おっさんの異世界生活は無理がある。
第92話
「あぁ疲れたぁ・・・しばらく動きたくねぇ。」
部屋に戻ってきた俺は持っていた土産が入った紙袋を床に置くと、そのままリビングにあったソファーに座り込んだ。序盤でお土産を選ぶセンスが無い事が発覚した俺は、早々に役割を与えられた・・・・荷物持ちとしてのな。
でもそんなに悪かったか?あの武器のストラップ。結構カッコいいと思うんだけどなぁ・・・それに前の世界でもああいった武器のストラップ売ってたし、こっちでも同じように売ってるからどこの世界でも人気なんじゃないのか?
なんて事を考えながら首をかしげていると、マホが紅茶の入ったティーカップを
俺の前に置いて隣に座ると呆れた目で俺の事を見てきた。
「ご主人様、何を考えているのか大体わかりますがあのお土産は無いですから。」
選んだお土産をバッサリと否定したマホを見ながら、俺は紅茶に口を付けると軽く反論してみた!
「いやでも、どこの土産物屋に行っても必ず置いてあったぞ?つまりそれだけ人気
商品だって事だろ!」
「はぁ、そんな訳ないでしょう。ああいうのはネタで買うお土産ですよ。本気でアレをお土産に選ぶ人なんて・・・って、目の前に居ましたねそんな人が・・・」
「ぐっ、残念な人を見るような目を俺に向けやがって!・・・まぁ、自覚があるからしょうがないっちゃしょうがないんだが・・・でもアレ駄目なのかぁ・・・」
「ほら、落ち込まないでくださいご主人様。そんなご主人様の為に、私達がどんな事を考えてお土産を買ったのかご紹介しますから。ね?」
笑顔を浮かべて俺にそう言ってきたマホの事を見て、俺は腕を組んで唸り声をあげて・・・最後に諦めるようにため息を吐くのだった・・・
「・・・分かったよ。俺もいい歳してお土産1つ買えないとか情けないと思うしな。悪いがレクチャー頼んだ。」
「了解です!それじゃあまずは私が買ったお土産をお見せしますね!ちょっと待っててください!」
マホはそう言って立ち上がるとお土産の入った袋を手に持ってきた。そしてそれを俺の目の前に置くと、袋の中身を1つずつ取り出していった・・・のだが・・・
「えっと、これは・・・?」
「これはですね!カイちゃんとトウくんのストラップです!」
マホが自信満々に見せてきたのは2種類のストラップだった。どちらも色違いの
シルクハットとマントを身に纏っていて、顔にはよく分からない仮面を付けていた・・・しかもよく見たら、こいつら人じゃなくて三毛猫なんだが・・・
「えっと、カイちゃん?と、トウくん?だっけ・・・って何なんだそれ。」
「テーマパークに居るマスコットキャラクターみたいです!2人合わせてカイトウ
って言うらしいです!」
「カ、カイトウ?それって、怪しい盗賊の怪盗か?」
「いえ、華麗なる盗賊を略してカイトウらしいです。」
「・・・なんじゃそりゃ。てか、なんでこれをお土産に?」
「だって、カッコイイし可愛いですから!だからお土産にしました!それに、この
キャラクターをモチーフにしたお菓子とかも買いました!あ、ちゃんと日持ちするのを選びましたので安心して下さい!」
「あ、そう・・・うん、マホのお土産は分かった。まぁ確かにこの街にしかないって感じなら喜ばれるだろうな。それにお菓子もデザインは個性的だが味は結構スタンダードなのを選んだっぽいから、ハズレって事は無いだろうしな。」
「ですよね!さぁ、それじゃあ次はロイドさんのお土産を紹介してください!」
「了解。」
ロイドはそう言うと袋の中からサイズ大きめの物を幾つか取り出した。どうやら
全て食べ物らしいが、マホの選んだのよりもデザインはシンプルっぽいな。
「これはこの地方でしか取れない食材を使った食べ物らしくてね。まぁ好みは分かれるだろうが、マホと同じでこの場所でしか買えない物だよ。」
「はぁ、なるほどな・・・にしても、書いてある文章が凄いな。苦味の後にはすっきり爽やか晴れやかに!・・・ってどんな食い物なんだ?」
「ご主人様、こっちには天国に近づける味わい!って書いてますよ。」
「・・・出来る事なら近づきたくねぇな。」
「ふふっ、中々面白いだろ?これを見たら是非お土産にと思ってね。それに私達が食べる分も買ったから安心してくれ。」
「えっ・・・ま、まぁ食べるなら覚悟が必要そうだな・・・」
「ですね・・・さ、さぁ次はソフィさんどうぞ!」
「分かった。」
