おっさんの異世界生活は無理がある。
第111話
翌朝、部屋に入る日差しによって何か爽やかな目覚めをした俺は鼻歌交じりに
シャワーとか浴びたりしていた。そうして一通りの身支度を整えると、部屋に迎えに来たマホ達と一緒に宿屋を出て帰りの馬車がある広場へと向かっていた。
「はぁ、何か帰るってなったら途端に名残惜しさと疲労が襲ってきたな・・・」
「そうですねぇ・・・私も何だかそんな感じです!」
「まぁ普段では経験できない様な事を沢山経験したからね。だからそんな風に感じるんじゃないかな。ソフィも同じ様な感じかい?」
「・・・私は帰ったらモンスターと戦いたい。」
「おいマジか。」
「うん、マジ。」
「うわ即答かいよ・・・いいかソフィ?俺は2,3日家でのんびりするからクエストに行くならロイドとか誘って行ってくれよ?」
「えっ。」
「いやなに驚いてんだ。当たり前だろうが俺は今日にいたるまで意外と忙しかったんだぞ?せめて4,5日はのんびりしないと体力が回復しないんだよ・・・」
「・・・日数が伸びた。」
「全くおじさんったら・・・まぁ私もしばらくはのんびりしたいのでお付き合いしますけどね。」
「おっ、だったら何かお勧めの本貸してくれよ。最近じゃあ俺が読まない感じの本を読んでんだろ?」
「あ、はい!それじゃあ何冊かお勧めの本を貸してあげますね!読んだら感想を
聞かせてくださいね!」
「おう!いやぁそう考えたら早く帰りたくなってきたな!・・・つっても、馬車が
出発するまでまだ時間があるんだけどな。」
「あー、そう言えばそうですねぇ。」
近くにあった時計を見る限り、帰りの馬車が出るまで20分くらいあるんだよな。うーん、いつも出発時間ギリギリだったから余裕を持って出てみたいんだが・・・
凄い微妙な待ち時間だな・・・こりゃ出る時間を間違えたか?
「ねぇねぇそう言えばアンタって宿題ってどうするの?」
「・・・ん?」
時間を確認しながらどうやって暇を潰そうか考えようとしていると、どこからか
懐かしい単語が聞こえてきた。何かと思って前を向くと、2人組の女の子が手に
クレープを持ちながら楽しそうに歩いて来た・・・え?朝からクレープ食ってんの?
いやまぁツナサラダとかなら普通に朝飯になるのだろうか・・・?
「んーまぁ必須課題だけやって、自由課題は別にやらないかなぁー」
「そっかーじゃあ私と同じだね。」
「まぁ必須課題だけでも難題なのに、そこから更に自由課題もやるってなると冬休み終わっちゃうもん。」
「うんうん分かる!成績にプラスされるって説明してたけど、流石にねー。」
「ねー。」
なーんて事を話しながらすれ違って行った女の子に会話に耳を傾けていた俺は、
気になった単語があったので知っている奴に質問してみる事にした。
「なぁロイド、さっきの子達が言ってた必須課題と自由課題って何なんだ?冬休みの宿題的な事でいいのか?」
「あぁ、簡単に説明すると必須課題は王立学園が出す勉学に関する課題だ。かなり
難易度が高くて冬休みを全て費やす生徒もいるほどだ。」
「うへぇ・・・そんなのがあんのか。俺だったらバックレる可能性大だな。」
「ふふっ、残念ながらそれは厳しいだろうね。終わらなかった生徒は教師に監督されながら終わるまでしごかれるからね。まぁ私は実際に体験した事はないからよく知らないんだが。」
「流石ロイドさんです!おじさんとはここの出来が違いますね!」
「おぅ、頭トントンしながら随分な事言ってくれるじゃねぇか!俺だってそういった課題はちゃんと提出してたっての!・・・まぁほぼ一夜漬けだが。」
「・・・・はいはい分かってましたよ。それよりロイドさん、必須課題は分かりましたが自由課題って何なんですか?」
「そうだね・・・まぁ文字通り自由な課題だよ。」
「どういう事?具体的には?」
「具体的か・・・私で言えば家の仕事を手伝ってそれを書き上げたかな。」
「え、つまり本当に自由な課題って事なのか?」
「あぁその通り。だからどんな事を課題として提出するのは個人の自由なんだが、
ある程度しっかりしてないと評価は貰えないからね。だから生徒のほとんどは提出
していないみたいだよ。」
「まぁ、一応とはいえ作ったのに評価貰えなかったら時間の無駄だからな。そりゃ
そんなの無視して遊びたくなるわ。」
「ふふっ、だったらその遊び回った事と書き上げて提出するというのはどうだい?」
「いやいや、そんなの評価される訳ねぇって。っていうか、俺は生徒じゃねぇから
そもそも提出しねぇっての・・・って、こんな事話してたら意外と時間経ってたみたいだな。」
思いのほか会話で盛り上がったおかげで待ち時間が潰れてくれた様だ。ありがとう見知らぬ女の子達!君達の事は・・・もう顔も忘れたけど感謝しているよ!
