話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第137話

使い終わった食器を洗っている最中に加工屋で聞いた話をふっと思い出した俺は、適当にくつろいでいる皆にその事を話してみた。

「黒髪黒目の男の人を探している人達・・・ですか?」

「あぁ、なんかそう言う奴らが街に来てるらしい。」

「・・・あのロイドさん、それってあの人達の事ですよね?」

「・・・まず、間違いないだろうね。」

「え、何か心当たりがあるのか?」

食器を洗いながら振り返ってマホとロイドに目を向けると、少しだけ真剣な表情でこっちをジッと見てきた。

「実は今日、買い物をしている最中にそれらしい人達と接触したんだよ。」

「え、マジでか?どんな奴らだった?てか、なんで黒髪黒目の男を探してるんだ?」

「その特徴の男性を探している理由は聞かなかったから分からないけど、彼らの正体は見当がついているよ。」

「へぇー、そうなのか?じゃあその正体って言うのを教えてくれよ。」

俺が興味本位からそう聞いた瞬間ロイドは肩をすくめて目を閉じて、マホは何故か苦笑いを浮かべてこっちを見ていた・・・?

「え、なにその反応?なんか聞いたらまずい事だったのか?」

「王家直属の警備兵。」

「・・・なに?」

「その人達の正体。それが答え。」

それだけ言って読んでいたソフィが持っていたラノベに意識を戻した後、リビングには蛇口から流れ出てる水の音だけが響き渡り・・・?

「え、えーっとつまり・・・王都から王家直属の警備兵がやって来ていて、そいつらがこの街で黒髪黒目の男を探してるって・・・そういう事?」

おどけた感じでそう聞いてみたがロイドは微笑んだまま返事をせず、マホなソフィと同じ様に感情を表に出すことなくそっと俺に近づいて来ると・・・

「ご主人様・・・数日分の着替えを用意しておいてください。」

「なんで?!」

そう言って俺の腰に手を当てると何かを諦めるかの様な表情をしやがった!?
それに驚いて思わず叫んでしまったが、マホはそれを気にする事無く今度は憐れむ様に俺の事を見上げてきた!

「いやだって、王都から王家直属の警備兵が来たんですよ?しかも黒髪黒目の男性を探して・・・これ以上の説明が必要ですか?」

「いやいや、確かにそれだけ聞くと例の一件で俺を探しに来たって思うけどさ!
でも、それでどうして数日分の荷物を用意する必要があるんだよ!って言うか、まだ俺を探しに来たって決まった訳じゃないだろ!探してる男の容姿は確かに俺と似てるけどさ!まだ確定じゃないから!」

「・・・フラグ?」

「そこ!本を見ながら適当な事を言うんじゃない!良いか、現実世界にフラグなんて物は無いって事を覚えておけ!」

「フラグなんて物は無い・・・か、私は何度か見た事がある気がするけどね。」

「そうですねぇ・・・私も見た事がありますよ。」

「同じく私も。」

「そ、それはきっとアレだ!偶然とかそういう風に見えたってだけの話だ!」

俺は腕を組んで目を閉じると力強く何度も頷いてやった!・・・だが、そんな俺の事なんて目に入っていないのかマホとロイドはソファーに座ると聞き取りやすい声でひそひそと何かを話し始めた?

「えっと、ご主人様が王都に何日ぐらい滞在するんでしょうか。とりあえず1週間分の着替えを用意しておけばいいですよね。」

「そうだね、それと滞在中は自由に行動できるのかも気になる所だ。」

「・・・自由に行動できるならお土産を頼みたい。」

「あっ、それ良いですね!それじゃあ私は美味しいお菓子とかが良いです!」

「それじゃあ私は可愛らしい小物を頼むとしようか。ソフィはどうする?」

「・・・上質な武器を研ぐ道具。」

「ふむ、それは私も欲しいかな。と言う事は、私とソフィと九条さんの分で3つほど買ってきてもらえば良いかな。」

「おいこら!何を勝手に盛り上がってんだ!まだ俺が王都に連行されると決まった訳じゃないだろうが!」

「まぁまぁ落ち着いてくださいご主人様、これはもしそうなったらって話しをしてるだけですから。それよりほら、ご主人様も王都に行ったら何を買いたいか決めておきましょうよ。」

冗談めいた感じでそう言ったマホを見て大きくため息を吐いた俺は、渋々と言った感じでマホの隣に座るとそのもしも話に寝る直前まで付き合ったのだが・・・

「あ、もしもの時の為に着替えの用意はしておいてくださいね・・・・それじゃあ、おやすみなさーい・・・」

最後の最後、それぞれが自室に戻ろうとしている時にマホが眠たそうに目をこすりながらそんな事を言って来やがった・・・・

「いや、そんな面倒な事する訳ないだろ・・・」

廊下に1人取り残された呆れながら自室に戻るとベッドに・・・いや、そんな事はないと思うけど念の為にな?べ、別にフラグとか信じてる訳が・・・・な、無いとは言わないけど今回はきっと大丈夫のはずだ!

そう自分に言い聞かせつつ数日分の着替えをバッグに詰め込んだ俺は、嫌な予感をひしひしと感じながらも眠りにつくのだった。

「おっさんの異世界生活は無理がある。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く