おっさんの異世界生活は無理がある。
第94話
俺は頭をガシガシ掻きながら自分の迂闊な行動を後悔していた・・・はぁ、まさかこんな事になるとは・・・もう少し慎重に考えてから腕輪をはめるべきだったなぁ。
「あ、あのご主人様・・・すみません、もっと早く手紙に気づいていれば・・・」
マホのしょんぼりとした謝罪が聞こえてきたので顔を上げてみると、今にも泣きそうなマホが俺の事を見ていた・・・俺はそんなマホの頭に手をのせると、にっこりと笑ってやった。
「ふっ、お前のせいじゃないよ。これに関しては、俺が勢い任せに腕輪をはめたのが原因だ。だからそんな顔すんなって・・・な?」
「うぅ・・・ご主人様ぁ・・・」
「ほら、そんなしょぼくれた顔するなよ。」
俺はマホの頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、あんまり気負わずいられる様に笑いかけ続けた。それからしばらくすると、マホは笑顔を取り戻して俺の事を見てきた。
「もう!そんなに撫でられたら折角セットした髪の毛が台無しですよ!」
「おぉ、そりゃ悪かったな。」
「全くですよ!・・・でも・・・ありがとうございます!」
「おう、元気が出た様で何よりだよ。」
何とか笑顔を取り戻したマホに礼を言われた俺は、マホの乱れた髪を直す様に撫でながら手を離した・・・その時に、ふとロイドとソフィの顔をチラッと見てみたら
物凄く優しい表情で俺達の事を見ていた・・・何だろう、凄い恥ずかしいんだが!
てかソフィ!お前そんな表情で来たのか?初めて見たぞそんな穏やかな微笑み!
と、とりあえずこの場の空気を流す為にさっきの手紙の続きを聞くぞ!
「マ、マホ!2枚目の手紙の内容を読んでくれるか?さっきはアトラクションに乗れないって事しか聞いてなかったからな!他にも何か書いてあるんだろ?」
「あ、はい!それじゃあ読ませてもらいますね!えっと、アトラクションに乗れないって事と・・・あ、イベントの開催時間と最後の所に主催者の人の名前が書いてあります!」
「ほ、ほっほう!それは気になるなぁ!ぜひ聞かせてくれ!」
「えっとですね・・・イベントの開催時間は今日の午後6時からだそうです。」
「ふむ、午後6時か。それじゃあ日が暮れてからイベント開始と言う事になるね。」
「だな!防寒対策はバッチリしておかないといけないな!そ、それでこのイベントの主催者は何て名前なんだ?」
「主催者の方の名前は・・・『テーラー・パーク』さんと言うらしいです!」
「あぁ、パークさんが主催者なのか。」
マホが主催者の名前を告げた瞬間、ロイドがぽんっと手を叩きながら小さく頷いていた。
「ロイド、知ってる人?」
「あぁ、直接会った事は無いが噂位なら。確かテーマパークの運営責任者で、有名な美術品のコレクターでもあったはずだよ。」
「そうなのか・・・だから優勝賞品が美術品なのか?」
「恐らくはね。大陸各地からありとあらゆる美術品を収集しているらしいから、優勝賞品もその内の1つなんだろうね。」
「はぁーなるほどなぁ。にしても、100万Gもの値打ちのある美術品をよくもまぁ優勝賞品として出す気になったよな。これまでもそんな感じだったのかね。」
「どうなんだろうね。まぁこれだけ街が盛り上がっているという事は、そうなんじゃないか?」
「そうか・・・一体どんな美術品なんだろな。」
「マホ、手紙に書いてない?」
ソフィに尋ねられたマホは、手紙をマジマジと見ながら文字を追っていた。
「えーっと・・・詳しい事は書いてませんが、名前だけ書いてありました!今回、
優勝賞品として貰える美術品の名前は【欲深い女神像】だそうです!」
俺はマホから告げられた美術品の名前を聞いて、膝にのせていた片肘を思わず