「それじゃあ馬車乗り場に行きましょうか!でも、その前に近くにあるクレープ屋
さんで何か買って行きましょう!」
「えぇ?・・・まぁ別に良いけどさ。何か朝飯になりそうな物買って食うか。」
「おじさんはそう言う系ですか・・・じゃあ私は甘いケーキ的なやつを買います!
なので後で交換して食べ合いましょうよ!」
「は、はぁ?!何言ってるんだよ!そんな事したら間接キスになっちゃうだろうが!
お前には恥じらいって物が無いのか!」
「・・・いい歳して間接キスとかいってるおじさんの方が恥ずかしいですよ!」
「ぐはっ!?」
「はははっ、それじゃあ私は果物などと使ったクレープにしようかな。」
「私はロイドと似た様なのにする。」
「ふむ、それじゃあ後で一口貰っても良いかい?」
「うん。ロイドのもくれたら。」
「勿論、それは構わないよ。それじゃあマホ、クレープ屋に案内を頼んだ。」
「あっ、はい分かりました!ほらおじさん、そんな所でショックを受けてないで早く行きますよ!時間もあまりないんですから!」
「だ、誰がショックを与えたと思ってるんだ・・・?ちょ、おいコラ!俺を置いて
行くんじゃない!」
心に何かグサッとナイフを刺されたままほったらかにしされた俺は、慌てて皆の後を追ってクレープ屋へと向かった。そこでまぁ・・・うん、恥ずかしくも甘酸っぱい思い出が出来ました・・・何か、俺、青春してるって感じ!
・・・そんな事に何か浮かれながらもちょっと悲しくなりながら馬車乗り場に来た俺達は、手続きを済ませて馬車に乗り込もうとした・・・のだが!突然警備兵らしき人がやって来たんですけど?!
「突然すみません。お手数はおかけしませんので、少しだけよろしいでしょうか。」
「えぇ、どうかしましたか?何かお困り事があるなら是非ともご協力させて頂きますよ!」
俺は出来る限り満面の笑みを浮かべて警備兵に話しかけた!下手に怪しまれるより積極的に協力して早くどっかに言って貰った方がいいからな!
「それはありがたい。それではお聞きしますが、皆さんは王都である催しがあったのはご存知ですか?」
・・・うわぁ!すっごい心当たりがある!っていうか、何で最後の最後にこんな面倒な事が起きるんだよ!おいマホ!その呆れた目を止めなさい!色々と危ないから!
だが警備兵の人にバレない様にその視線を俺だけに向けたのはグッジョブだ!
「はい知ってますよ!だって俺達、偶然にもその日に王都に居ましたから!」
「そうでしたか。それではお聞きしますが、その時にとある男性をお見掛けしませんでしたか?」
「男性ですか?それはどういった感じの方なんですか?」
「それがですね、王様達が乗っている舞台から飛び降りた人物なんですが。」
「えぇ?!そ、そんな人が居るんですか?すみませんが、心当たりが無くて!
