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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第121話

「ふぅ・・・やっぱこの時期のモンスターは凶暴性があって最悪だな。」

倒したモンスターを納品しながら愚痴っていた俺は、立ち上がって大きく体を伸ばしていた。

(まぁ、しょうがないですね。この時期のモンスターは基本的に飢えているので、動いている物はすべて食料に見えるんでしょうね。)

(だろうな・・・まぁ、そのおかげで経験値稼ぎはバッチリだった訳だがな。)

俺達が倒したモンスターはざっと数えても数十体。何処から湧いて来たのか次々と襲い掛かって来たが、まぁ所詮は雑魚モンスターの一種だったからな。特に苦戦する事も無く全滅してやったぜ。

「九条さん、こっちは納品が終わったよ。そっちはどうだい?」

「あぁ、こっちも今終わった所だ。それにしても、来て早々にクエストが達成出来て幸運だったな。」

「そうだね。目当てのモンスターがすぐに襲って来てくれたから、特に探し回る事もなくて良かったよ。」

「それに他にもモンスターが襲ってきたから経験値も稼げた。」

「は、はい。そのおかげで、僕もレベルが上がったみたいです。」

エルアはそう言って手に持っていた盾を軽く振る様な仕草をしていた。朝見た時は少し振っただけでも体が持っていかれてたが、今はそうはならないみたいだな。

「それにしてもエルア、初めての戦闘なのに良く頑張ったね。」

「い、いえそんな!僕なんか、皆さんの後ろで盾を使ってモンスターの攻撃を防ぐので精一杯で・・・」

「そう指示したのは私達。だから気にする事は無い。」

(その通りです!無茶をせずに傷1つ負わなかったんですから凄い事ですよ!)

(いや、聞こえてないから。)

(はっ、そうでした!うぅ・・・私もエルアさんとお話ししたいです!)

(それは家に帰ってからな。今は留守番してる事になってるんだから我慢してろ。)

頭の中に響くマホの悔しそうな唸り声を聞きながら、俺は恥ずかしそうにしているエルアに近寄っていった。

「エルア、さっき盾を振ってたがレベルはどれくらい上がったんだ?」

「あ、はい、ちょっと待ってくださいね。」

エルアはポーチから荘厳な紋様が描かれたカードを取り出して、ステータスを確認していた。ってか、王立学園で配られるあのカード羨ましいくらいカッコいいな!
俺の持ってるカードとか普通過ぎて何の面白みも無いもんな・・・どっかでカードを加工してくれる店とか無いのか?・・・今度探してみるか。

「えっと、さっきまで1だったんですが、今は2になったみたいです。」

「そうか・・・じゃあ後1,2個レベルを上げれば問題なく盾を使える様になりそうだな。」

「あぁ、確かにそうかもしれないね。それにそれぐらいのレベルだったら、一週間も張れば何とか上がるだろう。」

「うん、そうだね。」

・・・この激寒で地面が真っ白な場所で一週間もモンスター狩りかぁ。マジでこの世界のレベル上げって過酷だよな・・・まぁ、そんな事は今更だけどな。

「そんじゃあとりあえず、エルアのレベルが3か4になるまで頑張るとするかね。
あぁ、勿論エルア自身にも頑張ってもらうからそのつもりでな。お前も頼ってばかりじゃ居心地が悪いだろうしな。」

「は、はい!九条さんの言う通りなので一生懸命頑張ります!」

ビシッと背筋を正してエルアが返事をした直後、顔に何か冷たい物が当たった気がして俺はそこを指で触ってみた。すると・・・

「濡れてる?」

(あ、ご主人様!上を見てください!雪が降って来てますよ!)