落としてガックリとして呆れていた・・・
「・・・な、何なんだそのネーミングセンスは・・・その女神最悪じゃねぇか。」
「あはは・・・どうしてこういう名前なのか分かりませんが、それっぽい女神像なんですかね。」
「いや、欲深いっぽいってどんなだよ?」
「うーん・・・両手にお金を持って笑ってるとか!」
「そんな女神像見たら、俺は一生女神なんて信じねぇわ。」
「ふふっ、確かにね。まぁどんな女神像が御目にかかれるのは、実際に優勝してからだけど・・・九条さん、これからどうするんだい?」
「・・・は?どうするって何が?」
突然、さっきまで笑っていたロイドが真剣な表情でそう聞いてきた。
だがいきなりの事で何の事か分からなかった俺は、首を傾げてロイドの事を見た。
「このイベント、参加するのかい?」
「え?いやまぁそりゃあ・・・折角当選したしな。」
「でも、イベントに参加する為にはテーマパークで遊ぶ事を諦める事になるんだ。
本当に、それでも良いのかい?」
・・・あぁ、そういう事ね。イベント参加する事を決めれば、俺はアトラクションに一切乗る事が出来ない。だがイベント参加を諦めれば、腕輪をぶっ壊して遊びに行けると・・・そう言う事を聞いてるのか。
「あぁ別に良いぞ。」
俺の即決の返事を聞いて、ロイドは驚きの表情を浮かべていた。そしてそれは、
マホも同じ様だった・・・ソフィは・・・ね!
「おや、随分とあっさり決めたね。」
「まぁな。だってアトラクションに乗れなくなったのは、俺が調子に乗って腕輪を、付けたのが原因だし。ちゃんと話を聞いてれば、イベント開始前につけりゃ良いだけの話しだったのにな。いやぁ、まさかの事態に浮かれてたんだろうな。反省。」
いやマジで、本当に注意しなきゃダメね。こっちの世界に来てから慎重に行動してきたつもりなんだが、やっぱり慣れてきて調子に乗っちゃったんだろう。
「あ、あのご主人様・・・もしアレでしたら、イベントが始まるまで皆でここに居ると言うのも・・・どうですか?皆さん。」
「ふむ、私はそれでも構わないよ。」
「同じく。」
「いや、それだけは絶対にダメだ!断固拒否する!」
「えぇ!ご主人様が拒否するんですか!?」
俺が両腕で思いっきりバッテンを作ると、嫌そうな顔をしてマホの事を見た。
そんな俺を見て、マホは驚きの表情を上げてこっちを見てきた。
「いや、そりゃそうだろ。俺のせいでお前らが遊べなくなるとか最悪だっての!
それにどうせだったら徹底的に楽しんでもらった方が、イベントへのモチベーションが上がるってもんだ!畜生!俺はどうして遊べないんだ!こうなったら、優勝して
フリーパスを手に入れてまたここに来て遊びまくってやる!ってな!だからこれからテーマパークに遊びに行くぞ!さぁ、とっとと支度を済ませろ!」
俺は皆の事を見渡しながら拳を天に掲げて勢いよく立ち上がった!こうなったら、とことんフラストレーションを貯めてイベントで爆発させてやる!
「ふふっ、これは思いっきり遊ばないと九条さんに失礼かな。」
「九条さん、任せて。」
「おう!それじゃあマホも、気合入れて行くぞ!」
俺はニヤリと笑いながら、マホの前に掌を向けた!マホは戸惑いながら俺と掌を交互に見ると、両頬をパンッと叩いてグッとガッツポーズを決めて満面の笑みで俺の事を見てきた!
「はい!私、精一杯テーマパークで楽しみます!だからご主人様、イベント頑張ってくださいね!」
マホは大きな声でそう言いながら、勢いよく俺とハイタッチをした!それから俺達は急いで出掛ける準備を済ませると、テーマパークに向かうのだった。
待ってろよ、テーマパークにイベント!こうなったら全力でやってやるからな!