皆もそうだよな?全然心当たりないよなっ!」
「・・・そうですね。私も見てませんね。」
「すまない。私も見ていないんだ。」
「同じく。」
「という訳で、申し訳ありませんがお力になれなかったみたいです。すみません。」
「あぁ、いえいえ!こちらこそお手間を取らせて申し訳ありませんでした。
それでは失礼させて頂きます。」
警備兵は丁寧に敬礼してくれと、そのまま大通りの方に向かって行った・・・あ、危ねぇ!何これどうなってんだよ!後は馬車に乗り込んで楽しかったねちゃんちゃんって展開じゃいのか!?
「・・・おじさん。」
「・・・何も言うな。ただ黙って馬車に乗るんだ。」
「おやおや、後で大変なことになりそうだね。」
「ちょっとドキドキ。」
「しっ!早く馬車に乗りなさい。」
・・・何か最後の最後に良くない感じのドキドキを味わった俺は、皆と一緒に馬車に乗り込んで席に着くと大きく安堵のため息を吐いた。
「ふぅ・・・え、何?俺指名手配されてんの?」
「うーん、どうなんでしょうか?警備兵の人もそこまで本気になって探してる感じに思えませんでしたけど。」
「そうだね。本気で指名手配となっているなら人相書きでも持ってるだろうからね。それが無いって事は、何か事情があるんだろう。」
「・・・何か思い当たる?」
「いや、思い当たるって言われれば思い当たるが・・・まぁ、もう気にする事も無いだろ。どうせもう王都に来る事もないだろうし。あったとしてもずっと先の事になるだろうしな。」
「そうやって問題を先延ばしにすると、後々面倒になるって分かってますよね?」
「そうは言うけどさぁ・・・だからってそれは俺ですよ。とは言えんだろ。」
「まぁ確かにそうですが・・・」
「だからまぁ、なるようになれだ。何かあったらその時に対処すれば良いんだよ。」
「・・・まぁそうですね!考えても仕方ない事はどうしようもありません!」
「あぁマホの言う通りだ。それよりも今は旅の思い出を振り返るとしようか。
家に帰るまでまだまだ時間があるからね。」
「分かった。そうしよう。」
「よしっ!じゃあ旅の始まりから振り返ってみるか、最初は・・・・」
皆で旅の思い出を振り返りだしていると、御者の人が出発時刻となった事を伝えて馬車を発車させた・・・そして、俺達を乗せた馬車は王都の外へ出て行くのだった。
シャワーとか浴びたりしていた。そうして一通りの身支度を整えると、部屋に迎えに来たマホ達と一緒に宿屋を出て帰りの馬車がある広場へと向かっていた。
「はぁ、何か帰るってなったら途端に名残惜しさと疲労が襲ってきたな・・・」
「そうですねぇ・・・私も何だかそんな感じです!」
「まぁ普段では経験できない様な事を沢山経験したからね。だからそんな風に感じるんじゃないかな。ソフィも同じ様な感じかい?」
「・・・私は帰ったらモンスターと戦いたい。」
「おいマジか。」
「うん、マジ。」
「うわ即答かいよ・・・いいかソフィ?俺は2,3日家でのんびりするからクエストに行くならロイドとか誘って行ってくれよ?」
「えっ。」
「いやなに驚いてんだ。当たり前だろうが俺は今日にいたるまで意外と忙しかったんだぞ?せめて4,5日はのんびりしないと体力が回復しないんだよ・・・」
「・・・日数が伸びた。」
「全くおじさんったら・・・まぁ私もしばらくはのんびりしたいのでお付き合いしますけどね。」
「おっ、だったら何かお勧めの本貸してくれよ。最近じゃあ俺が読まない感じの本を読んでんだろ?」
「あ、はい!それじゃあ何冊かお勧めの本を貸してあげますね!読んだら感想を
聞かせてくださいね!」
「おう!いやぁそう考えたら早く帰りたくなってきたな!・・・つっても、馬車が
出発するまでまだ時間があるんだけどな。」
「あー、そう言えばそうですねぇ。」
近くにあった時計を見る限り、帰りの馬車が出るまで20分くらいあるんだよな。うーん、いつも出発時間ギリギリだったから余裕を持って出てみたいんだが・・・
凄い微妙な待ち時間だな・・・こりゃ出る時間を間違えたか?
