おっさんの異世界生活は無理がある。
第120話
「うーん、これは色々と厳しそうだなぁ・・・」
「・・・ですねぇ。」
俺とマホの目の前には持ってきた武器を放って地面に手をついてるエルアの姿と、そんなエルアを心配しているロイドとソフィの姿が見えていた。
「エルア、そろそろ休憩にしようか。もう体力も残っていないみたいだからね。」
「す・・・すみません・・・はぁ・・はぁ・・げほっ・・・」
「謝る事は無い。ずっと動いてたから疲れるのは当たり前。」
「は、はい・・・はぁ・・・」
「おじさん、エルアさんに水を渡してきますね。」
「ん?あぁ、頼んだ。」
俺の返事を聞いたマホが家の中に戻って行ったのを確認した俺は、エルアが地面に置いた武器・・・っていうか、盾を手に持ってみた。
「・・・うん、やっぱり重いよなこれ。」
盾はかなりの大きさがあり頑丈な作りになっているのか中々の重量感があった。
いやぁ、レベル1のエルアにコレはキツイだろ・・・なんて思いながら軽く振り回していると、ロイドがこっちに歩いて来た。
「やぁ九条さん。エルアの訓練、見ててどうだった?」
「・・・何と言うか、今のパラメーターじゃこの盾を使うのは難しいと思うぞ。
その場から動かずに攻撃を防ぐ事は出来ても、そっから反撃しようとすると盾に体を持ってかれてたからな。」
「そうなんだよね。だからそのせいで体力も余計に消耗しているみたいなんだ。」
「だろうな・・・しゃあない、昼飯を食いながらちょっと考えるとするか。」
「そうだね。同じ様な事を繰り返していても、エルアが怪我をする可能性が出るだけだからね。」
俺とロイドは話し合いを終えるとエルアの盾とショートブレードを持って3人の所に向かった。その後、家に戻った俺達・・・って言うか俺は、シャワーで汗を流したエルアに料理を教えながら昼食を作り上げた。
・・・てか、エルア料理の飲み込みメッチャ早いんですけど。それに風呂上がりだからなのか良い匂いがするしエプロン姿も凄い似合ってたし・・・何か料理中ずっとドキドキしてしまったんだが・・・も、もしかして俺って・・・いやいや、そんな訳ないって!うん大丈夫!俺は女の人が大好きだ!
「おじさん、どうかしましたか?何だかボーっとしてるみたいですけど。」
「うぇ!い、いや何でもない!そ、そんじゃあいただきます!」
「「「いただきます。」」」
「い、いただきます・・・」
いつも通り挨拶して昼飯に手を付け始めた俺達を、エルアは不安そうな表情で見つめていた。だがそんな不安は笑顔を浮かべるマホによってすぐに消え去っていった。
「うーん!エルアさん、とっても美味しいですよ!」
「ほ、本当ですか?」
「はい!ちょっと味が薄い部分もありますが全然問題ありません!これならお料理に関してはすぐ上達すると思いますよ!ですよね、おじさん!」
「あぁ、この調子ならマジで数日もすれば普通に料理が出来る様になると思うぞ。」
「そ、そんな事ありませんよ!僕なんて、まだまだで・・・」
「いや、そんな謙遜する事は無いさ。確かに食べる場所によっては味の濃さに差が出ているが、何度か料理をすれば修正できるレベルだろうね。」
「うん、美味しい。」
「そ、そうですかね・・・あ、ありがとうございます・・・」
恥ずかしそうに笑うエルアを見て一瞬だけ胸を高鳴らせていや!ほっこりしながら昼飯を平らげた俺達は、この後どうするか話し合う事にした。
「さて、さっき話した通り力の無いエルアがあの盾を使うのは難しいと思うんだ。」
「そ、そうですよね・・・でも、僕は・・・」
「分かってる。親父さんに貰ったものだからちゃんと使えるようになりたいんだろ?それに安心しろって、一応策ならあるからな。」
「え、そうなんですか?」
「あぁ、手っ取り早いのが1つある。効率よく行けば今日中には使えるようになると思うぞ。」
「そ、そんな手段があるんですか?それってどんな・・・」
「ふふっ、簡単な事さ。レベルを上げてパラメーターを強化すれば良い。」
「レベルを・・・ですか?」
「そうだ。上手くいけば今日中には盾を使える様になるだろうし、エルアの訓練にもバッチリだろ。実際にモンスターと戦うんだからな。」
「モンスターと・・・」
不安そうにうつ向いてしまったエルアを励ます為、俺はニヤリと笑うとテーブルをコンコンと叩いてエルアの意識をこっちに向けさせた。
「そんな不安に思う事ないっての。周りを見てみろ、闘技場の元王者とそれを倒したギルドがついてるんだぞ?怪我1つ負わせないから安心しろって・・・な?」
俺のその言葉を聞いてなおしばらくうつ向いていたエルアだったが、やがて決意を固めたかの様な表情をして顔を上げた。そして俺達をジッと見つめると、深々と頭を下げて来た。
「・・・皆さん、どうかよろしくお願いします!」
「ふふっ、任せてくれ。さっきの訓練よりも少し厳しくなると思うが、きちんと護り抜いてあげるよ。」
「魔法の使い方もしっかり教えてあげる。」
「は、はい!お願いします!」
「よしっ、そうと決まればクエスト斡旋所で討伐クエストを・・・って、エルアってクエスト受けられるのか?まだ学生だろ?」
「おじさん、クエストって言うのは15歳から受けることが出来るんですよ。」
「そうなのか?・・・けっこう利用してたが初めて知ったな。」
そんな今更な情報を改めて知った俺は皆と一緒にクエスト斡旋所に向かうと、討伐クエストを受けて雪が積もって真っ白になっている街の外へと出かけるのだった。