「あ、あのご主人様・・・すみません、もっと早く手紙に気づいていれば・・・」
マホのしょんぼりとした謝罪が聞こえてきたので顔を上げてみると、今にも泣きそうなマホが俺の事を見ていた・・・俺はそんなマホの頭に手をのせると、にっこりと笑ってやった。
「ふっ、お前のせいじゃないよ。これに関しては、俺が勢い任せに腕輪をはめたのが原因だ。だからそんな顔すんなって・・・な?」
「うぅ・・・ご主人様ぁ・・・」
「ほら、そんなしょぼくれた顔するなよ。」
俺はマホの頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、あんまり気負わずいられる様に笑いかけ続けた。それからしばらくすると、マホは笑顔を取り戻して俺の事を見てきた。
「もう!そんなに撫でられたら折角セットした髪の毛が台無しですよ!」
「おぉ、そりゃ悪かったな。」
「全くですよ!・・・でも・・・ありがとうございます!」
「おう、元気が出た様で何よりだよ。」
何とか笑顔を取り戻したマホに礼を言われた俺は、マホの乱れた髪を直す様に撫でながら手を離した・・・その時に、ふとロイドとソフィの顔をチラッと見てみたら
物凄く優しい表情で俺達の事を見ていた・・・何だろう、凄い恥ずかしいんだが!
てかソフィ!お前そんな表情で来たのか?初めて見たぞそんな穏やかな微笑み!
と、とりあえずこの場の空気を流す為にさっきの手紙の続きを聞くぞ!
「マ、マホ!2枚目の手紙の内容を読んでくれるか?さっきはアトラクションに乗れないって事しか聞いてなかったからな!他にも何か書いてあるんだろ?」
「あ、はい!それじゃあ読ませてもらいますね!えっと、アトラクションに乗れないって事と・・・あ、イベントの開催時間と最後の所に主催者の人の名前が書いてあります!」
「ほ、ほっほう!それは気になるなぁ!ぜひ聞かせてくれ!」
「えっとですね・・・イベントの開催時間は今日の午後6時からだそうです。」
「ふむ、午後6時か。それじゃあ日が暮れてからイベント開始と言う事になるね。」
「だな!防寒対策はバッチリしておかないといけないな!そ、それでこのイベントの主催者は何て名前なんだ?」
「主催者の方の名前は・・・『テーラー・パーク』さんと言うらしいです!」
「あぁ、パークさんが主催者なのか。」
マホが主催者の名前を告げた瞬間、ロイドがぽんっと手を叩きながら小さく頷いていた。
「ロイド、知ってる人?」
「あぁ、直接会った事は無いが噂位なら。確かテーマパークの運営責任者で、有名な美術品のコレクターでもあったはずだよ。」
「そうなのか・・・だから優勝賞品が美術品なのか?」
「恐らくはね。大陸各地からありとあらゆる美術品を収集しているらしいから、優勝賞品もその内の1つなんだろうね。」
「はぁーなるほどなぁ。にしても、100万Gもの値打ちのある美術品をよくもまぁ優勝賞品として出す気になったよな。これまでもそんな感じだったのかね。」
「どうなんだろうね。まぁこれだけ街が盛り上がっているという事は、そうなんじゃないか?」
「そうか・・・一体どんな美術品なんだろな。」
「マホ、手紙に書いてない?」
ソフィに尋ねられたマホは、手紙をマジマジと見ながら文字を追っていた。
「えーっと・・・詳しい事は書いてませんが、名前だけ書いてありました!今回、
優勝賞品として貰える美術品の名前は【欲深い女神像】だそうです!」
俺はマホから告げられた美術品の名前を聞いて、膝にのせていた片肘を思わず
落としてガックリとして呆れていた・・・
「・・・な、何なんだそのネーミングセンスは・・・その女神最悪じゃねぇか。」