「ねぇねぇそう言えばアンタって宿題ってどうするの?」
「・・・ん?」
時間を確認しながらどうやって暇を潰そうか考えようとしていると、どこからか
懐かしい単語が聞こえてきた。何かと思って前を向くと、2人組の女の子が手に
クレープを持ちながら楽しそうに歩いて来た・・・え?朝からクレープ食ってんの?
いやまぁツナサラダとかなら普通に朝飯になるのだろうか・・・?
「んーまぁ必須課題だけやって、自由課題は別にやらないかなぁー」
「そっかーじゃあ私と同じだね。」
「まぁ必須課題だけでも難題なのに、そこから更に自由課題もやるってなると冬休み終わっちゃうもん。」
「うんうん分かる!成績にプラスされるって説明してたけど、流石にねー。」
「ねー。」
なーんて事を話しながらすれ違って行った女の子に会話に耳を傾けていた俺は、
気になった単語があったので知っている奴に質問してみる事にした。
「なぁロイド、さっきの子達が言ってた必須課題と自由課題って何なんだ?冬休みの宿題的な事でいいのか?」
「あぁ、簡単に説明すると必須課題は王立学園が出す勉学に関する課題だ。かなり
難易度が高くて冬休みを全て費やす生徒もいるほどだ。」
「うへぇ・・・そんなのがあんのか。俺だったらバックレる可能性大だな。」
「ふふっ、残念ながらそれは厳しいだろうね。終わらなかった生徒は教師に監督されながら終わるまでしごかれるからね。まぁ私は実際に体験した事はないからよく知らないんだが。」
「流石ロイドさんです!おじさんとはここの出来が違いますね!」
「おぅ、頭トントンしながら随分な事言ってくれるじゃねぇか!俺だってそういった課題はちゃんと提出してたっての!・・・まぁほぼ一夜漬けだが。」
「・・・・はいはい分かってましたよ。それよりロイドさん、必須課題は分かりましたが自由課題って何なんですか?」
「そうだね・・・まぁ文字通り自由な課題だよ。」
「どういう事?具体的には?」
「具体的か・・・私で言えば家の仕事を手伝ってそれを書き上げたかな。」
「え、つまり本当に自由な課題って事なのか?」
「あぁその通り。だからどんな事を課題として提出するのは個人の自由なんだが、
ある程度しっかりしてないと評価は貰えないからね。だから生徒のほとんどは提出
していないみたいだよ。」
「まぁ、一応とはいえ作ったのに評価貰えなかったら時間の無駄だからな。そりゃ
そんなの無視して遊びたくなるわ。」
「ふふっ、だったらその遊び回った事と書き上げて提出するというのはどうだい?」
「いやいや、そんなの評価される訳ねぇって。っていうか、俺は生徒じゃねぇから
そもそも提出しねぇっての・・・って、こんな事話してたら意外と時間経ってたみたいだな。」
思いのほか会話で盛り上がったおかげで待ち時間が潰れてくれた様だ。ありがとう見知らぬ女の子達!君達の事は・・・もう顔も忘れたけど感謝しているよ!
「それじゃあ馬車乗り場に行きましょうか!でも、その前に近くにあるクレープ屋
さんで何か買って行きましょう!」
「えぇ?・・・まぁ別に良いけどさ。何か朝飯になりそうな物買って食うか。」
「おじさんはそう言う系ですか・・・じゃあ私は甘いケーキ的なやつを買います!
なので後で交換して食べ合いましょうよ!」
「は、はぁ?!何言ってるんだよ!そんな事したら間接キスになっちゃうだろうが!
お前には恥じらいって物が無いのか!」
「・・・いい歳して間接キスとかいってるおじさんの方が恥ずかしいですよ!」
「ぐはっ!?」
「はははっ、それじゃあ私は果物などと使ったクレープにしようかな。」
「私はロイドと似た様なのにする。」
「ふむ、それじゃあ後で一口貰っても良いかい?」
「うん。ロイドのもくれたら。」
「勿論、それは構わないよ。それじゃあマホ、クレープ屋に案内を頼んだ。」
「あっ、はい分かりました!ほらおじさん、そんな所でショックを受けてないで早く行きますよ!時間もあまりないんですから!」
「だ、誰がショックを与えたと思ってるんだ・・・?ちょ、おいコラ!俺を置いて
行くんじゃない!」
心に何かグサッとナイフを刺されたままほったらかにしされた俺は、慌てて皆の後を追ってクレープ屋へと向かった。そこでまぁ・・・うん、恥ずかしくも甘酸っぱい思い出が出来ました・・・何か、俺、青春してるって感じ!