ソフィは袋の底を掴むとそのままひっくり返してガチャガチャと音を鳴らながら
中身をテーブルの上にぶちまけた。そうして出てきたのは、俺が選んだお土産の武器よりも精巧に作られている小さな武器だった・・・
「あ、あのソフィ・・・これは?」
「全部ペーパーナイフ。」
「ペーパーナイフ?って紙とか切る時使うあれか。え、でも何でこれを・・・」
「マホが持っているカイトウが使ってる武器らしい。限定物。」
「え、ちょっと見せてくれ。マホの持ってるやつも。」
「あ、私にも見せてください!・・・あ、本当に同じ武器みたいですよ!」
「おぉ、確かにな。でも、ストラップの武器よりもこっちの方がリアル志向だな。」
「そこに惹かれた。」
「なるほど・・・でも、これが良しとされるなら俺の選んだ武器でも良かったんじゃないのかと・・・」
「いや駄目ですよ。ご主人様のはごく普通のありふれた武器でしたし、そもそも本当にただのストラップだったじゃないですか。あれは絶対に無しです!」
「・・・はい、すみません・・・」
再度マホに否定された俺は、持っていた小さな武器をソフィに返すと改めて腕を組んで考え込んでいた・・・
「えっと、それぞれのお土産を見て分かったのは・・・選ぶんだったらご当地限定物が良いって事か?」
「まぁ簡単に言えばそうですね。ただそこに渡す人の好みとか、色々考えたりして
お土産を選ぶのが良いと思いますけどね。」
「はぁーなるほどねぇ・・・確かに今日俺が選んだお土産は、相手の事じゃなくて
自分の事だけを考えたお土産だったな・・・反省します。」
「はい!それじゃあ今後は、そういう事を考えてお土産選びをして下さいね!」
マホは満足そうに笑いながら俺の事を見ていた・・・うん、今後はちゃんと気を付けよう・・・なんて思いながら反省をしていると、突然マホがバッと立ち上がって
俺達の事を見回してきた。
「さて!それじゃあ次は明日行くテーマパークについて話し合いを始めましょう!」
「え、どうしたんだ急に?別に話し合いなんてしなくても明日行って決めれば良いんじゃないのか?」
「ダメですよご主人様!そんな甘い事を言っていては!テーマパークには待ち時間とか色々あるんですから、ちゃんと行きたい所を決めておかないと乗り物に乗れない事もあるかもしれません!だから今の内に乗りたい物を決めておきましょう!」
「あぁ、確かにマホの言う通りだね。大通りからチラッとテーマパークを覗いて見た感じ、かなり大賑わいだったから明日はかなり混みそうだ。」
「時間を無駄にはしたくない。」
「という事で、早速テーマパークのマップを見てみましょう!確かご主人様のバッグの中に入ってましたよね?」
「あ、あぁちょっと待ってろ。今取って来る。」
俺は部屋の隅に置いてある自分のバッグを探り、テーマパーク内のマップを取り出してテーブルの上に広げた。
「・・・うーん、やっぱりかなりの数のアトラクションがあるな。でも、このマップの真ん中にあるバカでかい建物何なんだ?アトラクションっぽくないんだが・・・」
「ふむ、サイズ的にはこのホテルよりも大きそうだ。」
「そんな物がテーマパークにあるのか・・・マホ、これが何か分かるか?」
「えっとですね・・・この建物はどうやらイベントの際に使われる物らしいですね。普段は立ち入りできない様です。」
「そうか・・・あ、じゃあフラウさんはここでパフォーマンスするのかね?」
「あ!そうかもしれません!・・・でも、イベントっていつやるんでしょうか?」
「さぁ?でもこの街の賑わい様だったら、近々イベント開催されるんじゃないか?」
「うぅー!出来れば明日開催されて、フラウさんの魔術を見てみたいです!」
「あぁそうだね。どんなパフォーマンスをするのか非常に興味深いよ。」
「・・・明日に期待。」
「はい!・・・ってそうじゃなくって、乗りたいアトラクションを決めましょう!
皆さんはどんなのに乗りたいですか?」
「そうだね、私は・・・」
「私はこれが・・・」
「俺は・・・」
・・・てな感じで、どんなアトラクションに乗るのか話し合って期待に胸を膨らませていたのが昨夜の事。それから時間は経って翌日の早朝、今現在の俺の状態はというと・・・
「なんで・・・こうなった・・・!!」
黒い腕輪を腕にはめて、ソファーに座りながら頭を抱えてうなだれてたとさ・・・
いや、マジでどうしてこうなった・・・!畜生!昨日のワクワクを返せこの野郎!
