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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第131話

服を着替えて昼飯を食べた俺達は斡旋所の受付に向かうと腕時計を返し、お姉さんにダンジョンから戻って来た事を伝えた。

「・・・はい、腕時計のご返却を確認させて頂きました!それでは次に、転送されて来たモンスターの確認を行いますのでカードをお預かりしてもよろしいですか?」

「分かりました。あ、ついでにダンジョンで見つけたお宝の確認もお願いします。」

「かしこまりました、それではカードと宝石をお預かりしますね!」

受け取ったカードを機械にセットしたお姉さんは、納品されたモンスターと渡した宝石の確認作業をしてくれた。

「・・・はい、どちらも確認させて頂きましたのでカードをお返し致しますね。」

「どうも、それで報酬は幾らぐらいになりますかね?」

「えっと、ボスとモンスターが合わせて15万Gになります。そして先ほどお預かりした宝石が3万Gとなりますね。」

「ふむ、合計で18万Gか。中々の稼ぎになったんじゃないか?」

「そうだな、思ったより稼げたって感じだな。」

報酬の額についてロイドと話していると、突然ソフィが座っている俺とマホの間を通って受付にやって来るとお姉さんにグイッと近づいた・・・ったく、本当に自分の興味がある事に関しては凄い分かりやすく積極的だよな。

「あ、あのソフィさんどうかなさいましたか?何か気になる事がおあり何ですか?」

「うん、ある。ボスの素材について教えて。」

「あ、か、かしこまりました。それでは素材についてご説明したいと思います。」

「あはは・・・お願います・・・って、受付に身を乗り出すんじゃない。」

「・・・分かった。」

無表情ながら渋々と言った感じで後ろに下がったソフィを見て、ホッとした表情をしたお姉さんは小さく咳払いをすると俺達に素材の説明を始めた。

「今回皆さんがボスを討伐して手に入れた素材は・・・簡単に言ってしまえば、凄く頑丈で溶けにくい氷なんです。」

「頑丈で溶けにくい・・・って、具体的にはどんな感じなんですか?」

「えっと、ハンマーで殴りつけても砕ける事が無くて、炎に近づけても全然溶けないみたいですね。」

「そ、そんなにですか?!でも、砕けないって・・・ロイドさんやソフィさんは普通に砕いていた気もしますが・・・」

「まぁ、私達のレベルはダンジョンの適正レベルより高いからね。だからボスにヒビを入れる事が出来たり、砕いたりする事が出来たんじゃないかな。」

「そ、そういう事でしたか・・・」

「ついでに言うとだな。エルアがボスの腕を砕けたのは、その前にソフィが攻撃してボスの腕をボロボロにしてたからだ。だから、絶対に自分の力が強くなったとか過信しないようにな。」

「わ、分かりました!」

「うん、良い返事だ・・・そんじゃあ、話しの続きをお願いします。」

「はい、かしこまりました。それで頑丈で溶けにくいボスの氷なんですが、残念な事に全く砕けず溶けない訳ではないんです。何度か叩けばヒビは入りますし、炎の近くに置き続ければ少しずつですが溶けていきます。」

「そうなんですか・・・じゃあ、武器とか防具、アクセサリーなんかには・・・」

「残念ですが出来ませんね。加工すること自体は出来ると思いますが、時間が経てば消滅する可能性が高いです。」

「そう・・・残念。」

「ふふっ、確かにね。あの氷を加工をしたら、何か素敵な物が出来上がりそうだったんだが・・・氷のブレードや防具などがね。」

「ブレードは分かるが・・・防具は厳しくね?絶対に体が冷えるぞ。」

「あ、でもでも!暑い季節だったらそれも有効活用できるかもしれませんよ!だって頑丈で溶けにくいって事は、冷たくて涼しいのがずっと保てるって事ですからね!」

「はい、その通りです。ですのであの氷は長期保存しておいて、暑い時期になりました色々と有効活用したいと考えています。」

「ふむ。つまりあの氷は素材として貰うのではなく、報酬に上乗せと言う形で貰うという良いのかな?」

「はい。ですので今回お渡しする報酬の合計金額は18万Gではなく、23万Gとなりますね。」

「え、あのボスの氷5万Gもするんですか?」

「そうですね。数も形も申し分ないですから。」

おぉ、ソフィには悪いがラッキー!普通にダンジョンに行った時の倍ぐらいの報酬が手に入ったぜ!素材として手に入らなかったのは残念だが、結果オーライだな!

「それじゃあ、報酬を受け取っても良いですか?」

「かしこまりました。ただいまお持ちしますので少々お待ちください。」

お姉さんは綺麗にお辞儀をして立ち上がると、報酬を取りに奥に歩いていった。
その姿を眺めていると、隣に座っていたマホが俺の事をツンツンとつついて来た。

「ん、どうかしたのか?」

「おじさん、今回の報酬なんですが明日の為に取っておきませんか?」

「明日って・・・あぁ、エルアと一緒に街を見て回るんだったな。」

マホの提案を聞いて振り返りながらエルアに目を向けると、何故だかエルアは慌てた様子で両手を左右に振っていた。

「そ、そんな!折角の報酬なんですから、きちんと分けましょうよ!」

「・・・そうは言っても、エルアさん報酬を受け取った事が無いじゃないですか。」

「そ、それは・・・」

「僕は皆さんに教えて貰っている立場なので、報酬はその授業料として皆さんが受け取ってください!って言って、受け取るのを断るんですから・・・ダメですよ、こういう時に遠慮をしていては!貰える時はちゃんと貰わないと!」

「で、ですがそれは・・・」

マホの指摘を受けてバツが悪そうにうつ向いたエルアをジッと見つめた俺は、静かに全員の顔を見まわした・・・うん、どうやら皆も同じ考えみたいだな。

「・・・よしっ、マホの提案に乗った。」

「えっ?」

「今回の報酬は、明日の為に全て取っておく事にする。異論や反論があるなら手を挙げてくれ。」

「ふふっ、そんな事をする必要はないかな。何故なら、私もその案に乗るからね。」

「同じく。私も乗った。」

「それじゃあ多数決の結果、今回の報酬は明日の為に取っておきます!」

「え、あ、あの!」

「はい、残念ながらエルアの意見は通りません。多数決で決まった事だからな。」

「ふふっ、皆さんとても仲が良いんですね。羨ましい限りです。」

報酬の使い方を皆で決めていると、いつの間にか戻って来ていたお姉さんが微笑みながら俺達の事を見ていた・・・な、何だろう、内輪ノリを客観的に見られてた事が凄い恥ずかしいんですけど!

「それでは、こちらが今回の報酬となります。皆さん、明日は素敵な1日をお過ごしくださいね。」

「あ、あはは・・・はい・・・ありがとうございます・・・」

「ありがとうございますお姉さん!明日は皆と一緒に楽しんできますね!」

「えぇ、そうしてください。」

お姉さんに優しく微笑まれつつ報酬を受け取った俺達は、明日の予定を決める為に家に帰っていった。そしていつも通りの時間に解散すると、明日に備えて早めに就寝する事になった・・・明日がエルアと過ごす最後の1日になるのか・・・どうせなら楽しんで貰える様に、頑張ってみるとするか。

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