・・・そんな事に何か浮かれながらもちょっと悲しくなりながら馬車乗り場に来た俺達は、手続きを済ませて馬車に乗り込もうとした・・・のだが!突然警備兵らしき人がやって来たんですけど?!
「突然すみません。お手数はおかけしませんので、少しだけよろしいでしょうか。」
「えぇ、どうかしましたか?何かお困り事があるなら是非ともご協力させて頂きますよ!」
俺は出来る限り満面の笑みを浮かべて警備兵に話しかけた!下手に怪しまれるより積極的に協力して早くどっかに言って貰った方がいいからな!
「それはありがたい。それではお聞きしますが、皆さんは王都である催しがあったのはご存知ですか?」
・・・うわぁ!すっごい心当たりがある!っていうか、何で最後の最後にこんな面倒な事が起きるんだよ!おいマホ!その呆れた目を止めなさい!色々と危ないから!
だが警備兵の人にバレない様にその視線を俺だけに向けたのはグッジョブだ!
「はい知ってますよ!だって俺達、偶然にもその日に王都に居ましたから!」
「そうでしたか。それではお聞きしますが、その時にとある男性をお見掛けしませんでしたか?」
「男性ですか?それはどういった感じの方なんですか?」
「それがですね、王様達が乗っている舞台から飛び降りた人物なんですが。」
「えぇ?!そ、そんな人が居るんですか?すみませんが、心当たりが無くて!
皆もそうだよな?全然心当たりないよなっ!」
「・・・そうですね。私も見てませんね。」
「すまない。私も見ていないんだ。」
「同じく。」
「という訳で、申し訳ありませんがお力になれなかったみたいです。すみません。」
「あぁ、いえいえ!こちらこそお手間を取らせて申し訳ありませんでした。
それでは失礼させて頂きます。」
警備兵は丁寧に敬礼してくれと、そのまま大通りの方に向かって行った・・・あ、危ねぇ!何これどうなってんだよ!後は馬車に乗り込んで楽しかったねちゃんちゃんって展開じゃいのか!?
「・・・おじさん。」
「・・・何も言うな。ただ黙って馬車に乗るんだ。」
「おやおや、後で大変なことになりそうだね。」
「ちょっとドキドキ。」
「しっ!早く馬車に乗りなさい。」
・・・何か最後の最後に良くない感じのドキドキを味わった俺は、皆と一緒に馬車に乗り込んで席に着くと大きく安堵のため息を吐いた。
「ふぅ・・・え、何?俺指名手配されてんの?」
「うーん、どうなんでしょうか?警備兵の人もそこまで本気になって探してる感じに思えませんでしたけど。」
「そうだね。本気で指名手配となっているなら人相書きでも持ってるだろうからね。それが無いって事は、何か事情があるんだろう。」
「・・・何か思い当たる?」
「いや、思い当たるって言われれば思い当たるが・・・まぁ、もう気にする事も無いだろ。どうせもう王都に来る事もないだろうし。あったとしてもずっと先の事になるだろうしな。」
「そうやって問題を先延ばしにすると、後々面倒になるって分かってますよね?」
「そうは言うけどさぁ・・・だからってそれは俺ですよ。とは言えんだろ。」
「まぁ確かにそうですが・・・」
「だからまぁ、なるようになれだ。何かあったらその時に対処すれば良いんだよ。」
「・・・まぁそうですね!考えても仕方ない事はどうしようもありません!」
「あぁマホの言う通りだ。それよりも今は旅の思い出を振り返るとしようか。
家に帰るまでまだまだ時間があるからね。」
「分かった。そうしよう。」
「よしっ!じゃあ旅の始まりから振り返ってみるか、最初は・・・・」
皆で旅の思い出を振り返りだしていると、御者の人が出発時刻となった事を伝えて馬車を発車させた・・・そして、俺達を乗せた馬車は王都の外へ出て行くのだった。
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