・・・さて、なんで俺がこんな事になっているのかというと・・・それは今から
1時間ぐらい前の事が発端だった・・・
部屋に戻ってきた俺は持っていた土産が入った紙袋を床に置くと、そのままリビングにあったソファーに座り込んだ。序盤でお土産を選ぶセンスが無い事が発覚した俺は、早々に役割を与えられた・・・・荷物持ちとしてのな。
でもそんなに悪かったか?あの武器のストラップ。結構カッコいいと思うんだけどなぁ・・・それに前の世界でもああいった武器のストラップ売ってたし、こっちでも同じように売ってるからどこの世界でも人気なんじゃないのか?
なんて事を考えながら首をかしげていると、マホが紅茶の入ったティーカップを
俺の前に置いて隣に座ると呆れた目で俺の事を見てきた。
「ご主人様、何を考えているのか大体わかりますがあのお土産は無いですから。」
選んだお土産をバッサリと否定したマホを見ながら、俺は紅茶に口を付けると軽く反論してみた!
「いやでも、どこの土産物屋に行っても必ず置いてあったぞ?つまりそれだけ人気
商品だって事だろ!」
「はぁ、そんな訳ないでしょう。ああいうのはネタで買うお土産ですよ。本気でアレをお土産に選ぶ人なんて・・・って、目の前に居ましたねそんな人が・・・」
「ぐっ、残念な人を見るような目を俺に向けやがって!・・・まぁ、自覚があるからしょうがないっちゃしょうがないんだが・・・でもアレ駄目なのかぁ・・・」
「ほら、落ち込まないでくださいご主人様。そんなご主人様の為に、私達がどんな事を考えてお土産を買ったのかご紹介しますから。ね?」
笑顔を浮かべて俺にそう言ってきたマホの事を見て、俺は腕を組んで唸り声をあげて・・・最後に諦めるようにため息を吐くのだった・・・
「・・・分かったよ。俺もいい歳してお土産1つ買えないとか情けないと思うしな。悪いがレクチャー頼んだ。」
「了解です!それじゃあまずは私が買ったお土産をお見せしますね!ちょっと待っててください!」
マホはそう言って立ち上がるとお土産の入った袋を手に持ってきた。そしてそれを俺の目の前に置くと、袋の中身を1つずつ取り出していった・・・のだが・・・
「えっと、これは・・・?」
「これはですね!カイちゃんとトウくんのストラップです!」
マホが自信満々に見せてきたのは2種類のストラップだった。どちらも色違いの
シルクハットとマントを身に纏っていて、顔にはよく分からない仮面を付けていた・・・しかもよく見たら、こいつら人じゃなくて三毛猫なんだが・・・
「えっと、カイちゃん?と、トウくん?だっけ・・・って何なんだそれ。」
「テーマパークに居るマスコットキャラクターみたいです!2人合わせてカイトウ
って言うらしいです!」
「カ、カイトウ?それって、怪しい盗賊の怪盗か?」
「いえ、華麗なる盗賊を略してカイトウらしいです。」
「・・・なんじゃそりゃ。てか、なんでこれをお土産に?」
「だって、カッコイイし可愛いですから!だからお土産にしました!それに、この
キャラクターをモチーフにしたお菓子とかも買いました!あ、ちゃんと日持ちするのを選びましたので安心して下さい!」
「あ、そう・・・うん、マホのお土産は分かった。まぁ確かにこの街にしかないって感じなら喜ばれるだろうな。それにお菓子もデザインは個性的だが味は結構スタンダードなのを選んだっぽいから、ハズレって事は無いだろうしな。」
「ですよね!さぁ、それじゃあ次はロイドさんのお土産を紹介してください!」
「了解。」
ロイドはそう言うと袋の中からサイズ大きめの物を幾つか取り出した。どうやら
全て食べ物らしいが、マホの選んだのよりもデザインはシンプルっぽいな。
「これはこの地方でしか取れない食材を使った食べ物らしくてね。まぁ好みは分かれるだろうが、マホと同じでこの場所でしか買えない物だよ。」
「はぁ、なるほどな・・・にしても、書いてある文章が凄いな。苦味の後にはすっきり爽やか晴れやかに!・・・ってどんな食い物なんだ?」
「ご主人様、こっちには天国に近づける味わい!って書いてますよ。」
「・・・出来る事なら近づきたくねぇな。」
「ふふっ、中々面白いだろ?これを見たら是非お土産にと思ってね。それに私達が食べる分も買ったから安心してくれ。」
「えっ・・・ま、まぁ食べるなら覚悟が必要そうだな・・・」
「ですね・・・さ、さぁ次はソフィさんどうぞ!」
「分かった。」
ソフィは袋の底を掴むとそのままひっくり返してガチャガチャと音を鳴らながら