「雪が?」

マホの言葉に思わず声を出して反応した俺は空を見上げてみた。するとさっきまで青かった空は黒い雲におおわれていて、白い雪がぽつぽつと降り注いでいた。

「おや、まさか雪が降ってくるとはね。いや、この寒さだから不思議ではないか。」

「そ、そうですね・・・」

「寒いのエルア?」

「あ、はい・・・ちょっと汗をかいて体が冷えてしまって・・・」

「ふむ、それはいけないね。風邪をひいても困るから街に戻るとしようか。それに、雪の勢いも段々と強くなってきたからね。」

「あぁ、確かにな。」

ぽつぽつと降り注いでいた雪だったが、風も出てきたせいかその勢いが強くなってきていた。なので俺達は急いで街に戻ろうとしたのだが・・・不意に、背後から異様な気配を感じた俺は思わず立ち止まってその方向に振り向いた・・・んだけど・・・

「・・・・何だ、あれ?」

「九条さん?どうかしたのかい、急に立ち止まったりして。」

「いや、何か・・・あっちの方に何か見えないか?」

俺が指を指した方向には何か大きな建物の様な物がキラキラと光を放っていた。
皆もそれに気が付いたのか、眉をひそめながらその何かに目を凝らしていた。

「あれは、一体何なんでしょうか?」

「分からない。」

「私も分からないな。というよりも、あんな物は初めて見た気がする。」

「だよな・・・何度かこっちに来た事あるが、あんなの見た事無いぞ。」

「え、そうなんですか?それじゃあアレは・・・」

雪の勢いが少しずつ強くなる中、俺達は初めて見る何か分からない物の異様さから黙り込んだまま動けずにいた。すると、ソフィがその建物らしき何かに向かって行き始めた。

「お、おいソフィ。お前どうするつもりだ。」

「気になるから見て来る。皆は先に戻ってて。」

「いやいや、流石にお前を1人で行かせる訳にはいかないだろ。」

「あぁ、私達は仲間だからね。という訳だからエルア、悪いんだが」

「ぼ、僕も行きます!皆さんを残して1人で帰る訳にはいきませんから!」

(勿論、私も行きますよ!とはいっても、スマホの中に居ますから当然ですけどね!)

「・・・ふぅ、しゃあない。吹雪になる前にとっとと確認しに行くぞ。」

皆の威勢のいい返事を聞いた俺は、真っ白な平原の奥の方に見える何か分からない建物に向かっていった。しばらくしてその建物の前に辿り着いた俺達は、思わず目の前の光景に見惚れていた・・・

「こ、これは・・・氷で出来た・・・屋敷か?」

「あぁ、その様だ・・・まさかこんな物がこんな場所にあったなんてね。」

(な、何なんでしょうか?この建物・・・)

皆が驚くのも無理は無く、俺達の目の前には屋根から壁まで全て氷で出来てるバカでかい屋敷が存在していた・・・これは、かなりヤバそうな雰囲気を感じるぞ。

「九条さん、あの扉から中に入れそう。」

「・・・そうみたいだな、とりあえず行ってみるか。」

俺達は雪に足を取られそうになりながら扉に向かって歩いて行った。そうして辿り着いた扉の取っ手を掴んだ俺は、慎重に開いてみたのだが・・・え?マジか?

「おいおい、まさかここって・・・」

「ふむ、どうやらここは・・・ダンジョンの様だね。」

扉を開けた先に広がっていたのは、これまで行ったダンジョンと同じ構造で出来ている通路だった。まぁ、違う所があるとすれば壁と天井が氷で出来てるって事くらいだな。

「え、ここって・・・ダンジョンなんですか?」

「・・・あぁ、人が住んでる気配も感じないしまず間違いないだろ。でも、どうしてこんな場所に・・・今まで見た事無いぞこんな場所・・・」

「九条さん、どうする?中に入ってみる?」

「・・・いや、止めとこう。そもそもこの場所がダンジョンなのか、ダンジョンなら適正レベルがどれくらいなのかも分からないしな。それにアイテムも不十分だから、下手に突っ込んで全滅する可能性もあり得るしな。」

「そうだね。ここは一度、斡旋所に戻ってクエストの報告をした後に詳しい事を聞いてみるとしよう。」

「わ、分かりました・・・それじゃあ、一端ここから離れましょうか。」

エルアの言葉に頷いた俺達は、氷で作られた屋敷・・・いや、ダンジョンから離れていった。てか、マジでどういう場所なんだここは?急に出現した理由も不明だし、訳が分かんない事ばかりだな。まぁ、斡旋所の人に聞けば何か分かるかもな。
そんな事を考えながら、俺は皆と一緒に斡旋所まで戻るのだった。

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