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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第134話

本と同様に貰ったティーセットを宿屋に置いてきた俺達は、改めてエルアと一緒に街をブラブラと散策するのだった。その途中でエルアが会話の途中で何度か上の空になったりしていたが、大体の心情を察してる俺達は敢えて口を出さなかった。

それにしてもあの店主さんマジで凄いよな。あの人のおかげでエルアとニックさんの関係が8割ぐらい修復したと思って良いんじゃないか?・・・残りの2割は、明日になれば何とかなるだろ・・・あくまで俺の予感だけどな。

そんな事を考えながら皆の後を歩いていると、いつの間にか斡旋所の前まで戻って来ていた様だ。そう気が付いた瞬間、目の前のマホが大きく伸びをし始めた。

「うーん、それにしても今日はよく歩きましたね!見てください、もう空が赤くなり始めてますよ!」

「あぁそうだね、名残惜しいがそろそろ解散時かな。エルアも明日の帰り支度がまだ残っているだろうからね。」

「まぁ今日1日で本だったりお土産だったりとかなり荷物が増えたもんな。悪いな、最後の最後に手間を増やしちまって。」

「い、いえ!手間だなんてそんな事ありませんよ!皆さんからお勧めの本を頂いた事はとても嬉しかったですし、お土産も良い物が沢山買えました!本当に、ありがとうございます!」

「いえいえ!エルアさんが喜んでくれたなら良かったです!・・・それじゃあ、残念ですが今日はここで解散しましょうか。」

「だな・・・そう言えばエルア、明日は何時ごろの馬車に乗って帰るんだ?」

「えっと、明日は10時発の馬車に乗って王都に帰る事になっています。」

「そうか、じゃあ9時半ぐらいに見送りに行かせてもらうよ。」

「え、そんなご迷惑じゃ・・・」

「もう、そんな事ある訳ないじゃないですか!」

「マホ言う通り、迷惑なんて事があるはずないだろ。」

「うん、お見送りしたい。」

「み、皆さん・・・ありがとうございます!」

「おぅ、そんじゃあまた明日な。」

「はい!それでは皆さん、また明日お会いしましょう!」

嬉しそうに微笑んで手を振って宿屋に戻って行くエルアを見送った俺達は、明るい内に帰る為に家路を歩いていたのだが・・・

「にしても、エルアとニックさんの関係はどうしたもんかな・・・」

「はい・・・店主さんのおかげで、以前ほど悪い感情をお父さんに抱いている様には思えませんでしたが・・・」

「そうだね。恐らく8割ぐらいはニックさんの事を認めているんじゃないかな。」

「つまり、残りは2割だね。」

「そうなんだけどなぁ・・・その2割が難しいと言うか、認めたいけど認められないって感じの複雑な思いがあるんだろうな。」

「うーん・・・どうすればその2割の溝を埋める事が出来るんでしょうか。」

「そればっかりはなぁ・・・エルアがニックさんに歩み寄らないとどうしようも無いんだよな。」

今日まで抱えてきたニックさんに対する失望とか悲しみとかそこら辺をどうにかしないと、あの2人は何時まで経ってもギクシャクしてるだろうしな・・・けど・・・

「・・・まぁ、運がよければ明日中には何とかなるだろ。」

「え、それってどういう事ですか?」

きょとんとしながら俺の事を見てきたマホとは対照的に、勘の良いロイドは何かを察したのかニヤニヤとした表情を浮かべていた。

「ふふっ、なるほどね。確かに運がよければ、明日中には何とかなるだろう。」

「え、え?ロイドさんはおじさんが言った事の意味が分かったんですか?」

「まぁね。恐らくマホも家に帰る頃までには気づく事が出来ると思うよ。」

「えぇー・・・せめて何かヒントをくださいよー・・・」

「ヒントはエルアのお父さんがどんな人か。」

「お、ソフィはもう気づいたのか。」

「うん。ぶい。」

「むぅ!皆さんばっかりずるいです!こうなったら、私も自力で気づいて見せますからね!」

「おうおう頑張ってくれよ。その事で明日は色々と後押ししてやんないといけないんだからな。」

その後、家の扉の鍵を開けるのと察したマホに何故だかニヤニヤされながら背中を叩かれた俺は妙な気恥ずかしさを感じながら明日の事を皆と話し合おうとしたのだがあんにゃろうどもめ!明日の事はエルアの師匠である俺に全部任せるとか言って全部丸投げしやがった!

・・・まぁ、あの2人の事だから少しだけ背中を押してやれば何とかなるだろ。
深く考えたってなる様にしかならねぇし、そもそも予想通りに事が運ぶかも不明だ。
なら明日の事は、明日考えれば良いかぁ・・・なんて決意を固めながら、俺は眠りにつくのだった。

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