中身をテーブルの上にぶちまけた。そうして出てきたのは、俺が選んだお土産の武器よりも精巧に作られている小さな武器だった・・・
「あ、あのソフィ・・・これは?」
「全部ペーパーナイフ。」
「ペーパーナイフ?って紙とか切る時使うあれか。え、でも何でこれを・・・」
「マホが持っているカイトウが使ってる武器らしい。限定物。」
「え、ちょっと見せてくれ。マホの持ってるやつも。」
「あ、私にも見せてください!・・・あ、本当に同じ武器みたいですよ!」
「おぉ、確かにな。でも、ストラップの武器よりもこっちの方がリアル志向だな。」
「そこに惹かれた。」
「なるほど・・・でも、これが良しとされるなら俺の選んだ武器でも良かったんじゃないのかと・・・」
「いや駄目ですよ。ご主人様のはごく普通のありふれた武器でしたし、そもそも本当にただのストラップだったじゃないですか。あれは絶対に無しです!」
「・・・はい、すみません・・・」
再度マホに否定された俺は、持っていた小さな武器をソフィに返すと改めて腕を組んで考え込んでいた・・・
「えっと、それぞれのお土産を見て分かったのは・・・選ぶんだったらご当地限定物が良いって事か?」
「まぁ簡単に言えばそうですね。ただそこに渡す人の好みとか、色々考えたりして
お土産を選ぶのが良いと思いますけどね。」
「はぁーなるほどねぇ・・・確かに今日俺が選んだお土産は、相手の事じゃなくて
自分の事だけを考えたお土産だったな・・・反省します。」
「はい!それじゃあ今後は、そういう事を考えてお土産選びをして下さいね!」
マホは満足そうに笑いながら俺の事を見ていた・・・うん、今後はちゃんと気を付けよう・・・なんて思いながら反省をしていると、突然マホがバッと立ち上がって
俺達の事を見回してきた。
「さて!それじゃあ次は明日行くテーマパークについて話し合いを始めましょう!」
「え、どうしたんだ急に?別に話し合いなんてしなくても明日行って決めれば良いんじゃないのか?」
「ダメですよご主人様!そんな甘い事を言っていては!テーマパークには待ち時間とか色々あるんですから、ちゃんと行きたい所を決めておかないと乗り物に乗れない事もあるかもしれません!だから今の内に乗りたい物を決めておきましょう!」
「あぁ、確かにマホの言う通りだね。大通りからチラッとテーマパークを覗いて見た感じ、かなり大賑わいだったから明日はかなり混みそうだ。」
「時間を無駄にはしたくない。」
「という事で、早速テーマパークのマップを見てみましょう!確かご主人様のバッグの中に入ってましたよね?」
「あ、あぁちょっと待ってろ。今取って来る。」
俺は部屋の隅に置いてある自分のバッグを探り、テーマパーク内のマップを取り出してテーブルの上に広げた。
「・・・うーん、やっぱりかなりの数のアトラクションがあるな。でも、このマップの真ん中にあるバカでかい建物何なんだ?アトラクションっぽくないんだが・・・」
「ふむ、サイズ的にはこのホテルよりも大きそうだ。」
「そんな物がテーマパークにあるのか・・・マホ、これが何か分かるか?」
「えっとですね・・・この建物はどうやらイベントの際に使われる物らしいですね。普段は立ち入りできない様です。」
「そうか・・・あ、じゃあフラウさんはここでパフォーマンスするのかね?」
「あ!そうかもしれません!・・・でも、イベントっていつやるんでしょうか?」
「さぁ?でもこの街の賑わい様だったら、近々イベント開催されるんじゃないか?」
「うぅー!出来れば明日開催されて、フラウさんの魔術を見てみたいです!」
「あぁそうだね。どんなパフォーマンスをするのか非常に興味深いよ。」
「・・・明日に期待。」
「はい!・・・ってそうじゃなくって、乗りたいアトラクションを決めましょう!
皆さんはどんなのに乗りたいですか?」
「そうだね、私は・・・」
「私はこれが・・・」
「俺は・・・」
・・・てな感じで、どんなアトラクションに乗るのか話し合って期待に胸を膨らませていたのが昨夜の事。それから時間は経って翌日の早朝、今現在の俺の状態はというと・・・
「なんで・・・こうなった・・・!!」
黒い腕輪を腕にはめて、ソファーに座りながら頭を抱えてうなだれてたとさ・・・
いや、マジでどうしてこうなった・・・!畜生!昨日のワクワクを返せこの野郎!
・・・さて、なんで俺がこんな事になっているのかというと・・・それは今から
1時間ぐらい前の事が発端だった・・・
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