「あはは・・・どうしてこういう名前なのか分かりませんが、それっぽい女神像なんですかね。」
「いや、欲深いっぽいってどんなだよ?」
「うーん・・・両手にお金を持って笑ってるとか!」
「そんな女神像見たら、俺は一生女神なんて信じねぇわ。」
「ふふっ、確かにね。まぁどんな女神像が御目にかかれるのは、実際に優勝してからだけど・・・九条さん、これからどうするんだい?」
「・・・は?どうするって何が?」
突然、さっきまで笑っていたロイドが真剣な表情でそう聞いてきた。
だがいきなりの事で何の事か分からなかった俺は、首を傾げてロイドの事を見た。
「このイベント、参加するのかい?」
「え?いやまぁそりゃあ・・・折角当選したしな。」
「でも、イベントに参加する為にはテーマパークで遊ぶ事を諦める事になるんだ。
本当に、それでも良いのかい?」
・・・あぁ、そういう事ね。イベント参加する事を決めれば、俺はアトラクションに一切乗る事が出来ない。だがイベント参加を諦めれば、腕輪をぶっ壊して遊びに行けると・・・そう言う事を聞いてるのか。
「あぁ別に良いぞ。」
俺の即決の返事を聞いて、ロイドは驚きの表情を浮かべていた。そしてそれは、
マホも同じ様だった・・・ソフィは・・・ね!
「おや、随分とあっさり決めたね。」
「まぁな。だってアトラクションに乗れなくなったのは、俺が調子に乗って腕輪を、付けたのが原因だし。ちゃんと話を聞いてれば、イベント開始前につけりゃ良いだけの話しだったのにな。いやぁ、まさかの事態に浮かれてたんだろうな。反省。」
いやマジで、本当に注意しなきゃダメね。こっちの世界に来てから慎重に行動してきたつもりなんだが、やっぱり慣れてきて調子に乗っちゃったんだろう。
「あ、あのご主人様・・・もしアレでしたら、イベントが始まるまで皆でここに居ると言うのも・・・どうですか?皆さん。」
「ふむ、私はそれでも構わないよ。」
「同じく。」
「いや、それだけは絶対にダメだ!断固拒否する!」
「えぇ!ご主人様が拒否するんですか!?」
俺が両腕で思いっきりバッテンを作ると、嫌そうな顔をしてマホの事を見た。
そんな俺を見て、マホは驚きの表情を上げてこっちを見てきた。
「いや、そりゃそうだろ。俺のせいでお前らが遊べなくなるとか最悪だっての!
それにどうせだったら徹底的に楽しんでもらった方が、イベントへのモチベーションが上がるってもんだ!畜生!俺はどうして遊べないんだ!こうなったら、優勝して
フリーパスを手に入れてまたここに来て遊びまくってやる!ってな!だからこれからテーマパークに遊びに行くぞ!さぁ、とっとと支度を済ませろ!」
俺は皆の事を見渡しながら拳を天に掲げて勢いよく立ち上がった!こうなったら、とことんフラストレーションを貯めてイベントで爆発させてやる!
「ふふっ、これは思いっきり遊ばないと九条さんに失礼かな。」
「九条さん、任せて。」
「おう!それじゃあマホも、気合入れて行くぞ!」
俺はニヤリと笑いながら、マホの前に掌を向けた!マホは戸惑いながら俺と掌を交互に見ると、両頬をパンッと叩いてグッとガッツポーズを決めて満面の笑みで俺の事を見てきた!
「はい!私、精一杯テーマパークで楽しみます!だからご主人様、イベント頑張ってくださいね!」
マホは大きな声でそう言いながら、勢いよく俺とハイタッチをした!それから俺達は急いで出掛ける準備を済ませると、テーマパークに向かうのだった。
待ってろよ、テーマパークにイベント!こうなったら全力でやってやるからな!
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