「・・・ですねぇ。」
俺とマホの目の前には持ってきた武器を放って地面に手をついてるエルアの姿と、そんなエルアを心配しているロイドとソフィの姿が見えていた。
「エルア、そろそろ休憩にしようか。もう体力も残っていないみたいだからね。」
「す・・・すみません・・・はぁ・・はぁ・・げほっ・・・」
「謝る事は無い。ずっと動いてたから疲れるのは当たり前。」
「は、はい・・・はぁ・・・」
「おじさん、エルアさんに水を渡してきますね。」
「ん?あぁ、頼んだ。」
俺の返事を聞いたマホが家の中に戻って行ったのを確認した俺は、エルアが地面に置いた武器・・・っていうか、盾を手に持ってみた。
「・・・うん、やっぱり重いよなこれ。」
盾はかなりの大きさがあり頑丈な作りになっているのか中々の重量感があった。
いやぁ、レベル1のエルアにコレはキツイだろ・・・なんて思いながら軽く振り回していると、ロイドがこっちに歩いて来た。
「やぁ九条さん。エルアの訓練、見ててどうだった?」
「・・・何と言うか、今のパラメーターじゃこの盾を使うのは難しいと思うぞ。
その場から動かずに攻撃を防ぐ事は出来ても、そっから反撃しようとすると盾に体を持ってかれてたからな。」
「そうなんだよね。だからそのせいで体力も余計に消耗しているみたいなんだ。」
「だろうな・・・しゃあない、昼飯を食いながらちょっと考えるとするか。」
「そうだね。同じ様な事を繰り返していても、エルアが怪我をする可能性が出るだけだからね。」
俺とロイドは話し合いを終えるとエルアの盾とショートブレードを持って3人の所に向かった。その後、家に戻った俺達・・・って言うか俺は、シャワーで汗を流したエルアに料理を教えながら昼食を作り上げた。
・・・てか、エルア料理の飲み込みメッチャ早いんですけど。それに風呂上がりだからなのか良い匂いがするしエプロン姿も凄い似合ってたし・・・何か料理中ずっとドキドキしてしまったんだが・・・も、もしかして俺って・・・いやいや、そんな訳ないって!うん大丈夫!俺は女の人が大好きだ!
「おじさん、どうかしましたか?何だかボーっとしてるみたいですけど。」
「うぇ!い、いや何でもない!そ、そんじゃあいただきます!」
「「「いただきます。」」」
「い、いただきます・・・」
いつも通り挨拶して昼飯に手を付け始めた俺達を、エルアは不安そうな表情で見つめていた。だがそんな不安は笑顔を浮かべるマホによってすぐに消え去っていった。
「うーん!エルアさん、とっても美味しいですよ!」
「ほ、本当ですか?」
「はい!ちょっと味が薄い部分もありますが全然問題ありません!これならお料理に関してはすぐ上達すると思いますよ!ですよね、おじさん!」
「あぁ、この調子ならマジで数日もすれば普通に料理が出来る様になると思うぞ。」
「そ、そんな事ありませんよ!僕なんて、まだまだで・・・」
「いや、そんな謙遜する事は無いさ。確かに食べる場所によっては味の濃さに差が出ているが、何度か料理をすれば修正できるレベルだろうね。」
「うん、美味しい。」
「そ、そうですかね・・・あ、ありがとうございます・・・」
恥ずかしそうに笑うエルアを見て一瞬だけ胸を高鳴らせていや!ほっこりしながら昼飯を平らげた俺達は、この後どうするか話し合う事にした。
「さて、さっき話した通り力の無いエルアがあの盾を使うのは難しいと思うんだ。」
「そ、そうですよね・・・でも、僕は・・・」
「分かってる。親父さんに貰ったものだからちゃんと使えるようになりたいんだろ?それに安心しろって、一応策ならあるからな。」
「え、そうなんですか?」
「あぁ、手っ取り早いのが1つある。効率よく行けば今日中には使えるようになると思うぞ。」
「そ、そんな手段があるんですか?それってどんな・・・」
「ふふっ、簡単な事さ。レベルを上げてパラメーターを強化すれば良い。」
「レベルを・・・ですか?」
「そうだ。上手くいけば今日中には盾を使える様になるだろうし、エルアの訓練にもバッチリだろ。実際にモンスターと戦うんだからな。」
「モンスターと・・・」
不安そうにうつ向いてしまったエルアを励ます為、俺はニヤリと笑うとテーブルをコンコンと叩いてエルアの意識をこっちに向けさせた。
「そんな不安に思う事ないっての。周りを見てみろ、闘技場の元王者とそれを倒したギルドがついてるんだぞ?怪我1つ負わせないから安心しろって・・・な?」
俺のその言葉を聞いてなおしばらくうつ向いていたエルアだったが、やがて決意を固めたかの様な表情をして顔を上げた。そして俺達をジッと見つめると、深々と頭を下げて来た。
「・・・皆さん、どうかよろしくお願いします!」
「ふふっ、任せてくれ。さっきの訓練よりも少し厳しくなると思うが、きちんと護り抜いてあげるよ。」
「魔法の使い方もしっかり教えてあげる。」
「は、はい!お願いします!」
「よしっ、そうと決まればクエスト斡旋所で討伐クエストを・・・って、エルアってクエスト受けられるのか?まだ学生だろ?」
「おじさん、クエストって言うのは15歳から受けることが出来るんですよ。」
「そうなのか?・・・けっこう利用してたが初めて知ったな。」
そんな今更な情報を改めて知った俺は皆と一緒にクエスト斡旋所に向かうと、討伐クエストを受けて雪が積もって真っ白になっている街の外へと出かけるのだった。
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