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おっさんの異世界生活は無理がある。

祐一

第107話

「そう言えばフラウさん!昨日のイベントとっても素晴らしくて感動しました!
何て言うか、胸がドキドキしてふわふわして興奮が収まらなかったです!」

ミューズ街を出発してから少しして、フラウさんの隣に座ったマホが目をキラキラさせながら昨夜の感想を伝えていた。

「ふふっ、ありがとうございます。そう言って頂けると頑張った甲斐があります。
皆さんはどうでしたか?楽しんで頂けたでしょうか?」

マホに微笑みかけた後、フラウさんは俺達をゆっくりと見渡してきた。
そんな彼女の顔を見てロイドは爽やかに微笑み返し、ソフィは静かに頷いていた。

「あぁ勿論。あんなに魅惑的で幻想的な魔術を見せてもらって楽しめなかった者は
いないと思うよ。それにフラウさんが着ていた衣装もとても素敵だったからね。」

「ありがとうございます。あの衣装はイベントに合わせて仕立てた物だったので、
そう言って頂けると本当に嬉しいです。」

「なるほどね、だからあんなに魅力的に感じたのか。とてもよく似合っていたよ。」

うんうん!確かにあの衣装を着たフラウさんは魅力的だったな!・・・・おっと、何だかマホからいぶかし気な視線が送られているからこれ以上は止めとこう!
それよりも次はソフィが感想を言うみたいだし、黙って聞いてるとするか。

「私も感動した。特に水の龍が凄かった。」

「ありがとうございます。あの水の龍は私にとっても自信作なので、褒めて頂けて
嬉しいです。」

ソフィの感想を聞いて微笑むフラウさんを見ながら、感想を伝える準備をしていたのだが・・・突然フラウさんが小さく手を叩いて俺を見てきた?

「そう言えば九条さん、昨夜のイベント拝見させて頂きました。」

「えっ、マジでか?」

「はい。イベントホールの控室にもモニターが設置してありましたので、そこで観させてもらいました。でも惜しかったですね、あと少しで優勝でしたから。」

「そうなんですよ!おじさんは後少しで優勝出来たんです!なのに最後の最後で仮面のメイドさんに出し抜かれてしまって・・・って言うかあの人、本当に何者だった
んでしょうね?今だによく分かってませんけど・・・」

「あぁ、そう言えば正体は結局分からずじまいだったね。」

「まぁ色々訳アリなんだろうさ。それにどうせもう二度と会う事も無いだろうから、そんな気にする事も無いだろ。」

「・・・出来れば手合わせしてみたかった。あの戦い方には興味がある。」

「おいコラ戦闘大好きっ子。そんなの駄目に決まってるでしょうが。」

「ケチ。」

「誰がケチだ!って言うか、フリーパスをわざわざ譲ってくれた相手に戦いを挑もうとするとか許す訳ないだろうが!」

「・・・フリーパスを譲ってくれた?それって優勝賞品のフリーパスの事ですか?」

「ん?あぁそういえばフラウさんに話してなかったか。実は昨日イベントが終わった後にな・・・」

不思議そうに小首をかしげて訪ねてきたフラウさんに、昨日あった事を簡単に説明した。するとフラウさんは驚きの表情を浮かべていた。

「なるほど、そんな事があったんですね。でも、高級ホテルに好きなだけ宿泊できるフリーパスを譲ってくれるなんて凄い人ですね。」

「うーん・・・凄い人なんでしょうけど、だったら正々堂々と戦って欲しかったと
思う気もしますけどね。」

「確かに、彼女と九条さんの戦いは見てみたかったかもね。」

「うん、中々楽しめそう。」

「・・・いや、戦ったら多分負けると思うぞ?だってあの服装じゃ・・・なぁ?」

「あの服装?って言うと・・・メイド服ですか?」

「あぁ、それもミニスカートのメイド服だ。そんな服の相手と戦ってたら・・・」

・・・絶対に集中が途切れる気がするんだよね。それにあのメイド服を着ている
仮面のメイド自身も色々と危ないと言うか際どいと言うか何と言うか・・・ハッ?!この突き刺さる様な視線は!?

「・・・あぁなるほどそういう事ですか。確かにそれならおじさんは負けますよね
確実に。」

「ふむ、なるほど。確かに負ける可能性が高そうだ。」

「納得。」

「え?え?どういう事ですか?」

ふふふっ、うわぁ凄いなぁ。俺の仲間はどうして俺が負けるのか一瞬にして察してくれた様だぜ!・・・っていうかマホの反応を見て感づいたんだろうね!でもお願いします!その事をフラウさんに伝えるのはどうか勘弁してくだ・・・あっ、ダメですかそうですかはい。

「・・・つまりおじさんは仮面のメイドさんの色々な所が気になってしまって戦いに集中できず負けるって言いたいんですよね。いえ、そうではありませんね。
ただ単に戦い以外の場所に集中してしまうだけですよね!」

「・・・うっす。」

「・・・あっ、そ、そういう事ですか!な、なるほど・・・で、でも九条さんも男性ですから、そういう事が気になってしまっても仕方ないですよね?」

「・・・うっす。」

おやおや?凄い気を使われているのが分かるぞ!あぁあんなに顔を赤らめて俺から視線を逸らして頑張ってフォローしてくれるなんて・・・嬉しい様な恥ずかしい様な情けない様なもう内心どう感じたら良いんだ!?いや、でも俺も男だしそういう事が気になってもしょうがないと思うんですがどうでしょうか!

・・・まぁダメですよね。俺も同性の知り合いがもし居て異性のスカートの中とか気にしてて負けました!とかなったら物凄いガッカリすると思うわ・・・まぁ、同情の余地はあるだろうけど・・・なんて馬鹿な事を考えながら、俺は王都に着くまで
フラウさんのとの間に流れた何とも言えない空気を払拭する為に尽力するのだった。

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