですね的な感じで見るんじゃないよマホ!

「……まったく、ちょろいおじさんですね。」

「おい!目だけじゃなくて口に出すんじゃないよ!」

「これは九条さんが篭絡される日も近いかもしれないね。」

「ロイド?!」

「九条さん、イリスのモノになっても家に居てね。」

「ソフィまで!?ってかそもそも俺は誰のモノにもならねぇから!」

「うふふ、うふふふ………」

俺達のやり取りを見て口元に手を当てて笑い出したイリスから目を逸らした俺は、皿に残っていたスパゲッティを乱暴に口にかき込むと一気に腹の中に流し込んだ!

「うっぷ……そ、そんな事よりも昼飯を食ったらまた出掛けるぞ!」

「おや、また討伐クエストを受けに行くのかい?」

「そうじゃない、今度は街の中で調べ物だ。」

「調べ物?一体何を調べるんですか?」

「東の森に生息している昆虫系モンスターの種類だよ。色々と調べてみればあの遺跡の奥に潜んでいるモンスターの正体が分かるかもしれないからな!」

「ふふっ、どうやら依頼に対して前向きの様だね。」

「いや、今でも依頼は断りたいと思ってる。だけどそれで全部を放り出したら世間に悪評が広まるかもしれないだろ!それだけは絶対に避けたい!だってこの街で暮らす為に家まで買ったのに、そんな評価を受けながら生活するとか嫌すぎるからな!!」

「おじさん……もうちょっと他に頑張る理由を思いつかなかったんですか?」

「思いつく訳が無いだろう!あのな、俺はなるべく目立ちたくないんだよ!その為の努力なら惜しむつもりは無い!ほら、急がなくていいから昼飯を食べろ!そして東の森に生息するモンスターに関する情報を探しに行くぞ!」

「はぁ、分かりましたよ。お昼ご飯を食べたら街にお出掛けしましょうか。」

「ふふっ、これは忙しくなりそうだね。」

「……このままいけばボスと戦えそう。」

「うふふ、九条さんの為に頑張りますね。」

それからしばらくして昼食を食べ終えた俺達は出かける準備を済ませると、情報を集める為に街中に向かって行くのだった……出来る事なら足が沢山あるモンスターの情報は出て来ません様に………なんて祈りながらな。

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